あらすじ
ふみは高校を卒業してから、アルバイトをして過ごす日々。家族は、母、小学校2年生の異父妹の女3人。習字の先生の柳さん、母に紹介されたボーイフレンドの周、二番目の父――。「家族」を軸にした人々とのふれあいのなかで、わずかずつ輪郭を帯びてゆく青春を描いた、第25回野間文芸新人賞受賞作。
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Posted by ブクログ
高校を卒業してからアルバイトをしながら生活する主人公。
それを取り巻くどこか愛くるしい登場人物たち。
この小説のあとがきを見てハッとしたのを覚えてます。
詳しくは思いだせないけど、あとがきを見て初めてこの本のタイトルの意味に気付かされ、小説って奥が深いなーと感動しました。
小説の内容はそこまで深いとは思わなかったのですが、この作品がもつ文章の柔らかさとか雰囲気がとっても好きです。
Posted by ブクログ
表紙の写真と『リトル・バイ・リトル』というタイトルからなにか伝わってくる気がした。
主人公の橘ふみは、父親の違う妹の面倒を見る。全く当たり前に。逃げた父や頼りない母に代わり、進学をやめ働くことにも一切ためらいが無い。
今どきでもこんなコが居ると信じたい。疑ったりし斜に構えたりしないでそう信じたい。そう思わせるあまりにも滑らかなサラリとした書き方だ。野間文芸新人賞を獲った作品だというのもうなずける。
『涙そうそう』のDVDをほぼ同時に見たが、こちらも全く血のつなっがっていない「妹」を兄は徹底的に面倒見る、終いには働きすぎで死んでしまうほど。
やはり、こんな若者が居るだろうかなんていいたくは無い。現代でもきっと居るに違いないと信じたい。ヒット作となったのは、信じたいという願望が私だけのものではないからろう。
私は120人のお年寄りのお世話をしている。と、言ったら言い過ぎである。実際はスッタッフのケアマネジャー4人が担当してくれている。でも責任者の私は、あくまで建前だけれども全部のお年寄りの家族構成からなにから全部把握していることになっている。
殆んど全部のお年寄りの「子」は「団塊」の世代だ。この団塊の世代たち、120家族のうち半分は親の介護から「逃げ」ている。自ら手を煩わすことはもちろんのこと、親のことを考えたり、判断したりすることからさえ逃げている。兄弟どうして押し付けあっている。本当に見苦しい。逃げている団塊世代の尻拭いが私の仕事だと言っても言い過ぎじゃない。情けない話ですが。
「親の居ない子供」、「定職につかずアルバイトなんかしてるコ」、「きちんとした大学を出ていない」、「大きな会社に勤めていない」、「パラサイトシングル」などの数々の偏見を世に定着させたのも彼ら「団塊」世代だともいえる。
自分達は戦後から高度成長にかけて「親に面倒」をかけて大学まで出してもらって、大人になってからは「親の面倒」からは逃避した世代だ。そして会社の中ではほぼ例外なく学歴と会社とにパラサイトしている。手厳しすぎる見方かもしれないが、あまりにも多くの実例を私は見てきた。
橘ふみや『涙そうそう』の兄ぃ兄ぃは、団塊世代が生み出した偏見のフィルターにかければ、「真っ当じゃない子」にほかならない。
だけど、これほど真っ当な子たちが他にいるか。これほど健気な若者がいるだろうか。恥ずかしくないのか、団塊たち!そう言いたくなってしまう。作品の中でもこの子たちの親はやはり大人であるくせに、例外なく無責任か頼りないかのどちらかだ。
橘ふみと彼氏はおそらくお互い初めて同士の彼と彼女だ。二度も二人っきりになるのだけれど、毎回何もしないで寝入ってしまう。それほのこの子たちは疲れている。
兄ぃ兄ぃは、全く疲れ知らずで挫折にもめげず猛烈に稼ぐ。最後の最後まで妹には辛さを隠して。だが最後には。
本当に健気で真っ当な若者達である。
こんな子たちが物語の中だけではなくて現実にも居てほしいものだ。思わずそう願ってしまう。
ある方のレビューが気になって、読んでみる気になった一冊でした。
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ふみさんの性格をよく知るには短い物語だった。
あとがきで作者が書いている通りの『外側から見たら不幸そうでも、心通う人達と過ごせれば楽しく生きていられるという楽しい作品』というのは伝わった。
登場人物は皆魅力的だったのでもう少し長い作品でこの人達をもっと知りたいと思った。
Posted by ブクログ
野間文芸新人賞受賞作!
