あらすじ
レトロな下宿で青春と恋の始まり、のはずが……
真綿荘に集う人々の恋はどれもままならない。性別も年も想いもばらばらだけど、一つ屋根の下。そんな奇妙で切なくて暖かい下宿物語。
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Posted by ブクログ
読み始めは、いつもの島本理生さんより明るめだな、『クローバー』みたいな雰囲気かなあと思ったらしっかり島本理生さんワールドで、とても好きでした。こんな物語が読みたかったな、という作品を島本さんはいつも与えてくれます。島本さんが描く、簡単に言葉に当てはめられない関係は、いつも読み応えがあって不思議な気持ちにしてくれます。
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これは、、
私は今までずっとナラタージュが大好きで、ナラタージュが出た当初高校生だったんだけど、その頃から私の心に留まり続けて、こんなに読んだあとその世界観から抜け出せなくなる小説はない、と思ってたんだけど、、
綿貫さんに共感しまくった。
完璧に所有されたいという気持ちが自分の中で物凄くしっくりきてしまった。
最後は感動して涙こぼしながら読んだ。
映画のようなドラマチックな描写。
その流れは絶対婚姻届でしょ、と普通ならなるところ、この2人にとっては養子縁組の書類。
この世で一番頑丈で強固な束縛。
ちょっとこう言ってはなんだけど、羨ましい。
実際養子縁組って現実的ではないんだけど、、。
晴雨さんの不器用さが愛おしい。
君の夢を叶えよう
なんてめちゃくちゃ言われたい笑
そして1人1人の登場人物がみんな愛くるしい。
久しぶりにいい小説に出会えた。
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青少年のための手引き
北海道から東京に大学進学のために上京した大和君。
清潔な視線
椿さんと八重子ちゃんは恋人。
シスター
鯨ちゃんは大和君に恋する。荒野先輩は鯨ちゃんに恋する。
海へむかう魚たち
大和くんは大学の先輩絵麻さんと駆け落ちする。
押し入れの傍観者
晴雨(せう)さんと大家の綿貫さんの嵐の始まり。
真綿荘の恋人
綿貫さん目線の晴雨さんへの想い。
真綿荘の住人は、大和君、椿さん、鯨ちゃんに
晴雨さんと大家の綿貫さん。
それぞれの人物が主人公となり、話に出てくる。
大和君の存在が独特で、最初は何でも言っちゃう
天真爛漫タイプに思えてたんだけど、
だんだん真綿荘で生活していって、大人になってきて
最初の頃と違う大和君になっていくのがよかった。
そして、「大和」ではなく毎回表記が「大和君」と
なっていることに、作者の意図を感じたよー(。-∀-)
けっこう好きな作品だったなぁー!!
Posted by ブクログ
島本理生さんの作品大好きなのになぜか10年間積んでいてやっと読むことができました。読み始めたら面白かった〜。ほっこり系かな?と思いきやそれぞれが抱えている恋愛はどれもままならなくて辛くなるものばかり。鯨ちゃんと荒野先輩の『シスター』がとってもよかった。連作短編の作り方はやっぱり大好きで、この章では脇役だった人が次は主人公になってたりとかどんな気持ちを抱えているかとかが綿密に描かれていて、良いなあと思いました。島本さんの文章やはり大好き。
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真綿荘に住む人達の様々な恋愛観、人間模様について描かれた物語。物語は明るい恋ではなく、暗く静かに進んで行くように感じた。理解し難い恋もあったが、その裏には悲しい過去も関係している。まだ恋愛経験の少ない歳の私にとっては、少し大人な恋の物語だったのかもしれない。
Posted by ブクログ
登場人物それぞれ味わい深く、面白かったけど、もう少しそれぞれの背景が詳しく知りたかったような気もする。
綿貫さんと晴雨さんの関係は、ちょっと私には理解が難しいかなー。
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それぞれの住人の描写が鮮やかでとても面白かった。
しかし、綿貫さんと晴雨さんの関係だけは共感できずよくわからなかった。
特に最後がどうしてそこに落ち着いたのか、それこそ2人にしかわからない落ち着き所なのだなと思う。
Posted by ブクログ
『家族とも友人とも恋人ともちがう。けれど、赤の他人とも言いきれない。ゆるやかだが濃密な関係のもと、下宿人たちは食事をし、今日も同じ屋根の下で眠りにつく。(三浦しをん「本屋さんで待ちあわせ 〈真綿荘の住人たち〉」より抜粋)』
