小説 - 角川文庫作品一覧

  • 校庭には誰もいない
    3.0
    高校生葉音梢は、部員がふたりしかいない合唱部で部長の面倒を見る毎日。ところが新学期の始まる前日、入部希望のノートに「中村雫」という聞き覚えのない名前が……弱小合唱部謎解きの青春! ※ 本書は、二〇〇六年十一月に小社より刊行された『たゆたいサニーデイズ』を改題のうえ文庫化したものが底本です。
  • きっと、夢にみる 競作集 <怪談実話系>
    3.0
    幼い息子が口にする「だまだまマーク」ということばに隠された秘密、夢で聞こえる音が生活を脅かしていく異様さ……ふとした瞬間に歪む現実の風景と不協和音を端正な筆致で紡ぐ。読む者を恐怖に誘う豪華怪談競作集。
  • 純愛物語
    3.0
    不良にからまれていたところを助けた事がきっかけで、付き合うようになった由紀と古庄尚和。純粋で内気な交際を続けている二人が、白木蓮の樹の下で初めて唇を合わせた直後、由紀は何の理由もなく突然姿を消してしまう。そして1年後、由紀は友人の恋人として古庄の前に姿を現すが……。由紀の謎の行動の裏に隠された意外な事実とは!?
  • 珍らしや蟾蜍、吐息す
    3.0
    暴力団組長・瀬田雄一は風貌が蟾蜍に似ていた。瀬田は、神浴温泉郷に旅館をもっていたが、ホテル王・小野田万作に追い詰められ、手放したのだった。小野田にひと泡ふかせる機会をうかがっていた瀬田は、茶吉尼の外法を使うというオババと手を組んだ。狙いは小野田が北極点に建設しようとしているレジャーホテルだった……。ユーモラスな大冒険活劇決定版。
  • 白愁のとき
    3.0
    五十二歳という働き盛りの造園設計家・恵門を突然襲った記憶の空白。異常を感じた彼が友人の医師・八木に診断を迫ったところ、アルツハイマー病の疑いがあり、“精神余命”があと一年であることを告知されてしまう。アルツハイマー病が原因不明・治癒不能の病であり、記憶の障害から始まって精神能力と人格が徐々に滅びていくことを知り、恵門は暗然たる恐怖に打ちのめされるが……。生への執着と死への誘惑の間で揺れ動く男の絶望と救済を、叙情あふれる筆致で描いて新境地を拓いた力作長編小説。
  • 去りなんいざ狂人の国を
    3.0
    ……く、苦しい……。突然数百もの人々が、激しいめまいと嘔吐に襲われ、折り重なって倒れた。それはまさに地獄絵の出現であった! ――関門トンネルで起きた青酸ガスによる無差別殺人。犯人は政府に五十億円を要求したが、政府はこれを拒否。そのために犯人は、青酸ガスで地下鉄を襲い、さらに、日本の全刑務所開放を要求してきた……。犯人を必死に追跡する特捜部の鳴海・神谷の両敏腕捜査員と、それを嘲笑うかのごとく大量虐殺を繰り返す残忍無類の犯人。スリリングに展開する、アクション・ハードボイルドの傑作。
  • 花嫁は夜汽車に消える
    3.0
    花嫁の結婚の時と何年後かの姿を追って作る番組で、プロデューサーが目にしたのは自分の母親の花嫁姿だった。一方、女子大生の亜由美は孤独死した老女が遺した日記帳を受け取るが……。他1篇を収録。
  • 哀しき檸檬色の密室
    3.0
    そこは赤と黄色の密室だった! 上司のセクハラを訴えるために実名で記者会見をしたOL幸田美代子が、1DKのマンションで殺された。後頭部をブロンズ像で殴られたうえ、包丁で喉をかき切られたのだ。鮮血で赤く染まった室内にはなぜか百個のレモン。おまけに現場は、内側から完全にロックされていた。洋室の窓ガラスは割られていたが、そこから犯人が侵入するのは可能でも、出た形跡がない! 奇妙な密室の謎に挑む捜査一課烏丸ひろみを待ち受ける意外な真相とは…!? 『三色の悲劇』シリーズ第二弾。 ※本書は九三年四月、実業之日本社ジョイ・ノベルスより刊行された『檸檬色の悲劇』を改題したものが底本です。
  • 嵯峨野白薔薇亭の殺人 香りの殺人シリーズ
    3.0
    ミステリの謎を解く鍵は、「香り」。甘くフルーティーな香りに酔いしれながら、ミステリアスな世界へと誘う、香り殺人事件シリーズ第二弾。
  • 捜査線上のアリア
    3.0
    銀行員の津村豊和は雑誌の懸賞小説に応募、幸運にも新人賞に入選した。入選後は会社も辞め、取材の依頼や講演が殺到し「時の人」となった。だが、それも一時期だけで、原稿依頼もとだえ、妻の則子は温泉街の芸者になり生活を支えることに。ある日、津村は泊まっていたホテルで殺人事件に巻き込まれ、“容疑者”として取調べられた。皮肉な事にこれをきっかけに津村の小説は急に売れ出した。一方、捜査線上には、意外にも流行作家のMが浮かんだが、Mには鉄壁のアリバイが―――。文壇の内幕を抉る、社会派ミステリー!!
  • 富良野ラベンダー館の殺人 香りの殺人シリーズ
    3.0
    北海道富良野のラベンダー館でひとりの女性が殺された。資産家の娘だった彼女を狙った殺人なのか、それとも・・・・・・。深まる謎を解くヒントは現場に残されていたラベンダーの香りだった。 ※本書は、1997年5月刊の角川ミニ文庫『ラベンダーの殺人』に加筆・改題した文庫が底本です。
  • むはの断面図
    3.0
    1巻572円 (税込)
    あるときは美人姉妹が経営する山荘に驚き、中国は「地ビール」の国だと納得し、またあるときはロシアの大平原の村での棒引き競争に飛び入り参加し……。椎名氏世界漫遊の記録!
