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茨城県百里基地より緊急発進の最新鋭ジェット戦闘機が南アルプスの「風巣」という集落近くの沢に墜落した。だが、自衛隊は事実を公表せず、塚本隊長率いる「サルビア部隊」を派遣、極秘に機体の撤収を図る。しかも墜落を知る集落の老人たちの“抹消”を計画。村で民宿を経営する反町重介と恋人の水橋は、村を守るべく立ち上がったが……。異色の政治推理小説!
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Posted by ブクログ
まったくの偶然に、それまでいかなる関係もなかった数人がある場所で出会い、敵や危険の前に必死の知恵をめぐらし、団結して戦うという筋書きは森村作品にしばしば見られる趣向である。出会った人たちは、前半生において傷つき、失意にある敗者であり、共通の敵や困難との戦いが立ち直りのきっかけになるといったものだ。本...続きを読む書のほかに 『致死連盟』 もそれに当たる。はじめに読んだのは30年以上前のことであるが、時を忘れて読みふけった思い出があり、大人になったいま再読を思い立ったのである。 最新鋭の自衛隊機が木曽山脈山中に墜落し、自衛隊は凍りついた。単なる事故では済まされない事情があったのだ。自衛隊にとって幸いなことに、墜落地には「風巣」と呼ばれる寒村しか存在せず、村の住人さえいなくなれば事故は隠蔽できる。自衛隊中枢は全村民の抹殺を企図し、レンジャー部隊を送り込むが、新たに村に住み始め民宿を経営する夫婦と、居合わせた宿泊客5人が生存のための決死の抵抗に臨む。 ・・・とあらすじを知ると、かなり荒唐無稽な話だと思われるであろう。自衛隊が狂気の作戦を立案するに至ったのは、事故が明るみになることで、国民に隠匿しているある"秘密"が公になってしまうからだが、普通に考えれば"秘密"がバレるよりも、国民に銃口を向けた事実がバレるほうが自衛隊にとってはるかに壊滅的打撃ではないのか。とにかく自衛隊の病理が強調された作品だが、作者が熱心な共産党の支持者であることを勘案すればさもありなんか。ただ小説としてはスリルに富んでいて面白く読める。
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黒い墜落機(ファントム)
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森村誠一
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