『下宿』と聞いてどんなイメージを思い浮かべるでしょうか?木造の古いアパート、すべてがレトロな雰囲気、そして個性豊かな住人たち。私の勝手なある意味ステレオタイプのイメージですが、こんな光景が浮かびます。恐らくそれは昭和を代表するマンガ家たちが若手時代に暮らしたという伝説の”トキワ荘”のイメージがこびりついているからかもしれません。このレビューを読んでくださっている皆さんも、マンガに詳しい方はもちろんのこと、あまり興味がないという方でも名前ぐらいは聞いたことがあるはずの”トキワ荘”。そんな伝説の”トキワ荘”があった椎名町のすぐ隣に江古田という街があります。『八百屋や居酒屋やカフェやパチンコ屋とにぎやかで、だけど妙に親近感の湧く軒並み』、そんな街にひっそりと佇む『真綿荘』。この物語はそんな『真綿荘』に暮らす住人たちの日々の営みを綴る物語です。
『もし俺が第一志望の東京の大学に受かったら、マキちゃん、俺と付き合ってください』と『薄暗くなりかけた教室』で熱意を込めて告白するのは大和葉介。『次の瞬間、櫻井マキは真顔で答えた「いや、ふつうに無理だから」』とあっけなくノックアウト。『たとえ東大に合格したってエッチしていいと思えるほどにも大和のこと、好きじゃないし』と駄目押しし、『金輪際、私を性欲の対象として見るなよ』と言い捨てて立ち去る櫻井マキ。『C判定止まりの大学合格に向けた闘志を新たに燃やし始めた』大和は数ヶ月後『郵便屋さんが大和君の家のポスト』に投函した『合格通知』を受け取ります。そして『大急ぎで櫻井マキの家を訪ねて交際を迫り、今度はローファーの踵で蹴られんばかりの勢いで拒絶されたことは言うまでもない』というオチ。やむなく家に帰った大和は母親と東京での住まいについて話します。下宿を勧める母に『下宿なんて、俺、嫌だよ。門限とか色々と面倒臭そうだし』と渋る大和。『大丈夫。朝夕食付きの上に、うるさい規則は一切なし。お風呂は共同だけど、トイレは各部屋についてる』と母親が目星をつけた物件の説明を受ける大和は『ボロいアパートでいいからやっぱり一人暮らしのほうが』と粘ります。それに対し『あんた、どうせろくに勉強もせずに女の子連れ込む計画でしょう。そんな下心丸出しに…』と上手を行く母親に一言も反論できない大和。『アパートの下見すら一度もすることができないまま』、『荷物は上京二日前に東京へと送られ』ます。そして『品川駅へ着くと、あまりの混雑ぶりにめまいがした』という大都市・東京へとやってきた大和。『ようやく乗り換えた電車が江古田駅に到着したとき、彼は世界一周の旅を終えたような気持ちだった』と『人通りの多い商店街』を歩きます。『ようやく目的のアパートを見つけた』大和の目の前に建つ『由緒正しい木造二階建てのアパート』。『ブロック塀に、「真綿荘」という表札が出て』います。『ほっとしたのもつかの間、大和君の中で急激に緊張がこみ上げてきた』という瞬間。『あれ、お客さんですか?誰にご用ですか?』と『チェックのプリーツスカートを穿いた女子高生』に声をかけられると『直立不動のまま、絶句』する大和。『とっさに三つの選択肢が浮かんだ。”大家さんを呼んできてください”、”名前を教えてください”、”今、彼氏はー”』という大和の頭の中。しかし『男と付き合ったことありますか?』と『童貞の大和君は、第四の選択肢を導き出してしまった』という情けない展開。それに『ありません』と『彼がひるむほどの即答』をした女子高生。そんなズッコケな第一歩ながらも、大和の『真綿荘』での下宿生活がスタートしました。
6つの短編から構成されるこの作品。視点が短編毎に切り替わりながら展開していく連作短編の形式をとっています。そして、この切り替えに島本さんならではの一工夫が入ります。それは最初の〈青少年のための手引き〉の記述から登場する『大和君』という表現の仕方です。『大和君は思った』、『大和君は、一歩、前へと踏み出した』、そして『一夜をともにするということを、大和君はまだ知らない』といった感じで何か大和君を主人公にしたドラマのナレーションの語りかのようなその表現。一方で他の登場人物の視点になると『「それでも椿ちゃんが好きだったから、一緒に暮らすことにしたの?」その問いに、私はゆっくりと目を閉じた』というように、その人物に第一人称が普通に移動します。主に6人の人物が登場するこの作品にあって、冒頭から最後まで登場し続けるのは大和葉介のみです。それにも関わらず彼だけがふわっと第三者的に描写される不思議感。そして、そんな独特な描き方は後述する様にこの作品から受ける印象にも大きく影響を与えていきます。