  • ペットショップ夢幻楼の事件帳 思い出はいつもとなりに
    3.0
    街の片隅に佇む不思議なペットショップ「夢幻楼」。店主・雅(みやび)のもとを訪れる客は、店で出会ったペットと過ごすうちに大切な何かを思い出しはじめ……。ペットの温もりに心癒やされる、やさしい記憶の物語。
  • かなしみの場所
    3.0
    離婚して雑貨を作りながら細々と生活する果那。離婚のきっかけになった事件のせいで家では眠れず、雑貨の卸先「梅屋」で熟睡する日々。昔々、子供の頃に誘拐されたときのことが交錯する、静かで美しい物語。
  • 人間の十字架
    3.0
    1~2巻616~704円 (税込)
    日増しにひどくなる一人息子・公一の家庭内暴力。このままでは妻が殺されると感じた父親・町野の脳裏に、「息子を殺す」という悲痛な決意がよぎった。しかしその矢先、息子の公一は何者かに轢殺されてしまう。一方、幼い公一を自分の左腕と引き換えに救った青柳刑事も、彼の死を知って……。
  • 解体死書
    3.0
    ごみを拾っては再生させることを趣味にしていた男。彼は完全な家具が故意に壊され、分散して捨てられていることに気付く。わずかな手懸りを辿っていくうちに、重大な犯罪との関係を確信し、危険を承知で単身犯人を追い始めるが――!? 表題作を含む、スリリングな展開に満ちた六編を収録する傑作集。
  • 暗渠の連鎖
    3.0
    カップルを専門に襲う強盗強姦事件が相次いで発生した。犯人の手口は、デート中のカップルに近寄り、凶器を突きつけて男を縛り、男の目の前で女を犯した後で、金品を奪うというサディスティックなものだった。そして、自分の娘が強盗強姦魔の犠牲になるとは思っていなかった、相模署の捜査係刑事の露木直輔。目の前で暴漢に恋人を蹂躙された清家克久。むざむざと恋人を奪われた男たちは、犯人さがしに執念を燃やすが…。
  • 捜査指揮
    3.0
    1巻682円 (税込)
    70件に及ぶ現実事件を素材として明かされる捜査指揮の形とは。伝説のノンキャリア警視庁捜査一課長・寺尾正大氏の協力も得て刊行され、第一級のリーダー論としても読み応えある一冊。
  • 袖すりあうも他生の縁
    3.0
    ちょっとした出来事も前世から因縁による。噂だけの知り合い、手紙だけでやりとりする文通相手、飲み屋での常連客仲間。生涯にわたってライバル心を燃やす姉と妹。ごく当たり前の日常生活の中にある様々な人間の絆を鋭く描いた連作短編集。
  • ぼけナースたまにオトボケ編 新米看護婦物語
    3.0
    ナース十人いれば看護も十色。新米ナース・有福のこだわりは、「白衣の天使」とはちょっと違います。患者さんの髪にかぶせてあげるネット。床ずれの効果的な治療法。そして、死にゆく人の最期の言葉……。力みかえったり、ホロリとしたり。天然ぼけと正義感の絶妙なバランスで、現代社会の縮図・病院の日常を生き生きと描きます。「病気になんか縁がない」と思っている人にもおすすめしたい、人気コミック『おたんこナース』の原案小説化です。
  • ナースマン 新米看護士物語
    3.0
    看護は女性がするもの――それは思い込みにしかすぎません。ナースマンとは、看護職(ナース)を一生の仕事に選んだ男(マン)=看護士さん。今注目の仕事です。主人公は「看護界の坂本龍馬を目指す」新米ナースマン・相馬。先輩にどやしつけられたり、お婆ちゃん患者の純情にほろりとしたり、難病患者との意思疎通に悩みぬいたり。スランプを乗り越えて、「患者と一緒に走るタイプの看護士」に成長するまでの一年間を生き生きと描く、まったく新しい病院ノベルです。
  • 包囲 警視庁東京五輪対策室
    3.0
    東京五輪招致に反対していた活動家が殺害されたのと時を同じくして、五輪警備の前哨戦と位置づけられた東京国体にテロ予告が届く。予告状の指紋を手がかりに、対策室はふたつの事件の犯人を追うが――。
  • 迷走女刑事
    3.0
    相変わらず度々妄想の世界に旅立ってしまう、警視庁捜査一課所属、宮藤希美。“おやじ好き”のイケメンと甲賀忍者の末裔、新たに加わった個性派な同僚たちと共に、“3”ずくめの奇怪な事件も華麗に解決する(はず)!
  • Miss ハーバー・マスター
    3.0
    小森夏佳は、マリーナの責任者。海千山千のボートオーナー、ヨットオーナーの相手をしつつも、ハーバー内で起きたトラブルを解決している。そんなある日、彼女のもとへ、一つ相談事が持ち込まれて……。
  • 花淫れ
    3.0
    1巻682円 (税込)
    男は美しい妊婦から羊水が漏れないように”栓男”になることを頼まれた。桜、向日葵、秋桜、寒牡丹……四季を彩る花々と妖しき女たち。世にも淫靡な妄想と狂気の官能小説!
