一穂ミチのレビュー一覧
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プロポーズをされた翌日に恋人の神尾啓久が盗撮で捕まったカメラマンの関口新夏視点の表題作と、神尾啓久視点の「恋とか愛とかやさしさより」の2編を収録。
恋人(婚約者)が盗撮で捕まるというシチュエーションにおいて、加害者の恋人の女性、加害者である男性それぞれの葛藤や心の動きがすごくリアリティをもって描かれている。自分は男性で、絶対に性犯罪はしないという自信はあるが、自分がそれぞれの立場ならどうするだろうと思い悩みながら、夢中で読み進めた。
人間は過ちを犯すものだとは思うが、犯罪、特に性犯罪は犯してしまったら最後、恋人や家族等との関係性も含め、もう元の状態には絶対に戻らないということを思い知らされた。 -
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ネタバレ「光のとこにいてね」。
自分は光の当たる場所にいることは出来ないけれど、せめて貴方には明るく温かい場所にいて欲しいという思いがこもった舌足らずなこのフレーズが心の中で何度も反芻している。そんな余韻を味わうことのできる小説だった。
結珠と果遠、2人の関係性を果たして「恋愛」というありふれた言葉で表して良いのか。もっと固く重厚で、でも温かく優しい言葉が2人にはぴったりだと思う。自分の持つ語彙ではその言葉は見つけられないけれど。
果遠が縋る結珠を強引に引き離してまで置いておきたかった「光のとこ」は、彼女自身の側であったこと。そのことに果遠がやっと気づくことができて良かった、とちょっと泣きそうになってしまった。 -
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ネタバレ『世界のどこかで生きていると思うだけで心の支えになる存在』そんな友人が私にもいるので、結珠と果遠の感情が少し身近に感じた。
小学生~高校生は果遠の一途すぎるまでの結珠への感情と行動力が目立ったけど、大人になるにつれて結珠の果遠への感情が前面に出てきた印象。
きっとふたりはふたりで一緒にいられる時間がなによりも幸せだけど、色々な事情がそうさせてくれない。子供時代はもちろん大人になっても。学生時代はもどかしいし苦しいし、だけどどうしようもなかった。けど大人になったあとは親の管理下を外れ車という物理的な手段を使って今度こそはどこまででも追いかけていく。その姿に拍手しそうになった。
果遠の性格がさっぱりしてて特に好きでした。
映像化するのかなぁとか考えたけど、口に出さない内に秘めた感情がありすぎて難しそう。
一穂ミチさんの作品を初めて読んだけど、読みやすかった!けど結珠と果遠の感情の描写が美しくて大切すぎてめちゃくちゃ丁寧にゆっくり読んだので丸2日くらいかかって読破。
2つの鼻血の場面がとくに印象的かも。 -
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ネタバレまず短編集17個が集まって一冊の本になるのすごすぎる。
そんなに話を考えられるってどういうこと!頭の中どうなってるの!!
しかもしかもサクッと読めるものもあればどっぷりその世界に浸れて、これが17分の1なの、贅沢すぎる。と思うものもあって。
私は
レモンの目(猫のりりちゃんの飼い主は誰なの…?!なホラー)
BL(私の大好物のブラックミラーっぽい皮肉なSF)
sofa &…(女性の酸いも甘いも知ってるソファ目線)
紙さまはそない優しない(猫に転生した夫、妻に飼われる)
だけでこの本を買う価値があると思いました
永遠のアイも、死んだ恋人とラインでやりとりできる(AIが学習して本人みたいな返信がくる)という設定はブラックミラーぽくてよきでした。
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ネタバレ 購入済み
ひつじの鍵の、和楽くんのお話
でも、読んでなくてもほとんど問題はない。チラッと出てくる程度。読んでいた人は、わぁ!羊くんだ!お父さんだ!って思う程度。
羊くんに片想いをしていた、大切な友だちの和楽のその後のお話。30歳になってる!ギャラリストという職業についていて、画廊を経営?ある高校で見かけた絵に心を奪われ、作者を探し出し、画家として育てることになる。それが群だった。
画家とギャラリストとの関係や、絵画が売れる仕組み、画家の絵画との向き合い方など、知らなかったことが沢山あって、そういう意味でも面白かった。
読後がすこぶる爽やか!
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匿名
購入済み大満足
ストーリー展開がドラマチックで魅了される作品
そして、細部まで違和感のない作画とコマ割りでめちゃくちゃ読みやすい
登場人物がみんな個性的で描き分けをしっかりされているのもいい
試し読み段階で悩んでいるなら是非買ってほしい
受けが攻めにだけ見せる素直な顔が大好き
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ネタバレ 購入済み
やっぱり一穂先生は良い!
