あらすじ
国会で働く碧は、その「声」に耳をそばだててしまう。滑舌よく明瞭な声の主は新聞社政治部記者の西口。食堂の定位置――碧の隣のテーブルで忙しなく騒がしく食事して去る彼は、日々をひっそり重ねる碧とはまるで正反対だった。しかしある出来事を境に、西口は碧を何彼と構うようになる。彼の素顔に触れるにつれ、次第に惹かれていく碧だが……?
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Posted by ブクログ
なんでこうも一穂さんのお話は私のストライクゾーンど真ん中をくるんだろう、というくらい読んでいて大好き!となるくらい良かったです。
メインの2人だけではなくて、途中に挟まれるその他の人物の生き方というか、その人の人生に関わるお話が私はぐっときました。
Posted by ブクログ
梅雨入りBL再読祭り第四弾♪
またまた新聞社シリーズです
え〜〜⁈
同じ職場にこんなにゲイカップルがいるはずねぇし
と思いますよね?
そこは無視してください!
BLあるあるですから!
わたし達がスピンオフが好きなの作家さんもわかってらっしゃるんですから\(//∇//)
こちら2012の作品です♪
政治部記者・西口と国会議事堂で働く速記者・碧の年の差カップル♡
速記者ってナイスな設定
作品中に碧が自分達が最後の速記者だろうって言うんだけど…廃止されたのかな?
西口は「間抜け面の下にプライドがそびえてる」
と同僚に言われる男です笑
エネルギッシュで仕事もできる口は悪いし下品
だけど律儀で小心者の寂しがり笑
正反対に碧は祖父母に育てられた地味だけど毎日を丁寧に暮らし、自分の仕事は黒子ですから…
透明人間のような存在です…と卑下することなく素直に思っているようなひっそりと優しい男です
国会議事堂の食堂で毎日自分で作った弁当をひっそりと食べる碧に、美味そうな匂いに釣られて話しかけてきた西口
これをキッカケにガンガン飲みに誘ってくる西口
碧は戸惑いながらも距離が縮まることが嬉しくて…
実は碧って毎日弁当食べながら、西口の賑やかな様子を見て憧れていたんですよね〜♡
今作も新聞社、政治家、国会のあれこれ
お仕事の部分はガッツリあってなかなかシリアスな内容もありで、ラブはノンケ同士の戸惑いもありつつ可愛い2人で最高に面白い作品
新聞社シリーズのメインカップル?の良時と佐伯も飲みの席でちょくちょく登場して良い味出してます笑
この作品は何回読んでも面白くて好き:.゚٩(๑˘ω˘๑)۶:.。♡︎
匿名
西口さんの印象って薄いよなぁと思ったのは、静や佐伯の話があまりに濃かったからなのかな(笑)
同期の二人に比べると、軽い印象(ノリと勢いで生きてるような?w)だけど。
けっこう鋭い洞察力があったり、周囲への気配りなんかも出来て、やれば出来るんだね~なんて。
一穂ミチさんの作品は読み始めるとすごくハマってきて、今作も個人的にはすごく丁寧に読み進めた作品だった。
日常生活のことや仕事のこと、おざなりではなく、丁寧な描写もあったし、登場人物の生活の中でいろいろあって・・・という、ごく自然な流れがすっと入り込みやすいのかなと感じた。
良くない方wは相変わらず。通常運転で何より(笑)
なんか知的なBLだったわぁ
速記者、政治記者、国会、スクープ、普段BLを読んでいてほとんど聞かないワードが満載だった。政治家と一般人とかいうCPもいるにはいるけど、速記者は無かったなぁ〜。とても興味深くて斬新で面白かった。ガッツリ女性が絡んでいるのも私は嫌ではなかった。稀有な上質なお話だった。
穏やかな主人公
シリーズの中で1番ストーリーが暗くなくて、穏やかな主人公でした。
料理ができて掃除洗濯が好きで縫い物まで出来るとか、嫁にしたいわ!
