島本理生のレビュー一覧
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あの人と過ごす
何気ない「おやつ」の時間が、
今日を乗り切る力をくれる。
おいしいものを愛する作家陣が贈る、
心とおなかの空腹をあたたかく満たす連作短編集。
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好きな作家さんが多く参加されていて購入しました。
これもかなり前に読んだので記憶が曖昧ですが。
ぱらぱらページをめくると少しずつ思い出してきました。
島本理生さんの「楽園の代わりのカッサータ」が好きでした。
議員と不倫という不毛なことと、
切ないけどなんか爽やかな部分もあって。
他の作品も同級生や親子等で、
忘れられない瞬間と食べ物が。
読後が良いアンソロジーでした。 -
Posted by ブクログ
「私だけの所有者」:自我を持つロボットが語る物語としてはこれで3作目になるが、ストーリーが最もシンプルだったため、肩の力を抜いて最後まで楽しむことができた。Lee Baconの『Interview with the Robot』では、主人公のロボットがほぼ最後まで自分を人間だと思い込んでいたため、終盤に差し掛かると胸が締め付けられるような思いをした記憶がある。また、石黒カズオの『Klara and the Sun』では、伴侶ロボットが最後まで誰にも選ばれず、販売所から廃棄場に至る過程が彼女の視点から語られており、衝撃的なほど斬新で、かつ重い読後感があった。これら二作と比べると、本作は機械知能の存在意義を深掘りするのではなく、むしろロボットという存在を介して「人間の意識」について思索しようとしているのではないかと感じた。
「ユーレイ」:このアンソロジーに参画した4人の作家のうち、これはおそらく辻村深月さんの作品だろうと、読んでいるうちに直感的に分かった。以前読んで心を揺さぶられた『傲慢と善良』を強く匂わせる雰囲気があったからだ。人の心を捉えて離さない筆力は、相変わらず圧巻だった。 -
Posted by ブクログ
包丁が父の胸に刺さってしまった。
そんな殺人めいた言葉を発して、多摩川沿いを血まみれで歩く女子大生、聖山環奈。
彼女を担当する弁護士と、彼女をケアする臨床心理士は、彼女の言葉と過去に向き合いながら、事件に隠された何重もの秘密を紐解いていき、ある真実へとたどり着く。
感想です。
島本理生さん初読みになります。
この作品を知ったキッカケは、どなたかのTikTok動画で『衝撃を受けた作品』を観た際、ラインナップされた作品の中で、本作が未読であった所から手に取りました。
(他は『十角館の殺人』『イニシエーション・ラブ』『葉桜の季節に〜』が紹介されていました)
導入部分はミステリアスな雰囲気で、続きが気になる衝動に駆られます。ただ後半はパズルのピースが揃ってくるので結末を予想しやすく、冒頭のTikTok動画を観て知った私にとっては拍子抜けでした。
とはいえ、本作はとても読みやすく、重たい内容かもしれませんが良い作品でした♪
作中の痛々しさは、千早茜さんの『神様の暇つぶし』を思い出しました(^_^;) -
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叔父と姪の恋愛。普通では忌避される関係ではあるが、「回りからなにか言われるたびに揺れるのは抗いようがない。それでも遼一さんという初恋から解放されて自分の人生を取り戻したいとは、やっぱり微塵も思わない。」とまで思える人に出会えた奇跡。
最近よく普通を考えさせられます。今の自分は社会的に見ても、王道を歩み、そして幸せなんだと思います。これを普通と思えるのはあまりに幸せ過ぎると言える一方、どこか普通を演じている自分もいるなと思うときがあります。
性別は違えど、永遠子のような考えにどこか共感できてしまうところもあり、読んでいてむず痒さがありました。 -
Posted by ブクログ
愛する人がいなくなり書けなくなった作家の紗文と、殺人事件の加害者の息子である創が出会い惹かれる愛の物語。
現実にふっと紛れ込む並行世界に、静かな幻想感を味える1冊。
加害者家族である創がそれを理由に理不尽な目にあいながらも、年齢やステイタス・損得に左右されずに相手を見られるピュアさが、物語感を増している気がした。
紗文と創、二人が惹かれるのは、同じ痛みを抱えているがゆえに相手の欲するものを無意識に与えることができるからなのかもしれない。
