一穂ミチのレビュー一覧
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とにかくはちゃめちゃに良コスパな文芸雑誌第二弾。今号はテーマを「悪」と定め、悪にまつわる様々な物語が読める。
収録作品の中の上村裕香著「全身政治家」がめちゃくちゃ人を喰った話で面白かった。
とにかく顔がいい若きシゴでき市長から直々に生い立ちについてのインタビュー記事の依頼を受けた主人公。しかし話を掘り下げていくと奇妙な齟齬に気づく。勇気を出して本人に伝えると…。とにかくこの市長のキャラがいい。ビジュ良すぎる顔でシリアスに暗い生い立ちを語ってからのこのオチはもはやコント。しかしこれによって主人公が自分自身の過去と対峙する展開はちょっと感動してしまう。
こういう話大好き。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ生身の人間の感情と人間関係を描くのが本当に上手すぎるし、登場シーンが数ページのいわゆる脇役の人たちにもなんだか思いを馳せてしまうし、SFの一言で済まされないお話。
沖津くんを見に行ったデパートの屋上で「いっそ何もかも違ってたらいいのに」「私の世界が半端に残ってるのに全然嬉しくない」って今日子が気持ちを吐露するシーン、すごくリアルな感覚だなあと思った。30年ってそう、絶妙だよね。全く違う世界ではないけど決定的に違っていて、大事な人や好きだった人の人生からは当たり前に置き去りにされてて。タイムリープものが大好きで色々な作品に出会ってきたけど、実際にもし自分がそうなったら普通にこういう感覚になるかもなって思った。
個人的には元クラスメイトの二人の人生もすごく気になる。今日子へのイメージはわりと共通しているのに、彼はほんのり好意を持っていて彼女は疎ましく感じていて、正反対かつその感情も一筋縄ではいかなくて…みたいなこの三人の人間関係ももっと見ていたかったと思わずにはいられない。
終わり方がご都合主義にも悲劇的にもなりすぎず、各々の場所で彼女のことを記憶に留めながら人生が続いていく感じもよかった。彼女が次に目を覚ます時、誰かの人生の一部とまた交差することがあったらいいな。 -
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別レーベルで出版されていた方をずーっと積読していたのですが、うかうかしているうちに角川から修正加筆版が出版されてしまったので、こちらを読みました
一穂ミチ作品は何冊持ってても無問題ですからね
2冊隣に並べたいと思います
結論から言うと
めちゃくちゃ泣いた
何度も泣いた
最初はキュンキュンしてただけなのに
どんどん深く苦しくなっていって
辛くて泣きながら読みました
何で一穂ミチ作品のBLって
幸せなだけじゃないんだろう
世の中にハッピーで浮かれただけのBLなんて溢れまくっているのに、こんなにも藻掻きながら生きなきゃいけないなんて
でもそんな幸せの形を、こちらが決めることさえ烏滸がましい事なんだと気付かせてくれたのも、この作品なのかもしれません
海で溺れて2年間寝たきりの弟・靖野がいる泉は、ある日浜辺で靖野そっくりな男・宗清に出逢ったことで、同じことの繰り返しだった日常に変化が訪れる
靖野を大切に思いながらも秘密を抱える泉
観光地も何もない海辺の町に突然新た現れた宗清
寝たきりだけど沢山の人に愛されている靖野
泉の秘密は見事真逆で予想を外れましたし、宗清の…もまた想像以上で、予測は無理無理ー!と驚きました
しかしお互い、これは辛い…辛すぎる…
こんな偶然重なるー!?と怒涛の後半展開に若干引いた人も多い様ですが、個人的にはこれもまた運命なのかもしれないと生の繋がりを感じ得ずにいられませんでした
3人に幸あれ!