「off you go」に出て来た西口さんがお相手とは驚きました。リアリティがあるのに、ドラマチックな展開でとても楽しかったです。
星五個じゃ足りない
文庫で初めて読みました。
今まで読んだ数百冊の中でも相当お気に入りの作品で、今もよく読み返します。
スピンオフ作品もあるけれど、この作品ほどの感動と癒しは感じない。
表紙も気に入ってます。
本当に良い小説を読んだ時の心地よさがこの作品にはあります。
静かな時間と愛しいと思う気持ちが、とても良い形で、交差してこの物語を作りだしてます。
何度読み返しても新しい発見があるお話。
読み込むほど、この作品の良さを、実感しますね。
スピンオフ作品には、短編が掲載されてますけど、スピンオフ作品が、下品なのでこの作品の邪魔になってますし、あれでは物足りなくなります。
改めて、この作品の続編出して欲しいです。
Posted by ブクログ
【よかった!】
男性記者×速記者というカテゴリーも、年齢差もキャラクター性もいつも手にするものとは違って困惑しながらの読み始めでしたが稀有に終わりました。子どもっぽい年上×しっかり者の年下。『イケメン、キラキラ、恋愛、行為に申し訳ない程度の仕事シーン』ではなく、ちゃんと仕事をしてその延長に恋愛がある。フィクションであるものの現実味があったところがとてもよかったです。
Posted by ブクログ
久しぶりに一穂ミチを読んだ。やっぱり上手いと思う。また、恋愛小説としてすごく上手いと思う。以前は何かしゃちほこばった所が気になって、読後に手放しで愉しめた感がなかったのだが、これは愉しかった。この1年分位の作品を読んでいないので、空白を埋めたくなった。
Posted by ブクログ
シリーズの中で一番しっとりした受け、一番若いのにねww
静かに目立たず暮らしてるけれどチマチマしてる自分を恥ずかしく思ったり、文庫本の傍線に嫉妬したり、かわいいのだ。
西口に可愛がられてさらにかわいくなっていくのかな?
それにしても、『耳の付け根から頬骨に続くラインが好きだ』って一文は本当に心臓ウチ抜かれそうになった。
一穂さんの文章は何気ないところにいつもすごいものが隠れてる。
Posted by ブクログ
off you goのスピンオフ…的な。
off~に比べたらスイスイ読めました。西口さんと碧くんの関係もわかりやすかったし。
碧くんの女子力半端ねぇよ←
すみれちゃんの葛藤に、共感する部分が多かったです。
こう、男社会の中での女の立ち位置、みたいな。私は彼女ほど強くはなれなかったですが。
お仕事小説としても読めるかもですね。
Posted by ブクログ
少しずつ気持ちに気づいていき、初めから好きだったと思う。この話の流れがとても好きです。
2人とも仕事を大事にしている所も、いいな。
相変わらずの佐伯の鋭さと意地悪さも健在で、、、
いずれ、佐伯と静、西口と碧のお互いの関係が知れて4人で飲んだりするのかなと、思ってみたり。
『off you go』のスピンオフだとは知らずに読みました。道中で佐伯と良時の懐かしい二人が出て、びっくり半分嬉しい半分…
速記ってすごいですね。こんな素敵な職業がなくなるって時代の変化が少し悲しくなりました。
Posted by ブクログ
主人公のふたりはもちろんのこと、
その他の登場人物も含め
心情がとても細かく描かれていて、面白かったです。
なんだかとってもしっくりくる、
いい影響を与え合っていくふたりだと思います。
何度も読み返しそうな予感。
Posted by ブクログ
▼あらすじ
国会でひっそりと働く碧。がさつで忙しない新聞記者・西口とふとしたことから言葉を交わすようになり、少しずつその素顔に触れて…?
