島本理生のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
口の中で転がしたくなるような「一千一秒の日々」というタイトル。
一千一秒。
約16分。
電話するには短く、キスするには長い。
ずっと続くような響きなのに、その実短い。
重すぎず軽すぎず、適切な温度できゅっと凝縮された恋愛連作短編集でした。
私は連作短編小説が大好きだ、と気づいたのはここ数年の話。
本作も次は誰の視点で物語が語られるんだろうとわくわくしながら読みました。
欲を言えば、一紗の物語も読みたかった。次は彼女かな、とドキドキしながら読んでいたのに、読み終えてしまって残念。
というのも、彼女と針谷の二人が好きだから。
冷静に考えるとおかしな関係なんだけど、なんだかんだで互いを信用しきっ -
Posted by ブクログ
東京・江古田にある下宿、真綿荘に住む5人それぞれの恋の物語。
性格の悪い美人に振り回される大和くん。彼に片想いをするも、大学の先輩に告白されて揺れる鯨ちゃん。
とある過去から男嫌いになり、今は女子高生の八重子と付き合っている椿。
真綿荘の大家で小説家の綿貫さんは、「内縁の夫」と呼ぶ画家の晴雨さんと離れられずにいる。
“普通の恋”なんていうものは無いのだと思う。この小説に出てくる人たちの恋も、みんな変だし、きっかけも普通じゃなかったりするし、理解に苦しむ恋もある。
普通じゃないのが当たり前なのだ。なんて、パラドックスに陥りそうだけど(笑)、実際そうなのだと思う。
とくに大家の綿貫さんと晴雨さん -
Posted by ブクログ
島本理生は、私と同年代の作家だ。
この作品の舞台は(物語の中で明示されないけれど)90年代後半~2000年代前半くらい。
十代後半の主人公の居る世界は、場所こそ違っていても、私が十代後半を過ごした時間とほぼ同じ。だから、その空気感や雰囲気はよくわかる。
あの頃は、いろんな意味での過渡期。
高校生でも携帯電話を持つようになってきたり、カメラがフイルムからデジタルへと変わりつつあったり。
その点でひとつ思うことがある。
この作品が発表されたのは2010年12月。日本でiPhoneが発売されたのは2007年夏。カメラは、もうデジタルが当たり前だった(もちろん、フイルムを使う人もいるのだけど)