  • 柔らかい心
    3.0
    肩肘を張って一人生きつづけてきた律子の元に突然謎の女・美弥が押しかけてきた。運命が、私と美弥を会わせてくれたんだと思う。そして、あなたとも……。ヴェニス・ミラノ・近江、様々な都市を転転とし、やがて三人の男女は本当の自分に辿りつく――。『29歳のクリスマス』をはじめ、女たちの心情を絶妙に描き圧倒的な支持を得た脚本家・鎌田敏夫が、3人の男と女の、果てしなく揺れつづける心を綴る。
  • 水の恋
    3.0
    1巻682円 (税込)
    親友の死は事故、それとも自殺、あるいは失踪だったのか……? 妻・映里子と亡き親友との過去に疑念を抱きながら、昭は真相を突きとめるため、親友の故郷、飛騨の山奥の神馳淵を訪れる。鍵を握るのは伝説の仙人イワナ。昭はそこで心のわだかまりを解き放ち、すでに絆を失いかけている妻との関係を取り戻すことができるのだろうか。人生のさまざまな鬱屈の先にあるたしかな希望と、愛によってたつ男と女の脆さとその再生を見事に描いて心ふるわせる恋愛ロマン。
  • 成層圏の標的
    3.0
    1巻616円 (税込)
    平成維新をめざす政官財界の一部勢力が航空自衛隊F15イーグル戦闘機に密かな改造を加え、夜間低高度侵攻と核搭載の能力を付与した。政界再編で一度は政権を失った彼らだが、この機体を使って朝鮮半島有事を演出し、その混乱に乗じて権力の奪回を図ろうとする。―危険な謀略を知ってしまった空自パイロット真田と、その身辺に迫る謎の暗殺者。ある“境界”を越えてしまった男たちの壮絶な闘いを描く傑作航空冒険小説。
  • 想い出にならない
    3.0
    いつまでも少年ではいられない。いつまでも少女ではいられない。「高校生」という季節の中で、傷つき、傷つけあい、彼らは自分にとっての煌きをみつけようとしている。“恋愛”や“友情”に悩みながら、大人への階段を昇っていく少年と少女を描いた青春恋愛小説。
  • つりわベイビイズ
    3.0
    ※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 摩訶不思議なキャラクターたちが、思いもよらないひとことで、こころのエクボをくすぐりだす。新感覚のイラスト詩集。
  • 泡とそよ風
    3.0
    ※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 ……泡はきれめなくたちのぼり その無数のつぶつぶできれいに洗い落としていく 悪夢も夢も葛藤も……泡がたちのぼるように生まれつづける思い。ハートフル・イラスト詩集。
  • 再会のシンガポール・スリング
    3.0
    ハワイ大を卒業し、いっしょに暮らし始めたケンと良子。サーフボード作りというケンの仕事が軌道に乗り始めたとき、二人の関係はすれ違っていき・・・。大人になりきれない男女を描いたすがすがしく切ない短編集。
  • 声が聞きたい
    3.0
    ユニークな姉妹がはじめた「聞き屋・話し屋」は、他人に耳を傾け、ある時は心地よいお喋りを届ける仕事だ。 ある日、二人のもとに弟子希望の青年・江川が現れる。「人の役に立ちたい」という美しい(?)願いも虚しく、単細胞さが災いして仕事の初日から大失態。そこへ彼に恋する女子高生。広美も加わり、空子と里久子の周囲は何やら騒がしくなっていく……。 恋人や他人との間のコミュニケーションの難しさと大切さを学んで成長していく若者達の物語。
  • 俺は鰯
    3.0
    日々自分を酷使していた。休日は惰眠をむさぼるか、洗濯でつぶれる。十年間勤めた会社を高城はあっさり辞めた。池袋にある性風俗の店で高城は慧敏と名乗る女性に出会い、恋をした。デートの日、約束の時間に現れたのは三人の男達だった。高城は滅茶苦茶になるまで彼らに殴られた。そして慧敏が姿を消した。慧敏の行方を知る手掛りは新宿の台湾バーと日本橋の古美術商『蒼龍窟』――。平凡という名の仮面を脱ぎ捨てた男が幻の陶器と謎の美女を求めて命を掛ける。東京―台湾を舞台に壮大なスケールで展開する傑作冒険小説。
  • 眠りの家
    3.0
    学生時代からの友人潤木と吉沢は、千葉・外房で奇妙な円筒形の建物を発見する。釣人を装い調査を始めたが……。表題作のほか、不朽の名作「ゆきどまりの女」を含む全六編を収録。
  • インドラの網
    3.0
    ツェラという高原を歩いているうちに、ふと“天の空間”に滑り込んでしまい、天人、蒼い孔雀、天界の太陽などあらゆる美の極致を目にする主人公を描く表題作「インドラの網」をはじめ、夢と神秘にあふれた幻想的作品を集める。「雁の童子」「学者アラムハラドの見た着物」など“西域異聞”と呼ばれる作品も含め、賢治の持っていた〈心象宙宇〉の途方もない大きさと透明度をあますところなく伝え、賢治世界の真骨頂ともいえる童話集である。
  • 金田一耕助VS明智小五郎 ふたたび
    3.0
    復員してきた金田一耕助がひらいた探偵事務所に名門・柳條伯爵家の息子が訪れ、その後何者かに殺害された。事件の嫌疑は金田一にかかっているようで……。金田一耕助と明智小五郎、2大名探偵が事件に迫る!
  • ワンナイトミステリー 「北京の龍王」殺人事件
    3.0
    中国系日本人実業家の周龍平は、北京を観光中に天空からのメッセージを受ける。「龍王の雲を得たるがごとし」その啓示を「龍」をテーマにしたPCゲームによる世界制覇と解釈した周は、部下の九条に企画開発を命じた。そのころ将棋界のエース4人が参画した、新感覚の将棋ゲーム「Jチェス」が開発中とのニュースを得た九条は、アイデア盗用計画を立てる。そんな折り、ホテルの一室で周龍平が襲われた。意識不明の彼の両眼には龍王の駒が……。ワンナイト、今回の探偵役は氷室想介!
  • ワンナイトミステリー 「カリブの海賊」殺人事件
    3.0
    『カリブの海賊』と呼ばれ海外で大活躍中のボクサー・カルロス山東と創刊誌上で対談するため、カリブの島バハマへ飛んだ推理作家の朝比奈耕作。が、対談開始直前に相手が殺された! いつも右の目に髑髏マークの眼帯をして海賊ムードを演出していたボクサーが、なぜか反対側の左目に眼帯を掛け、しかも真正面から襲われ、何の抵抗もできずに金づちで撲殺されたのだ。あれは『コロンブスの卵』だったと朝比奈が志垣警部に語る意表のトリックとは何なのか?
