一穂ミチのレビュー一覧
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ネタバレ「腹は減っているのに、ごしょうばんの欲しいものは見当たらないようだった。ごしょうばんは自分が何を待っているのか、思い出した。
また戦が来れば、うまいものにありつけるに違いない。人間が泣きながら、惜しみながら差し出すこの世で最高にうまいもの。ああ、早く食べたい。人間の足の下で、きょうもごしょうばんはひっそりと祈り続けている。腹を鳴らして思っている。
早く戦が来ますように。誰も彼もが飢えますように。」
全部の作品が読み応えがあり、読後感がいい作品集だった。
どれも程よいページ数で旅先や忙しい時に読むといいかもしれない。
ホラーだったり恋愛ものだったり、時にシニカルだったり心あったまったりして退屈するところがあまりなく多くの人に読んでほしい本だった。
一番好きだったのは ごしょうばん
戦中のシーンでの限りある食糧の大切さを飢餓で表すシーンと最後の1ページ半ぐらいの現代の飽食というか食べ物を 映えのために購入し、無駄にするシーンの比較がとても印象的だった。
どの作品も読みやすい文体なのに、人物がこちらに訴えかける心情や言葉には熱があってその感触が一穂ミチの作品を好きになった理由だと改めて思った。 -
Posted by ブクログ
「もう二度と味わいたくない
あの日々を、どうしてか、
書き留めておこうと思った。」
文庫化にあたり、著者直筆のしおりが付いていたこの作品。
私にはとても大切な物になった。
パンデミックと人の罪を合わせた造語の「ツミデミック」
人間はなんて簡単な生き物だろう。
あの思い出したくはない異常な世界を当たり前に生きて、当たり前に過去のものにしている自分に大きな失望と微かな希望を感じていた。その何とも表現し難い気持ちを、この作品は綺麗に消化させてくれた。
パラソルでパラシュート以来の一穂ミチさんの作品だったが、読みやすく誰もが抱いている人間故の罪を暴きながら綺麗に昇華させてくれている短篇集。
ますます、著者に傾倒してしまった。
直木三十五賞だけあるけれど、文庫書き下ろしの「わたしの春」には涙が出た。
大人ばかり大変だったわけではなく、子ども達が一番大変だったことを思い出したから。
自分が時間に追われて足場がおぼつかなくなったときに、この作品を読み直そうと思う。 -
Posted by ブクログ
好きな人に、本交換で貸してもらった。読むのに1ヶ月半くらいかかった。しかし、読んでる時間はとても充実して、学生の頃の少年ジャンプを見てる気持ちになった。
私が好きな作品は朝井リョウさんの「キトヴィオラの今」、小川哲さんの「落ち着いて」、一穂ミチさんの「おやすみなさい、小羊ちゃん」、三浦透子んの「悪と友達」だった。
読んで1ヶ月前のものもあって忘れていたものもあったが好きな作品は、人の視点によって悪が変わる印象も持った気がする。いろんな人の悪の作品を見たが悪があれば、必ず正しさも現れる。受け手側は悪と感じてるが、行った人は正しいと思ってることもあり、人の感情って面白いなと思った。 -
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『GOAT』第2号(特集は「悪」)です。前回の特集「愛」との対比がいいです。前回から引き続きの作家さんや初掲載の作家さんなど今回も盛り沢山で、また1ヶ月かけてチマチマ読み、完読しました。
「悪」ならではのエンタメ・ミステリー色強め傾向で、様々な視点の「悪」へ真正面から向き合って本領発揮する作家さんの作品に、読み手も吸い込まれます。加えて、様々な視点の「悪」とは言え、最近の社会情勢を反映した「悪」が多い気がしました。
明確な悪意がないにも関わらず、知らぬうちに「悪」に加担してしまっているケースなど…。これは他人事ではなく、改めて歪な社会構造と我が身の振りを省みざるをえません。日常に潜む「悪」、それも無自覚なだけタチが悪く恐ろしいです。
いつ当事者になってもおかしくない、いや、もう当事者になっているかもしれない…と、自分や社会を見つめ直させてくれる作品群でした。第1号以上に文芸誌という範疇を超えて、内省と啓蒙の役割を果たしているように感じます。
装丁もまた新たな企てが見て取れました。巻頭の朝井リョウさんの紙、なんと「NTラシャ漆黒」という名だそう。この究極の黒い紙にシルバーの文字が載っている…。凄いとしか言いようがなく、朝井リョウさんのドヤ顔が目に浮かびます。
読んでよし、買ってよし、見てよしの三拍子揃いはそのままに、また新たな(著者・作品との)出会いや視野の拡大がありました。加えて、苦手な並行読書にも少しは慣れてきた気がします。「手元にいつも『GOAT』」を継続していきたいと思います。 -
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みんな一生懸命頑張ってる。必死で余裕がない。そんな切ない物語集。
第1話 邑子の上司の村雲清司が病死したのは去年の暮。彼が資料室に出ると聞いて見にきたら出た。たまたま見にいていた後輩アナウンサーの雪乃が明日も来ようという。5日続けて張り込んだが毎日出るが、交信はできない。
第2話 地震。電車は運休で、線路の安全を確認しないと動かないらしい。この一年で多くの同期がテレビ局をやめた。
第3話 結花はテレビ局のタイムキーパー。由朗とルームシェアしているが、由朗はゲイなので手に入らない。
第4話 晴一は彼女に別れようと言われてブロックされる。芸人さんの密着取材をする。なにもかもうまく運ばない。
終章 陽介はテレビ局でバイトをしている。 -
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ネタバレ【あらすじ】
恋という言葉では到底つつみきれない、たくさんの感情と人生のシーン。
第一線の現代人気作家たちの手で紡がれる、繊細で豪華なアンソロジー!
島本理生 『最悪よりは平凡』特別な名を持つ平凡な容姿の私。唯一無二の存在になるにはどうすれば。
綿矢りさ 『深夜のスパチュラ』バレンタインに手作りチョコを!壮絶な一夜の奮闘の結果は?
波木銅 『フェイクファー』大学の手芸サークルで知った着ぐるみの魅力。数年後……
一穂ミチ 『カーマンライン』日米で分かれて育った双子のケントとアサミが19歳で再会した。
遠田潤子 『道具屋筋の旅立ち』容姿に関して隠したい過去を持つ優美は、初めての彼氏の言いなり。
桜木志乃 『無事に、行きなさい』アイヌの人気デザイナー・ミワと、シェフの男。レストラン改装を境に二人は。
窪美澄 『海鳴り遠くに』夫を亡くし海辺の別荘地ですごす私は、彼女に出会ってしまった。
【個人的な感想】
島本理生 『最悪よりは平凡』
綿矢りさ 『深夜のスパチュラ』
窪美澄 『海鳴り遠くに』
の3作が好きだった。
それ以外の話はよく分からなかった。