一穂ミチのレビュー一覧

  • ツミデミック

    Posted by ブクログ

    パンデミックで被った損害のほとんどは、誰も補償してくれない。
    本作で人が犯す罪も同じだ。
    罪を犯した人間が罰せられるという単純な結末は少ない。
    パンデミックと同じく人の運命を狂わせた後、やがて過去となり忘れられていく。

    だが罪がきっかけで意外な結末を迎える主人公もいて、こういう物語は暗い世の中を少しだけ明るく見せてくれる。

    0
    2026年09月04日
  • たぶん、恋しい

    Posted by ブクログ

    さすが。大変うまい作品集で、一気読み。ミステリーでもないSFでもない普通の小説としては、最高レベルなのでは。万人にオススメ。

    0
    2026年08月30日
  • うたかたモザイク

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    「腹は減っているのに、ごしょうばんの欲しいものは見当たらないようだった。ごしょうばんは自分が何を待っているのか、思い出した。

    また戦が来れば、うまいものにありつけるに違いない。人間が泣きながら、惜しみながら差し出すこの世で最高にうまいもの。ああ、早く食べたい。人間の足の下で、きょうもごしょうばんはひっそりと祈り続けている。腹を鳴らして思っている。
    早く戦が来ますように。誰も彼もが飢えますように。」

    全部の作品が読み応えがあり、読後感がいい作品集だった。
    どれも程よいページ数で旅先や忙しい時に読むといいかもしれない。
    ホラーだったり恋愛ものだったり、時にシニカルだったり心あったまったりして退屈するところがあまりなく多くの人に読んでほしい本だった。

    一番好きだったのは ごしょうばん
    戦中のシーンでの限りある食糧の大切さを飢餓で表すシーンと最後の1ページ半ぐらいの現代の飽食というか食べ物を 映えのために購入し、無駄にするシーンの比較がとても印象的だった。

    どの作品も読みやすい文体なのに、人物がこちらに訴えかける心情や言葉には熱があってその感触が一穂ミチの作品を好きになった理由だと改めて思った。

    0
    2026年08月29日
  • いただきますは、ふたりで。―恋と食のある10の風景―(新潮文庫nex)

    Posted by ブクログ

    切なさと愛おしさがいっぱい詰まっていてめちゃくちゃ良かった!
    アンソロジーだから自分にハマらない話もあるかなと不安だったけど全然大丈夫だった!
    むしろどれも良すぎてびっくり。切ない物語が好きな自分には刺さりすぎてすごく良い作品集でした。

    0
    2026年08月25日
  • ツミデミック

    Posted by ブクログ

    「もう二度と味わいたくない
    あの日々を、どうしてか、
    書き留めておこうと思った。」
    文庫化にあたり、著者直筆のしおりが付いていたこの作品。
    私にはとても大切な物になった。

    パンデミックと人の罪を合わせた造語の「ツミデミック」
    人間はなんて簡単な生き物だろう。
    あの思い出したくはない異常な世界を当たり前に生きて、当たり前に過去のものにしている自分に大きな失望と微かな希望を感じていた。その何とも表現し難い気持ちを、この作品は綺麗に消化させてくれた。

    パラソルでパラシュート以来の一穂ミチさんの作品だったが、読みやすく誰もが抱いている人間故の罪を暴きながら綺麗に昇華させてくれている短篇集。
    ますます、著者に傾倒してしまった。
    直木三十五賞だけあるけれど、文庫書き下ろしの「わたしの春」には涙が出た。
    大人ばかり大変だったわけではなく、子ども達が一番大変だったことを思い出したから。
    自分が時間に追われて足場がおぼつかなくなったときに、この作品を読み直そうと思う。

    0
    2026年08月19日
  • ツミデミック

    Posted by ブクログ

    コロナ禍で書かなければならなかった、書かれるべきだった作品。それぞれコロナの影響を受け、苦しんできた人々が、心の中だけでも立ち直ろうとしている。特にわたしの春の代表挨拶で白紙の紙で自分の溜め込んでいた想いを吐き出すシーンは好き

    0
    2026年08月17日
  • アフター・ユー

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    読後の余韻がしばらく、、、
    とても感情移入した。主人公のように、ある日急に大事な人がいなくなる、名前を呼んでもらえなくなる、触れれなくなると想像するととても辛かった
    消える前後、何が起きたかが分かったとしても、行動がわかっても、残された者の寂しさや悲しさは消えることも減ることもない
    でもこれからも時間は進み続けるし生きていく
    何があったのか知らなければずっと彼女は心の中で生きていたけど、知ったことでより彼女のことを知れたし、死を受け入れられた。全てを明らかにしたのが良かったのか悪かったのかは分からない、、、、