  • 弥勒戦争
    3.0
    戦後間もない頃、人々は飢え、世は混沌としていた――。「掟を無視し、悪しき独覚が、世界を変えようと動き始めている。悪いことが起こらねばよいが……」一族の老師はつぶやいた。釈迦入滅後、ひたすら滅びの道を歩み、世と関わりを持つことを禁じられた超能力者集団、独覚一族。一族のなかの“悪しきもの”は誰なのか? やがて、老師の思惑どおり、世相は濁り、朝鮮半島に戦火のきざしがあらわれてきた! 山田正紀が戦後の動乱期を舞台に描いた、会心の“神シリーズ”。
  • 観音信仰殺人事件
    3.0
    写真を趣味とする人気女優の鮎川麻貴は、ある日、妹の亜貴をモデル役として日光の東照宮へ撮影に出かけたが、その撮影を終えた直後に、妹は鋼鉄の矢で目を射貫かれて殺された! 麻貴と亜貴の姉妹は、事件前に互いの服を交換していた。殺意の標的は姉か、妹か? またも親友平田均が巻き込まれた事件の解明に朝比奈耕作が乗り出す。彼が注目したのは、悲劇の直前に姉が妹をモデルに撮った一枚の写真。そこに驚愕の真相が隠されていた……。
  • 美徳の不幸
    3.0
    『悪徳の栄え』に登場するジュリエットの妹ジュスチーヌは、姉と正反対の信心深い美徳の持ち主であった。しかし、それゆえにありとあらゆる世の不幸に見舞われる。徹底的に陵辱され痛めつけられる盲目的なまでに無垢の魂を通じて描かれる、サドの思想の真髄。。バスティーユ牢獄の中で執筆された後、長く行方不明であった本作品の発見は、サド再評価のきっかけとなった。澁澤龍彦の香り高い名訳で触れる敬虔と官能、天国と地獄。
  • パナマ運河の殺人
    3.0
    鶴賀百貨店はロスアンゼルス支店のオープン三周年を記念してロスからパナマ運河を越えフロリダに到る豪華クルーズを行うことになった。社長夫妻・会長夫人ほか三百人以上の参加者の世話役にはM旅行社の牧野蘭子が指名された。蘭子の部下・上杉信吾、単身参加を申込む長井美希子、さらに社長夫人に同行することになった駒沢佐知子――いずれも断ちがたい因縁を持った男女が、何物かに引寄せられるように、このツアーに集って来る……。旅情溢れるミステリーロマン。
  • 白髪鬼
    3.0
    ――わしは恐ろしい肉食獣になりはてていた。墓穴の底で、棺のふたをこじ開け、まず指先にふれたものは、肉が腐って抜け落ちた髪の毛、ゴツゴツした頭蓋骨だった。死体に寄生した蛆虫さえも死に絶えてしまっていた。信じ切っていた友の奸計にはまり、愛する妻にも裏切られた一匹の白髪の鬼。地獄の底からよみがえった復讐鬼。乱歩の伝奇小説の最高傑作! 白髪鬼/盗難/一枚の切符/人でなしの恋/恐怖王/を収録。
  • 斜光
    3.0
    写真館主夕城香留の縁談相手は、華丘弥宵といい、新橋の老舗呉服商の妹で、初婚、香留より七つ若い三十八歳ということだった。写真の中の弥宵に男の影を感じとった香留だったが、見合いの席で弥宵のはかなげな美しさに魅せられてしまう。そんなある夏の朝、温泉町で腐乱屍体が発見された。捜査の結果、被害者が新進政治家の父親で、漁色家だったことが浮かび上る。香留が弥宵に抱いた影は、結婚後も妖しく膨んで行き、因縁に絡めとられた男と女たちを、崩壊の隘路へと駆り立てる――。 カバーイラスト/三嶋 典東
  • 古代天皇の秘密
    3.0
    名探偵・神津恭介がバイクにはねられ入院した。病床を見舞ったよきパートナー松下研三は、療養中の恭介の退屈しのぎに、ひとつの提案をした。「成吉思汗の秘密」「邪馬台国の秘密」に続き、もう一度ベッドディテクティブを試みてはどうかというのだ。日本古代史の大きな謎、神武天皇は実在したか、ヤマト朝廷の統一は何を意味しているのか…厚いベールに閉ざされた日本の成立を推理しようというものだ。恭介の名推理は果たして歴史の闇に光を当てることが出来るだろうか!?
  • イマージュ
    3.0
    発表と同時にスキャンダラスな話題を呼びおこした、『O嬢の物語』とならぶ秘密文学の傑作! 男性は愚直で、よしんば自分自身が何者でもないとしても、そうした自分を崇めるように望む。いっぽう女性は男性と似かよってはいるが、ひたすら、男性にみつめられ、愛撫され冒涜され、絶えず生贄に捧げられ、同時に限りなく蘇生する聖体であり、その一切の享楽は鏡の精緻な作用によって自身の姿(イマージュ)を熟視することにある。 ――ポーリーヌ・レアージュ
  • 花の図鑑(上)
    3.0
    1~2巻792~880円 (税込)
    鉄鋼関係の会社に勤める中座啓一郎には2人の恋人がいた。ひとりは画商の千倉法子。啓一郎とは学生時代から関係が続いている。もうひとりはスナック・バーのママの田川薫。恋愛感情というよりも、彼女の肉体にひかれていた。そんな時、啓一郎は婦人雑誌の記者だという寺田麻美と知り合い、彼女にも魅了されてゆくが……。女たちの間で彷徨う男の恋愛模様を軽やかに描く。〈上巻〉
  • 異形の地図
    3.0
    「死んだら骨を海に撒いてほしい」といって自殺した桂子。結核療養所で人妻との道ならぬ恋に身を焦がすN青年。白い渦が蠢く鳴門海峡で6年ぶりに再会したかつての恋人たち。驟雨に煙る苫小牧で、南国の陽が降り注ぐ石垣島で、そして雅と田舎くささが同居する北の城下町、金沢で演じられるうたかたの恋……。甘美で切なく、ミステリアスな男女の恋を流麗なタッチで描く連作長編。
  • ワンナイトミステリー 「倫敦の霧笛」殺人事件
    3.0
    巨額の遺産を継いだ岡島瑛子は、旅先のロンドンで、甲高い笛の音とともに悪夢を見る。首を切られた赤毛の女が、枕元で瑛子を見下ろしているのだ! 昔その部屋で猟奇殺人事件があった事実を告げられた瑛子は、徐々に心のバランスを失って、精神分析医・氷室想介の治療を受けるようになる。そんな彼女が、晩秋の軽井沢から氷室にSOS。先生、私は今夜呪い殺される! ロッジに到着した氷室は、狭い部屋の間取りから密室殺人計画を看破。だが、そのとき不気味な笛の音が響き渡った!
