感情タグBEST3
Posted by ブクログ 2023年02月13日
やっぱり島本理生の巧みな描写を読むのが好きだ。主人公の着目する心情のセンスが好き。すごく心地よい。
思春期って孤独で誰かに触れてほしいけど、周りのみんなはみんなで大変そうで、頼ることが難しい。だからこそ新しい存在として“恋人”というところに行こうとするのかな。自分の思春期の頃の気持ちをなぞられた気が...続きを読むした。
冠くんが気づくように勇気を持って触れて、近づいて、包み込む、そんなことができればもっともっと思春期の子供たちも、少し遅れた思春期に悩む大人も救われるのにな。コロナになってそれは難しくなって、きっと孤独をさらに感じる人は多いだろうな、と思った。
Posted by ブクログ 2022年01月05日
『10代作品とは思えないこの情景描写、必読です!』
「ヨル」15歳、「植物たちの呼吸」16歳、「シルエット」17歳執筆の短篇集。10代の思い通りにいかない恋愛のもどかしさが瑞々しく繊細に描かれる。15歳で【水みたいな女】なんて表現、すでに才能が滲み出てる…すごい!
Posted by ブクログ 2024年03月21日
透明感があって、静かで、そして切ない感じがする3つの短編。
それぞれ15才、16才、17才の時に書かれたものだそう。
作品の中に、ブラッドベリ、宮沢賢治、ヴォネガット、カポーティ、といずれも短編の名手の作品が書かれているのも興味深い。
Posted by ブクログ 2023年02月08日
島本理生さんの作品。
本当に大好きな人。でもその人は女性に触ることに嫌悪感があり、徐々にすれ違うようになる。
のちに出会った彼の愛情に包まれて幸せなのに、昔の彼のことが心のどこかでは引っ掛かってる。
お互いに今更近づけない感じ、想いの描き方、最後の彼の様子を聞いた時の感情の動きが、嘘っぽくなくてスッ...続きを読むと入ってきた。
Posted by ブクログ 2022年03月01日
主人公の誰も報われる気がしないのはなぜ。mol-74を聴きたくなった。特に瞼。
その人の口から語られることがなければ一生その出来事は日の目を見ることができない。それが相手を自分とは異なる人だと否応なく感じさせる。その通りだと思った。
ところで17歳でこの作品を書く著者はどんな四半世紀を送ってきたの...続きを読む?単純に気になる。
Posted by ブクログ 2019年02月13日
目次
・シルエット
・植物たちの呼吸
・ヨル
表題作を読んで、やっぱり彼女の才能はずぬけていたなあと思う。
17歳の少女が書く恋愛小説で、きちんと家族を書いている。
あなたと私、二人だけの世界では、ない。
言葉で伝えるものと、体温のぬくもりが伝えるもの。
感情で気になる人と、感覚で恋うる人。
...続きを読む高校生がそこまで生々しい恋愛をするのか、という気もするが、作者が東京生まれの東京育ちということで納得。
だってこれ、東京の高校生だなあって感じがすごくするもの。
雪を見ると母に捨てられた時のことを思い出すという冠くんが長野に行くことを主人公は心配するけれど、この先の冠くんは穏やかに雪を見られるようになるんじゃないかな。
冠くんのお母さんも。
「植物たちの呼吸」は普通にショートショートとして面白かった。
どんでん返しが面白いはずのショートショートでまさかのリドルストーリー。
私は怖い結末を想像しましたが、さて…。
「ヨル」の神谷くん、脳内イメージは「セトウツミ」の内海でした。
神谷くんも何か昏いものを感じさせる存在でありながら、温かくもある。
これ、15歳で書いたのか…。
Posted by ブクログ 2019年02月11日
表題作の「シルエット」は最後らへん、泣きながら読んだ。
