島本理生のレビュー一覧

  • 憐憫

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     その世界に入れてくれない小説に出会うことが時々ある。うっとりしてしまう文章のはずなのに私を撥ねつけてくる。それはまるで美しい世界を分厚い水晶の中に閉じ込めてしまったかのようだ。その世界と交わりたくても透き通る水晶が邪魔で触れることさえ叶わない。ただただ眺めることしかできない。
     そんな小説が『憐憫』だった。そこには孤独にもがく一人の女性がいた。彼女の辛さは頭ではわかるのに、でも、彼女は私を押し退けていく。
     どうして。
     私がいけないの。
     あなたがいけないの。
     手に入りそうで入らない時が一番もどかしくなるのと同じで、彼女を理解できそうでできない自分に苛立ちが募る。彼女から立ち上る冷的な美しさが、本を捲る私の指先から順に凍らせてゆく。
     あなたは私に一生消えない息苦しさを植え付けた。これから私は街灯に投げ出される自分の影を見るたびに同じような気持ちになるのだろう。
     そうしてその度に憐憫を感じずにはいられない。

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    2026年01月09日
  • 私の身体を生きる

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    藤原麻里菜さんのが印象的だった。
    知らずに読んでいたけど藤原麻里菜さんって、無駄づくりの彼女だったのか!
    それに気づいてからより面白く読めたし、女とか関係なしに能力を認められたい気持ちは、理系入試女子枠アンチのわたしの気持ちを代弁してくれた。
    男性に女としてのフィルターを通して見られたくない気持ちでありながら、女である自分(の身体)が好きだというまとめ方も好きだった。

    痴漢被害にあった人が多く驚いた。私は痴漢にあったことはない。こんな言い方だめなんだけど、共感、理解のために痴漢の経験があればよかったなとか思った。

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    2026年01月14日
  • 憐憫

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    読みやすい

    とても綺麗にみせた不倫の話、と思ってしまう私は。不倫は不倫!言いたいことはそこでは無いのでしょうが。
    でも実際、そういうような事をする人達からみる景色は、こんな感じで少しだけ美しくうつってるのかな〜
    実際はありふれた不貞行為です!でもそれが必要だったのでしょう、皆さんには

    彼が分かっているということを私は分かっていて、それも彼は分かってる
    ↑めっちゃ分かるかも〜良い!

    皆それぞれどこかしらに向かって演じてるのかも

    物語において読者は親友ポジ←あまり共感出来ず!!私は主人公と重ねてしまうから!

    あと最近の話ちょっとずつフェミ系の要素入ってて心苦しくなってしまう泣
    私の読む数少ない本の選択がそうなだけかもしれないけど

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    2026年01月08日
  • 一撃のお姫さま

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    一撃のお姫様、というタイトルと裏表紙の抜粋から、全編ドロドロの歌舞伎町ホスト小説だと思って手に取った一冊。
    読んでいくと、短編小説集で、最初は正直がっかりした。

    けれども読み進めるうちに、今の自分にはないけれど、少し昔の自分にも覚えがあるような、少しヒリつくような懐かしさを感じた。

    描かれているのは、男女の、恋愛というには少し足りない、曖昧よりも、もう少し深い関係。
    そんな関係で傷ついたり悩んだりするのはやっぱり女性なんだよなと思いつつ、最終的にはそれを踏み越えて前を向く姿にほっと胸を撫で下ろした。

    それぞれの主人公たちの気持ちに、昔感じた感覚を重ねながら、読み終わるころには主人公たちと同様、自然と前を向けそうな気がした。

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    2026年01月04日
  • 一撃のお姫さま

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    ⭐️3.8

    停止する春
    一歩間違えると、主人公とおなじように、踏み外して深みに落ちていってしまいそうな感覚にヒヤリとする
    God breath you
    若さと歳を重ねることの差異を、淡々と定義し、恋愛は、その差を埋められないものと大人の判断をした主人公が、ラストに恋は割り切れないものと受け入れる姿に清々しさを感じる
    陰を背負ったヒロインの設定と毎回そんな素敵な男性と出会えるんかいなという設定は島本理生ならでは。中年に差し掛かった女性たちのどこかモヤモヤした気持ちを的確に掬い取りつつ、世界観に没入させる作風が相変わらず好きだし、この人の短編〜中編も、長編よりもドラマチックな甘やかさが程よい感じでよいと思いました。

