一穂ミチのレビュー一覧
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人は
身近なひとが
側にいなくなって
初めて どうしようもなく
大切な存在だったと気付かされるのかもしれない。
ゆっくりと、ゆっくりと、潮が満ちてくるような
ストーリーの展開だった。
その言葉の運びが、心地よかった。
一穂ミチさんの作品は初めてで、優しく静かに流れるように核心に迫っていく様子は、現実離れしているところもあるけど、不自然さを感じさせなかった。
「人生は手が届かなくなってからしか
答え合わせができない。」
私も思い当たる節がある。
今、目の前にいる人と、もっともっと話しておこう。
いつか、突然、目の前から消えても後悔が残らないように。。。
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Posted by ブクログ
生まれ育った環境は違えど、歪な母子関係にあるという共通点を持った2人の少女の愛を見守る物語。
一穂先生の作品は初めてでしたが、状況や心情の描写が細かく、かつ分かりやすい表現でなされているので、まるで自分が主人公の2人に憑依したかのように、生々しく物語を体験できました。
団地に暮らす果遠と、裕福な生活をする結珠は、小学2年の頃に偶然出会い、親密になる最中で別れを強いられます。高校生になって再会を果たすも、同様に離れ離れになってしまいます。そして、大人になって…。
タイトルにもなっている"光のとこにいてね"は、果遠のセリフとして度々登場しますが、そのときどきによって意味合いは変 -
Posted by ブクログ
気になる人が読んでいたのと、「ツミデミック」が良すぎたので前情報なしで購入。
最初の段階で、JK青春ものか…遥か遠くに過ぎ去った青春に寄り添えるのですか?わたしは…と不安になるものの30年の眠りについたJKの今日子、双子の明日子と日々人に気づけば一気読みしてしまった。年代関係なく、夏休みという限られた期間の眩さと歯痒さとそれでいて過度に描かれすぎない思春期特有の気まずさや苦しさ。あ、これはとても良いものを読んだってしみじみ思う。 考えずに買ったけど完全版いいね 。過ぎ去った人にすこしでも自分の影響が小指の爪くらい残ってるの好きなんだよね。
1番好きなワード
じゃーん!やったね!! -
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ネタバレ新しい百合小説だーやったー!
とか思って読み始めたけど、読み終わった今、当時の自分をぶん殴りたい衝動に駆られている。
対極に位置するような環境で育ちながらも、心には同じような闇を抱いている二人。
互いの心のスキマを埋めるような関係を築くも、自身を日陰者と早い段階で理解する側は、もう一方の幸福を願って自らを顧みず、「光のとこにいてね」と諭し続ける。人生で初めて出会った「光」に影が差すのを見たくなかったのだろう。
こういうとき、端から見ると整った家庭環境にありそうな側がより不幸に見えるのはなぜだろうか。おそらくそういう恵まれた状況においても解決できないことがあるという絶望感みたいなものを感じてし -
Posted by ブクログ
BS番組「あの本読みました?」の文芸誌特集で取り上げられているのを見て興味を持ち、まずはこの第2号を取り寄せました。
朝井さん、一穂さんをはじめとする既読の作者だけでなく、名前は知っていても未読の作者もずらーッと並ぶラインナップで、「もっと読んでみたい」という気持ちが駆り立てられました。
特に今号では「悪」をテーマにした短編に引き込まれました。話の中身も紙質を含めた本の装丁も興味深く、ウキウキしながらページを捲っていきました。
雑誌をこんな気持ちで読むのは、幼いころに手にした漫画の月刊誌以来ではないかなと思ってしまいました。第3号の方ももちろん手に取りたいと思います。