「そうしたら冠のやつ、どうしてあんなに簡単なことに今まで自分が気付かなかったのかって。おそろしく難しいと思ってたことはすごく簡単なことで解決したのにって。だから俺もそうだなって言ったら、冠が、母親のことだけじゃないんだって呟いたんだよ。
その...続きを読むことをもっと早くから、あの子はあんなに何度も訴えていたのに僕は理解しようとしなかった。そしてようやく理解したのに、もう理解してもしかたがないくらいに時間が流れたって。あいつは待ってたんだよ。失った時間を取り戻すためじゃなくて、ただそのことをお前に伝えようとして」
どうして、一緒にいる時に気付けないんだろうね。ようやくわかった頃には遅く、もう伝えるすべもない。切ないなあ、十代の恋。
Posted by ブクログ 2018年07月28日
【シルエット】
食べ物を美味しそうに描く作家さん大好きで。
その上 『冠くん』 って。いー名前‼︎
カンくんって、かんくんって。呼んでたり。
簡単なこと、気がつけば…
でも、難しい…スレ違い⁉︎
アタシも泣いちゃった。
高校生‼︎アタシには、眩しすぎます。
【植物たちの呼吸】
【ヨル】
短編...続きを読む集の書き出しどれもよくって。
入りやすく。読みやすい。
優しい【あとがき】も良かったぁ。
Posted by ブクログ 2023年08月28日
先日読んだアンソロジーで島本理生を知り、さっそくこの人の作品を読んでみた。代表作にナラタージュやファーストラヴがあるが、書き出しが印象的だったこの作品を選んだ。読んでいて、「あ、やっぱりこの人の文章すきだ」と何度も感じた。
あとがきに書かれている、「それでも時が経って振り返ったとき、この夜が世界の...続きを読む幸福の頂点だ、という瞬間はつたない恋の中にあったな、ということも感じるのです。」という文に胸が締め付けられた。
Posted by ブクログ 2023年02月25日
島本さんの本はそんなに読んでないけれど相性が良いのか、言葉がするすると流れていて気持ちがいい。
シルエットの最後はなんとも言えない気持ちになる。
あのときこうしていればと思っても、時間が経ち過ぎていることがほとんど。
傷つくのも傷つけるのもこわくて
もう恋から離れようとは思わないたのだろうか
...続きを読むそれでも落ちてしまうのが人の性か
Posted by ブクログ 2021年07月08日
私が読むには少し若くて気恥ずかしいな、と思ったら著者17歳の時のデビュー作なのですね。17歳でこれか、と逆に感心してしまいました。彼女のことを「あなた」と呼ぶ感じがとても素敵だな、と思いました。
Posted by ブクログ 2019年09月14日
主人公の女子高生が過去の恋人、冠くんと別れたいきさつは、同じ女としてせつない。そのあとフラ〜っと関係を持ったしょーもない男、そしてその後に出来たなかなか良さそうな恋人せっちゃん。主人公は変わりゆくものに抵抗せずいつも心が流れるままに身を任せて生きている感じがします。
Posted by ブクログ 2019年09月12日
暖かい絶望だな、と思う作品。
気持ちに寄り添って分け合いたいと思っていた主人公。
過去のトラウマから女性に触れることができない、恋人の冠くん。
大切な人に、1ミリも触れてもらえない切なさは計り知れない。それが拒絶でないとしても、誰かに縋りたくなるのはひととして自然な現象に思える。
雨がつき...続きを読むまとう作品だから、冷たく感じるかもしれないが、全員がずっと暖かい。だけど、だからこそ苦しくて絶望的なんだと思う。
Posted by ブクログ 2019年06月29日
一番印象に残ったのは最後のはじめの台詞の中での冠くんの気づきの言葉でした。
人生ってそういうことがよくあるよねと共感できたのと、その気づきはきっとその時でないと気づけなかったであろう冠くんの成長を読めたことが私は印象に残った。
主人公とその彼氏の描写も言葉には表せない感情、感覚がとても面白く書けてい...続きを読むるなぁと私は感じた。