***
★4.5
国会議事堂を舞台にした新聞記者と速記者のお話で、ガチめなお仕事BLです。
私、この作品がシリーズものだという事を作品を読むまで知らなくてですね…。
勿論、他のシリーズ未読でも全く問題無かったのですが、表紙を見て勝手に攻めは紳士系のおじさんだとばかり思っていたので、中身をチラッと確認した時に紳士とは程遠いキャラクターで少し落胆してしまい…。
元々、政治関係の話にまるで興味が無い人間な事もあり、買ったはいいものの何となく読むのを後回しにしてしまっていました。
でも、一穂ミチ先生の作品なのできっと面白いだろうとは思っていたんです。
そしてその予想はやっぱり裏切られませんでした。
政治の小難しい話が苦手なので、最初は詳し過ぎるお仕事描写が却って仇になり、少し読み辛さを感じたりもしたのですが、中盤からグッと引き込まれ、そこからは一気に読んでしまいました。
人物の心理描写、センスのある言葉選び、テンポ良く繰り広げられる言葉の応酬やちょっとした仕草の描写など、ほんのりと文学的要素を含んだ一穂先生の文章は読者の心を引きつける凄まじい力を持っていると言いますか、とにかく一穂先生の語彙力と表現力の高さに改めて驚かされる内容でした。
そして出て来るキャラクターは皆、きちんと個性を持っていて素晴らしいな、と。
(佐伯は露悪的過ぎて個人的にはちょっと苦手な部類でしたが…。)
特に私はすみれちゃんと松田さんがお気に入りで、この二人の印象が強く残りました。
すみれちゃんは受けと同様に攻めに恋する女性であり、攻めの同僚なんですが、BL小説に出て来る女性キャラにしては珍しく、かなり好感の持てる女性でですね…。
同じ女として共感出来る部分もあったりして、魅力的なキャラクターだと思いました。
松田さんは受けが唯一心を開いているとある隠居老人なんですが、最終的に明かされるこの人の秘密があまりにもインパクト強過ぎて、何だか作品の美味しいところを全てこの人に持って行かれているような気がしなくもないんですよね…。
ただの老人だと思っていたら実は伝説の人物でした、なんて格好良過ぎるでしょ!
しかも凄く悲しい過去を抱えていて、これがまたほんのりとBLの香りがするもんだから余計印象深くて。受けとの別れのシーンは何だか無性に悲しくて少しヘコんだぐらいなんですが、そういった部分を含めても、松田さんの下りは意外性があって凄く良かったと思います。
まぁ、おかげで自分の中では攻めよりも松田老人の方が格好良いキャラという評価になってしまったのですが…(笑)
因みにエロの方は最後の方にちょろっとある程度なんですが、エロが無くてもこのお話なら十分楽しめただろうな、って思います。
それくらい読み応えのある作品でした。きっと、西口みたいな子供っぽさを残したオッサンが好きな方には堪らない作品なんじゃないでしょうか。
私はもう少し落ち着いたオッサンが好きなので、西口が自分の好みど真ん中のキャラだったらきっと文句無しの神評価を付けていたに違いないです。
ついでに言うと受けは割と好みでした。他の人が同じキャラを扱えばただの地味キャラで終わってしまいそうな碧ですが、一穂先生が書くと“地味”という名の個性がしっかりと輝くから凄い。この作品が高評価なのも頷けます。
Posted by ブクログ
速記者という仕事があるのは知ってたけど、こういう特殊な職業を絡めたお話って珍しいしすごい。国会だとか新聞記者だとか自分の知らない世界が描かれてるのを読むのも興味深かった。お互い気になってた存在でひょんなことから親しくなっていって距離が近づいていく…っていう過程の描写ほんと上手。グイグイ引き込まれました。祖父母や松田さんとの交流のシーン好きだな〜。くっついたあとの甘い2人にもきゅん。2人とも可愛いー。あとがきに、表紙にある速記文字について書いてあっておぉ!って思った(笑)読んだあとだから余計(笑)
なんつーか
むちゃくちゃ自然だな!何がって恋に落ちる過程がさ(笑)バツイチ仕事第一オヤジ新聞記者の西口と国会速記者の恋愛経験値ゼロ以下で何か体温低めな碧、、おいおい一体どんな組み合わせだよぉ〜と始めは不安でした(笑)。2人が気持ちを確認し合う件、そこに行き着くまではかなりの道程を要しますが、あまりに当然の如くサラっと吐露しちゃってアレ?って思う間もないくらいです。続いてアレ?って思う間もなく体も疎通しちゃうわけですがね(笑)。一穂さんの考察力と心理描写の丁重さにスっと話に夢中になれて、更にバツグンの構成力と表現力で舞台が小難しい内容を伴うにも関わらずスラスラ読み進められました。この記者シリーズ、業務内容もキッチリ書かれててそれが面白いのも驚きですが登場人物がそれぞれに良いモノ持ってて人間臭くて魅力的、シリーズ通して力一杯オススメしたい!