高校卒業した女の子が主人公で、島本さん作品の女性は自分を大事にしてくれる人を傷つけがちだけどこの話の中ではちゃんと大切に想い返しててほっとできる一冊だった☺︎
10代後半の時期って近くにいる大人とか環境の影響を大きく受ける大切な時期だなってすごく思った
暴力を振るう実の父親がいなくなって、喧嘩ばかりの二番目の父もいなくなって、異父姉妹の妹とあんまりしっかりしてないお母さんとの3人暮らしって普通に考えたら可哀想、なんだけど、本人がそれを決して口に出さないところが印象に残ってる
たしかに辛くても嫌でも、口に出してしまうことは認めることになるっていう気持ちは分かるなぁ、、
けど、自分一人で溜め込むのも辛い、っていうことを教えてくれる一冊
Posted by ブクログ
派手さはないけど、穏やかな日常が心地よい。主人公ふみの家庭は母はバツ2、父親の違う妹ユウちゃんと複雑な環境だ。ふみはバイトで働きながらも、会えない父への想いや、自分の悩みを他人に打ち明けられない苦悩が印象に残った。あと、脇の登場人物の言うことも深い。書道教室の柳先生が言った「どんな言葉にも言ってしまうと魂が宿るんだよ」の心得を頭の片隅に置いておきたいな。
Posted by ブクログ
母親と父親違いの妹と3人で暮らしている橘ふみ。「大学の受験勉強のさいちゅうに、母が二度目の夫と離婚した」ため、受験費用を払うことができず、浪人(フリーター)することに。
父親との交流がなくなったこと、2度目の父親とはうまくいかなかったこと、DVの経験を周が癒してくれていること、それでもなお父親に期待してしまうこと、すごく自然に書かれている。
Posted by ブクログ
悲しくてもうれしくても、時は淡々と流れていく。人と出会い、別れ、でも日々は過ぎて行く。特に大事件はなくても、人それぞれ、多かれ少なかれドラマがある、そんな日常を簡潔な文章で紡いでいる作品。ひとつひとつ、一歩ずつ、そして次第に胸が温かく、明るくなる。こういう作品、好き。
Posted by ブクログ
島本さんを読むきっかけの一冊。
高校の時だったかな?読んだの。
えー何これーしんどっ!
と思いつつすぐ読んでしまった。
何て言うのかな~
とにかく雰囲気が大好き。
漫画で言うといくえみ綾さんの雰囲気に似てるなーと思った。
Posted by ブクログ
心に響く小説は、冒頭での引き込み方が違う。
その意味ではこの小説の冒頭は凄く、良い。
中盤以降はゆるやかに停滞していくが、それもまた味かなと思ってしまった。
敬語を使う彼には違和感が一杯だけれど、二人の距離感が伝わる。
物語ではなくて、彼女ならではの文章表現が、読んでいて胸を温かくさせた。
Posted by ブクログ
高校卒業後アルバイトをしながら、母親と小学2年生の異父妹と3人で暮らしているふみ。習字の先生である柳さんや、母親の紹介で知り合った周などと触れ合いながら過ぎていく優しい時間を描いた作品。
優しくて温かい気持ちになれる作品でした。
登場人物それぞれが魅力的で、こんな世界に生きていたら良いだろうな、と感じました。
個人的には周のお姉さんが好きだったな。
Posted by ブクログ
読んでみて気づいたのは
読後に何も残っていないこと。
嫌いな内容でもなかったのになぁ。。
人には色々な距離感があって
自分と折り合いつけながら生きているんだなぁと。
書道の先生との絡みがもう少し読みたかったし、恋人との行方もまだまだ過渡期だし、ゆうちゃんの立場からも切りこんだところも見たかったし。
小さいなりに葛藤があるかもなぁって。
長編でゆっくり読みたい気もしたかな。
Posted by ブクログ
【本の内容】
ふみは高校を卒業してから、アルバイトをして過ごす日々。
家族は、母、小学校二年生の異父妹の女三人。
習字の先生の柳さん、母に紹介されたボーイフレンドの周、二番目の父-。
「家族」を軸にした人々とのふれあいのなかで、わずかずつ輪郭を帯びてゆく青春を描いた、第二十五回野間文芸新人賞受賞作。
[ 目次 ]
[ POP ]
母と異父妹との三人で暮らすふみ。
母を通じてキックボクサーの周と出会い、恋をする。
彼女をとりまく状況はけして明るくないけれど、彼女の周囲の人間はいつもおかしくて明るい。
職を失ってもおどけることを忘れない母。
娘を一人前の女として扱い、恋のきっかけすら作ってしまう様子はとても魅力的だ。
奇想天外なジョークを飛ばす、周の姉もいい味を出している。
それに十八歳の青年とは思えないほど優しくて包容力のある周。
ふみは実の父との縁が切れても、彼らに支えられて立ち直っていける。
こんな形で救われるふみをうらやましく思った。
静かな文体で綴られるなかから、登場人物たちの優しさが立ちのぼってくる。
実際にはこれほど愉快で人間のできた人たちはいないかもしれないが、たとえ現実的でなくても、読んで暖かい気持ちになれる物語だと思う。
まだ若い作者のこれからが楽しみ。
[ おすすめ度 ]
☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
☆☆☆☆☆☆☆ 文章
☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
共感度(空振り三振・一部・参った!)
