島本理生のレビュー一覧

  • 好色一代男/雨月物語/通言総籬/春色梅児誉美

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    ネタバレ

    『好色一代男』の世之介のように若い頃に五百億円を遺産相続したら人生狂ってしまうだろうな。庶民のわたしとしてはその千分の一位が現実的かな。この読書メーターにレビューを書いて楽しんでいるのですからそんなにお金があっても使い道がありません。もう若くはないので色に狂うこともないのです。『雨月物語』はすこしオカルト的。『通言総籬』は江戸版「なんとなくクリスタル」といった感じ。『春色梅児誉美』は男女の手練手管が見事に描かれています。ハッピーエンドで良かったですね。

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    2017年03月05日
  • B級恋愛グルメのすすめ

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    ネタバレ

    島本さんの小説は何作か読んでいますが、エッセイを読むのは初めて。小説は繊細で触ると壊れそうな不安定さが魅力のひとつなのに、何ですかこの馬鹿らしさ(褒めてます)。深夜にすっぴんでラーメン食べに行ったり、フランス映画は『水戸黄門』だという持論を展開させたり、意外すぎる。そして食べ物の描写が上手すぎる。エッセイ開始当初はバツイチだった島本さん、元夫の佐藤友哉さんと再婚するにあたり、再婚式をあげるくだりも面白くて、個性的なお母様の話でリアルに噴き出しちゃいました。巻末の佐藤さんの解説も含めて、ごちそうさまでした。

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    2016年11月19日
  • 好色一代男/雨月物語/通言総籬/春色梅児誉美

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    現代語訳、分かりやす。
    目から鱗が落ちる。
    時代で移ろうもの変わらないもの。若い頃にもう少し勉強しておけばよかった、こう言う本を現代語訳ではなく理解できる人間だったろどれだけ楽しかったんだろう。

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    2016年11月16日
  • 一千一秒の日々

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    16/11/10
    連続して島本さん作品。
    ままならないけど、そんな日々がいとおしい、ね。
    あとがきの中村航の「とっても面白かったです。」にびっくりだよ。もうちょいなんかことば探そうよ笑

    ・わざわざ楽しかったことや悲しかったことを考える間もなく涙は流れた。私はそのまま泣き続けた。彼が好きだった過去のために泣いた。彼のことが好きだった自分のために泣いた。(P23 風光る)

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    2016年11月10日
  • 一千一秒の日々

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    外からみると芯のあるように見える人でも、誰もが心のうちでは不安や戸惑いをもっている。

    それぞれに感性のアンテナがあり、互いに呼応するタイミングや形が異なるからこそ人は求め合い、もがき、別れ、再び求めるのだろう。

    子供から大人にステップアップする大学生たちの動き揺らめく恋心が多面的に描かれている短編集。日々の暮らしにそっと寄り添ってくれる作品だった。

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    2016年09月21日
  • 本をめぐる物語 小説よ、永遠に

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    今回は私好みのSFっぽい話が多くて面白かった!(^^)でも読み終えてみたら、青春甘酸っぱ系だった千早茜さんの「あかがね色」が一番好き(*^^*)

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    2016年08月09日
  • リトル・バイ・リトル

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    この人の文章は好きだな、と思った。大げさじゃないことばの中に、大切なものが詰まっているような。

    思い出してまた読みたくなる1冊。

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    2016年07月19日
  • アンダスタンド・メイビー(下)

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    第145回直木賞候補作。「誰か彼女(黒江)を救ってあげてよー!」って思いながら読み進めた作品。あとがきの通りこれは読む人選ぶ作品だなぁって思った。上巻の怜ちゃんだか紗由ちゃんだかの「男の人そういう視線が気持ち悪い(だっけか?)」っていう、それも伏線のひとつだなーって。彌生君が男の人になった途端に気持ち悪くて怖くなる、あぁ、これは、的確な書き方だなって思った。ナラタージュで「んー」って感じだったので良い意味でも期待を裏切られた。どうでもいいけど、表紙に人物の写真って好きじゃない。この子=黒江?って錯覚しちゃう。

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    2016年05月16日
  • B級恋愛グルメのすすめ

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    読み進めていくとまさかの展開@私生活!よく食べる女性の話は読んでいて気持ちいいです、こんなに落ち着いた文章なのにまだ筆者お若いんですね。

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    2016年03月07日
  • クローバー

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    ずっと読むか迷っていた作品。
    早く読めばよかった。根拠なく読みたいと思ってたものだけど、その感覚はあっていた。
    華子と冬治。どちらもすごく共感出来る。こういう悩みながら成長していく、という話が好きなんだなと改めて思った。
    面白かった。私の中にも、何かしら残るものがあったかも。また読みたい。今回借りたけど、買いたい作品。

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    2016年01月30日
  • 一千一秒の日々

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    口の中で転がしたくなるような「一千一秒の日々」というタイトル。
    一千一秒。
    約16分。
    電話するには短く、キスするには長い。
    ずっと続くような響きなのに、その実短い。

    重すぎず軽すぎず、適切な温度できゅっと凝縮された恋愛連作短編集でした。

    私は連作短編小説が大好きだ、と気づいたのはここ数年の話。
    本作も次は誰の視点で物語が語られるんだろうとわくわくしながら読みました。
    欲を言えば、一紗の物語も読みたかった。次は彼女かな、とドキドキしながら読んでいたのに、読み終えてしまって残念。
    というのも、彼女と針谷の二人が好きだから。
    冷静に考えるとおかしな関係なんだけど、なんだかんだで互いを信用しきっ

