島本理生のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ映画化もされた、島本理生さんの長編です。
女子大生が主人公の恋愛小説。
正統派な書き方なのだけれど、
内容はメジャーではないタイプの話。
ずっと、落ちついたトーンが貫かれています。
それも、いかにも品のある感じではなくて、
日常のなかでのちょっとした落ちつきのあるときのトーン、
といえばいいでしょうか。
鼓動は落ちつき、
たまにごく自然に高鳴り、
また落ちつく。
そんなトーンかなあ。
丁寧ともいえます。
残りの100ページくらいから、
ぐぐっと暗黙のうちに結実していくものがある。
ストーリーの展開やラストへの収束、
それらによるそれまでの曖昧さをはっきりさせる
結論付け的部分もあるのだけれ -
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Posted by ブクログ
このアンソロジーも3シリーズめなんですね、早いなー。
大島真寿美さんのカフェスルス、久しぶりに読めて嬉しかった。
さすがと思ったのは島本理生さん。さすがすぎる、1人だけ空気が違ったし、このアンソロジーに不揃いというかミスマッチ感もあるんだけどスパイスにも取れて、脱帽。不穏感がハンパないのに甘美だから好き。
それと加藤千恵さんの話も可愛かった。男なんて恋なんてロクなもんじゃないと息巻く10歳の女の子が多肉植物専門店を営む叔母に、すごくいい人もいると言われてから少しだけ世界が変わったそのときが好き。
あとは彩瀬まるさんも楽しみにしてたのですがちょっとイマイチかなー。主人公が同世代ってあって婚活感は -
Posted by ブクログ
ネタバレこの作家の本は三冊目だけど、どれも一緒なんだよな
キャピキャピさと対極にいるのにモテる主人公
少し枯れてガツガツしてなさげなくせにズルくてセックスが上手い年上の男
不倫関係
そしてお互い好きなのに女から物理的に離れて別れる結末も。
でもどうしようもなく胸に刺さるのはなぜなんだろう
この人の本は私の心に引っかかる
痛くて苦しいのに読むのをやめられない
でも全部読むのは退屈で、苦しくなる一部をぱらぱら読み返して自分を痛めつけたくなる
だから手元に置いておきたい。
この本に関していえば主人公は首を横に振りすぎ
お互い好きなのにいざ一緒になるとうまくいかない感じがどうにもリアル -
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Posted by ブクログ
ネタバレはっきり言って期待外れだった。
このエッセイが特別下手だというわけではないのだけど、私の期待値が高すぎたのだろう。
ナイーブな内面を繊細にすくい取る文章力と構成の巧。
彼女の小説を読んで、才能の発露は年齢とは無関係なのだと思い知らされたこともあり、異常にハードルを上げてしまったのかもしれない。
武田百合子の「富士日記」のように、無邪気なくらい素直なまなざしと、物事の本質をとらえる鋭い視線を感じさせるような。
または、よしながふみの「愛がなくても喰っていけます」のように、食に対する妥協を一切持たないような。
そんな文章を期待していた。(よしながふみはマンガだけれど)
いや、ゆるい。
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Posted by ブクログ
8篇の物語が収められている。
今回の物語に特徴的なのは、「小説とは何か」という疑問だ。
「青と赤の物語」では、物語が禁止された世界を描いている。
物語があるから悪いことをする人がいる、そんな考えを持ったエライヒトたちが物語を禁じてしまったのだ。
全く因果関係はないのに、AだからBと決めつけてしまったのだ。
物語は、文学は、何の役にも立たない。
本当にそうだろうか。
物語は時に残酷なものも、悲しいものも、苦しいものもあり、そんな世界を目にするのは時には恐ろしい。
けれども、そんな世界があるから救われる人もいる。
物語に書いてあることは、どんな物語にせよ、誰かから、読者に、あなたに、向けたメッセ -
Posted by ブクログ
タイトルの通り、小説にまつわるアンソロジー。
ラノベっぽい軽さのものが多くて中高生向けかな。
それでも小説の存在意義を説くような話が読めてなんだか嬉しかったです。
本を読んで驚いたり、感動したり、幸せな気持ちになったり、そういう純粋に読書を楽しんでいた頃の初々しさを思い出しました。
「青と赤の物語」 加藤千恵
「あかがね色の本」 千早 茜
「新刊小説の滅亡」 藤谷 治
この3つが好きです。
私の人生、何度小説に救われてきたんだろう。
探さなくてもいつだって必要なときは必ず寄り添ってくれてた。
その経験はその本とともに、何年経っても何が変容しても移ろわなくて、私にとって本当にかけがえのないも