島本理生のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ楽しみにしてた島本理生先生の短編集!
中でも『停止する春』と『一撃のお姫さま』が特に好きだったな。
『停止する春』は不倫男との恋愛話。
口では愛の言葉や結婚したいなど期待させるようなことを言っておきながら、必ず夜のうちには家に帰宅し、土日は連絡一つ返さないというクズっぷり。こういう言動の不一致が、女慣れしている狡い男感が出ていていけ好かなかった。
あと、主人公の女の子が別れを告げたときの、「俺を愛していないなら仕方ないよ」と悲しそうな目をしたという、あまりにも他責すぎる対応と発言も無理だった。
最初から家庭を捨てようなんて思っていなかったくせに。こちらを選ぶ気がないなら最初から始めるなよ…。
『一撃のお姫さま』は、ホストクラブのお話だったけれど、以前島本先生のトーク会で本を書くためにホストクラブに通ったりしているという話を聞いていたから、主人公を島本先生に重ねて読んでしまった。
女の子が店に通う理由が承認欲求というのはとても的を得ていると感じたし、これはホスト界だけじゃなくてアイドル業界にも言えることだなと思いながら読んでいた。
ホストとは単価こそ違うものの、新しいシングルが発売される度に何百枚ものCDを買って推しに会いに行く人を見るたびに、承認欲求も混ざっているんじゃないかと思ってしまう(100%純粋な愛の人もいると思うが)
それとホストクラブも同じなのかな~と、思っておりました。
姫は、相手にお金を注ぎ込むことで、自分の居場所や地位を確立できるし、こんな大勢のライバルのなかで私はすこし突出しているんだというような自信が生まれるようになる。
それを続けているうちに、その地位が一瞬で壊れてしまうことに怖さを覚えて更にお金を使ってしまい、他の姫より、私の方が、私の方が。というお客さん同士で競り合いがはじまる。
ホストクラブって、そういう姫の競り合いの上で成り立っているような場所な気がする。
もちろんそこには、担当が好きだから担当のためにお金を使いたいっていう気持ちも混ざっていると思うけれど。
あと、この作品は、睡のホストクラブに対する解像度が上がっていることを暗示する原作者からの手紙で終わったところがとても好きだった。
依存させることに依存した君は、どうしたらそこから抜けだせられるんだろう。
もしかしたら、姫より担当の方がこの世界を苦しく生きているのかもしれないな、と。
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Posted by ブクログ
自ら傷つきに行く主人公に待って待って〜とは思ったけど、恋愛体質なので自分がその立場になったら同じことをしてそうだと思った。
「だめだとか、間違ってるってことはないよ。ただ、あなたはグレーなものに耐えられない人だったから。きっちり線を引いたり固定しないと不安でしょう。一秒後の未来だって、本当は保証なんてない。でも、あなたにそれを教えたら、生きていけないと思ったんだよ」
これが嘘なら、真実を口にするよりも嘘をつくほうがよほどこの人にとっては芯があることだと思わせる明確さで。
鎌倉の秋の夜に、駅のベンチに腰掛けて私を待っていた彼を見たとき、これだけで永遠に生きられる気がした。それが恋だった。好きでも愛してるでも足りない。だけど恋愛は一人きりではできない。
初めて心から、幸せになりたい、と思った。
もし、なんの約束も名前もないままに、会いたい、という気持ちだけで会い続けることができたら、それは愛とか恋とかと同じくらいに美しいことかもしれないですね。 -
Posted by ブクログ
豪華な4人のアンソロジー
色んな「はじめて」を詰め合わせた素敵な作品集でした。
島本理生 私だけの所有者
はじめて人を好きになった時に読む物語。
誰かへの初恋のお話かと思いきや、アンドロイドとそれを所有する人間のお話。
辻村深月 ユーレイ
はじめて家出した時に読む物語。
学校でいじめを受けた女の子が死ぬことを意識して家出するお話。
宮部みゆき 色違いのトランプ
はじめて容疑者になった時に読む物語。
鏡のように自分と全く同じ顔の人間がいる世界があり、そのもう一つの世界で自分の娘が捕まってしまったら…?という話。
森絵都 ヒカリノタネ
はじめて告白した時に読む物語。
三度も告白して玉砕している相手に四度目の告白をして成功させるため、三度目までの失敗は全て彼の記憶から消してやろう!と、タイムトラベルするお話。
なにより凄いのは、この作品たちをモチーフにYOASOBIが楽曲を作っていてこの小説のイメージ音楽を聴けるということ。
とても素敵でウルウルしました。 -
Posted by ブクログ
恋の終わりって…
