米澤穂信のレビュー一覧
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名探偵にはなれそうもないけど、読者への挑戦がはさまれた作品は大好き。
推理に必要なものが全て提示されてからの真相の開示。
うん、楽しい。
東川篤哉と麻耶雄嵩や法月林太郎を1冊で読めるのはアンソロジーならではの贅沢さ。この、ある意味真逆ともいえる作品を立て続けに楽しませてもらった。
麻耶さんの作品は、ミステリはミステリでも、推理小説でない方のミステリっぽくてぞくぞくしたし、法月作品は親子で軽口たたいてるようでいて、なかなかに重いし。
市川憂人さんは、たぶん、初読み。雪の密室で、ちょっと切ないラストがよかった。米澤穂信さんのは、たぶん、小市民シリーズかな。名前だけは知ってても未読だのこのシリーズ、 -
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僕はファンタジー系の小説を読むのはこれが初めてだったので新鮮に感じました。
この話のコンセプトは「剣と魔法の世界に推理で挑む!」というようなものだとどこかで読んだ気がしますが、頻繁に剣を用いた戦いが繰り広げられたりアニメやRPGに見られるような派手な魔法が出てくるわけではないようです。
どちらかというと黒魔術のようなイメージだと僕は思いました。
ただ、それはそれで新鮮で面白かったです。
推理はそこまで難しくはないような気がしますが、物語が面白いので読んでいてつまんないと思うことはありませんでした。
上巻を読み終えた後、速攻で下巻に手を伸ばしました。
漫画版もあるようなので、そちらも読んで -
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米澤穂信さんが自分の読んできた本について語る本。文庫化にあたり註釈が大幅追記されたということで、米澤さんのセルフツッコミぶりも楽しめる。
手に持つと、文庫本としては分厚いなという第一印象。本を開くと、上から下までずいぶんみっちりと文字が詰まっているぞという第二印象(それでいて、昔の本のような読みにくさはないから今どきの本作りは素晴らしい)。読み始めると、いきなり「ご挨拶より本の話を」と、まえがき的なパートからいきなり本の話。目次を見ればわかるがあとがきパートも同じスタイルである。頭から尻尾まであんこパンパンで破裂しそうなくらい重たい鯛焼きのような本だった。
もちろん本の紹介は丁寧かつ魅力 -
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里志が将来弁護士になるというのは案外良い案だと思った。
鷹栖亜美がしようとしたことは許されない。
奉太郎達が多くを語らなくても、こういう話は漏れていくものだと思う。
自分可哀想としか思ってなさそうだけど、後悔する時がくるだろうか。
理由を聞かれ、あの先生はヘリ好きだったなと思わないために、と話す奉太郎が好きだ。
読むだけ派とか描いてみたい派とか、なぜどっちもいちゃダメなのか。
思春期は傷つきやすく傷つけやすい。
「長い休日」は、「遠回りする雛」と同じくらい好きな話だ。
掃除しながら鼻歌を歌ってしまう奉太郎がかわいい。
小六の時の奉太郎の先生は嫌いだ。
奉太郎が気づいた事に気づいただろう -
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ネタバレこの内容でこの結末…すっかりやられた感じです。読んでいて最終的に住民がいなくなるんだろうなとは予想できていたけど笑。
『Iの悲劇』のIとはIターンの事。甦り課という部署の万願寺は蓑石の復活に奔走する。旧住民はいなくなり、プロジェクトにより移住民を募り、徐々に住民は増えていくのだが癖のある住民やトラブルばかり。
仕事ぶり、頭を悩ます予算の問題などがとてもリアルで、そこに加えて心理描写・会話が巧みで存在している人物に思える。何気ない、無駄とも思える描写が立体感のある人物を作り出して表現も柔らかくて心地良い。
各章が短編として発表されていたもので、発表の時期もそれぞれが結構間隔が空いているのに -
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ネタバレ前半は、「読みやすいし面白いけど、何がテーマなんだろう、何を伝えたいんだろう」と考えながら読んでいた。自分が鈍感なだけなのは分かってるけど。
五断章が、「アントワープの銃声」の「問いに対する答え」なのだと分かってからはなるほど〜!!と感心した。
そして最後の「雪の花」。これだけは先に結末の一行が明かされていたけど、「答え」と言えるものではないけどな、と思いながら本編を読み始めた。
結局明確な答えは書かれていなかったし、想像して推測することしかできない。最後の最後が、リドルストーリー、結末の一行はあるけど、それがあっても推測するしかできないようになっていたのが面白い。自分の理解力が足りないの -
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こうした企画物のイメージとして、大抵は次回作が出版されるまでの繋ぎ的な役割しか果たさず、中には作家本人を登場させずに編集部だけで考察するようなものもあったので、あまり期待はしていなかったのだが、本書に関してはまさにタイトルに偽り無しで、米澤穂信さんと古典部について、ここでしか知ることのできないことを知ることができる上に、米澤さん本人が何度も積極的に登場してくれる点に、このシリーズへの特別な思いが垣間見えるようであった。
その中でも、私が特に注目していたのが、ここでしか読めない書き下ろし短編「虎と蟹、あるいは折木奉太郎の殺人」で、普段あまり見られないホータローの姿の他にも、なんと、これまで