島本理生のレビュー一覧

  • 夏の裁断

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    紙の本を裁断、解体して、デジタルデータとして取り込んで保存することを「自炊」と言う…というのは、どこかで聞いたことあった。
    作家の千紘が、亡くなった鎌倉の祖父の家で、祖父が大量に遺した本を「自炊」しながらひと夏を過ごした記録なのだけど、編集者の柴田と知り合い関わってしまったことで奇しくも不穏な夏になってしまう。

    人を傷つけることを何とも思わない、むしろ傷つけることを生き甲斐とする人間がいる。それが無自覚であればあるほど罪深い。
    読んでいる間ずっと胸騒ぎがするような作品だった。柴田に振り回され自我を失っていく千紘を見ていて、人間のどうしようもなさを感じてしまって。
    千紘には性的なことを嫌悪して

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    2022年05月28日
  • アンダスタンド・メイビー(下)

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    ネタバレ

    こういう、救いのない本に私は救われる。
    どこかで絶望を抱えたまま生きてる人もいて、
    助けてほしいと思いつつも助けてもらえない
    私を許してくれる、私だけの神様が欲しい

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    2022年05月19日
  • クローバー

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    島本さんの作品は「わたしたちは銀のフォークと薬を手にして」以来気になっています。

    双子の姉弟・華子と冬治。
    言いたいことをポンポン言えて女子力のある華子。一方、幼少から華に振り回され面倒見はいいのに自分に自信のない冬治。
    そんな対照的な二人の暮らしに、華子に想いを寄せる男性や冬治の研究室の雪村さんが加わって日常が変わっていく。
    冷たくあしらわれてもめげない華の求婚者。
    端から眺めている分には、ドタバタしつつも何だかんだ家族ぐるみで仲良くて楽しそう。
    恋と進路の間で悩む冬治、華子の恋。

    展開にすごくワクワクするわけでもなく、特別甘くもドロドロもしない。悪人が出てくることもない。
    でもいつの間

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    2022年05月07日
  • リトル・バイ・リトル

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    ふみさんの性格をよく知るには短い物語だった。
    あとがきで作者が書いている通りの『外側から見たら不幸そうでも、心通う人達と過ごせれば楽しく生きていられるという楽しい作品』というのは伝わった。
    登場人物は皆魅力的だったのでもう少し長い作品でこの人達をもっと知りたいと思った。

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    2022年04月19日
  • 真綿荘の住人たち

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    真綿荘に住む人達の様々な恋愛観、人間模様について描かれた物語。物語は明るい恋ではなく、暗く静かに進んで行くように感じた。理解し難い恋もあったが、その裏には悲しい過去も関係している。まだ恋愛経験の少ない歳の私にとっては、少し大人な恋の物語だったのかもしれない。

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    2022年04月06日
  • ご本、出しときますね?

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    ネタバレ

    作家さんの生の声というか、フィクションではない部分を知る機会ってあまりないので、こういう対談集で人となりを知るのはとても興味深い。ますます好きになったり、まだ読んだことのない作品を読みたくなったり。
    知らなかった作家さんも、まずこんな人なんだということがわかってから読んでみたい!と思うのも新鮮。

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    2022年04月06日
  • 真綿荘の住人たち

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    登場人物それぞれ味わい深く、面白かったけど、もう少しそれぞれの背景が詳しく知りたかったような気もする。
    綿貫さんと晴雨さんの関係は、ちょっと私には理解が難しいかなー。

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    2022年04月03日
  • 真綿荘の住人たち

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    それぞれの住人の描写が鮮やかでとても面白かった。
    しかし、綿貫さんと晴雨さんの関係だけは共感できずよくわからなかった。
    特に最後がどうしてそこに落ち着いたのか、それこそ2人にしかわからない落ち着き所なのだなと思う。

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    2022年03月26日
  • イノセント

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    ネタバレ

    数年ぶりに恋心みたいなものを抱いて、恋愛小説が読みたくなって手に取りました。
    男性二人と女性一人の恋愛小説。恋愛要素以外にも震災の話なども出てきて、読んだ時期がちょうど東日本大震災の時期だったこともあり、少し喉が詰まる感じがしながら読んだ。一人目は女性が途切れたことがないタイプ、二人目は過去の罪から逃れる(許される)ために神に捧げた神父。この二人の恋愛観とか愛情は結構違うように見えたが、結局のところ、惚れた女を幸せにしたいというものが根にあって分かりやすかった。
    そして一人の女性が個人的にはどうしても男性である自分には理解できない部分も多く、すぐに体を許すところだとか、憎んでるはずの父親の元へ

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    2022年03月10日
  • イノセント

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    ネタバレ

    主人公たちが非常に魅力的な3人だった。

    特に比紗也みたいな女の子はほんとうにいそう。
    見た目が良くて、色気もあるけど、少し抜けてるから関係を持ちたいけど、結局気持ちが通じ合えなくて、自分が傷ついてしまうパターン。でもそれは相手はわかってない、みたいな。

