あらすじ
まばゆくて、愛おしい。17歳の夏
何もかも過去に置いてきた今日子は、2025年夏、明日子・日々人という双子の姉弟と出会う。
30年の眠りから目覚めた少女がくれたかけがえのないときを描く、一穂ミチの青春小説の決定版。
2016年に刊行され、息苦しいほど胸を打つと評判になった話題作を大幅加筆。
本書のための書き下ろし掌編に、2016年、21年に書かれた特典用掌編×2本を収録した永久保存版。
『光のとこにいてね』『恋とか愛とかやさしさなら』著者が切実に「いま、読んで欲しい」と願った、唯一無二の物語
【目次】
きょうの日はさようなら
(掌編1)今日子ちゃんの夢
(掌編2)さよならプレイガールちゃん ―2025年冬・門司明日子―
(掌編3)堂上今日子について ―1995年 & 2025年・沖津信也―
(掌編4)あの子を嫌いだったころ ―2025年・神田朱音―
(掌編5)ガールズピロートーク ―2026年秋・門司明日子―
本書は、2016年刊『きょうの日はさようなら』(集英社オレンジ文庫)を二次文庫化するにあたって、書き下ろし掌編などいくつかの作品を加えたものになります。
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
君の名は、的なSFモノだと思ったら全然違った。
笑顔でさよならを言うための物語みたいな感じ。
一穂ミチの話はいつもブッ刺さりすぎて、感想を書こうと思っても心臓がバクバクでうまく言葉にできない。ただ大好きとしか言えない歯がゆさ。
ほんとうにストーリーがうまい。
なにげない場面が最後にぜんぶつながって本当に心地いい。
生理のシーンとかゲームクリアの話とか。
あと本編をぶっ飛ばして申し訳ないけど、明日子視点の番外編で
日々人は「忘れない」を選択したのに、明日子は「なくすたびに思い出す」っていう対比がたまらなく好きです!!!
あんま性別で区別したくないんだけど、男と女の向き合い方の違いっていうのが顕著に出てて最高だった。冷たく見えるけどそれも一種の愛なんだよな。
もーーなに読んでもブッ刺さる。助けて~~~~
非現実的な内容なのに、読み進めて今日子や明日子や日々人の会話に埋もれているうちに何も気にならなくなり引き込まれて行きます。 読み終わって切ないような静かなキラキラした思いが残っている不思議な読後感です。 一穂さんの作品はやっぱり好きだな~。
Posted by ブクログ
退屈な高校2年の夏休みが始まると思っていた双子の明日子と日々人の家に、高校生のときに起きた事故のために低体温治療をしていた親族の今日子が、30年間の眠りから覚め、居候をすることになる。
現代の生活に驚きと興味を持つ今日子。しかし、今日子にはある秘密があり…。
2016年に刊行されたものに書き下ろし掌編、2016年、21年に書かれた特典用掌編×2本を収録した永久保存版。
30年前に高校生だった方、その前後の歳だった方にはめちゃくちゃ刺さる内容がてんこ盛り。私は大学生だったけど、ちょい下の子達ってこんな感じだったよねーと、懐かしく感じた。
そして、父子家庭の明日子と日々人と2人の父親のギクシャクした親子関係。日々人と今日子のやりとり。とにかく全てが愛しかった。
設定がSFチックな感じだけど、一穂さんが紡ぐ明日子や今日子の言葉一つ一つが心に響いた。
いろいろネタバレになっちゃうけど、最後は切なすぎるし、結果はわかっているのに、今日子と沖津くんの関係ももどかしくて懐かしくてムズムズして、とにかく心に残る物語だった。
Posted by ブクログ
一穂ミチの小説のラストはどうしてこんなにも胸が苦しくもあり心にずっしりと来るんだろ
『何が変わろうともどんな未来でもあなたにとってはただのあした だから私たちは明日を待っていればいい簡単なこと会うよ』 『また会えますように 明日子より』最後のこの一文を読んだ時、自分も明日子になった気がした
Posted by ブクログ
30年の眠りから醒めた少女と一緒に過ごすようになった双子姉弟の話。
一穂さんの繊細な心情描写が青春小説にマッチして美しく流れるような感覚で読み進める。
しかし、後半からの展開は同じ感覚ではいられませんでした。
泣いちゃいけない。そう思ってもこみあげる感情は抑えられなかったです。
また胸を打つ一穂作品に出会えました。
Posted by ブクログ
ふてほど×時かけ×夏への扉のような、でも所謂タイムスリップものとは趣を異にする青春小説であり、家族小説でもあった。30年の眠りから覚めた今日子の戸惑いと順応がシニカルに描かれる前半から急転、過酷な運命が明らかになる後半の展開は泣けた。書き下ろしを含む掌編もどれもいい。表題作は2016年刊だが、舞台は2025年。なので二次文庫化にあたり大きく手が加えられたようで、違和感は全くない。元のオレンジ文庫版は未読だが、そこで今の時代がどう描かれているのかは、ちょっと気になる。
Posted by ブクログ
姉弟が冷凍睡眠から目覚めた女子高生と一夏を過ごす、特殊設定ありの青春小説。
前半は和気藹々とした全くの青春パート。
「平成の女子高生から見た令和」の描写がリアル。いきなり時代が飛ぶと、確かにこれは変に感じるかもな、というチョイスが秀逸。
また平成の描写にもノスタルジーを感じます。つい最近のようで、しっかり過去なんだ、と実感。
背景に見え隠れしていた謎に迫る後半は、切なさもあり、感傷的にもなる重めのパート。連綿と続く時間の中で生きれるって幸せなんだなって思いました。
Posted by ブクログ
低体温治療による30年の眠りから覚めた、当時女子高生の今日子と、2025年を生きる二卵性の双子のお話。今日子を取り巻く秘密が明らかになるにつれて、時間の儚さが身に染みる。物語後の彼女らの不思議な関係をついつい想像してしまう。
明日子「ひびにおんぶさせるから」
日々人「三歩までしか自信ねーぞ」
明日子「あ、バスケ部だから?」
日々人「そこは関係ねぇよ」
この2人の雰囲気すごく好き
Posted by ブクログ
夏休み直前の高校生より
今が幸せかどうかと言えば
あの高揚感にかなうものはないような
そんな気もするし
高揚感こそかなわなくとも
自分の想いで進む道を選び続けてきた
その後の時間だって
幸せだったし
これからどうしようかなと
漠然と考えている今だって
やっぱり幸せだと思う。
Posted by ブクログ
特殊な病気なんですか。人体発火なんて絶望しかないですね。リンがしみ出して摩擦で発火する。なんだか、そんなロジックが成り立つのかななって感じてしまいました。
おもしろかったかは微妙でしたね。
Posted by ブクログ
30年前、とある事件をきっかけに
冬眠させられていた今日子が目を覚ました。
そこは2025年の現代で、
時代の変化についていけない今日子は親戚の家にすむこととなる。
そこにいたのは、家族関係があまりよろしくない
父と姉弟の三人。
姉の明日子、弟の日々人、お父さんであるやっちゃん。初めは違和感が続くが、徐々に心を開き、今日子のおかげで4人が打ち解けていく様がぎゅっと詰まっていた。
とくに、今日子が再度冬眠に入るシーンは
心がえぐられた気分だったが、
最後は今日子らしくて印象に残った。
重すぎず軽すぎず、
さくっと読める1冊。
家族愛、姉弟愛、人生観、
改めて時間の大切さ
これらを凝縮して感じられるお話でした!