島本理生のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
何だかとても気になるタイトルで購入したけれども、ずっと積読していてようやく読もうと思った14作目の島本 理生作品。
島本 理生作品にしては珍しく、クズな男性キャラクター(父親は例外です❗️)が登場しないので、思っていた以上にテンポ良くサクサクと読むことができました。お互いに大きく傷つきたくないと、腫れ物に触る様な付き合いをしている春と亜紀君の関係に、少しヒヤヒヤして読んでいましたが、島本作品の中でも決して悪くない読後感です。
一番好きなキャラクターは、作家の吉沢 樹先生です❗️彼の春に対する冷静な観察と対応が、亜紀君との不穏な空気の繋ぎ止めの様に思えて、安心して見ていられます。
あとがき -
Posted by ブクログ
ネタバレ5作の短編集。
いろんなことが積み重なってしまった女性の話から始まり、「妖艶で美しい」と思われるような名前をつけられた女性の話、キリスト教を専攻している助教授と宗教団体から逃げてきた若者の話、同居している義母が庭に張ったテントで暮らし始めた話、作曲のために1ヶ月で100万円をホストに使う話。
基本的には多くの話が女性があまり幸せとは言えないような立場に立たされてしまっているような印象が多かったので、ザ島本理生先生って印象。
一番のお気に入りはテントで暮らし始めた義母の話。自分の発達障害の部分をそうと知らず「自分だけのきらきらしたガラクタ」と思っている義母が素敵だな。それに対する葉子さんの返し -
Posted by ブクログ
性被害に遭うと、その過去を「あんなこと大したことじゃない」と思い込みたくて性に奔放になる人がいる、という話はどこかで聞いたことがある。心の傷を守るための防衛本能だと。
読んでいて、そのことを思い出した。
レイプや痴漢だけが性被害ではない。
幼い頃に受けた「気持ち悪かった」「怖かった」という漠然とした感情がトラウマとしてずっと心の中で燻り続け、その後の人格形成にも大きく関わってくる可能性があるのだということを目の当たりにさせられた。
言いたくても言えないし、
言ったところで理解してもらえないかも知れない。
理解してもらえなかったら、もっと傷は深くなる。
性被害者の多くは、ひとりで抱え込んでい -
Posted by ブクログ
「汚してみたくて仕方なかった」鈴木涼美
売春が無くならないのは、男側の問題の方が大きいけど、自分に値打ちが付くことに依存する女側の問題もあるのかもしれないと思った。女は性処理として利用されてきた時代が長く続いたせいもあり、完全に無くすことは難しいのだと悟った。
「トイレとハムレット」宇佐見りん
面白かった、、!確かに腹痛と苦悩のポーズは似ている。舞台が好きな理由として「シンプルだから」っていうのはすごく腑に落ちた。たった一つの物語、感情を演じているだけだもんな。現実の方が感情ごちゃ混ぜで騒がしいもの。
「私の三分の一なる軛」児玉雨子
生物は毎日ちょっと死んでおかないと生きられないって興味深 -
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Posted by ブクログ
身体や性についてのエッセイ集。この中で柴崎友香さんが呈示していた疑問「なぜ書き手の性別を限っているのか」、私もこれと同じことを思った。もう、このフェーズは終わっていないか。いま、同じテーマで、男性やその他の性の人の語ることも聞きたいし、それらが同じひとつの場所に並べられているところを見たい。
どのエッセイもそれぞれ興味深かったし、色んな方向に心動かされたが、上記の意味で、柴崎さんが「このような疑問を私が持っていることを編集者と共有できたので、書くと返答した」という経緯を書いてくれていたことが、いちばん嬉しかった。もちろん、疑問の詳細は私が書いたこととは違ったけれど。