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    2016年01月27日
  • 本をめぐる物語 小説よ、永遠に

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    8人の作家による「小説」をテーマにしたアンソロジー。色んな切り口で切り刻まれた「小説」や「物語」を小説で読むことで、物語の深みに勝手に囚われたり、メタ的なゾワゾワ感に包まれたりする。小説って面白い、と実感。

    秀作が揃っているが、ワシは、物語の禁じられた世界で物語を知覚し出会う男女を描く「赤と青の物語」(加藤千恵、著)と、物語を創り出すAIの成長とブレイクスルー後の世界を描いたSF要素もある「ワールドエンド×ブックエンド」(海老沢めろん、著)が、特にお気に入り。

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    2015年12月24日
  • 本をめぐる物語 小説よ、永遠に

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    作家陣も表紙も、10代向け直球。中堅作家が並んで、平均点以上は約束されている。知らない作家を発見する喜びはなかったけれど、どの作品もお話を読む楽しさを提示してくれ、安定感があった。

    奇しくも「いじめ」がからんでくるものが8本中3〜4本あり、いじめにあってる子が本を読んで本の世界に救いを見いだすという図式が、かなり一般的なようである(本といじめって親和性高いんだなあ…)。

    神永学で軽やかに入り、一番よかったのが千早茜、そして藤谷治の問題提起で終わる。小ぶりながらよくまとまったアンソロジーだった。

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    2015年12月14日
  • リトル・バイ・リトル

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    タイトルがしっくりとくる作品。『蹴りたい背中』以来。
    少しずつ揺れ動く気持ちが繊細に描かれていて、とてもリズムが心地いい。

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    2015年11月02日
  • 真綿荘の住人たち

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    東京・江古田にある下宿、真綿荘に住む5人それぞれの恋の物語。
    性格の悪い美人に振り回される大和くん。彼に片想いをするも、大学の先輩に告白されて揺れる鯨ちゃん。
    とある過去から男嫌いになり、今は女子高生の八重子と付き合っている椿。
    真綿荘の大家で小説家の綿貫さんは、「内縁の夫」と呼ぶ画家の晴雨さんと離れられずにいる。

    “普通の恋”なんていうものは無いのだと思う。この小説に出てくる人たちの恋も、みんな変だし、きっかけも普通じゃなかったりするし、理解に苦しむ恋もある。
    普通じゃないのが当たり前なのだ。なんて、パラドックスに陥りそうだけど(笑)、実際そうなのだと思う。
    とくに大家の綿貫さんと晴雨さん

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    2015年08月19日
  • あられもない祈り

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    読んでいて、とても苦しく、誰も幸せにならない、恋愛小説。
    なのに、一気読みをしてしまいました。
    それは、私の中の何処かに、作中の「私」に重なる部分があるからかもしれないし、文章の端々や、淡々と語られながらも、溢れ出ずにはいられないような彼らの感情に、はっとさせられるからかもしれません。

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    2015年07月25日
  • アンダスタンド・メイビー(下)

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    島本理生の書く小説は、描写(文章)が足らない、と思うことがある。
    それはこの『アンダスタンド・メイビー』でもそうだし、初めて読んだ『ナラタージュ』も変わらない。

    けれど、ホントはそうじゃないのかも知れない。
    この作品は、本質的に男性は理解できないのかも知れない。
    女性のみが理解できる世界。

    読み終わってしばらくして、そんなことを思った。

    買ってからしばらく経ってしまったので、最早、なぜこの本を手に取ったのかは覚えていない。
    つまり、これまで読むこともなく、久しぶりに本を開いたのだけど、やはり私は本を読むことが好きらしい。

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    2015年06月04日
  • アンダスタンド・メイビー(上)

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    島本理生は、私と同年代の作家だ。

    この作品の舞台は(物語の中で明示されないけれど)90年代後半~2000年代前半くらい。
    十代後半の主人公の居る世界は、場所こそ違っていても、私が十代後半を過ごした時間とほぼ同じ。だから、その空気感や雰囲気はよくわかる。

    あの頃は、いろんな意味での過渡期。
    高校生でも携帯電話を持つようになってきたり、カメラがフイルムからデジタルへと変わりつつあったり。

    その点でひとつ思うことがある。

    この作品が発表されたのは2010年12月。日本でiPhoneが発売されたのは2007年夏。カメラは、もうデジタルが当たり前だった(もちろん、フイルムを使う人もいるのだけど)

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    2015年06月04日
  • 波打ち際の蛍

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    素直に綺麗で淡々とした文章ですっと抵抗なく頭の中に入ってきた。なのに内容は繊細で脆くてすぐに壊れてしまいそうな話。
    主人公の心の描写の比喩がほんとに綺麗。

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    2015年04月10日
  • リトル・バイ・リトル

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    派手さはないけど、穏やかな日常が心地よい。主人公ふみの家庭は母はバツ2、父親の違う妹ユウちゃんと複雑な環境だ。ふみはバイトで働きながらも、会えない父への想いや、自分の悩みを他人に打ち明けられない苦悩が印象に残った。あと、脇の登場人物の言うことも深い。書道教室の柳先生が言った「どんな言葉にも言ってしまうと魂が宿るんだよ」の心得を頭の片隅に置いておきたいな。

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    2015年02月24日