『古い木造の二階建てアパート』を舞台にした作品というと、私の場合、辻村深月さんの「スロウハイツの神様」や三浦しをんさんの「木暮荘物語」が思い浮かびます。いずれも私の頭の中に深く刻まれた”トキワ荘”の雰囲気感の土台の上に独自の世界観を展開する物語です。恐らく辻村さんも、三浦さんも”トキワ荘”の呪縛からは逃れられないのだと思いますし、読者の期待を考えるとそうなるのだとも思います。そんな私がこの作品の一編目で驚いたのは、えっ?これ、島本さんの作品なの?という少しはっちゃけた世界でした。前述した大和と櫻井マキとのシーンもそうですし、『真綿荘』に到着直後の八重子とのすっとぼけた会話なども意外感が満載です。しかし、この感じで最後まで突っ走るのかと思ったら、二編目の〈清潔な視線〉になって一気に島本さんのいつもの感じが戻ってきます。そもそもこの短編のタイトルからして何か嫌な引っ掛かりを感じますが、さらに『愛されなくてもいい。でも、なんらかの形で必要とはされたい。体は死んでいても、淋しさを感じる心の機能はまだ生きているから』とか『それは自分の手首を切り続ける人と、ほとんど行為の本質は同じだった。もっと、絶望しなきゃ。もっと頭を冷やさなきゃ。凍り付いて感情が動かなくなるくらいに』と書かれると、これはもう島本さんの重厚な作品世界にどっぷりと浸かるしかなくなります。それは、男嫌いで女子高生と付き合う椿や内縁の夫と一つ屋根の下で暮らしているはずが何か訳ありな大家の綿貫といった、『真綿荘』に暮らす訳ありな人々を設定した以上避けられないものだとも思います。そんな彼らに共通するのは、『過去と現在と未来のように、別物のふりをして、実は一瞬の中にすべてある』という考え方からくる衝動が引き起こすものでもあります。しかし、不思議なのはそんな重厚な作品世界が展開するはずが、作品から受ける印象は最後まで重厚になりきらない点です。島本さんの作品から受ける、ただひたすらに重苦しい世界、それが作品全体を覆いきらず、どこかしらはっちゃけた雰囲気がずっと残った印象を受けるのがこの作品。それが大和の描かれ方だと思いました。前述したように、大和だけが、視点が切り替わってもそれは大和を見る第三者視点での描かれ方であって、大和自身の中に深い闇があったとしてもそれが第一人称として描かれることはありません。『大和君の正直さや無邪気さにはひかれるんです。人のことを素直に誉められるところにも。大和君はすごくニュートラルな人ですよね』と鯨ちゃんが語る大和の印象は読者がこの作品から受ける大和の印象と寸分違わないものだと思います。そして、島本さんはこの作品では『二つの物語が絡み合っています』と語ります。その一つが『純朴にして超鈍感な青年、大和君を中心とした青春物語』というこの作品の”光”の世界、そこに島本さんらしいドロドロとした”闇”の世界が絶妙に絡み合って展開していくのがこの作品なのだと思いました。そんな”光”と”闇”は、”光”を感じる文庫本に対して、”闇”を感じる単行本というように表紙のデザインの極端な違いにも感じられるものでもあります。そんな”光”と”闇”という相反する側面を合わせ持ったのがこの作品の一番の魅力。とても上手く構成された作品だと思いました。
『大学に入ったら絶対に一年以内に可愛くて普通の彼女をつくるのだ、と心に誓った』大和。一方で『愛されなくてもいい。でも、なんらかの形で必要とはされたい』と願う椿。一つ同じ屋根の下に暮らしていても、それぞれが抱く異性の捉え方、他者の感じ方、そして人間関係に対する考え方は当然異なります。そんな色んな人達が集う『真綿荘』を舞台にした物語は、住人たち一人ひとりの顔が目に浮かぶような人の生活の息吹が感じられる物語でした。
「真綿荘の住人たち」、それは『古い木造の二階建てアパート』を舞台にした印象的な物語の一つとして私の中に強く刻まれた、そんな作品でした。
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一見、爽やかな日常を送ってるように見える住人達。でも彼らの心の中はいつも誰かを想って、悩んで…。平然と振る舞いながらも、それぞれ秘密を抱えている。島本さんの本はやっぱり人間らしくて、情景も素敵でした。でも、養子縁組が何回考え直しても謎。
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東京・江古田にある下宿、真綿荘に住む5人それぞれの恋の物語。
性格の悪い美人に振り回される大和くん。彼に片想いをするも、大学の先輩に告白されて揺れる鯨ちゃん。
とある過去から男嫌いになり、今は女子高生の八重子と付き合っている椿。