Posted by ブクログ
キャラクターが良かった。ノーマルな攻を、包容力と控えめだけどしっかりした人間力で惹きつける受が新鮮でした。攻はオジサンだけど職業柄もあってか若々しくやんちゃ。その対比が面白かった。この二人がどういう感じで恋に落ちていくのかワクワクして読みました…が、その辺はあまり表現されていなかったような。それらしいエピソードは重ねていたんだけど、恋愛に至るまでにはちょっと足りない感じ。でも前述のようにキャラも良く、背景になるお仕事描写も興味深いのでその辺気にならない人は気にならないかも。気にする人でも読み返す魅力を持った本です。
Posted by ブクログ
人気の作家さんなので試しに読みましたが、テンポが私好みじゃなくて、少し残念;でも、表現が上手くて素敵な作家さんだと思います。もう一冊買ってあるので、それも後日読んでみます!
Posted by ブクログ
西口、佐伯、良時の三人の会話が楽しかった。人の悪い佐伯が特に。
この話で速記ってすごいなぁ、と勉強になりました。
出でくる人物、全てに意味があるんだなぁと楽しかったです。
Posted by ブクログ
ここまで一穂さんの作品読み続けてきて、漸くビビっと感発動。
相変わらずの特殊職業設定に辟易したものの、もうこの蘊蓄は
読み流してしまおう、と思ったら内容に集中できました。
40過ぎのバツイチ草臥れたオッサンと地味青年の淡い恋
という感じです。青石さんの温度感低めなイラストが絶妙に
マッチしており、何より私の好みの『一重受け』
美形や美人の象徴である二重設定よりも、この涼しげな一重が
大好物の私としましては、それだけで高ポイント。
内容としましても淡々とした中に暖かさがあって、なによりも
受の祖父母のエピソードに涙腺刺激される……。
恋愛面は相変わらず唐突ななだれ込み桃色で、その辺について
だけはガッカリ感が半端無いですが、あのシーンは桃色じゃなくて
ちゃんとごはんを食べて欲しかったです。萎えました。
正直一穂さんの桃色ってBL小説の中ではちょっと……という
感じなので、いっそ朝チュンでいいのに、と思ってしまいます。
Posted by ブクログ
政治部新聞記者×国会速記者
特殊な文字を用いて、十分間に4000字というスピードで、ほとんど正確に国会の答弁を表記する。何より速記者という職業に萌えました。
速記、あるいはそれを仕事にする人がいることは知っていたけど、恥ずかしながらその速記者の手法までは知らなかったので、国会で黒子に徹する碧がとにかくかっこよく見えた。そしてそんな速記者の碧が書き留めたいと思う声がある。最序盤だけどこのあたりの、ただ耳を澄まして西口の声を聴く碧の描写にときめきました。たとえその西口の話す内容がAVのことであれ。
一穂さんは初めて読んだけど、文章が上手かったので他の作品も読んでみようかなという気になった。西口と碧が距離を縮めていくさまも丁寧でとても良かったと思う。ただ、最後の最後でエロシーンがどうしても唐突な感じがしてちょっと笑ってしまった。枚数上限に無理矢理エロぶっこみました感が。これだったらエロないほうがいいなって思うくらい。もしくはもうちょっとページ数増やして、無理のない展開でエロにもっていくとかしてほしかったなあ。ていうか最近BLにエロ無くてもいいやって思ってるので個人的にそう思うだけかもしれません。
これだけ文章の巧みな作家さんなので、国会を舞台にした比較的特殊な職業モノではなく、学生とか普通のリーマンとかもっとド直球のものが読んでみたい。
あ、それからサブカプと呼んでいいのかわからないけど城崎誠士郎と杣友弘之の二人が気になった。「……その時から人生は狂った」だの、一人で行かせたことを後悔している、だの。当時の二人のことが知りたくなったし杣友さんのその後も気になってしまった。
オースターの『ムーン・パレス』は是非読みたい。
Posted by ブクログ
久々にBLを。初めて読んだ作家さん。速記者と新聞社記者という組み合わせが面白い。一応エロいシーンはあるけどあまりエロありきという感じではない。でもドキドキした。仕事ぶりや人間関係の描写に意外なほどのめり込んでしまった。
Posted by ブクログ
『off you go』のスピンオフ。政治記者×国会速記者。
男性には痛いだろうと思う。ぐさぐさーっと。西口ののりは傷つきやすさの裏返し。
ほとんど仕事の話なのに面白い。会話のリズム!
