島本理生のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ大好きな島本作品。同じく大好きな西さんが「私はもう恋愛小説を書かない」と言うほどの作品とはと思い購入した。
島本さんの作品らしい展開ではあるが、難しかった。恋愛は二人で100ということを再確認した。同様にある作品を思い出させた。大学のゼミで精読した、ウィリアムフォークナーの『響きと怒り』だ。
2つとも、現在の話と過去の話が交錯する。『響きと怒り』の方はそれを分かりやすくするためか普通のフォントとイタリックで分けて書かれている。しかしこの作品はそれがない。尚更難しいと感じさせた。
作品中で「私」は、子として、恋人として、そして愛人として数多の苦しみを抱く。手首を傷つけながら。彼女が求 -
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Posted by ブクログ
それぞれのストーリーに登場する人物たちがすこしずつかさなりあって作品世界を構成している連作短編集です。
いずれも若い男女の淡い恋愛をえがいた内容です。ただ、登場人物たちはどんな食べ物が好きでどんな本を読んでいるのかといったディテールについてあまり踏み込んだ叙述がなく、個人的にはすこしつかみどころのないようにも感じられました。
せいぜいのところ、ヘルマン・ヘッセが好きだとか、リンキンパークを好んで聴くといった程度で、どちらもあまり明確な人物像を結ぶような説明とはいえないような人選に思えます。あるいは、著者が意図的に、人物像にかんする濃密な設定を排することで、もっさりした感じになってしまうのを -
Posted by ブクログ
文庫化に伴い書き下ろしが3編も加わるときいたので読んじゃいました。
初読は2年前。そのときの感想をふりかえると千紘のことをメンヘラビッチと切り捨てているのですが(ごめんなさい)、今回読んだ印象はだいぶ変わった。
彼女は弱いだけなのだ。柴田のような強引なものにひっぱられてしまう。
暴力的な柴田に惹かれてしまう理由や、彼の気まぐれな言動に意味があるのだと思い込む痛ましい姿はどこか私自身の体験とも重なって、もやもやと嫌悪感が募った。
島本理生さんは経験しないと分からない、そしてひとたび経験したら共感しきりのような、良い意味で極端のイメージがある。
「そんなものに意味はないよ」「選別されたり否定され