島本理生のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
強引で恋多き華子と、その双子の弟で冷静で常識人の冬治、華子に一目ぼれしぞっこんの公務員の熊野さん、人付き合いが苦手で冴えない外見の雪村さん。タイプの異なるそれぞれが織りなす恋愛小説。
華子と冬治の夫婦漫才のような掛け合いがまるで少女漫画を読んでいる気分にさせてくれるドタバタで明るい前半を過ぎると、後半に向けてそれぞれの過去の葛藤や素直になれない気持ちが交錯し、もどかしさも感じた。
恋愛小説とうたっているが、登場人物それぞれの成長物語だと思う。表立っては見せない自信の無さや消極的な面などの繊細な心理描写が見事で、でも憎めない子ばかり。
読後感はすっきりした作品。 -
Posted by ブクログ
【本の内容】
ふみは高校を卒業してから、アルバイトをして過ごす日々。
家族は、母、小学校二年生の異父妹の女三人。
習字の先生の柳さん、母に紹介されたボーイフレンドの周、二番目の父-。
「家族」を軸にした人々とのふれあいのなかで、わずかずつ輪郭を帯びてゆく青春を描いた、第二十五回野間文芸新人賞受賞作。
[ 目次 ]
[ POP ]
母と異父妹との三人で暮らすふみ。
母を通じてキックボクサーの周と出会い、恋をする。
彼女をとりまく状況はけして明るくないけれど、彼女の周囲の人間はいつもおかしくて明るい。
職を失ってもおどけることを忘れない母。
娘を一人前の女として扱い、恋のきっか -
Posted by ブクログ
ネタバレ設定があまりにも島本さんらしくなくて驚いたけど読み進めれば進むほど、ああやっぱり島本さんだと思った。
島本さんにしては登場人物が多い話だし、最初の方は登場人物が複数学生で進んでいくから、わりとさわやかっぽく読めなくはないけど、どんどんどんどん人間の深いところに引きずり込まれていって最終的に綿貫さんの話に収束していく感じは、やっぱり一筋縄にさらっと終われなくて何かもにゃっとしつつもいろいろと考えてしまった。
誰のはなししてるんだろうなあと思った次の真綿荘の恋人で、最初に綿貫さんのフルネームが明かされる流れは、やられたなあと思った。
鯨ちゃんは最初から最後まで唯一の救いでいてくれてありがとうの気持