島本理生のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
似たような感情を持ったことがあったので、
当時の私が救われたような感覚が私にも宿った。
終わったはずの関係を、終わったものと捉えきれないどうしようもない感情は
自分の周りにいる色んな人が上書きしてくれた。
今となっては、当時の激情も、風景も
霞んで見えなくなっている。
そんなことを思い出させてくれるような作品でした。
曲がった道を他人が補正してあげることなんて
不可能に近いと分かっているのに、
私ならできるのではないか、救ってあげたい
とかってに上から目線で傲慢な感情が出てきてしまう。
その同情のような可哀想という気持ちを、
恋と勘違いして、勝手に盛り上がって傷ついたあの頃の自分もきっと、間違 -
Posted by ブクログ
ネタバレ本を閉じた後、1人で心震わせて呆然としてしまった。
400ページ超えで読み応え抜群だった。
中盤までは主人公に対して流されやすすぎでしょ…と思う場面が多かった。
いくら不満があるにしても子供もいるんだし、
なんか我が強いし実は1人でも平気なタイプだろと思った。
読み進めるにつれ、母として妻として女として…というような文章が出てきて、
自分の中で問題提起された気がした。
謝罪のくだりや「家具として搬入された」というフレーズ、
二十代半ばの結婚ラッシュを控えて不安でたまらない感じ、
「愛されなきゃ意味がない」空気感、
身に覚えがありすぎてどんどん惹き込まれた。
主人公と鞍田さんをどこか冷め -
購入済み
読むのに気力のいる本だった
息子が中学にあがり、性教育を考えると男性視点の情報では難しいと思う事が多々ある
SNSでこの本のことが流れてきて書評を見た時、長男の女性に対する理解に何かしら寄与するかと思い、つい反射的に購入した。
男より女性の生き方はある意味で難しいが、性を持ち出すと安易に楽な選択を選ぶこともできる。
でも、それを選ぶと多くの場合、後でツケがまわる。だから、安売りするな、という言葉を親の世代は言う。
でも、若い世代が持て余す感情は大人の説教なんて聞き入れない。で、大人になって、同じように若い世代に言う。
そこに使える武器があってもそれを使わないって難しいこと。男が腕力で相手を従わせる選択をなかなか選べない -
Posted by ブクログ
ネタバレ私の好きな作家、島本理生さん、宮下奈津さん、角田光代さんが入っていたので購入。
本のタイトルが「アジアの街角で」とあったので、東南アジアを旅するテーマなのかなと思ったら全然違った。
作品に出てくるのは台湾と香港のみ。しかも、実際に街角を旅するのは1作品だけで、あとは日本の日常風景の中で話が進んでいく。
全作品を読んで頭に浮かんだのは、「台湾加油」「香港加油」という言葉。(「香港加油」は実際に作品の中に出てくる)
政治情勢が不安定な二つの街を小説という切り口で応援したかったのではないかと思った。
島本理生さん、大島真澄さん、宮下奈津さんの話が味わい深くて面白かった。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ顔にアザがある大学院生リケジョの話
アザがあることで出会えた色んな人の温もりがいいねって本だった
自分のコンプレックスを他人にさらけ出して隠さないというプライドは持っていても相手からそれを気にしているそぶりを見せられると悲しいっていう矛盾を抱えた話
主人公が自分とは真逆の人間で面白い
でも正直羨ましい!!!!顔にアザがあったら近付いてくる人は減って悲しいかもしれないけど近付いて来てくれた人はもう分かってるもんね!!
私は自分の中に抱えてるバカデカ秘密ってかクソデカコンプみたいなものが第三,四部くらいまであるから正直近付いて来てくれた人がいつこの人は自分から離れてくんだろうってどこか最初から諦め -
-
Posted by ブクログ
ネタバレ先に映画を見た時、コンプレックスはそれを通して自分に大切な人と出会うことができるものでもあるという感想を持ちました。
原作である本書を読むと、アイコがメイクをして原田くんとデートに行くシーンに、自分と一緒にいる人がどう見られるかを気遣う描写があります。その後、原田くんはサラッと受け入れてくれ、映画と同じ気持ちになった一方で、受け入れて欲しいと傲慢に思うのは違うことに気づかされました。また、たまに、ちょっとはコンプレックスは隠してもいいのかもしれません。世間からの目ではなく、相手と自分との間にある距離。その機微を感じながら、自分を開いていけるようになるといいなと思いました。自分のコンプレックスも -
Posted by ブクログ
あなたは、”三角関係”が好きでしょうか?
いやいや、それは好きとか嫌いとかいうものではないでしょう。二人の女性が一人の男性を取り合うという場面、どこがそんなに良いのかなあ?と第三者的に見えるような男であっても、そんな男性を好きになった二人の女性には死活問題です。相手方女性の存在がチラチラと見え隠れすればするほどに必死感は強まります。まあ、そんな風に第三者的に語れるのはあくまで他人事だからです。TVドラマでも小説の世界にだってよくある光景。自分の身の上に起こっていれば、そもそもこんなところに書いている余裕などはないでしょう。
では、そんな”三角関係”は、現代社会特有の事象なのでしょうか?それ