島本理生のレビュー一覧
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その世界に入れてくれない小説に出会うことが時々ある。うっとりしてしまう文章のはずなのに私を撥ねつけてくる。それはまるで美しい世界を分厚い水晶の中に閉じ込めてしまったかのようだ。その世界と交わりたくても透き通る水晶が邪魔で触れることさえ叶わない。ただただ眺めることしかできない。
そんな小説が『憐憫』だった。そこには孤独にもがく一人の女性がいた。彼女の辛さは頭ではわかるのに、でも、彼女は私を押し退けていく。
どうして。
私がいけないの。
あなたがいけないの。
手に入りそうで入らない時が一番もどかしくなるのと同じで、彼女を理解できそうでできない自分に苛立ちが募る。彼女から立ち上る冷的な美しさが、本を捲る私の指先から順に凍らせてゆく。
あなたは私に一生消えない息苦しさを植え付けた。これから私は街灯に投げ出される自分の影を見るたびに同じような気持ちになるのだろう。
そうしてその度に憐憫を感じずにはいられない。 -
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読みやすい
とても綺麗にみせた不倫の話、と思ってしまう私は。不倫は不倫!言いたいことはそこでは無いのでしょうが。
でも実際、そういうような事をする人達からみる景色は、こんな感じで少しだけ美しくうつってるのかな〜
実際はありふれた不貞行為です!でもそれが必要だったのでしょう、皆さんには
彼が分かっているということを私は分かっていて、それも彼は分かってる
↑めっちゃ分かるかも〜良い!
皆それぞれどこかしらに向かって演じてるのかも
物語において読者は親友ポジ←あまり共感出来ず!!私は主人公と重ねてしまうから!
あと最近の話ちょっとずつフェミ系の要素入ってて心苦しくなってしまう泣
私の読む数少ない本の選択がそうなだけかもしれないけど -
Posted by ブクログ
一撃のお姫様、というタイトルと裏表紙の抜粋から、全編ドロドロの歌舞伎町ホスト小説だと思って手に取った一冊。
読んでいくと、短編小説集で、最初は正直がっかりした。
けれども読み進めるうちに、今の自分にはないけれど、少し昔の自分にも覚えがあるような、少しヒリつくような懐かしさを感じた。
描かれているのは、男女の、恋愛というには少し足りない、曖昧よりも、もう少し深い関係。
そんな関係で傷ついたり悩んだりするのはやっぱり女性なんだよなと思いつつ、最終的にはそれを踏み越えて前を向く姿にほっと胸を撫で下ろした。
それぞれの主人公たちの気持ちに、昔感じた感覚を重ねながら、読み終わるころには主人公たちと同様、自然と前を向けそうな気がした。 -
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⭐️3.8
停止する春
一歩間違えると、主人公とおなじように、踏み外して深みに落ちていってしまいそうな感覚にヒヤリとする
God breath you
若さと歳を重ねることの差異を、淡々と定義し、恋愛は、その差を埋められないものと大人の判断をした主人公が、ラストに恋は割り切れないものと受け入れる姿に清々しさを感じる
陰を背負ったヒロインの設定と毎回そんな素敵な男性と出会えるんかいなという設定は島本理生ならでは。中年に差し掛かった女性たちのどこかモヤモヤした気持ちを的確に掬い取りつつ、世界観に没入させる作風が相変わらず好きだし、この人の短編〜中編も、長編よりもドラマチックな甘やかさが程よい感じでよいと思いました。 -
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【目次】
Better late than never(島本理生)
肉体が観た奇跡(村田沙耶香)
「妊娠」と過ごしてきた(藤野可織)
身体に関する宣言(西加奈子)
汚してみたくて仕方なかった(鈴木涼美)
胸を突き刺すピンクのクローン(金原ひとみ)
私は小さくない(千早茜)
てんでばらばら(朝吹真理子)
両乳房を露出したまま過ごす(エリイ)
敵としての身体(能町みね子)
愛おしき痛み(李琴峰)
肉体の尊厳(山下紘加)
ゲームプレーヤー、かく語りき(鳥飼茜)
私と私の身体のだいたい五十年(柴崎友香)
トイレとハムレット(宇佐美りん)
捨てる部分がない(藤原麻里菜)
私の三分の一なる軛(児玉雨子) -
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何だかとても気になるタイトルで購入したけれども、ずっと積読していてようやく読もうと思った14作目の島本 理生作品。
島本 理生作品にしては珍しく、クズな男性キャラクター(父親は例外です❗️)が登場しないので、思っていた以上にテンポ良くサクサクと読むことができました。お互いに大きく傷つきたくないと、腫れ物に触る様な付き合いをしている春と亜紀君の関係に、少しヒヤヒヤして読んでいましたが、島本作品の中でも決して悪くない読後感です。
一番好きなキャラクターは、作家の吉沢 樹先生です❗️彼の春に対する冷静な観察と対応が、亜紀君との不穏な空気の繋ぎ止めの様に思えて、安心して見ていられます。
あとがきにて、文庫版で春と亜紀君のラストを改稿してあるのを知りましたが、単行本のラストを読んでいないのではっきりとは言えませんが、個人的に改稿は正解だと感じました。
また本書を読んで、宮沢 賢治の『銀河鉄道の夜』と村上 春樹の『ノルウェイの森』を再読したくなりました❗️
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「汚してみたくて仕方なかった」鈴木涼美
売春が無くならないのは、男側の問題の方が大きいけど、自分に値打ちが付くことに依存する女側の問題もあるのかもしれないと思った。女は性処理として利用されてきた時代が長く続いたせいもあり、完全に無くすことは難しいのだと悟った。
「トイレとハムレット」宇佐見りん
面白かった、、!確かに腹痛と苦悩のポーズは似ている。舞台が好きな理由として「シンプルだから」っていうのはすごく腑に落ちた。たった一つの物語、感情を演じているだけだもんな。現実の方が感情ごちゃ混ぜで騒がしいもの。
「私の三分の一なる軛」児玉雨子
生物は毎日ちょっと死んでおかないと生きられないって興味深い。睡眠を取ること=意識を手放すことが「生」繋がるのだとしたら、なんか「死」も生の延長のような気がして、恐怖心が払拭できる気がする。
自分は随分と「身体」というものに向き合っていなかったのだと思ったのと同時に、向き合わなかったという事はそれだけ健康であり、真っ当な人生を歩んでこられたという事なのかもしれないと思うと、親や環境に感謝した。でも1番大事な事は、何も深く考えず、ただ「人間」という生物として生きていく事だけを考えることかもしれない。 -
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身体や性についてのエッセイ集。この中で柴崎友香さんが呈示していた疑問「なぜ書き手の性別を限っているのか」、私もこれと同じことを思った。もう、このフェーズは終わっていないか。いま、同じテーマで、男性やその他の性の人の語ることも聞きたいし、それらが同じひとつの場所に並べられているところを見たい。
どのエッセイもそれぞれ興味深かったし、色んな方向に心動かされたが、上記の意味で、柴崎さんが「このような疑問を私が持っていることを編集者と共有できたので、書くと返答した」という経緯を書いてくれていたことが、いちばん嬉しかった。もちろん、疑問の詳細は私が書いたこととは違ったけれど。