島本理生のレビュー一覧

  • 夏の裁断

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    記録用

    自炊という行為と、過去との決別が重ねられているのかなと思った。

    彼女が前向きに歩いていけそうでよかった。

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    2021年01月18日
  • クローバー

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    『大学の購買部でパンを買おうとしていたら、目の前を、リクルートスーツ姿の女の子たちが横切った。たぶんビジョンがないからダメなんだよねー、という台詞も聞こえた。「就活の時期だなあ」』

    大学時代も後半になると、それまで主流だった恋愛の話題に代わって、友達との会話も進路の話題が増えてくると思います。えっ?あいつもう内定もらったらしいよ!彼女は大学院に進むんだって!俺、実家を継ぐことにしたよ!…と、今まで同じ時を楽しく過ごしてきた友達がそれぞれの道を選び、それぞれの道へと歩みを進めていこうとする大学時代後半。でも一方でそう簡単に道を選ぶことのできない人間もいます。XX年前の私がそうでした。進路がどん

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    2020年11月26日
  • リトル・バイ・リトル

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    何か特別なことが起こるわけではない日常。それだけ考えると、一見つまらなくも感じられますが、おそらく私も、そしてあなたもみんな、日常とはそのように特に何か起こるわけでもなく、朝が来て、夜になるその繰り返しなのだと思います。でも、そんな言わば平凡な日常の中でも日々少しずつ何かが変わっていっていることに気づきます。芽が出て、双葉が出て、茎が伸びて、やがて蕾が、そして花が咲く、一日一日の変化は少なくても、例えば身近な花だってそんな風にゆっくりと時間をかけて成長していきます。これは私たち人間だって同じことだと思います。少しづつ関係を深めていく人間関係。昨日よりも今日のほうが、そして明日になればまた、とい

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    2020年11月23日
  • イノセント

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    比紗也の辛さ、苦しさを理解してあげたい気持ちと、それでも深い闇に自ら進んでいってしまう弱さにもどかしさを感じる作品でした。
    物語中盤まで簡単に体を許してしまう比紗也と会う度に体を求める真田の関係性に、このまま二人が結ばれるラストだったら少し嫌だなと思って読んでましたが、読み終わって考えると比紗也や紡、紗雪の将来を考えると真田と一緒になるのが幸せなのだろうなとも感じました。
    自分は真田のような男にはなれないし、聖職者という立場はあるにせよ歓の想いこそが本当の愛のように感じられ歯痒さが残りましたが、歓はたまに思い出して胸がキュンと締め付けられることはあっても、きっと後悔はしないんだろうなと思いまし

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    2020年11月19日
  • あられもない祈り

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    家族に恵まれず、愛着形成がなされないまま大人になってしまった「私」。自分の手首を切り、自分を大切にしてくれない相手と付き合う。交際相手も脆いところを持ち、共依存しているような関係に。
    愛してくれなかった母親はお金の無心をしてくるし、義理の父親は意識がない状態、交際相手は盗難を繰り返す。
    そんな「私」がよりどころとした「あなた」。
    だいぶ年上で、婚約者もいる。
    それでも愛し合ってしまった...

    という内容を考えると小説としてはありそうだなーという種類のものだけど、この小説はとにかく描写がすばらしい。
    綺麗で透明な文章。ドロドロしてるのに清潔感さえ感じる。
    最初の1ページから引き込まれてしまった

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    2020年11月02日
  • クローバー

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    ネタバレ

    始めは章ごとに華子の相手の男の人が変わる感じの
    小説かと思いました。
    が、熊野さんと雪村さんという2人に出会って
    双子がどう変わっていくかという内容でした。
    私は冬治君に近い人間です。
    なので、雪村さんや華子さんが冬治君に
    投げかける言葉にグッとくるものもあった。
    淡々とした話に思えたけど、最後まで面白く
    読めました。
    冬治君が選んだ道を将来どう思うのか
    ちょっと興味があります。

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    2020年09月12日
  • あられもない祈り

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    愛しているから、相手の幸せを祈る。
    愛しているから、苦しくなる。

    自分の愛が、相手の幸せにつながればいいのに。

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    2020年09月07日
  • イノセント

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    島本さん小説の主人公の女性たちは、どうしてこうも重く辛い荷物を背負わなければならないのか。
    比紗也も、もう名前からして不幸を貼りつけられたようなものだ。2人の男たちのそれぞれ異なる愛の形が、どのように結実するか、あるいは破壊されるのか後半はサスペンスを読んでいるようだった。
    しかし、想像してたのとは違う結末でいい意味でよかった。

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    2020年08月27日
  • 真綿荘の住人たち

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    『家族とも友人とも恋人ともちがう。けれど、赤の他人とも言いきれない。ゆるやかだが濃密な関係のもと、下宿人たちは食事をし、今日も同じ屋根の下で眠りにつく。(三浦しをん「本屋さんで待ちあわせ 〈真綿荘の住人たち〉」より抜粋)』

    『下宿』と聞いてどんなイメージを思い浮かべるでしょうか?木造の古いアパート、すべてがレトロな雰囲気、そして個性豊かな住人たち。私の勝手なある意味ステレオタイプのイメージですが、こんな光景が浮かびます。恐らくそれは昭和を代表するマンガ家たちが若手時代に暮らしたという伝説の”トキワ荘”のイメージがこびりついているからかもしれません。このレビューを読んでくださっている皆さんも、