  • 英雄伝説
    3.0
    広告代理店の社員佐伯は大手製薬会社に烈な売り込みをはかり、会長に面会する機会を得た。ところが、同席した老人が突然暴漢に射殺された。この事件をひた隠しに隠そうとする製薬会社、そして沈黙を条件に広告契約をまとめようとする佐伯の周辺に相次ぐ殺人。すべてはこの製薬会社が新しく開発を始めた薬品に関係しているらしい。しかもその背後には、古代の神社群が影絵のように浮かびあがるのだが……。 カバーイラスト/杉本一文
  • ポニー・テールは、ふり向かない
    3.0
    右のヒップ・ポケットには、ドラムのスティック。左のポケットには、限りない夢。かなりジャジャ馬。すこしだけ、センチメンタル。ハワイ、グアム、サイパン、L・Aを駆け抜ける、感化院帰りの天才少女ドラマー、ミッキー。太平洋の潮風に、ポニー・テールが揺れる。熱い通り雨が走り過ぎる。15歳の夏は、エンドレス……。愛と冒険の青春ハード・ボイルド小説。
  • 横浜殺人事件
    3.0
    横浜でTVレポーターの女性と会社員の男性が殺された。事件を探る横浜テレビの藤本紅子と被害者の遺児、浜路智子。二つの事件の接点を求め、名探偵浅見光彦は外人墓地を訪れるが……。
  • 坊っちゃん殺人事件
    3.0
    浅見は、四国松山に漱石、子規、山頭火の足跡をたどる取材に出た。瀬戸大橋で出逢った美女が、数日後絞殺体で発見され、句会では主宰の老俳人が毒死。浅見光彦が記した危険な事件簿!
  • 札幌殺人事件 上
    3.0
    ススキノのクラブ「ユリアンヌ」に時折現れる謎めいたプロモーター白井。浅見光彦が捜索を依頼された失踪人・戸田は白井の身辺を探っていた。戸田が残した不可解な盗聴テープに興味を惹かれ、浅見は札幌へ飛ぶ。
  • トリック狂殺人事件
    3.0
    警視庁捜査一課の烏丸ひろみに届いた招待状。差出人は《トリック卿》。招かれたのはひろみを除いて、すべて大ウソつきの男と女。場所は雪深い山奥の《うそつき荘》。そこで出されるクイズをすべて解くと賞金はなんと6億円。しかし、ゲームに参加した7人を待ち受けていたのは、前代未聞の殺人劇! 吹雪でもないのに全員が雪の中に閉じ込められ、見ている前で犯人が消える! 招待客の中に紛れ込んだ殺人者《トリック卿》とは誰なのか? 雪の密室モノに新境地を開いた傑作登場!
  • 首を買う女
    3.0
    松下研三が古道具屋の店先であぶらを売っている時だった。和服を着た三十前後の上品な女が入ってきて「芝居に使う小道具の男の生首はないか」と、突飛なことをいう。別段、頭が変だとも思えない。研三は訝りながら、警視庁勤めの兄の家へ立ち寄り、その奇妙な出来事を話題にしたが……。実は二日前、女たらしの元歌舞伎役者が首を斬りおとされるというバラバラ事件が発生、警視庁では密かに捜査をしていたという。犯罪捜査に鋭いカンと天才的な手腕をみせる名探偵神津恭介シリーズ。
  • 出雲信仰殺人事件
    3.0
    都心の高層ホテルの一室に死体がひとつ、毒蛇が8匹! 日本神話のヤマタノオロチ伝説を連想させる衝撃の毒殺事件がすべてのはじまりだった……。朝比奈耕作の友人で転職マニアの平田均がスカウトされたのは、出雲大社のおんぼろ旅館。その改装大作戦の責任者に任命されたが、元日未明、泊りの客の男が近くの砂浜で変死をとげる。死体のそばには、またもヘビ! 平田は応援を求めて朝比奈を出雲へ呼び寄せるが、そこで第3の殺人が。こんどの犠牲者は因幡の白ウサギ状態。つまり……。
  • 渚のホテルにて
    3.0
    1巻484円 (税込)
    浜辺に建つ小さなホテル「鮫鰭亭(シャークス・フィン・イン)」に集ったオーナーの夏世と夫の潮、夏世の愛人である料理人の張、潮の先妻・麻子。開放的な伊豆の風景と対比させながら、閉ざされた空間で激しく揺れる男と女の心理を鮮烈に描いた恋愛長編の意欲作。
  • 喜劇悲奇劇
    3.0
    奇術、猛獣使い、アクロバット、危険術と、バラエティショウを一杯につめこんだショウボート。港々を回航しながら興業をうっていこうという趣向だ。ところが初日を明後日に控えて殺人事件がおこった。しかも連続殺人が……。そのうえ被害者には奇妙な共通点があった。回文の名前をもつ――つまり上から読んでも下から読んでも同じ名前になる人物が、次々と殺されていったのだ……。トリック作りの第一人者が、奇抜な謎とペテンの楽しさを読者に贈るミステリーの一級品。
  • 動く不動産
    3.0
    園山由佳は、義兄から父親危篤の報せを受け、大阪へと向かった。義兄の石丸伸太は通天閣のちかくで、父の看病をしながら司法書士兼お好み焼き屋を細々と営んでいる。そんな彼のもとに、購入した土地の登記依頼が舞い込む。ところが、その物件は購入者とは別の名義人の申請がなされ、しかも不正を働いた売り主は不審死を遂げる。由佳と伸太はこの不可解な事件の調査を開始するが……。日本の土地制度の矛盾を鋭く抉った横溝正史賞受賞作。
  • 秋の日のヴィオロンのため息の
    3.0
    1巻462円 (税込)
    シャワーを浴びた後、純白のバスタオルで身体を包み、オーソバージュをすり込み、肌色のシルクの下着をまとう。そして、冷えたグラス一杯のシャブリとシガリロを一本。――自分を確実に幸せな気持ちにしてくれる小道具たちを配置して、阿里子は男に会いに行く仕度をする。経済的にも、美貌にも恵まれている三十八歳。しかし、人生の秋の日にさしかかっている、と気づいた時、阿里子は潔い決断をする……。シリアスな問題をしゃれた会話体で、華麗な空間の中に浮きぼりにした長篇小説。
  • 杜の都殺人事件
    3.0
    青葉繁る杜の都、仙台。妻と一緒に写っていた謎の男の死に、妻の過去に疑問を持つ夫。父の事故死に不審を抱く美人カメラマン池野真理子。二つの事件が一つに重なった時……トラベルミステリの傑作。
  • 恋人をみつける80の方法
    3.0
    気づかい、服装、ふるまい方など自分で意識できる些細なことを、ほんの少し気をつけるだけで、素敵な恋人が見つけられるとしたら、あなたはどうしますか? 本書には、あなたが恋を成就させるために必要なエッセンスが詰まっています。あなたが恋をしたくなったとき、好きな人ができたとき、そして恋に悩み傷ついたときに読んでみてください。きっと、あなたの恋を叶えるべく、最大の効力を発揮することでしょう。あなたが、自分の手で幸せをつかむための最高のバイブル。
  • 十三の墓標
    3.0
    警視庁勤務の坂口刑事の姉夫婦が行方不明になり、義兄が死体で発見された。王朝の女流歌人〈和泉式部〉の墓に事件の鍵が……余部鉄橋、天橋立股のぞき、猫啼温泉と旅情を誘う出色のミステリ。
  • 黒い墜落機(ファントム)
    3.0
    茨城県百里基地より緊急発進の最新鋭ジェット戦闘機が南アルプスの「風巣」という集落近くの沢に墜落した。だが、自衛隊は事実を公表せず、塚本隊長率いる「サルビア部隊」を派遣、極秘に機体の撤収を図る。しかも墜落を知る集落の老人たちの“抹消”を計画。村で民宿を経営する反町重介と恋人の水橋は、村を守るべく立ち上がったが……。異色の政治推理小説!