真綿荘の大家で小説家の綿貫さんは、「内縁の夫」と呼ぶ画家の晴雨さんと離れられずにいる。
“普通の恋”なんていうものは無いのだと思う。この小説に出てくる人たちの恋も、みんな変だし、きっかけも普通じゃなかったりするし、理解に苦しむ恋もある。
普通じゃないのが当たり前なのだ。なんて、パラドックスに陥りそうだけど(笑)、実際そうなのだと思う。
とくに大家の綿貫さんと晴雨さんの関係は、すぐに理解しろと言われてもとても難しい。
それぞれの恋がひとつの短編になって進んでいく短編集で、何となく謎を残しつつ、最終章ですべての謎が明かされる。
みんなそれぞれコンプレックスを抱えているから自信がないところもあって、その欠けた部分が愛おしく思えた。
とくに鯨ちゃんが好き。なぜか安心できて悩みを打ち明けてしまう彼女のような人っている、と思った。コンプレックスが強いからこそ、他人のこともめったに否定しない人。
ちなみに表紙はこの写真のものではなくて、2015年夏の青春フェアのスペシャルカバーのものを購入。他のも可愛らしいのばかりだった。
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三浦しをんさんが紹介してたんだー。本屋さんで待ち合わせ読んだのに覚えてなかったや。再読したいなー
島本理生さんは個人的に当たり外れが激しくて。どれもいい作品なんだけど、読後によかった!って思えるものとドロドロしたものが残るものがあって。これははじめドロドロの方かなーと思ったんだけど読み終わってみたらそうでもなかった。いろいろ経験したからかな?
無数の わたし がでてくる話。下宿の住人のひとりひとりが自分であって自分じゃない
いくつでもひとは考えて行きているし、いくつになっても中身はそんなに変わらない。違うのは経験だけで、意味のない経験はなくて、ひとつひとつの経験が個人を、個性を、作ってる。
下宿やりたいなー。
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三浦しをんの「本屋さんで待ちあわせ」で紹介されていた本。この本は誰目線で読むかでも感想が違ってくるし、甘さと切なさと狂喜、苦しみなどいろんな視点で読める本。軽くて重たい本だった。
残念なのは、大分の地名がでて(^o^)と思ったのに、関東からくるのに博多経由で来ると書いてたり、快速で別府入りなんてあり得ないこと!!地元民としては残念感強い…
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北海道から上京してきた大学生の大和君。
彼の下宿先「真綿荘」に住まう人々のお話。
真っ直ぐに育ってきた大和くんに、大昔の自分を重ねて、恥ずかしく痛々しい気持ちになった。
ビッグサイズの鯨ちゃんの、素晴らしい女性らしさとモテモテ具合に、気分が上がる。
椿さんと八重子ちゃんに幸あれ!
そして、大家の綿貫さんと晴雨さんの謎の関係。その決着のつき方が「養子縁組」とは。
うん、面白かった。
恋愛ものでも、この位、グログロしてる方が好きなのかもしれない。
最終的に少し大人になった大和くんと、荒野先輩と付き合いだした鯨ちゃんにホッとした。
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登場人物のそれぞれが抱える未熟さや歪みを鮮やかに描いていて気に入った。「鮮やかに」ってのは、色を使った描写が多いというそのまんまの意味もあるけれど、詳細な描写が多い。時にはラノベのように描写が諄く感じることもあるけれども。
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珍しく誰にも共感することができなくて、入り込むのに時間がかかった。
誰が何を幸せと思うかなんて人それぞれ、そうわかっているはずなのに、自分の考える幸せを押し付けて期待してしまう。
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真綿荘という下宿の住人たちの恋愛模様のお話。
北海道の大地でぬくぬくと見守られて育った裏表なさすぎて人を怒らせる大和君が上京してきて始まる物語。
各々の住人の過去が明かされていく中、うっすらうっすら関係が明かされる綿貫さんと晴雨さん。
晴雨さんの屈折した愛情と、手が伸ばせなかった綿貫さんの想いが繋がって良かった。
一押しは鯨ちゃんと荒野先輩。
ふたりは末永く幸せになってほしい。
あと大和君の成長っぷりも良い。そのままいい男になってくれ。