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    2020年08月25日
  • 波打ち際の蛍

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    『腕を摑むときの強すぎる力加減、寝転がっていたときに髪を踏まれた私が、痛い、と言ったら、一瞬だけ、大げさだと反論するような目をした。
    あのときから、きっと、私の小さな世界は壊れ始めていた。』

    “パートナーや恋人からの暴力に悩んでいませんか。一人で悩まずお近くの相談窓口に相談を。” 政府広報が優しく問いかけかるその言葉。DV (ドメスティック・バイオレンス)という言葉がこの国で認知されるようになって久しい昨今。直近の統計では1年間に8万件にものぼる被害が把握され、年々増加傾向にあるという深刻な事態に警鐘が鳴らされています。好きで一緒になったはずの二人、そんな二人の関係は何をきっかけに崩れ始める

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    2020年08月01日
  • あられもない祈り

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    愛情を受けずに過ごしてきたことで、自分を大事にすることができない主人公。
    ファーストラブと同じような世界観を感じた。
    島本さんの、言葉の選び方、文章の紡ぎ方が、なんとも言えない透明感を感じさせてくれる。

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    2020年07月25日
  • 波打ち際の蛍

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    過去のトラウマから弱ってしまった女性の物語。
    島本理生さんの小説は、流れるように読むことが出来て、とても心地の良い、不思議なチカラを持っているように思います。

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    2020年07月06日
  • アンダスタンド・メイビー(下)

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    ネタバレ

    思っていたよりかなり重ためな内容ではあった。
    色んなタイプの男の人が出てくるなという印象。


    彌生くんとの関係がダメになったとき
    悲しい気持ちになったけど最後はすっと落ち着く。
    お互いの真相を知ったとき心がじーんとした。

    この方の小説を初めて読んで好きだなと思ったのは、上巻でもそうだったが表現の仕方がとても好みだった。
    他の作品もぜひ読んでみたいと思った。

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    2020年06月19日
  • 生まれる森

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    島本先生は失恋系の話が本当に上手だし、心理描写がすごくぐっとくるというか、のめり込んじゃう。ずっと暗いわけじゃなくて、最後にほんの少し光が見えたのが好きでした。

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    2020年05月08日
  • 一千一秒の日々

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    ネタバレ

    円満にお別れすることになってしまった、晢と真琴。
    真琴に報われることのない想いを寄せる男嫌いの瑛子。と、その瑛子に想いを寄せる遠山くん。
    デブな針谷くんにちょっかいを出す美人な一紗。
    家庭の事情が複雑で浮気をしている永原操と付き合う長月くん。
    家庭教師をしてる加納くんと想いを寄せる教え子の姉。
    元彼の加納くんと真琴の旅行。
    瑛子が高校生のころの、石田先生とのストーリー。
    これも連作短編小説でおもしろかった。
    加納くんと真琴のストーリーが1番好きかな。
    短編集の何がデメリットかって、好きなストーリーといまいちのストーリーがどうしてもあるっていうこと。 

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    2020年05月05日
  • 真綿荘の住人たち

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    一見、爽やかな日常を送ってるように見える住人達。でも彼らの心の中はいつも誰かを想って、悩んで…。平然と振る舞いながらも、それぞれ秘密を抱えている。島本さんの本はやっぱり人間らしくて、情景も素敵でした。でも、養子縁組が何回考え直しても謎。

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    2020年04月26日
  • あられもない祈り

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    読んですぐ、自分とは違う人種の人が書いた文章だってわかる。
    どうしてこんなに話しづらそうな文章なんだろう。
    言葉は流暢なのに、外国人のカタコトみたいに、言葉の一つ一つに抵抗を感じて、不自然にみえる。

    それは「私」自身の言葉だからなんだろうな。

    苦しい、っていうレビューが目立つ。

    私はその、苦しそうなのも、人間らしくて、綺麗だなぁってずっと思ってた。
    とにかく描写する言葉が、今まで聞いたことないような配置で、でも納得させられて、愛情を表現する言葉がこんなにもあったんだって、感動した。

    恋って、すごいもんだ。
    すでにある安定を壊してでも求めたいとお互いに思える相手と溺れるような恋をすること

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    2020年03月18日
  • アンダスタンド・メイビー(上)

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    10代の頃のこういうのって小説だけの世界のようだけど、
    実際自分の近くでも同じようなことがあって、当事者ではないけど、ずっと心の奥に引っかかって無くならないものになってる。
    時間が立って多少薄れるものはあるけど、その後の人生や性格にも影響しているから、複雑な心境で読み進めたし後を引く作品になりました。

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    2020年02月17日
  • あられもない祈り

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    まるで生傷みたい。
    言葉だけなのに、苦しくて。

    何が、とか。
    誰が、なんて。
    こうなってしまうのに、理由なんてなくて。
    どこで、とか、あの時、なんて
    軌道修正されるはずもない。

    こんなに痛々しいのに、
    恋愛小説なのだ。
    恋や愛をおし抱いてる。

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    2019年06月12日
  • 生まれる森

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    ネタバレ

    どこか大好きな「ナラタージュ」を思わせるような作品で、やはりこういう関係性、女子大生、苦しさを描いている島本理生さんの作品は好きだなー!と思った。
    言葉選びもとてもきれいで、深く刺さるし、刺激される。満足。

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    2019年05月24日