余談ですが、宗清の良さが全くわかりません(笑) -
Posted by ブクログ
よかった…まずタイトルがいい。砂嵐は放送が終わったTVである。その向こうに微かに見えるまたたきである。
こんなに言葉を的確に、揺れ動き正体の掴みづらい心を表すことができるのか、と驚きの連続だった。
例えば、「Bコースの答え」。本音と建前、と言うところである。Bコースは本筋から逸れてはいるが、まったくの嘘ではない。いわば、右に行くか左に行くかの違いである。
そういった、言葉で説明するのは野暮になりかねない微妙なところを美しく表現するのだ。
一穂ミチさん初読みでしたが、とっても好きな作家さんになりました。繰り返し読みたい本のため⭐︎5です。 -
無料版購入済み
苦しかったあの時代を思い出して辛くなりました。でもymz先生は昔に比べて線がすっきりしてとても見やすくなったし、コロナと恋愛の両方に後ろめたさを感じたりする心情がリアルで引き込まれました。
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元々ライトノベル向けレーベルから出版された作品ということもあり、かなり強引な展開やSFチックな設定が出てくるので、一般文芸書と同じように読むとツッコミどころがいっぱい出てくると思う。だけどそんな読書は楽しくないので、多少の強引さには目をつぶり、童心に帰ったつもりで読むと、自分は世代的に今日子とほぼ同じということもあり、彼女が回想した30年前の風景が懐かしくてかなり心に響いた。いわゆる「エモい」ってやつですわ。
それにしても一穂さんって女子の一筋縄ではいかない心情を描くのが上手いなあ。ラストは恐らくこれ系のお話だとよくあるパターンなんだろうけど、それでもくっときちゃったからねえ。
本編の後に収録されたサイドストーリーもまたいいんだなこれが。特に「あの子を嫌いだったころ」は他の登場人物にはないキャラクターが語り手で、作品全体を引き立たせる絶妙なスパイスになっていると思う。素晴らしい。 -
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BS番組「あの本読みました?」の文芸誌特集で取り上げられているのを見て興味を持ち、まずはこの第2号を取り寄せました。
朝井さん、一穂さんをはじめとする既読の作者だけでなく、名前は知っていても未読の作者もずらーッと並ぶラインナップで、「もっと読んでみたい」という気持ちが駆り立てられました。
特に今号では「悪」をテーマにした短編に引き込まれました。話の中身も紙質を含めた本の装丁も興味深く、ウキウキしながらページを捲っていきました。
雑誌をこんな気持ちで読むのは、幼いころに手にした漫画の月刊誌以来ではないかなと思ってしまいました。第3号の方ももちろん手に取りたいと思います。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ気になったところからつまみ読み。
三浦透子さんのエッセイ、これは時を置いてまた読みたい。
私も、”自分の倫理観を育てる努力”を見習って実行しよう。
また、三浦さんがいつか振りがざすかもしれない大きな刀とやらを見てみたい、そんな気もしている。
最近、短歌を読み始めた。
千早茜さんのエッセイ中にある日記を読みながら、この感覚短歌になりそう、と思う箇所についつい付箋を貼った。
歌を沢山読みたくなった時、まずは日記を認めてみる、その中からこの感覚忘れたくないと思う場面を短歌にしていく。
旅に出たら、やってみよう。
掌編とはなんぞや、それも知らずに読んだ方丈貴恵さんの「落書き」。
うん、掌編を知らないまま読んで良かった。
エッセイか何かの類の感覚で読み始めたから、そこの驚きも加わって短い文章ながら大いに楽しめた。
上坂あゆ美さんが出会った”とある歌集”が気になる。
私自身、ないものだらけの人間だと思っているから。
でも大事なものはあると思っているから。
このまま生きていこうと思っているから。
それにしても、特集”悪”は私には刺激が強過ぎる。
一つ一つが簡潔ではあるも内容が濃く、幾つも続けては読み続けられない。
特集”旅”の部分は大方最初に読んでしまったため、2号内でこの濃さを薄めることはもう出来ない。
仕方ないので、日常的に読んでいる超平和〜な短編を幾つか読み、また刺激が欲しくなってきてところで”悪”を読み進めている。。。
「全身政治家」上村裕香
やられたー