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下宿『真綿荘』に住まう人々。
下宿を営む小説家の綿貫さん。
綿貫さんの内縁の夫で画家の晴雨さん。
大学進学を機に北海道から上京してきた大和くん。
大和くんに恋する鯨ちゃん。
女子高生と付き合ってるアラサー女性の椿さん。
気遣いの出来る優しい鯨ちゃんと、鯨ちゃんを好きな荒野先輩が癒しでした。
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下宿の住人それぞれが何かしら抱えている話のオムニバス。
読むのに時間かかりすぎたからか、合わなかったからか、あまり入り込めなかった。
綿貫さんと晴雨さんは、どうしてそれでつながりを求めるのかよく分からなかった。
「救ってもらうためではなく、自分で自分を救うために好きであることを続ける。」
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真綿荘に下宿した事がないのに、登場人物と知り合いのような、食事の様子や部屋の中の環境が手に取るように想像できて読んでいて楽しかった。自分の大学生当時の上京したての記憶と、話のストーリーがマッチする部分があり、懐かしい気持ちになった。他人以上家族未満の生活も悪くないなと思いました。
Posted by ブクログ
超絶に性格の悪い美女に駆け落ちを迫られる大和君、彼に片想い中だが先輩に告白されて揺れる鯨ちゃん、女子高生の恋人の一途な愛情表現に戸惑う男嫌いでクールな椿。
17年前ただ一度自分を抱いた男・晴雨(せう)を内縁の夫と呼ぶ大家小説家の綿貫さん。
一見どこにでもいそうな人々だが、1人1人の人物描写が巧みで「真綿荘」や彼らの生活を覗いている様な錯覚に陥り脳内映像と共に最後まで楽しく読めました。
Posted by ブクログ
真綿荘の住人達と言うのだから、誰!が主人公ってわけではないのかもしれないけど、やはり誰かではあって欲しかったところ。面白くなりそうでいて、さっとかわされてしまうのが意図的だとしたら脱帽なんだけど。
Posted by ブクログ
大好きな「ナラタージュ」には遠く及ばなかったけど、一つの下宿に住む住人達それぞれのストーリーで悪くはない。
でも、つい胸を締め付けるような切なさを島本さんには期待してしまうので、その期待には今一つ答えてくれなかったかな。
Posted by ブクログ
「救ってもらうためではなく、自分を自分で救うために好きであることを続ける。そういう恋があってもいいと思うのは、いま自分がここにいてもいいと思うのと同じ…」と「女子は口に出したりすることよりも、空白の方が百万倍重要…」そんな言葉が残った。でも最後の章は私には何となく理解できなくて複雑な気持ちに…
Posted by ブクログ
題名、表紙の絵、冒頭の大和くんの話・・・から受ける印象は、とっても楽し気なものなのに、それとはちょっと違った内容だった。
大和くんは好感が持てて好きだったけど、綿貫さんと晴雨さんの過去は理解しがたくて興ざめした。
Posted by ブクログ
設定があまりにも島本さんらしくなくて驚いたけど読み進めれば進むほど、ああやっぱり島本さんだと思った。
島本さんにしては登場人物が多い話だし、最初の方は登場人物が複数学生で進んでいくから、わりとさわやかっぽく読めなくはないけど、どんどんどんどん人間の深いところに引きずり込まれていって最終的に綿貫さんの話に収束していく感じは、やっぱり一筋縄にさらっと終われなくて何かもにゃっとしつつもいろいろと考えてしまった。
誰のはなししてるんだろうなあと思った次の真綿荘の恋人で、最初に綿貫さんのフルネームが明かされる流れは、やられたなあと思った。
鯨ちゃんは最初から最後まで唯一の救いでいてくれてありがとうの気持ち。島本さんらしくないとはいえ、タイトルや設定から考える中でいちばん妥当にきもちよく読めたので、鯨ちゃんまわりのおはなしがいちばんすきでした。
Posted by ブクログ
綿貫さんのことを、わかるような気もするし理解不能な気もする。しかし、晴雨のことはわかる。
この不思議な男女の繋がりは、物語の最後に予想もしなかったところへ昇華した。
タイトルからは本当に読めない内容の本だったが、どんどんのめりこんでいったなあ…。
複数の下宿人たちの目線で、互いのことが明らかにされていくごとに、物語はあっけらかんとした明るさを少しずつ失い、救いようのない暗さに沈んでいく。
人の思いは…本当に人それぞれだ。他人のことを理解しようなんて、金輪際思わないでおこう…そんな気持ちになっていた。
読後感なかなかに微妙。