    表面も金回りもよいが、どこか空虚な真田と、自分で赦せない過去を持つ歓も人間味があって、ラストがどうなっていくのか想像できなかった。
    圧倒的悪役の父親がバッドエンドに持っていくパターンも予想されたが、
    最後は歓から真田へ渡されるバトンによるハッピーエンド。
    これは本当によかった。

    島本さんは、エグッてくるよなー

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    2022年03月03日
  • シルエット

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    主人公の誰も報われる気がしないのはなぜ。mol-74を聴きたくなった。特に瞼。
    その人の口から語られることがなければ一生その出来事は日の目を見ることができない。それが相手を自分とは異なる人だと否応なく感じさせる。その通りだと思った。

    ところで17歳でこの作品を書く著者はどんな四半世紀を送ってきたの?単純に気になる。

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    2022年03月01日
  • アンダスタンド・メイビー(下)

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    15才から20才までの藤枝黒江の物語。
    自分に無関心の母親との2人暮らし 黒江自身も同性の友達と壁を作り人間関係は希薄だ。
    思春期を迎え 歪んだ性的関係を繰り返す。
    そっちに行ったらダメだよと何度も思ったけど 嫌われたくない一心で すがるように 選んだ行き先は不幸のオンパレード。 でもそんな彼女の周りにも
    彼女を見捨てない人がいる。読んでいて 彼女の行動に憂うつになりましたが ほんの一筋の光のような写真家の存在が救いでした。 上下巻 4分の3くらい ツライですけど 最後まで読んでよかった

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    2022年02月22日
  • 波打ち際の蛍

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    島本理生さんの作品、久々に読んだ。
    過去付き合っていた人のDVが原因で、男性恐怖症になりながらも、その病院で出会った人に惹かれていく。
    傷を負いながらもどうしても惹かれてしまう心の動きに、自分は経験してるわけではないのに引き込まれた。
    惹かれる相手の蛍さんは、魅力的なんだけど、元カノと友達として付き合いが続く人。
    また次の人に行ってしまいそうな危うさを感じつつ、この2人がこの先穏やかに関係を築いていけることを願ってしまう。

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    2022年02月17日
  • シルエット

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    とても綺麗な表現が多くて引き込まれた。
    心の雨の描写が特に印象的。
    書いた時の作者の年齢にびっくり。

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    2022年02月16日
  • あられもない祈り

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    2回目。5年くらい前に初めて読んだ時はあまりすきになれなかった。でも今読むとまずは言葉が綺麗。そして、幸せになれるはずないのに相手を求めてしまう恋の苦しさに溺れそうだった。ストーリーより空気感を味わいたい1冊です。

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    2022年01月23日
  • 生まれる森

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    主人公の人間性を、当人の内面描写以外のところで知っていく感じが良かったなぁ。
    あとは、ありとあらゆる比喩がしっくりきた。何となく色気のある曖昧さが残ったままなのに、凄い。

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    2022年01月21日
  • B級恋愛グルメのすすめ

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    島本さん、小説でも初期の作品と今の作品とでは空気が違うけれど、エッセイは真逆の明るさと気の抜けた感じがして好きです。面白かったです。
    たくさん食べる作家さんがわりと好みなんだなと気付きました。エッセイなどで拝見するごはんが美味しそうな方の小説は、食べる描写もかなり巧みなので、美味しいものの小説やエッセイを好む時に重点的に選ぼうと思いますこれからは。
    島本さん自身がかなり恋愛に重きを置く人なんだなと思いました。一人で行動する事も多いけれど、旦那さんの佐藤友哉さん(2度ご結婚されたのは存じていました)を始め、友人M氏(書籍タイトルググったら海猫沢めろんさんらしい)や柴君、女友達さんたちとのエピソー

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    2022年01月12日
  • ご本、出しときますね?

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    小説家ってぶっ飛んでる!と思ったり、意外と庶民的、と思ったり。なかなか知ることのできない彼らの本音やキャラクターを垣間見れてうれしい。
    対談形式なので、すらすら読めた。

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    2022年01月10日
  • アンダスタンド・メイビー(上)

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    あの頃の空気感、懐かしい曲達、女友達との関係性、注いでもらえなかった無条件の愛情からくる反動…
    遠い過去なのに、読んでいてヒリヒリとしてくる。
    なのに、引き込まれるように進むページ。
    救いを求めて下巻へ

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    2022年01月04日
  • イノセント

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    女性の繊細さ、強さといった、気持ちに触れられた気がする小説だった。
    キリコのアドバイスを受けて変わった真田さんの素直な気持ち、行動がグッときた。やっぱり、素直な気持ちで正面からぶつかっていける関係がいい。

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    2021年12月31日