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    2026年01月01日
  • ナラタージュ

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    ネタバレ

    葉山先生は疎遠になっている奥さんへの気持ちが捨てきれておらず、これが報われない恋だと分かっていてもなお、葉山先生への気持ちを抑えきれない泉の切なさが辛いです。小野君と付き合ってみてもやっぱり葉山先生のことを忘れられず小野君に別れを切り出すシーンでは、泉に対して報われない想いを持っている小野君と、葉山先生に対して報われない想いを持っている泉の姿が重なって見えました。愛しているのに報われない愛だったからこそ、泉にとって忘れられない恋の相手になったのだと思います。

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    2025年12月22日
  • いつか、アジアの街角で

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    台湾旅行のお供に読みました。飛行機などの移動中に読むのがちょうどいいボリューム。台湾や香港の食べ物や文化にまつわる短編集。探偵事務所の話が好きでした

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    2025年12月21日
  • 憐憫

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    ★3.5

    とてつもない展開になるのか。
    重大な秘密が隠されているのか。
    解説の一文にあったように「一番近くで成り行きを見守っている」気持ちでした。

    本編に加え、もう一編の短編にキーマン登場。
    読み終えた瞬間、息が止まってたことに気付きました。

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    2025年12月16日
  • 明日町こんぺいとう商店街3 招きうさぎと七軒の物語【電子限定特典付】

    購入済み

    いろんな作品たちによって構成されるこんぺいとう商店街シリーズ第3弾。重めの話もあったが、バリエーション豊かで楽しめた。

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    2025年12月13日
  • 憐憫

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    この人の書く恋愛小説が好きだったなとふと思い出し手に取る。

    自分の事を分かってくれている人がいる、
    そういう関係は時に人を強くする。
    終わりがうっすらと見えているからより強くなるのかな。
    夫婦の中でそれが出来れば良いのだろうけど、生活を共に回す間柄だとそれが難しい事もあるんだろうな。

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    2025年12月13日
  • 夏の裁断

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    恋愛って人それぞれたなと思いました。本作に登場する嫌な人だけど、惹かれる(そう仕向けられている?)人、こういう人はいると思いますが、自分なら好きにならない。主人公は過去の体験から、このような人物に狙われて、捕らわれしまうのかなと思いました。
    主人公には頼りになる方がいて、話を聞いてもらい、最後には過去の体験から脱却するべく動いている点がよかったです。

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    2025年12月08日
  • 私の身体を生きる

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    【目次】

    Better late than never(島本理生)

    肉体が観た奇跡(村田沙耶香)

    「妊娠」と過ごしてきた(藤野可織)

    身体に関する宣言(西加奈子)

    汚してみたくて仕方なかった(鈴木涼美)

    胸を突き刺すピンクのクローン(金原ひとみ)

    私は小さくない(千早茜)

    てんでばらばら(朝吹真理子)

    両乳房を露出したまま過ごす(エリイ)

    敵としての身体(能町みね子)

    愛おしき痛み(李琴峰)

    肉体の尊厳(山下紘加)

    ゲームプレーヤー、かく語りき(鳥飼茜)

    私と私の身体のだいたい五十年(柴崎友香)

    トイレとハムレット(宇佐美りん)

    捨てる部分がない(藤原麻里菜)

    私の三分の一なる軛(児玉雨子)

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    2025年12月07日
  • シルエット

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    群像新人文学賞優秀作の表題作を含む、3編の恋愛短編集。

    個人的に島本 理生さんは、女性作家の中でとても綺麗な文章で情景を描く方だなぁと思っています❗️

    収録された3編は15、16、17歳の時に創作された作品らしく、とても十代の方が書いたとは思えない、非常に完成度の高い作品だと感じました

    恋愛小説で再読したいと思う作品は少ないのですが、この作品は再読したいと思う数少ない一冊です❗️

    好きな話しは、表題作の『シルエット』で、冠くん、せっちゃん、はじめそれぞれの思いを見事に描いていると思います❗️

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    2025年12月06日
  • 夏の裁断

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    芥川賞候補作で表題作の『夏の裁断』に、三編の書き下ろしを収録した、文庫オリジナル。

    正直柴田のような男性には嫌悪感しかなくて、表題作を読み進めるのはとても苦痛でした❗️しかし、『秋の通り雨』以降、千紘が少しずつではあるけれども、前向きに進もうとしている姿に共感して、最後は温かい気持ちで読み終えることができました❗️

    『夏の裁断』のみの話しであったなら、不快感しか残らない作品になっていたと思いますが、後日談の三編を加えることで物語に深みを感じることができました。またまた好きな島本作品を見つけてしまいました❗️

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    2025年12月04日
  • 星のように離れて雨のように散った

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    何だかとても気になるタイトルで購入したけれども、ずっと積読していてようやく読もうと思った14作目の島本 理生作品。