読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)
[ 関連図書 ]
[ 参考となる書評 ]
Posted by ブクログ
バツ2の母と、父親の違う小学2年生の妹と暮らしている主人公の恋愛と家族関係の話。
主人公は高校卒業後はフリーターをしているが、
母の働く接骨院で出会ったキックボクサーの少年に惹かれていく。
なんというか整っているけど響くものがない物語と感じた。
細やかで機微のあるエピソードがふんだんに盛り込まれているのだけど、なんだか教科書的というかもう誰かが書いてしまっているんじゃないかと思う物語だった。
ステレオタイプな心に傷を負った主人公という感じ。
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「大きな熊が来る前に、おやすみ。」を読んで興味が出たので購入。
若いとは思っていたが、まさかデビューが高校生の時だったとは恐れ入った!
物語としては「大きな熊が来る前に、おやすみ。」よりも個人的には面白かった。
母親と主人公と種違いの妹。ものすごく大きな事件が起こるわけではないが、3人を取り巻く空気感がとてもよい。これが透明感のある文章だ、と言われても実に納得できる。書いたときの年齢に引っ張られているのかもしれないが、この小説の瑞々しい文章は若い感性で描かれたものだろうとも思う。
もう何作か読んでみたいと思える。
Posted by ブクログ
何の気なしに手にとってみた。ちょっと壊れた家庭の話しなんだけど、微妙な壊れっぷりとか母親の飛びっぷりとか設定が上手いよな。ただ似たような作風が多いと感じるのも事実。とは言え引き続き、
何作か読んでみようかな。
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高校生作家ってまじかい。同い年じゃねーか!ふざけろ畜生!!と、高校生の時才能にじだんだを踏んだ。
あられもない祈りを読んですっかりファンになってしまったので、読んだ。
す、すごい。
年齢を考えるとすごい。
でもやっぱりナラタージュとかあられもない祈りとかのほうが好きだ、けど、すごい。
Posted by ブクログ
島本理生さんは、両刃の剣というか、私はいつもあまりにも引きずられてしまって、読後しばらく落ち込んでしまったりする。
これはまさにそういう一冊でした。
自分の中のなるべく触れたくない生傷的なとこを刺激された。
島本作品の中でも、初期のものよりもどろっとした部分が多め、かも。
Posted by ブクログ
絶妙な人間関係模様が島本さんぽくて好き。
「喋りたくないことはとにかく、俺、なんでも聞きたいし、聞きます」
島本さんの描く男の子って好きだなー
周君も礼儀正しいけど、よそよそしいんじゃなくて、
姉もいるせいか女心がよくわかっているじゃないか。
柳さんと奥さんのエピソード、言霊の話は切ない。
Posted by ブクログ
前々から読みたかった本。文庫になっていたので購入☆
短いし、読みやすいのでぱぱっと読めました(講義中に…)
描かれているのはさりげない日常で、特別大きな事件もないんだけど。
なんだか暖かくて、さわやかな話です。
島本さんの本は全部同じ穏やかな空気が流れている気がする。
Posted by ブクログ
53冊目。再婚、家庭内暴力、母子家庭。複雑な事情を抱える家庭に暮らす主人公が家族や恋人とのふれあいを通じて少しずつ(リトル・バイ・リトル)前へ進んでゆく、物語。
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島本理生を読み始めるときは、いつも深呼吸する。
いつどこで自分の思い出が溢れ出てくるかわからないから。
彼女の作品には、ひとのくすぐったい記憶を誘い出す力がある。
Posted by ブクログ
母と異父妹と3人で暮らす、ふみの淡々とした日常を描いたお話。 ふみは、最初はクールで欲の無い女の子だなあと思ったが、読み進めていくと、実父の長い不在が心の隅に引っかかっていて、自分の気持ちを言葉にすることが苦手な少し不器用な女の子という印象に変わっていった。 家族にも距離感を持って接している彼女の抱える、落としどころのない気持ちや居心地の悪さは何となく共感できる。 丁寧に描かれる淡々とした日々のシークエンスがとても味わい深く、タイトル通り少しずつ前に進んでいくふみの細やかな感情の移り変わりが自然と読み手の心に入ってくる。 ただ、最後の一文が少しありふれてる…と思った。