  • 「首の女」殺人事件
    3.0
    真杉光子は姉の小学校の同窓生、宮田と出かけた光太郎・智恵子展で、木彫の〈蝉〉を見つめていた男が福島で殺されたことを知る。そして宮田も島根で変死。奔走する浅見光彦が見つけた真相とは!
  • 鏡の女
    3.0
    めったに贈り物など受けとったことのないルポライター浅見光彦に、初恋の女性から姫鏡台が届いた。浅見は彼女の嫁いだ豪邸を訪ねるが……さまざまな鏡をめぐり、浅見が名推理を披露する表題作ほか2編を収録。
  • 湘南レッド・シューズ
    3.0
    桂木エミ。横須賀基地のハイ・スクール10年生。カリフォルニアで生まれハワイで育った日系三世。ママと生き別れ、米軍パイロットのパパとふたり、日本へやってきて3年になる。野球を捨てた父の夢を承けて、エミは幼い頃からボールを握ってきたが、その父も遠い処へ去ってゆく。基地に別れを告げ、湘南の私立高校へ転入したエミは女子だけの不良野球チームを結成。目指すはコーシエン。心を吹き抜けるさわやかな恋と冒険の物語。
  • カサノバのためいき 世にも短い物語
    3.0
    1巻462円 (税込)
    冷たい雨の降る夜、プールサイドで日射しを浴びている時、冬の朝帰り。そんな、しんと静まりかえった一瞬に女の季節でやり残しているのは――と、ふと胸をつかれる思いがする。冒険、未知との遭遇、危険とか密会といった秘密の類のコト。諦めにも、ためいきにも似た微妙な、大人のための物語、26話。
  • ぼくらの秘島探険隊
    3.0
    1巻528円 (税込)
    中二の夏休み。英治、安永をはじめぼくら九人は沖縄に遠征した。沖縄の美しい自然が、アコギなリゾート開発業者によってメチャメチャにされてしまうことを銀鈴荘のまさばあさんから聞いたのがきっかけだ。21世紀には紺碧の海がなくなってしまうなんて許せない!と怒りに燃えたぼくらは、手ごわい土建業者を相手にイタズラ大作戦をくりひろげるが……。サンゴと白浜とマングローブ林に囲まれた小さな秘島を舞台に、元気いっぱい戦った真夏の思い出――。
  • TOKYO愛情物語
    3.0
    1巻462円 (税込)
    口説き文句を並べたわけでもなく、押し問答があったわけでもない。初めて出逢った男と女の、ありふれてイージーな一夜の情事のケースでも〈男の場合〉と〈女の場合〉では、月とスッポンほどの違いがある。ましてや、婚約・結婚・浮気・離婚という人生のターニング・ポイントでの男と女の思惑は、全く異質で深刻で滑稽だ。男からみた女、女からみた男、それぞれのドラマをTOKYOを舞台に描く、7つの愛情物語。
  • 血と砂
    3.0
    9月初めの仮面舞踏会の夜、下弦の月が照らす広い庭を里子は眺めていた。その時、枯山水の白砂を踏んで、痩男の能面をつけた若い男が近づいた。夢幻能のようなその場面が、北ノ庄浩作との奇妙な出会いであった……。鎌倉の剣道場を破門された浩作は、繁栄と享楽の時代に身を置きながら、そうした自分を冷めた意識で見ていた。陽光溢れる湘南の海辺と街を背景に、70年代初頭の放恣で無軌道な青春の光と影を、虚無とペシミズムの色濃い視線で捉え、鮮かに定着した長編小説。
  • セルーナの女神
    3.0
    1巻330円 (税込)
    ある日、私の仕事部屋を二人の黒人が、わざわざアフリカから訪ねてきた。彼らは私に、時間を支配する女神「セルーナ」の像をかえしてくれというのだ。すべてが初耳で、何が何やらわからぬ私に、彼らはその気になるまで、いつまでも待っていると言って帰っていった。ところがその直後、私の旧友がアフリカ旅行のみやげと言って、セルーナの女神像らしい木彫りの人形を持って現われたのだ――。表題作ほか、日常生活の中に起こる奇妙な話を描く傑作短編八篇を収録。 カバーイラスト/杉本一文
  • ジョーカー
    3.0
    父の愛人・カオルの店で過ごす時間は、19歳の万穂子にとって唯一くつろげる時であった。またそれは、父と秘密を共有することも意味していた。19歳、27歳、32歳――自らの愛の局面で、知らず知らずのうちに誰かの切り札(ジョーカー)を演じてしまう万穂子。そのことはいつも誰かを救ったが、どこかで誰かを、時には自分をも傷つけた――祈るような人間へのいとおしみをクールにそして暖かく描く、著者初の連作長編小説。
  • 恋のインデックス
    3.0
    1巻594円 (税込)
    恋のまっただ中で――“キミとなら棺桶の中まで一緒に行けるような気がするんだ”、そして、さよならの場面で――“だってこれは恋愛じゃないよ。言ってみれば過去だよ”など、男たちから、あるいは女たちから放たれたクライマックスでの名科白。口説き文句からトドメの言葉まで古今東西の恋のサンプルから抽出し、新たな恋を演出したショート・ショート。ちょっと辛口、105篇のラブ・ストーリー・インデックス。