「愛する」と一言にしても、何を愛と捉えるのか、愛情表現も愛する人に望むことも人によって違う。
お互いの熱量の差や、タイミングもある。
一瞬で過去のものになってしまう「愛」の儚さと、愛したがゆえに残ってしまう後悔や痛み、どちらも感じた作品だった。 -
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あらすじ
美しい女性に惹かれる、やり手経営者とカソリックの神父。自堕落さと無垢な儚さを併せ持つ彼女は、深い絶望を抱えていた──。
イベント会社代表の真田幸弘は、数年前に函館で出会った若い女性・比紗也に東京で再会する。彼女は幼い息子を抱えるシングルマザーになっていた。真田は、美しく捉えどころのない比紗也に強く惹かれていく。一方、若き神父・如月歓は比紗也と知り合い、語り合ううち、様々な問題を抱える彼女を救おうと決意する。だが、彼女は男たちが容易に気づくことのできない深い絶望を抱えていて──。
感想
大人のラブストーリーだった。
大人ながらも、それぞれの過去や思想に縛られて、時には相手を思いやったり、時には自己中心的になって自己嫌悪になったりしたまだまだ青い三角関係だった。
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久しぶりの島本理生さんは難解だった。
書けなくなった作家 紗文と、殺人事件の加害者を母にもつ青年 創。2人の人生が交差することで、不思議な現象が起き始める。
紗文と創がこれまで歩んできた道が、複雑で険しすぎて、気持ちを寄り添って読み進めることが難しかった。心の内を描写するのではなく、事象に合わせて読者が汲みとる必要があるので、集中して読まなくては取り残されてしまう。空き時間に少しずつ読んでいた私は見事に取り残されてしまった。
不可思議な体験がもたらしたラストに、希望の光が感じられてよかった。島本文学の新境地との評判だが、私の想像力では現実味が乏しくて、いっそ映像化して欲しいと思った。
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【あらすじ】
工藤泉(くどういずみ)は、婚約者と川辺りを歩く道すがら、ある男性との思い出を回想する。葉山貴司(はやまたかし)。泉の高校時代の恩師であり、そして彼女の忘れ難い初恋の相手である。演劇部の応援のために久しぶりに訪れた母校で、久しぶりに葉山と再会を果たした泉は、戸惑いながらも胸の高鳴りを覚えーーー。
【短評】
残念ながら好きではなかった。
泉と葉山が互いをかけがえのない存在として認め合っているのは理解出来た。初恋というのは鮮烈なものであるからして、後生大事に抱えて生きていくことも概ね理解出来た。しかしながら、当人同士がそれを心の内に秘めたままに別々の人生を歩んでいくという思考は、まるで理解出来なかった。それは色んな意味で不誠実だと思うのだ。
誰かを伴侶とするならば「一番に置く」というのはとても大事なことだと思う。心に決めた一番があるのであれば、それに従うのが当然だし、そう出来ないのであれば別の誰かと結ばれるべきではないと私は思う。ニ番手に置かれれば、そりゃあ相手は怒るのだ。(怒れば何でもして良いというの別問題で、控えめに言って小野は屑である)
而、個人的には泉も葉山も遠からず破滅すると思う。彼らは二人で手を取って生きていくべきであったし、そうでなければ、世間とは隔絶したどこかで隠遁して生きていくべきだと思う。これは「嗚呼!どうして別れてしまうんだ!!」みたいな切なさとは違う。得も言われぬ不快感である。
さりとて。綺麗なシーンは幾つもあった。
印象的な電車のシーンなどはとても好きだし、最終盤の葉山の近況を聞く泉の姿も感慨深かった。どれも素敵な描写なのだが、前述した不快感にどうしても塗り潰されてしまう。また、婚約者が都合良く泉を包み込むのも気に入らない。多分、遠からず彼も豹変するのだろうな、などと思った。婚約者については余り頁が割かされていないが、「他に一番がある相手を愛せるか」という部分が骨太に描けていたら、本作の評価も一変しただろうと強く思う。
恋愛小説は「好み」先行なので、浅薄な私のままに、合う/合わないで論じてみた次第。
あれこれと書いてしまったが、私は恋愛小説は余り読み慣れておらず、全体にチョコレートをビシャ掛けしたような甘くて頭の悪いものを好む悪食ゆえ、ご容赦願いたい。も少し若い時分に読んでいたら印象も違っただろうかと天を仰ぐ夏である。