激しいイメージがあったけど
こぼれ落ちていくものなのかも…
余韻を残す終わり方が素敵でした
映画と原作では終わり方が異なっていて…
どちらもグッときたけど
私は原作の終わり方が好きだったな
マザコン気味だけど誠実で不器用な夫
優しすぎて気を遣いすぎるほどの義理母
自分の居場所はここにあると思っていたのに…
ふと遠くから自分を見つめなおすと
妻や母親の役割だけ求められて
家族の中では本当の私は必要と
されてなかった現実…
むかし大好きだった人が現れたら
燃え上がってしまうかもしれないな…
愛を綴った描写が色濃く描かれているけど
ひとりの女性の心の成長の物語だとも感じました
私だったらどうするかしら…なんて
妄想しながら読み終えました!笑 -
Posted by ブクログ
なるほど低評価になっても仕方ない、万人受けするタイプの作品ではない。わたしには合ってた。おもしろかった。話の流れとしてはありがちかもしれないけど、ひとつひとつの紡がれる言葉が美しかった。
主人公の視点で繰り広げられる、「わたし」と「あなた」の苦しい恋愛。
西加奈子さんの解説を読んでとてもしっくり来たけど、主役であるはずの「わたし」と「あなた」の輪郭は常にぼやけていて、その他の登場人物のほうが線が濃い。でも、それこそが恋というものなんだろうなと思う。相手のことを考えて考えて、相手の存在があって初めて自分があるような、そういうものが本気の恋なのかもしれない。
だからこそ、恋が終わりを告げると途端に冷静にまわりを見れるようになる。
主人公の恋は常に苦しいけど、傍から見たらこういう女性は俗に言うメンヘラだ。自分とは考え方が違うけれど、どういう心理で恋愛をして、不安定な言動を取ってしまうのかが少しわかった。
とても似たような経験をしていた友人がいて、ずっと理解ができないと思っていたけど、恐らく本人も自分の考えていることをわかっていなかったんだろうな。だからこそ不安定だし、何より自分の中における自分の位置が低い。
どうしようもないけど、みんな幸せになって欲しいと祈るしかない。 -
Posted by ブクログ
静謐な空気を感じる短編集だった。
「あなたは知らない」という話が特に好き。主人公の瞳さんは唯一感情移入できた人物だった。
「それでも浅野さんと抱き合ったら重さを胸のうちにおぼえてしまった。情が生まれてしまうやつだ、ととっさに察した。そう思った時点ですでに生まれていたことには気付かぬふりをして。」という一節が印象深い。重さを感じてしまった時にはもう知らなかった頃には戻れない。初めからどん詰まり、いつか突然終わる日が来る相手。関係性としての名前は与えられない、一見して不安定なつながりにある彼は、自分の求めているものを感じる与えてくれる、安心できる存在。その背にもたれてはいけないけれど、寄りかかり寄り添いたくなる相手、自分をわかってくれる相手。過去と重ねていたいくらいに刺さった。 -
Posted by ブクログ
綿矢りささんの「深夜のスパチュラ」は、現代っぽくて入ってきやすい。でも文章が続いていて読みにくい。主人公がかわいい。
一穂ミチさんの「カーマンライン」は、表現できないけれど良さがあって好きだと思った。双子って素敵だなあ。
遠田潤子さんの「道具屋筋の旅立ち」は、いかにも昭和的な男と、女の話で最初は嫌だなあって読んでた。でも、八角魔盤空裏走(はっかくのまばん、くうりにはしる)という言葉を聞いてからの優美の自分自身と向き合っていく姿が清々しかった。最後の誠とのシーンがなんかいいなあって。
窪美澄さんの「海鳴り遠くに」は、紡がれている物語の雰囲気がなんだか好きだなあ。最後ちゃんと結ばれてよかった。 -
Posted by ブクログ
小説とYOASOBIの曲、MVと…合わせて楽しむことでそれぞれの魅力が何倍にもなる、すごい組み合わせ。まさに「はじめての」読書体験だった
アンドロイドと所有者の話を描いた島本理生の「私だけの所有者」、鏡写しのような同じ見た目だけど全く状況・中身が違う世界を描いた宮部みゆきの「色違いのトランプ」は、ちょっと切なく、悲しくもあり、愛もありと心動かされた。
そこにYOASOBIの「ミスター」「セブンティーン」という楽曲があり、歌詞全体はもちろん、細部の言葉遣いやMVのアニメーションも原作をしっかり解像度高く表現していて、感動がそのまま音楽でも忠実にあって、何回も聴いてしまう。
森絵都の過去3回同じ人に告白し玉砕済だけと4回目の告白をする一途な女子高生の話「ヒカリノタネ」はとても可愛らしかったし、
辻村深月の家出した女子中学生の話「ユーレイ」は読後優しい気持ちになったし、特にMVの映像表現が好きでより感動した
総じて良かったし、YOASOBIの原作リスペクトと音楽への落とし込み、再現力はすごいと思った