  • 風物語
    3.0
    1巻462円 (税込)
    三十四歳の加世子に、人生のさまざまな風が吹きぬける。愛や苦痛をはらんだ、実にさまざまな風が――建築家の夫との別居、新しい恋、その恋人の海外赴任、自分自身の仕事への復帰、親友の自殺未遂、それに端を発した親友と夫の裏切りの発見、離婚――。今度こそ幸せをつかもうと、ひたむきに正直に生きる魅力的な女主人公の不安と嫉妬と心の緊張を、見事な風の情景描写で鮮やかに浮きぼりにした、話題の長編小説。
  • 花刑
    3.0
    サラ金地獄で首が回らなくなった男が企てた高利貸しの老婆殺害計画――社会問題化する生活破綻の実態をリアルに描いた表題作「花刑」をはじめ、定年を迎えた男がかつて通勤電車の窓から目撃した“白いハンカチを振るOL”を探す「完全犯罪の鏡像」。異なる家族が暮らすマンションでおこる人間関係の憎悪をテーマにした「凶隣の巣」など、身近にある殺意を収めた傑作社会派推理短編集! 完全犯罪の鏡/凶隣の巣/死媒祭/花刑を収録。
  • 流星の降る町
    3.0
    日本最大の暴力団が、企てた町の制圧作戦。前代未聞の陰謀に、元軍人や元泥棒など、第一線を退いた七人の市民が立ち上がる。逃げ続けていたそれぞれの人生の復活を賭けた闘いに、勝ち目はあるのか――。
  • 財務省の階段
    3.0
    財務省の若手官僚が自殺を図った。遺されたノートには昭和初期の経済政策が綴られていた――彼の真意とは? 国会議事堂、日銀、マスコミ、金融市場を舞台に、経済の裏側に巣喰う禍々しいものの正体に迫る!
  • 影絵の町
    3.0
    ときめく恋――淋しい恋――情熱的な恋――せつない恋――〈おとこ〉と〈おんな〉。新たな〈恋〉のドラマが始まる時、夕闇という名の幕(ヴェール)は、静かに二人の姿を隠す……恋のドラマにあわせて、阿刀田高が奏でる恋の〈夜想曲(ノクターン)〉。今夜(こよい)の観客は、貴女ひとりです。
  • あかでみあ めらんこりあ
    3.0
    1巻396円 (税込)
    知性の光、感性のきらめき、清新なstyle。戦後の一時期を背景に、精緻に写し出される青春の憂愁と狂気……生きることに疲れた「憂鬱(あかでみあ)な大学生(めらんこりあ)」計介と、彼を「つめたい・澄んだ・くらい瞳」で見つめる若い女・道子を軸として展開されるこの小説は、自身学生だった開高健が20歳の年に書き上げた幻の〈処女長編〉である。事物や人物や情況がもつ複雑で微妙な感触と気配を、鮮明で魅力的な表現に結晶させる稀有の才能をすでに示した、みずみずしい記念碑的作品。
  • 感傷旅行
    3.0
    党員のケイを気まぐれに愛し、いつか、熱烈に傾倒し破れ去る有似子。愛とは一体何なのか? 昭和39年度の芥川賞受賞作「感傷旅行」をはじめ、裸のままの人間を真向から描き続ける著者のやさしさが滲みでている次の好短篇を併せ収む。「大阪無宿」「女運長久」「鬼たちの声」「山家鳥虫歌」「喪服記」「容色」「とうちゃんと争議」
  • 中央線に乗っていた男
    3.0
    鑑識技官・新見格の趣味は、通勤電車で乗客を観察しスケッチすること。四谷の画廊で開催された個展を十津川警部が訪れると、新見から妙な女性客が訪れたことを聞かされる――十津川警部シリーズ人気短編集。
  • シナリオ 劇場版SPEC~天~
    3.0
    海上のクルーザーからミイラ状の死体が発見された。それは当麻と瀬文への新たな挑戦状……。スペックホルダーたちの狙いは? 脚本家・西荻弓絵の世界を堪能できる、大ヒット映画のシナリオ完全版が登場!
  • 棟居刑事の「人間の海」
    3.0
    駅のホームで突き落とされそうになる。見知らぬ車に乗せられて誘拐されそうになる――。有数の財閥・山上グループの社長令嬢・山上かおりは何者かに命を狙われていた。困り果てたかおりが逃げ込んだのは、社会からドロップアウトし、奇妙な経歴を持つ八人が住む“梁山荘”というアパートだった。八人はそれぞれの特技を生かして襲撃犯からかおりを守り始める。かおりは目撃者として、棟居刑事の捜査する殺人事件の参考人に挙がっていた。事件は意外な接点で繋がり始める……。都会で蠢く人間の友情と殺意を描く、傑作社会派ミステリ。
  • 風雲に乗る
    3.0
    旅館の子だった鯛公介は、少年時代に家を大火で失って以来、父の死、南方戦線への従軍と苦労の多い青春期を過した。その中で公介が命をかけたのは“貧乏人のための信用販売”であった――。月賦販売という初の試みに果てしない苦難の道が続く……。冷たい経済社会の中で平凡な一人間がどのように生き得るかを描いた傑作!