    0
    2026年08月17日
  • きょうの日はさようなら 完全版

    Posted by ブクログ

    夏に読んでよかったSF青春小説、エンドは切なくて少し苦しくなった。昨今の平成ブームとかリバイバルとかゲームのリメイクだとか、当時を知る自分にとっては好きなコンテンツが続いてくれるのは嬉しい。だけどハッピーエンドの先を示されることで、あれこれ妄想を巡らせて楽しむことはできなくなる。私はどちらかと言えばハッピー(じゃなくても)エンドの先とその先の守り方を知りたいタイプではあるけど、今日子が半端に残ったまま変わっていく世界を見て悲しくなる気持ちもなんとなくわかるなあと思った。個人的にはRADWIMPS主題歌で実写化してほしい。

    0
    2026年08月16日
  • アフター・ユー

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    現在放送中の『Tシャツが乾くまで』と似ている箇所がちらほらと…

    最後のシーンなんてねぇ
    ドラマではTシャツが配達されてきましたけれども

    ミステリーと少しのファンタジー
    夫婦(青吾と多実は事実婚)だけど、多実の過去を全く知らなかった青吾
    事件の真相に迫りながら多実の過去を辿っていく

    島という閉鎖的でしかも1人の権力者によって支えられてきた社会
    ひとつひとつ紐解かれていく事実に閉口

    公衆電話のファンタジーも私は好き

    とても面白かった

    0
    2026年08月16日
  • アフター・ユー

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    今、私はこの本をホテルで読んでいる。すごく居心地がいい。ちょっとした旅行、いいな。パーっと弾けるんじゃなくて、のらりくらりと街を歩く。

    本人はもういないのに本人が触れていたものから『本人』を解っていくなんて、そんなの耐えられない。
    どんなにわかっているつもりでも、話し合っていかなければならないときがある。

    たとえ、どんなに苦しく、その人を嫌いになってしまうような話でも。

    0
    2026年08月14日
  • GOAT Summer 2025

    Posted by ブクログ

     好きな人に、本交換で貸してもらった。読むのに1ヶ月半くらいかかった。しかし、読んでる時間はとても充実して、学生の頃の少年ジャンプを見てる気持ちになった。
     私が好きな作品は朝井リョウさんの「キトヴィオラの今」、小川哲さんの「落ち着いて」、一穂ミチさんの「おやすみなさい、小羊ちゃん」、三浦透子んの「悪と友達」だった。
     読んで1ヶ月前のものもあって忘れていたものもあったが好きな作品は、人の視点によって悪が変わる印象も持った気がする。いろんな人の悪の作品を見たが悪があれば、必ず正しさも現れる。受け手側は悪と感じてるが、行った人は正しいと思ってることもあり、人の感情って面白いなと思った。

    0
    2026年08月11日
  • アフター・ユー

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    青吾が多実を突然失い、彼女の行動の理由を追う旅に出る。喪失の痛みだけでなく、人は他者のすべてを知ることはできないという事実を突きつけた。青吾は多実の死を前に、自分が彼女の内面にほとんど触れられていなかったことを思い知ると同時に、彼自身もまた母との距離を保ち、深い部分を語らずに生きてきた人間だと気づく。多実の優しさと不器用さ、そして彼女が最後に選んだ行動を知ることで、青吾は初めて誰かを理解することの難しさと愛するということを受け入れていく。喪失の中で、青吾が静かに再出発していく余韻が心に残った。⑤

    0
    2026年08月08日
  • アフター・ユー

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    今やっているテレビドラマのような?と最初思った。面白くて先が気になるから飛ばし飛ばし読んじゃった。生きていたら良いなーって思ったけどそうはいかなかったね。

    0
    2026年08月07日
  • GOAT Summer 2025

    Posted by ブクログ

     『GOAT』第2号(特集は「悪」)です。前回の特集「愛」との対比がいいです。前回から引き続きの作家さんや初掲載の作家さんなど今回も盛り沢山で、また1ヶ月かけてチマチマ読み、完読しました。

     「悪」ならではのエンタメ・ミステリー色強め傾向で、様々な視点の「悪」へ真正面から向き合って本領発揮する作家さんの作品に、読み手も吸い込まれます。加えて、様々な視点の「悪」とは言え、最近の社会情勢を反映した「悪」が多い気がしました。

     明確な悪意がないにも関わらず、知らぬうちに「悪」に加担してしまっているケースなど…。これは他人事ではなく、改めて歪な社会構造と我が身の振りを省みざるをえません。日常に潜む「悪」、それも無自覚なだけタチが悪く恐ろしいです。

     いつ当事者になってもおかしくない、いや、もう当事者になっているかもしれない…と、自分や社会を見つめ直させてくれる作品群でした。第1号以上に文芸誌という範疇を超えて、内省と啓蒙の役割を果たしているように感じます。

     装丁もまた新たな企てが見て取れました。巻頭の朝井リョウさんの紙、なんと「NTラシャ漆黒」という名だそう。この究極の黒い紙にシルバーの文字が載っている…。凄いとしか言いようがなく、朝井リョウさんのドヤ顔が目に浮かびます。

