島本理生のレビュー一覧
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すごく難しかった。紗文と創の話かと思えば、異常現象が起こって、かと思えばまた戻る。だいぶついていけなかった。それに、年上好きな女性を書きがちな島本さんは、ついに年下か…と、呆れのようなものも抱いた。
ただ、帯にも記載がある「愛とは、なにか、一瞬の点滅のような、常に失われていく、ノスタルジアみたいなものかもしれません」も然り、同じ時に創が父親に言われた「許さなくていいし忘れていい」も、すごく刺さった。幸福や愛は一瞬だと私も思うし、親に対して愛情や感謝を抱けないところがあるからだ。
また、安心感があるからこそどんな挑戦もできる、といった趣旨の発想も納得。自分の将来について考えるきっかけになった -
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女子高生時代、周りと上手く関係を築けずにいた工藤泉、そんな彼女の支えになっていた既婚の葉山先生。精神的に深いところでしっかり結びついていった二人だが、その後のその時々の立場、置かれた環境、取り巻く人々との関係性など、様々な因果で阻まれたり、理性に従って自制しながらも、結果的には互いの想いは断ち切れるものではなく、お互い他の人との結婚生活を円満に過ごすという表面上の幸福の内側で、これからも燻り続けるしかないのであろうという、何とも切ない物語であった。
全410頁のラスト4頁の展開にはやられた。ここまで泉の高校生、大学生、社会人時代の出来事が細かく描かれてきたのはこの為だったかと思われるくらい、ラ -
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ネタバレ裁判のシーンは特に印象的で、怒涛の展開だった。
ただでさえ幼少期に当たり前として刷り込まれた価値観は、他者と関わらない限り、それが「おかしい」と気づくことが難しいもの。環奈は自分の幼少期を隠していたから尚更気づくことができなかった。
今回は虐待がテーマだったけれど、これは他の場面にも当てはまると思う。自分自身も大学進学を機に上京し、それまで当たり前だと思っていたことが少しずつ塗り替えられていく経験をした。そうした新しい価値観に触れることで知見が広がっていく。
だからこそ、心を閉ざさずに他者と関わることの大切さを改めて感じさせられる作品だった。
また我聞さんからは、「大人になる」ということ -
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タイトルから恋愛小説を想像していたけれど、まったく違った。
父親を刺した女子大生・環菜。動機は不明のまま、臨床心理士の由紀が取材を重ねていく。少しずつ明かされていく家族の歴史は、読んでいて胸が痛くなるものだった。
誰かにとっては「大したことない」出来事が、ひとりの少女の人生を長い時間をかけてこわしていく。その描かれ方が静かで丁寧で、だからこそ重く響いた。
島本さんの文章は、心の柔らかな部分にじわりと入ってくる。派手な展開があるわけじゃないのに、ページをめくる手が止まらなかった。
読み終えてから、タイトルの意味についてしばらく考えた。これって誰の、何の「初恋」なんだろう。答えは書かれてい -
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女性はなにに支配されているのか。
まず女性の対となる存在である男性。彼ら(もちろん全員ではないが)は、女性の脆弱さ(ヴァルネラリビティ)につけこみ性の尊厳を搾取していく。
ほかにも、親としての権力を振りかざし子の領域に踏み込んでくる両親。あるいは同じ女性からも抑圧されることだってあるのかもしれない。
そんな支配から脱却し、独立を勝ち取るために、強さ(レジリエンス)を獲得しようと悩みもがく女性たちを見守っているのが、神父の金山。(彼も男性であるが、過去に支配されている)
強靭に生きるというのは難しい。でも、そのためのヒントとなるかもしれないことを神話と照らし合わせて、本書は伝えてくれる。
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ネタバレ
自分の全てを受け止めて欲しい
なんて身勝手な感情なのだろう
愛しい人のためならと尽くすこと
なんて自分を蔑ろにしているのだろう
恋愛をすると自分を見失ってしまう。
多くの人が経験しているのではないだろうか。
ときに、一般化されていることが偏見を水面下で産んでしまう怖さ。
善意が知らずに他者を傷つけていることの怖さ。
全く考えたことのない視点だった。
本当の意味での思いやりってなんだろうと考えた。
今の私が思うのは
相手も自分も、双方が心地よい関係である事だとおもう。
人は弱い生き物だから、受け止めて欲しい時もあるだろう。それを苦痛なく受け止められる関係。
こうしてあげたいと思った -
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ネタバレかつて同じときを過ごした瞬間を鮮明に思い返すことができる相手と、しかも再開することが叶わない相手となれば、はたして長い人生の中で出会えるのだろうか。
この作品の登場人物の多くは、泉も、葉山先生も、あるいはほかの人も、自分の中に傷ついた過去を抱えている。その傷を、放っておくこともせず、痛ぶることもなく、ただ痛くないようにでも心地良いようにやさしくやさしくいたわってくれる相手に出会うのであれば、人は救われるのだろう。救われた瞬間もまた、人生の中のしずかな幸せとして深く深く自分の中に残っていく。それが互いに救い救われるという共存関係を、教師と学生という禁断の関係と並列させて島本さんの細やかな心理描 -
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ネタバレ
心に残ったフレーズを二つほど。
「分かったからだよ。たとえ姪でも、女の人が人生かけて飛び込んどきたことが。だから、俺も決められたんだよ」
「理解されなくていい、なんて思ってないよ。萌には、私を理解してほしい。そして味方でいてほしい。萌が無理だって思うのも、当然だと思う。ただ、そう伝えたかった。」
たとえ社会に認めてもらえず、公言できない関係だとしても、遺伝子を残せないとしても、それでも愛し合える、名前をつけ難い、他にない、強固な関係性に憧れと羨ましさを抱いた。
これからどんなに茨の道であっても2人は強くやっていくんだろう。
永遠子が覚悟を決められたのは、複雑な家庭環境が大きく影響して -
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いやー面白かった!
なんて豪華なアンソロジーなんだ!?と思って手に取ったけど、どれも期待を裏切らない良作でした。
宮部みゆきだけ、とても良かったけどミステリーじゃなくてファンタジーの方で来ちゃったな、サブタイトル見るに、発注と違うんじゃない!?とは思ったけど…笑
"はじめての"というテーマだったけど、この本自体がそれぞれの著者の作品をはじめて読む読者を想定してるのかな、と思うくらいそれぞれの作家さんの色が全面に出てるというか、めちゃくちゃ"らしい"作品で、従来のファンの人にも読書初心者にも嬉しい本だったと思う!
女流作家あんまり読まないんだよね、という