島本理生のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
島本先生のお話は、読むのはこれで4冊目になりました。主人公の家庭環境、年上の男性の存在、などがどの本にも共通して出てくるキーワードがあり、作者の方が強く伝えたいと考えていたり、自身の中で整理したい事柄なのかなと感じました。
本書も、一筋縄ではいかない内容で「そっちに行ったら駄目だよ。」「それは引かれるから。」と登場人物にツッコミを入れ、「一体次のページではどうなっているんだ?」とはらはらしながら、ページを捲りました。恋愛は、矛盾の思考や言動、自身の醜さの晒し合いの連続だと本書を読んで感じました。登場人物達ほど、極端な言動ではないかも知れないけれど、恋愛において、誰もが感じたり経験したりしたことがある感情、言動がこのお話の中にはあると思いました。
本書は、ちょっと前の島本先生の作品のようなので、現在の島本先生のお話も、ゆくゆくは読みたいなと思います。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ楽しみにしてた島本理生先生の短編集!
中でも『停止する春』と『一撃のお姫さま』が特に好きだったな。
『停止する春』は不倫男との恋愛話。
口では愛の言葉や結婚したいなど期待させるようなことを言っておきながら、必ず夜のうちには家に帰宅し、土日は連絡一つ返さないというクズっぷり。こういう言動の不一致が、女慣れしている狡い男感が出ていていけ好かなかった。
あと、主人公の女の子が別れを告げたときの、「俺を愛していないなら仕方ないよ」と悲しそうな目をしたという、あまりにも他責すぎる対応と発言も無理だった。
最初から家庭を捨てようなんて思っていなかったくせに。こちらを選ぶ気がないなら最初から始めるなよ…。
『一撃のお姫さま』は、ホストクラブのお話だったけれど、以前島本先生のトーク会で本を書くためにホストクラブに通ったりしているという話を聞いていたから、主人公を島本先生に重ねて読んでしまった。
女の子が店に通う理由が承認欲求というのはとても的を得ていると感じたし、これはホスト界だけじゃなくてアイドル業界にも言えることだなと思いながら読んでいた。
ホストとは単価こそ違うものの、新しいシングルが発売される度に何百枚ものCDを買って推しに会いに行く人を見るたびに、承認欲求も混ざっているんじゃないかと思ってしまう(100%純粋な愛の人もいると思うが)
それとホストクラブも同じなのかな~と、思っておりました。
姫は、相手にお金を注ぎ込むことで、自分の居場所や地位を確立できるし、こんな大勢のライバルのなかで私はすこし突出しているんだというような自信が生まれるようになる。
それを続けているうちに、その地位が一瞬で壊れてしまうことに怖さを覚えて更にお金を使ってしまい、他の姫より、私の方が、私の方が。というお客さん同士で競り合いがはじまる。
ホストクラブって、そういう姫の競り合いの上で成り立っているような場所な気がする。
もちろんそこには、担当が好きだから担当のためにお金を使いたいっていう気持ちも混ざっていると思うけれど。
あと、この作品は、睡のホストクラブに対する解像度が上がっていることを暗示する原作者からの手紙で終わったところがとても好きだった。
依存させることに依存した君は、どうしたらそこから抜けだせられるんだろう。
もしかしたら、姫より担当の方がこの世界を苦しく生きているのかもしれないな、と。
-
Posted by ブクログ
自ら傷つきに行く主人公に待って待って〜とは思ったけど、恋愛体質なので自分がその立場になったら同じことをしてそうだと思った。
「だめだとか、間違ってるってことはないよ。ただ、あなたはグレーなものに耐えられない人だったから。きっちり線を引いたり固定しないと不安でしょう。一秒後の未来だって、本当は保証なんてない。でも、あなたにそれを教えたら、生きていけないと思ったんだよ」
これが嘘なら、真実を口にするよりも嘘をつくほうがよほどこの人にとっては芯があることだと思わせる明確さで。
鎌倉の秋の夜に、駅のベンチに腰掛けて私を待っていた彼を見たとき、これだけで永遠に生きられる気がした。それが恋だった。好きでも愛してるでも足りない。だけど恋愛は一人きりではできない。
初めて心から、幸せになりたい、と思った。
もし、なんの約束も名前もないままに、会いたい、という気持ちだけで会い続けることができたら、それは愛とか恋とかと同じくらいに美しいことかもしれないですね。 -
Posted by ブクログ
恋の終わりって…
激しいイメージがあったけど
こぼれ落ちていくものなのかも…
余韻を残す終わり方が素敵でした
映画と原作では終わり方が異なっていて…
どちらもグッときたけど
私は原作の終わり方が好きだったな
マザコン気味だけど誠実で不器用な夫
優しすぎて気を遣いすぎるほどの義理母
自分の居場所はここにあると思っていたのに…
ふと遠くから自分を見つめなおすと
妻や母親の役割だけ求められて
家族の中では本当の私は必要と
されてなかった現実…
むかし大好きだった人が現れたら
燃え上がってしまうかもしれないな…
愛を綴った描写が色濃く描かれているけど
ひとりの女性の心の成長の物語だとも感じました
私だったらどうするかしら…なんて
妄想しながら読み終えました!笑 -
Posted by ブクログ
なるほど低評価になっても仕方ない、万人受けするタイプの作品ではない。わたしには合ってた。おもしろかった。話の流れとしてはありがちかもしれないけど、ひとつひとつの紡がれる言葉が美しかった。
主人公の視点で繰り広げられる、「わたし」と「あなた」の苦しい恋愛。
西加奈子さんの解説を読んでとてもしっくり来たけど、主役であるはずの「わたし」と「あなた」の輪郭は常にぼやけていて、その他の登場人物のほうが線が濃い。でも、それこそが恋というものなんだろうなと思う。相手のことを考えて考えて、相手の存在があって初めて自分があるような、そういうものが本気の恋なのかもしれない。
だからこそ、恋が終わりを告げると途端に冷静にまわりを見れるようになる。
主人公の恋は常に苦しいけど、傍から見たらこういう女性は俗に言うメンヘラだ。自分とは考え方が違うけれど、どういう心理で恋愛をして、不安定な言動を取ってしまうのかが少しわかった。
とても似たような経験をしていた友人がいて、ずっと理解ができないと思っていたけど、恐らく本人も自分の考えていることをわかっていなかったんだろうな。だからこそ不安定だし、何より自分の中における自分の位置が低い。
どうしようもないけど、みんな幸せになって欲しいと祈るしかない。 -
Posted by ブクログ
静謐な空気を感じる短編集だった。
「あなたは知らない」という話が特に好き。主人公の瞳さんは唯一感情移入できた人物だった。
「それでも浅野さんと抱き合ったら重さを胸のうちにおぼえてしまった。情が生まれてしまうやつだ、ととっさに察した。そう思った時点ですでに生まれていたことには気付かぬふりをして。」という一節が印象深い。重さを感じてしまった時にはもう知らなかった頃には戻れない。初めからどん詰まり、いつか突然終わる日が来る相手。関係性としての名前は与えられない、一見して不安定なつながりにある彼は、自分の求めているものを感じる与えてくれる、安心できる存在。その背にもたれてはいけないけれど、寄りかかり寄り添いたくなる相手、自分をわかってくれる相手。過去と重ねていたいくらいに刺さった。