色々とタイムリーで…生々しい政局や黒子…自らを黒子だと碧が言うから ほんとに 黒子っちで読んだ。大人しいのに言うことは言う。
同期の佐伯と静と対称的な女性二人と面白いご隠居さん。登場人物が生きていて…ちょっと生々しい。佐伯の毒舌 絶好調!
萌えどころは…?… 面白いからいいでしょう。
Posted by ブクログ
★3.5。国会で働く二人。新聞政治部記者×速記者。BLよりも仕事に懸ける人々の交錯や人生観など、よく調べて書き上げてあるなぁと今回もそちらのほうが感想一番。受けが地味なわりにはズバッとはっきり言うタイプ(短気?)なのに、既婚者という誤解はそのままにしておくのか…?受けがちょい苦手なんで、お仕事小説としては良かった。
Posted by ブクログ
ちょっと設定に背伸びを感じたかな~、と思った。
一穂さん、ここんところ、キャラクターの設定に幅を持たせるためか、色んな職業のひとが出てくるな~と思っている。そして、それを書くためにすごく取材とかもされてるんだな~とは思うのですが。
そんなにキャラ設定、凝り過ぎなくても、同じような話が書けちゃうんじゃないかな、というのが正直なところ。ここ数作で感じてしまう。
それだったら、もっともっと、ごく普通でいい。
……と、国会の速記に知り合いを持つ身としては思ってしまった。
まあ、目立たない、目立ってはいけない、みたいなのはおもしろいとは思いますけどね。そういうキャラの話なわけですし。だけど、なんか…違うんだよな。
もっと、はじめから一穂さんに近い設定の話の方が、確実におもしろいのでそう思いました。
でも、最後までちゃんと読ませる。それは一穂先生の力だと思います。なんだかんだいっても、ちゃんと好きです。
でも、もっとねちっこいのが読みたいですよ~、先生!ちょっとここんところ爽やかすぎますw
Posted by ブクログ
国会速記者の碧(へき)の仕事は、耳をそばだて議員の発言を一字一句逃さずに書き留めること。自分の気配を消し、耳と目と手と頭だけを働かせる。
そんな碧が書き留めたいと思う声の持ち主がいる。
明光新聞社政治部記者の西口だ。
美声ではないけど、滑舌がよく、センテンスの区切りが明瞭。がさつな印象だが、不思議と下品ではない。後輩にも慕われ、よく下世話な話に興じている。最初に気になったのは声だけだけれど、次第にその人となりに興味を持つようになる。
ちょっとしたきっかけで言葉を交わすようになったふたり。
碧と同様に、西口の方でも
物静かで地味だけど、楚々とした碧に好奇心を抱いていた。
そのまっとう過ぎるほどまっとうで、何事もスルーしない性格。聞き上手で、情が深く、知らぬ間にスルッと入ってしまうような懐の深さ。
いつしか惹かれあうようになる。
このふたり、静と動というか、われ鍋にとじ蓋というか、お互いにないものを補えるようないい関係だと思う。18才もの年齢差を全然感じさせない。碧が老成してて…ww
西口は、碧が最初に思っていたよりも、ずっとナイーブでプライドが高くて、でも少し臆病で、ズルくて、大人って面倒くさいなって思う。
プライドとか矜持とかしがらみとか未練とか。色々あるんだなって。
大人だから、愛とか恋とかばっかり言ってられない。
でも、大人だって、やっぱり恋をするんだ。ただネズミ花火みたいにクルクル跳ね回れないだけで。
キラキラした高校生カップルみたいな、目がつぶれそうな眩しさはないけど、静かに胸をキュッと捕まれるような、そんな恋もいいかも。
一穂さん作品の中でも、これが大好きとは言わないけど、『Off you go』の空気を踏襲するような大人の難しさみたいのは悪くなかった。
でも、萌えとかトキメキとかキュンはなかった気もする。
ところどころ、小技はきかせていたのだと思うけど、攻も受も個人的にいまいちストライクゾーンじゃないので、心に響かなかったのかな。