一穂ミチのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
30手前の受付嬢とお笑い芸人のあれこれ
柳井美雨はアーティストのライブ中に、自分な好きな曲を口ずさんでいる警備員を見かける
口の動きで「ふんすい」と言われたため、ライブ終了後に近くの噴水で待っていたらその男 矢沢亨が現れ、自宅にタクシーで連れて行かれ、靴擦れの手当をしてもらう
美雨は亨からライブのチケットを貰うが、それはお笑いライブ
偶然の縁から始まる名状し難い関係
登場人物が他にも色々
斉藤千冬:美雨と同じ受付嬢
亨のシェアハウスの住人達
ピン芸人の郁子
ボケ担当のじゃがいも頭の浜島誠 通称マコ
ツッコミ担当マッシュルーム頭の宇佐美無限 通称ネバー
亨の相方「安全ピン」の弓彦
安全ピンのコントは亨が女装し、夏子というキャラクターになってコントを演じるというもの
如何にもな芸人の女装ではなく、誰かをモデルにしたかのようなディテールの夏子
コントのオチも悲しかったり切ない終わりを迎える事が多い
作中で松本人志の弓彦評
「俺だけがわかる」と思わせるところ
松本人志の著作「遺書」でも、お笑いは野球のホームランのように万人が疑いようのないホームランがあるという感じの記述があった
まぁ、所詮なお笑いは突き詰めると好みだからなぁ
それこそ、狭い範囲を対象にしてる程面白いという笑いもある
それの、皆面白いと思っているけど、本当にその凄さをわかってるのは自分だけという勘違いをさせるところがすごいという事なのだろうな
ただまぁ、松本は今となってはアンタッチャブルな存在になってしまったなぁ……
全体的に、やはり一穂ミチさんはBL作家の印象をうっすら感じる
弓彦が夏子に抱いている感情は違うのだろうけど、そこはかとなく感じられるBL感
それにしても、葉月さんさぁ……
それまでの答え合わせのような登場の仕方ではあるのだけど、インパクトが強い
本当は弱い存在ではないけど、田舎や本人の生い立ち故に、自分の強さを過小評価してる
亨に相続放棄をいきなり求めるあたりはしたたかだよな
それにしても、亨どっちに署名捺印したのでしょうね?
どちらの可能性もあるけれども、多分放棄したのだろうな
「スモールワールズ」でも一般的ではない歪な家族関係を描いていたけど
今作も継母という存在に恋してしまった関係が描かれている
一穂ミチさんはこんな物語を書くのが上手い
総じて、この作品は映像が脳内に浮かぶ
特に小気味いいコントのシーンとか
なので、映画化しやすいのでは?と思う
読んでいてコントや漫才が容易に想像できる
一穂ミチさんはお笑いのネタも書けるんじゃなかろうか?
芸人を描いた物語だと
又吉さんの「火花」を思い出す
あれは芥川賞なので純文学というくくりになるわけだけど
大衆文学のエンタメとしても読めると思う
今作はさらに一般向けのお笑い芸人小説になっている
あと、芸人が主人公の物語だろ
菅田将暉主演の「コントが始まる」を思い出す
お笑いトリオ「マクベス」の3人がマンションの一室をシェアしてる話。
あっちは売れない芸人で、実際にコントもそんなに面白くない
あともうちょっと何かを変えたら面白くなりそうな要素はあるのに面白くないという絶妙なコントだった
物語に登場する漫才やコントの質も作品のリアリティに大きな影響を与えてるなぁと思う
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29歳、流されるままの人生の中で、売れないお笑い芸人と出会った。
なんてことない毎日がきらめきだす、ちょっとへんてこな恋愛小説。
結婚には興味がないし、仕事も食べていけるだけの収入があれば十分。受付嬢として働く柳生美雨が三十歳の契約終了を前に出会ったのは、売れないお笑い芸人の矢崎亨だった。亨や相方の弓彦、シェアハウスの芸人たちと遊んで過ごす中で訪れる「嵐」。周りに合わせて生きてきた美雨が見つける、初めての希望とは?
掌編「夜間降下」を特別収録!
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購入済み
とても入り込みやすいです。国江田はやたらと悪態をついてますが、何やら可笑しみがあって、でも何かありそう。面白い。国江田も都築も表情が素敵で、すっかり持っていかれました。続きが楽しみです。
原作は名作と言われ久しいですが、何故か敬遠してきてしまいました。両方読んで楽しんでいきたいです。 -
Posted by ブクログ
一穂さんは人の機微や失敗を公平な目線で書かれているなと感じた。読んだ後心が温まり、でもちょっとセンチメンタルにもなり、他の登場人物の話も見てみたいなと思う作品だった。
たまたま大阪出張の時に読めたこともあり、地方と仕事について色々考えさせられた。
どの人も完璧ではないところが、親しみを覚えて、それぞれの悩みに自分なりに戦っている姿に活力をもらえる。
〈冬〉眠れぬ夜のあなたの結花の春一に向けた「傷つきやすいくせして無神経」は我が家に向けられた言葉に感じた。人の機微を感じれる人になりたいと思った。
震災や災害の話題も多く、「ほんのちょっと日常のルーティンがずれた時に限ってあんな大地震が起こるなんて・・」は、実体験はないが心に重くのしかかった。日々のことを当たり前にやることやれることを大切にしたいと思った。 -
Posted by ブクログ
1995年の夏、火災から救い出された堂上今日子。低体温治療で30年もの間眠らされてきた彼女が明日子と日々人の家に来ることになる。
そこから、明日子・日々人・父親(やっちゃん)と今日子との不思議な共同生活が始まり…。
30年前の描写は懐かしい。ソックタッチ、MDプレーヤー、ベル…。30年前と現代との言葉(微妙、ドヤる、ウケる…)や文化(スマホやSNS、ネットショッピング)のギャップを明日子や日々人と今日子のやりとりからひしひし感じました。
今日子が家に来るまで凍ってしまったように家族の交流がなかった門司家が少しずつ溶けていき、家族の時間が動き出していく様子が印象的でした
みんなで居間でゲームをしたり、カラオケに行ったり、食事をするシーンはお気に入り!
それぞれの心情が会話を通じて繊細にえがかれていてとてもよかったです!分かったつもりでいても、言葉にされるまで気が付かなかった人の気持ちってあるよね…。
ラストの展開は胸が打たれました…!登場人物にすごく感情移入してしまう
一穂さんの作品はいいことばかり、キレイな部分ばかりを紡がないのが私の好きなところ!読後は感想や様々な感情が溢れてきて、言語化しきれないほどに心が満たされます。
いつか再読したい!収録されている掌編も物語にさらに奥行きと余韻を出してくれていると感じました