    島本 理生作品にしては珍しく、クズな男性キャラクター(父親は例外です❗️)が登場しないので、思っていた以上にテンポ良くサクサクと読むことができました。お互いに大きく傷つきたくないと、腫れ物に触る様な付き合いをしている春と亜紀君の関係に、少しヒヤヒヤして読んでいましたが、島本作品の中でも決して悪くない読後感です。

    一番好きなキャラクターは、作家の吉沢 樹先生です❗️彼の春に対する冷静な観察と対応が、亜紀君との不穏な空気の繋ぎ止めの様に思えて、安心して見ていられます。

    あとがきにて、文庫版で春と亜紀君のラストを改稿してあるのを知りましたが、単行本のラストを読んでいないのではっきりとは言えませんが、個人的に改稿は正解だと感じました。

    また本書を読んで、宮沢 賢治の『銀河鉄道の夜』と村上 春樹の『ノルウェイの森』を再読したくなりました❗️

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    2025年12月02日
  • 私の身体を生きる

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    「汚してみたくて仕方なかった」鈴木涼美
    売春が無くならないのは、男側の問題の方が大きいけど、自分に値打ちが付くことに依存する女側の問題もあるのかもしれないと思った。女は性処理として利用されてきた時代が長く続いたせいもあり、完全に無くすことは難しいのだと悟った。

    「トイレとハムレット」宇佐見りん
    面白かった、、!確かに腹痛と苦悩のポーズは似ている。舞台が好きな理由として「シンプルだから」っていうのはすごく腑に落ちた。たった一つの物語、感情を演じているだけだもんな。現実の方が感情ごちゃ混ぜで騒がしいもの。

    「私の三分の一なる軛」児玉雨子
    生物は毎日ちょっと死んでおかないと生きられないって興味深い。睡眠を取ること=意識を手放すことが「生」繋がるのだとしたら、なんか「死」も生の延長のような気がして、恐怖心が払拭できる気がする。


    自分は随分と「身体」というものに向き合っていなかったのだと思ったのと同時に、向き合わなかったという事はそれだけ健康であり、真っ当な人生を歩んでこられたという事なのかもしれないと思うと、親や環境に感謝した。でも1番大事な事は、何も深く考えず、ただ「人間」という生物として生きていく事だけを考えることかもしれない。

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    2025年11月22日
  • ご本、出しときますね?

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    村田沙耶香さんのインタビューを読み漁っていたところこの番組を知り、当方リトルトゥースでもあるので是非観てみたいと思い、映像を探していたら書籍化されてるとの事で読みました。
    若林さんと仲の良い西加奈子さんや朝井リョウさんのインタビューも載っていてとても面白かったです。

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    2025年11月09日
  • イノセント

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    ネタバレ

    結局三角関係の勝者になれるのは心の支えになってくれる男じゃなくて、 世俗の幸せを保証してくれる男なのね。
    子どもたちと三人で生きる決断をしてほしかった。
    真田が二度と比紗也を傷つけないことを祈るしかないけど。
    散々 精神的 宗教的な話をして 結局そのハッピーエンドなんだなと感じた。
    身体の交わりがなくても異性の信頼を得ることことはできる、でも交わって子どもを設けることの前には無力ってこと?
    どんな思いで如月が真田を比紗也のもとに送り出したか考えると苦しくなる。

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    2025年11月08日
  • Red

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    ネタバレ

    映画見てから小説読んだ

    官能的でとても濃厚でした
    映画では2人が美しくて圧巻されたが
    小説ではもっと深く塔子がはまっていく姿が
    印象的で魅力的だった

    女として生きるのか親として生きるのか
    葛藤していたが私は子供のことを思って
    戻ってきてーって思った

    夫のことばかり強く言うのは
    少し違うかなと思った
    性に関して自分の本音を言うのは
    恥ずかしいしむずかしい
    分かってもらえるのはもっとむずかしい
    けどコミュニケーションって大事だなって
    思った

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    2025年11月03日
  • 私の身体を生きる

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     身体や性についてのエッセイ集。この中で柴崎友香さんが呈示していた疑問「なぜ書き手の性別を限っているのか」、私もこれと同じことを思った。もう、このフェーズは終わっていないか。いま、同じテーマで、男性やその他の性の人の語ることも聞きたいし、それらが同じひとつの場所に並べられているところを見たい。
     どのエッセイもそれぞれ興味深かったし、色んな方向に心動かされたが、上記の意味で、柴崎さんが「このような疑問を私が持っていることを編集者と共有できたので、書くと返答した」という経緯を書いてくれていたことが、いちばん嬉しかった。もちろん、疑問の詳細は私が書いたこととは違ったけれど。

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    2025年11月02日