一穂ミチのレビュー一覧
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タクシー運転手の川西青吾は、仕事から帰るといるはずの恋人中園多実がいない。
思い起こせば多実は一泊旅行に出かけているのだった。「お土産、楽しみにしてて」と言い残して。
翌日になっても帰ってこなく連絡もとれない。
その後警察から、多実が見知らぬ男性と五島列島の遠鹿島で海難事故に遭い行方不明になったと知らせがくる。
青吾は男性の妻沙都子と一緒に、事故の真相を求めて遠鹿島に向う。
そこで多実の過去だけでなく、青吾の過去もわかっていくお話。
序盤の青吾が多実が帰ってこなくて警察に相談に行こうか迷っているシーンで心つかまれた。青吾の焦りや不安、迷いの表現がリアリティーがあった。
突然恋人がいなくなっ -
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ネタバレ境遇の異なる2人の女の子が、寂れた団地の片隅で偶然出会い、かけがえのないひとときを過ごし、離れ、そして月日は巡り…。
ひとりの人をこんなにも深く思うことを、2人の立場から時に残酷なまでに美しく儚く描かれていて、先はとても気になるのに一気に雑に読んでしまうのがためらわれて、途中からあえてスローペースで味わって読んでいた。文字だけのはずなのに、モノクロの場面、セピア色、太陽光に照らされた眩しい鮮やかさ、色々なシーンが読んでいるだけで次々に浮かんできた。
ちょっとネタバレになりますが…
一番ハッと息を呑んだ場面は、高校での2人の再会のシーン。結珠目線で描かれた果遠の美しさ、目が合う瞬間。すごく好 -
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裏表紙にも書いてあったのだが、「こんなに人がひとを想う気持ちを最高純度で描いた」作品は見たことがない。印象的なセリフとその時の描写を心を掴んで離さない。どんな景色も美しく2人を思いやる気持ちがどんな淀みも許さず脳内に映し出される、活字からこんなにも美しい世界を見せてくれるなんて人はよくできた生物だと思うと同時に著者の技術の高さに驚かされた。これはネタバレになるが、第2章までは果遠が結珠に対して「光のとこにいてね」と言い、はぐれてしまったのに対して最後は結珠が懸命に追いかけるこの演出はこの物語の終わり方としてこれ以上ないものだったと思う。またその描写も結珠の必死が文字を通してダイレクトに伝わって
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題名の意味を考えながら読むけれど
結局しっくりくる答えは判らないままだった。
ずっと正解が何かもわからない中で生きていかなければいけないことが、日常には山ほどある。
どの側面を見て、信じて生きていくか。
「信じることって、その人に期待してしまっていることなのかもしれない」というようなコメントを
芦田愛菜さんが何かの映画の登壇の中で言っていたけれど、
相手に期待したい部分を勝手に「信じている」と伝えて安心したい、結局は傲慢なんだろうな、という真実を突きつけられるような読後感だった。
すごく繊細で、一穂ミチさんの血や涙が沢山注がれて作られた作品のような気がして
安易に感想を述べられない。 -
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ネタバレ2026年、読書初めの本はこれでした。あらすじのとこに書かれていた「人がひとを想う気持ちを最高純度で描く」という文言に惹かれて購入。結果、そのままだったと言ったらつまらないけど、誰も介入することを許さないような2人の間にある記憶、2人だけの本音等を一穂ミチさんの臨場感のある描写で感じられたのは贅沢だと思った。年始のだらけた私にはとても鮮烈だった。最後の果遠の決断は「よく言えたな〜」って感じだったけど、結珠を目の前にしたら期待しちゃってて可愛かった。こういう系のストーリーは男女で描かれがちだけど、初めて女性同士の純愛的なのを見て多様性ではないけど愛の所在は別にどこでもいいっていうか(適当ではない
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ネタバレ一穂ミチ初。
主題である性犯罪(盗撮)を起点に巡りめく人間模様。勧善懲悪では無いしかといってもちろん容認することはできない煮えきらない物語。人それぞれだよでは済まされない出来事に対する価値観や行動は、読み手にその先の思考を促す。
第一部は事件をめぐって新夏と啓久の関係性の趨勢。第二部は啓久のその後と周囲への違和感。女性の日常に蔓延る不安と恐怖。男性の無遠慮。
ことの大小に関わらず起こっているんだという無力感に苛まれるが、やはり第二部莉子から啓久への言葉、カテゴライズされたフィルタを外した「尊重されている」という気持ちを育むことが肝要なのだろう。好奇の眼に晒される現実は完全には拭えないかも -
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日常の片隅にある“とても小さな世界”をすくい上げた短編集で、6つの物語がゆるく繋がりながら進んでいく構成が印象的でした。読み始めはそれぞれ独立した短編のように感じますが、読み進めるうちに少しずつ人物や出来事の関係性が見えてきます。
特に心に残ったのは、最後まで読んで初めて「スモールワールズ」というタイトルの意味が理解できる点です。ラストで全体がひとつにまとまることで、それまでの物語の見え方が変わり、自然と「もう一度最初から読み直したい」という気持ちになりました。ゆるく繋がっていたからこそ、気づいたときの発見が大きかったように思います。
また、一穂ミチの文章はとても繊細で、「分かり合えなさ」 -
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ネタバレ光のとこにいてねとその人のために願うことがどんなに尊いか。幼い頃ふいに言っただけの偶然の言葉だけれど、きっと心の奥底でずっと彼女に願ってる。
愛でも恋でもないけれど間違いなくふたりは運命だとわたしは思った。そんな関係があってもいい。
わたしがあなたの光になってあげる、ほど高慢じゃなくてずっといっしょにいよう、っていうほど不安定な希望じみてない。ただ幸せでいてほしいだけ。
インタビューで「言葉にできない関係を言葉にできないままに表すことができてよかった」と一穂ミチ先生は仰ってた。言葉にできないままって難しい。一穂先生
はすごい。
ふたりでいっしょじゃなくても、どうかふたりとも光のとこにいてほ -
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人は
身近なひとが
側にいなくなって
初めて どうしようもなく
大切な存在だったと気付かされるのかもしれない。
ゆっくりと、ゆっくりと、潮が満ちてくるような
ストーリーの展開だった。
その言葉の運びが、心地よかった。
一穂ミチさんの作品は初めてで、優しく静かに流れるように核心に迫っていく様子は、現実離れしているところもあるけど、不自然さを感じさせなかった。
「人生は手が届かなくなってからしか
答え合わせができない。」
私も思い当たる節がある。
今、目の前にいる人と、もっともっと話しておこう。
いつか、突然、目の前から消えても後悔が残らないように。。。
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生まれ育った環境は違えど、歪な母子関係にあるという共通点を持った2人の少女の愛を見守る物語。
一穂先生の作品は初めてでしたが、状況や心情の描写が細かく、かつ分かりやすい表現でなされているので、まるで自分が主人公の2人に憑依したかのように、生々しく物語を体験できました。
団地に暮らす果遠と、裕福な生活をする結珠は、小学2年の頃に偶然出会い、親密になる最中で別れを強いられます。高校生になって再会を果たすも、同様に離れ離れになってしまいます。そして、大人になって…。
タイトルにもなっている"光のとこにいてね"は、果遠のセリフとして度々登場しますが、そのときどきによって意味合いは変