おバカ成金?高校生と、大金持ち専用コンシェルジュのお話。設定からぶっ飛んでるわ〜笑笑。
世の中には、何でもお金で解決するという事ができる人種が一定数存在する。それは、如何ともし難い事実で、どうこういう事ではないのはわかっているが、が、どうなんだよ〜という感想。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ前半あまり刺さらなくて、短編すぎるのが合わないのかなと思いながら読んでいたが、「ごしょうばん」で心抉られ、そこからはひとつひとつの物語の世界に惹きこまれて一気に読んだ。結果として大好きな一冊になりました。
いろいろな人の人生の一部を、いろいろなテイストで綴った短編集。
温かいのに切ないお話、夜にも奇妙な物語のような独特の怖さがあるお話やちょっと不思議な話、えっと思わず声に出してしまうような展開が最後に待っているお話。多彩に富んでいて読んでいて飽きない。
一穂さんの作品はどれも読後感があたたかく、やさしい気持ちになれるところが好き。
特に好きだった作品↓
【still love me?】
冒頭からもう好き。会う前はすこし好きじゃなくなってる(会うのがちょっと気が重い)のに、会うと前会ったときよりもっと好きになってしまう、というところに片思いのいじらしさが詰まっててかわいい。
中三の夏、温が一史を好きだと自覚するシーンがとても好き。すこし年上で知的な一史の、無自覚かつさわやかな色気がたまらない。
ただのBLで終わらせず、9.11を絡めてくるところがめちゃくちゃしんどくて、でもそのしんどさこそが一穂さんの作品の真骨頂なのだと思います。
十七年、会うたびに「まだ好き?」って聞く一史と、十七年たって初めて涙を流す温。決定的な言葉は言わないのに「まだ好き?」と訊くことで自分の心をどこか安心させていた一史も、自然とずっと好きでい続けた温も、ふたりとも幸せになってほしい。
「温。ありがとう。ずっと」
「……俺の質問、答えてへんやろ」
「なに」
「何できょうは訊かへんのかって」
「『もう好きじゃない』って言われたらどうしようって、急に怖くなったから」
「あほか……」
舌の上に、バニラの味がよみがえる。一史の唇にも、同じ甘さが伝わっているだろうか。車列は再び動かなくなった。十七年分にはほど遠く短いキスが終わったら、温のほうから「俺のこと好き?」と訊くだろう。
ほんとうに最高。
【sofa &...】
どこにでもいそうな平凡なアラサー独身女の十年をソファ視点で描いているのがじんわり温かくほっこりした。
恋人と別れたり、仕事をがんばったり、ささやかな恋はするけど特に関係が発展することなく終わったり(安易に発展しないのがまたリアル!)、乳がんになったり。
妹から励まされたあと電話を切ってから泣きじゃくるシーン
あなたの背中をさすってあげられなくてごめんなさい。と思うソファの視点に胸がぎゅっとなった。うちのソファも大事にしよう、と思えてしまった。
引っ越しのとき、捨てられてしまうのかなと苦しくなりながら読んでいたけど、もっていってくれてよかった!!
【神さまはそない優しない】
笑ったり泣いたり情緒がめちゃくちゃになった。
ひとつも後悔のない死なんて、きっとこの世にひとつもないと思う。
人間はいつ死ぬかわからない。だからこそ、家族は大切にしたいし自分のことはもっと大事にしたい。けれど、日々の生活に余裕がないとそこまで考えられないし、態度や言葉がつい雑になってしまう。
だからこそ家を出るときくらいは気持ちよく「いってきます」「いってらっしゃい」は言いたいなと改めて思いました。
不妊治療に悩みパワハラに精神追い詰められ45歳の若さで亡くなってしまった主人公だけど、猫に生まれ変われて、元奥さんに可愛がってもらって、猫としての長寿をまっとうできたことは幸せだっただろうなぁ。
あと、一穂さんの作品を読むと、やっぱ大阪弁ていいね…となります。
大阪弁だからこそ春男のツッコミや独白がより冴えわたる。 -
ネタバレ 購入済み
流石の一言。
機能不全な家族、同性愛、偽装結婚、そして料理。親友として愛した妻と死に別れた自堕落なゲイの翻訳家と、その妻の甥の話。
2026年の現在から16年も前の作品。変わっていくものと変わらないもの。いちほ先生は、感情の機微を細かく描写で描くのが本当に上手いと思った。 -
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主人公でカメラマンの新夏は、長年付き合った啓久からプロポーズを申し入れられるところから、物語は始まる。ところが、その次の日、啓久が電車の方で盗撮をしてしまい、捕まるところから新夏の人生が狂い始める。
まだ結婚しておらず、身内ではないが、ほぼ身内の中に逮捕者が出るという葛藤と、我が子、守りたいと言う一心の母との兼ね合いなど、お互いの整理できない感情が混ざり合って、どちらの気持ちもわかるが、あい入れないことが何とも言えない。
また、新夏の友人の葵は「わからない部分にこだわるより、わかり合える部分をすり合わせていく方が建設的だ」と言う意見で、この主張は魅力的だが、新夏の考えともあい入れない。
さらに、新夏の両親の描写に関しても、報道カメラマンである父の、カメラマンとしての矜持とそれを真に理解してしまった母のセリフが、とても心に残る。
いろいろなパートナー同士のケースで、愛するとは、何かと言うことを非常に考えさせられた。 -
ネタバレ 購入済み
初めてだらけのお話。
ノンケ同士。空気の読めない感情希薄な元既婚者と、不倫もロク又もやるけど、めんどくさくなったらさっさとバイバイのくずチャラが、初めて人を好きになり、なりふり構わず相手に縋るような恋愛をしてしまうお話。
冒頭に、婚約指輪を売りに来たお客と、買い取りの店の店員として出会った2人。
こういえば身もふたもないが、割れ蓋に閉じ蓋ってことなんだなぁ。