  • 延命の負債
    3.0
    “死にたくない。商売がこんな大事なときに死んでも死にきれない”――町場の印刷工場の主・村野末吉は、病院のベッドで思った。苦労を重ね続けた人生が、ようやく好転しかけていた。彼は意を決して、縁者から多額の借金をし、最上等の個室に入り、心臓手術の担当医にも十分な謝礼をした。そして無事、退院を果せたが……。表題作ほか「湖畔の人」「ひとり旅」「九十九里浜」「賞」「春の命」など、人生の皮肉、孤独をテーマとする初期作品12編を収録。
  • 悪徳の栄え
    3.0
    悪徳と淫蕩を重ね、快楽をむさぼる若い女性ジュリエットの姿を通して、性本能に対する鋭い観察を試み、人間の奥深く隠されている暗い未知の部分と自由の問題を、徹底的に追求した。貴族の家柄にありながら、当時としては悪魔的所業ともいうべき奇行ゆえに、その生涯の三分の一以上を牢獄で過したサドの代表作。1797年作。
  • グリム、アンデルセンの罪深い姫の物語
    3.0
    女はマスターベーションをしてはならない、という性教育の寓話「眠り姫」。死体愛好者の変態王子が服と食べ物にしか興味のない頭の軽い白雪姫を見初めた話「白雪姫」。初体験に憧れる乙女と欲求不満のおばあさんに中年オオカミが殺される恐怖のストーリー「赤ずきん」。階級闘争のマルクス主義者たちが女性差別には寛容だったために死んだ悲劇の女の子「マッチ売りの少女」。独自の視点とユニークな解釈で描く7編を収録。
  • 一発屋大六
    3.0
    今田大六、37歳。私大を卒業、地方銀行に就職して12年、いまだにうだつの上がらぬ平社員であるが、ひそかに自身を名づけて「一発屋大六」。―いつの日か一発やって周囲を見返し、人生の生甲斐をつかみたいという熱烈な想いである。銀行の宿直のある夜、一千万円紛失事件が発生。疑惑は彼に向けられて、退職の破目となったが、資産数百億円を持つ、スーパーマン的相場師根岸剛造からさしのべられた、思いがけない救いの手。……。会社の機構に圧迫される現代サラリーマンの、脱サラへの夢を、豊かなユーモアと風刺の中に描く、傑作小説。
  • 身も心も
    3.0
    「君は可愛いから好きだ」「愛してるよ」――そう言ってもらうのを心待ちにする22歳のデザイナー・千鶴。冷静、潔癖、頑な性格で充分な愛をふりそそごうとはしない英宗。彼への思慕と焦燥をベースに、新しい恋、別離、再会を繰り返す、6年間にわたる愛の軌跡をせつせつと謳い上げた秀作「身も心も」。マスコミ界に生きる男女数人が、好奇心から裏ビデオ観賞会を開く。一本のビデオを機軸にそれぞれの心模様が映し出される一夜の出来事を軽妙に綴った「ビデオパーティー」。
  • 謀殺の四国ルート
    3.0
    女優・中村美矢子は、土佐中村への一人旅の車窓から、河原で男が襲われる現場を目撃する。その河原で死体となって発見されたのは、美矢子を東京から尾行してきた男だった。旅を続ける彼女のまわりで次々と起こる怪事件。美矢子は、自分の身にも危険が迫っていることを感じはじめる。そのころ東京では、彼女のマネジャー・里見保が行方不明になっていた。東京で捜査を開始した十津川警部は、四国の事件との関連を探る。表題作「謀殺の四国ルート」をはじめ、十津川警部の活躍を描く四作品を収録!
  • 薔薇の殺人
    3.0
    浅見光彦の遠縁の大学生・聡が女子高生誘拐の嫌疑をかけられた。一目惚れして家まで後をつけていたという彼に呆れる浅見だが、濡れ衣を晴らそうと行方不明になった文絵の家を訪れる。そこに届いた脅迫状には、文絵の出生の秘密をばらすという内容があった。文絵は人気俳優・三神洋と「宝塚」出身の女優・鳥越美春との秘めやかな愛の結晶だったのだ。数日後、文絵が遺体で発見され、浅見は真相を追って乙女の都・宝塚へ向かう。
  • 失恋カレンダー
    3.0
    正月帰省や卒業や新学期、バレンタインとか夏休みとかXマスとか。女の子の年中行事は、恋がめばえたり、深まったりしそうな絶好のチャンス。だけど、あれこれ期待する胸のうちとはうらはらに、いつもその機が裏目に出て、恋がぎくしゃくしてしまう……。移りゆく四季の情景をバックに、恋する娘心の機微と哀楽をたくみに描いた12ヶ月の失恋物語。
  • 軽井沢殺人事件
    3.0
    金の売買などインチキ商法で世間を騒がせた佐賀原商事の幹部社員平山は、南青山で交通事故に遭い死亡した。後には「ホトケのオデコ」という謎の言葉と「九条亜矢子」という名刺が残った。亜矢子は現在、政界に隠然たる影響力を及ぼすフィクサー・大原と結婚していた。一方、軽井沢大橋で、警視庁公安部員が不審死を遂げた。事件の背後には40数年前のある出来事が……。信濃のコロンボ・竹村警部と名探偵浅見光彦が初めて競演!
  • アムステルダム運河殺人事件
    3.0
    19××年8月末の夕方、アムステルダム市内の運河に浮かんでいた、銀色のジュラルミン製トランク。――その内部には、血まみれの下着と共に、首と手首と脚を切断された、男の胴体があった。オランダ警察は、下着の文字と黄色の皮膚から、被害者は日本人と判定、身元は、ベルギー駐在の一商社員と知れた。……国際犯罪を描く、巨匠松本清張の本格推理小説!「セント・アンドリュースの事件」併載。
  • ラスト・タイクーン
    3.0
    ハリウッドでその名を知らぬ者はいない大物プロデューサー、モンロー・スターの栄光と挫折、亡き妻の面影をもつ未亡人との情事。そして死を、ひとりの少女の視点を通して描く。フィツジェラルドは心臓発作に襲われ急逝するまで、自身の傑作『華麗なるギャツビー』を超えたいと本書に全力を傾けていた。遺された原稿と創作ノートから、本書がいかに素晴らしい作品となりえたかは想像に難くない。まさに未完の最高傑作である。
  • 古惑仔
    3.0
    5年前、中国から同じ船でやってきた阿扁(アービエン)たち15人。だが、毎年仲間は減り続け、残るは9人。減った6人は流氓(リウマン)となり、阿扁と会った直後に皆死んでいた。自分は死神なのか。自問する阿扁だったが――。(「死神」)歌舞伎町の暗黒の淵で藻掻く若者たちの苛烈な生きざまを描く傑作ノワール、全6編。
  • つばめの来る日
    3.0
    1巻462円 (税込)
    父親に認めてもらおうとボクシングを始める少年、息子と初めての潮干狩りに出かける父親。試験勉強のために女友達の家を訪れる大学生、ベランダで鉢植えを愛でる独身サラリーマン…。ふつうの人生を生きる、ごくふつうの男たちの背中は、いつもどこか淋しい。男にとっての幸福とは、孤独とは、いったい何なのか。じんわりと心にしみこんでくる、九つのほのかな感動。(著者自作解説つき)

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