     読んでよし、買ってよし、見てよしの三拍子揃いはそのままに、また新たな(著者・作品との)出会いや視野の拡大がありました。加えて、苦手な並行読書にも少しは慣れてきた気がします。「手元にいつも『GOAT』」を継続していきたいと思います。

    0
    2026年08月07日
  • スモールワールズ

    Posted by ブクログ

    すべて共通して、家族についての物語ではあったものの、こんなに多様な感情を引き出されるものだとは思わなかった。

    特に「ピクニック」は衝撃的で、短編とは思えないほどのドンデン返しに感情がジェットコースター並に振り回された笑

    心があたたかくなったり、心臓がヒヤッとしたり、本当に同一人物が描いてるのか疑うぐらいの表現の幅に衝撃受けっぱなしでした。本当におすすめです。

    0
    2026年08月05日
  • スモールワールズ

    Posted by ブクログ

    合うと思うと勧められた、アンソロジーでしか読んだことのなかった一穂ミチさんの作品。
    寝る前に最初の話だけ読むつもりが衝撃がスゴくて、休みなのをいい事に一気読みしてしまった。

    不穏で最後にゾワッとくる話もあれば、たくさんの人がこの話好きだろうな!自分もめちゃめちゃ好き!と思う温かい話もあって、この緩急があってそれぞれがそれぞれの小さな世界を精一杯生きてるのが現実だなぁと。

    個人的にどの話も良すぎて、一穂ミチさんの他作品も読みたくなった!

    0
    2026年08月05日
  • 砂嵐に星屑

    Posted by ブクログ

    みんな一生懸命頑張ってる。必死で余裕がない。そんな切ない物語集。

    第1話 邑子の上司の村雲清司が病死したのは去年の暮。彼が資料室に出ると聞いて見にきたら出た。たまたま見にいていた後輩アナウンサーの雪乃が明日も来ようという。5日続けて張り込んだが毎日出るが、交信はできない。

    第2話 地震。電車は運休で、線路の安全を確認しないと動かないらしい。この一年で多くの同期がテレビ局をやめた。

    第3話 結花はテレビ局のタイムキーパー。由朗とルームシェアしているが、由朗はゲイなので手に入らない。

    第4話 晴一は彼女に別れようと言われてブロックされる。芸人さんの密着取材をする。なにもかもうまく運ばない。

    終章 陽介はテレビ局でバイトをしている。

    0
    2026年08月04日
  • 砂嵐に星屑

    Posted by ブクログ

    初めて一穂ミチさんの作品を読んだ。文章がすんなり入ってきて感情移入しやすい。
    秋と冬のお話が特に好きで、最後のお話は泣いてしまった。
    短編ではあるがひとつのテレビ局が舞台ということで、それぞれのお話の主人公がまた別軸の話にも登場してきて、また違う視点から見れるという構成が面白い。
    綺麗事やお涙ちょうだい的なお話ではなくてすぐ身近にありそうな話だからこそ、心がじんわり温まって、仕事がんばろう日常がんばろうと思えた。そっと元気づけてもらえるような、疲れた心に寄り添ってくれるような素敵な御本でした。

    0
    2026年08月02日
  • スモールワールズ

    Posted by ブクログ

    ずっと小説に手を伸ばせていませんでした。
    活字を読むのが苦手で、遠ざけていました。

    本当に読んで良かった。
    こんなにも様々な人生を生きることができるのかと
    感動いたしました。

    私にとってすごく大切な作品になりました。
    心の底から出会えて良かった作品です。

    0
    2026年08月01日
  • 二周目の恋

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    【あらすじ】

    恋という言葉では到底つつみきれない、たくさんの感情と人生のシーン。
    第一線の現代人気作家たちの手で紡がれる、繊細で豪華なアンソロジー!


    島本理生 『最悪よりは平凡』特別な名を持つ平凡な容姿の私。唯一無二の存在になるにはどうすれば。

    綿矢りさ 『深夜のスパチュラ』バレンタインに手作りチョコを!壮絶な一夜の奮闘の結果は?

    波木銅 『フェイクファー』大学の手芸サークルで知った着ぐるみの魅力。数年後……

    一穂ミチ 『カーマンライン』日米で分かれて育った双子のケントとアサミが19歳で再会した。

    遠田潤子 『道具屋筋の旅立ち』容姿に関して隠したい過去を持つ優美は、初めての彼氏の言いなり。

    桜木志乃 『無事に、行きなさい』アイヌの人気デザイナー・ミワと、シェフの男。レストラン改装を境に二人は。

    窪美澄 『海鳴り遠くに』夫を亡くし海辺の別荘地ですごす私は、彼女に出会ってしまった。


    【個人的な感想】
    島本理生 『最悪よりは平凡』
    綿矢りさ 『深夜のスパチュラ』
    窪美澄 『海鳴り遠くに』
    の3作が好きだった。

    それ以外の話はよく分からなかった。

    0
    2026年08月01日