米澤穂信のレビュー一覧
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「王とサーカス」からの太刀洗女子逆読み。
各短編時系列の詳しくは土瓶さんの本棚でどうぞよろしく。
短編集ですし、ストーリーは読んで楽しんでいただければと思うのですが、
米澤さんは作品のタイトルをつけるのがお上手だなと、あらためて感じました。
「真実の10メートル手前」という作品から始まり、この本のタイトルにもなっているんですが、
この短編集のいずれにも当てはまる言葉かなと思いました。
ジャーナリストは真実の10メートル手前まで迫る。
けれど、このシリーズはミステリーの完全な解決を目指しているわけではない。
2作目の「正義感」は、一瞬にして視点が反転し、
3作目の「恋累心中」は、連城三紀彦の「戻り川心中」を彷彿とさせる情念のミステリー。
4作目の「名を刻む死」は死と報道を、
6作目の「綱渡りの成功例」は知と報道を描く。
5作目では、前作の少女の兄が再登場。
私の中で米澤さんブームがくるかもしれません。
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Posted by ブクログ
「王とサーカス」からの太刀洗女子の逆読み。
米澤さんの「儚い羊たちの祝宴」や「満願」は、とても好きな作品です。
そして、このデビューに近い「さよなら妖精」
初出は2004年。著者の米澤穂信は1978年生まれですから、25、6歳の頃の作品になるのかと思います。そう考えると、驚くほど練れた、深い考察させる小説だと思いました。
遠い東欧の地、ユーゴスラビアから来た少女との数か月。
彼女が日本を去った後、残された言葉の端々から、彼女の国とその現状を考えていく物語となっています。
物語の始まる1991年、旧ユーゴスラビアでは崩壊が始まり、やがてボスニア・ヘルツェゴビナ戦争へとつながっていきます。
遠い国の出来事だったはずの戦争が、日本の高校生たちの思考を一挙に世界情勢へと向かわせる。印象的な展開でした。
サラエボオリンピックが開催されたのは1984年。
当時オリンピック会場だった場所が、のちに荒廃した姿で報道されていたのを、ぼんやりと覚えています。しかし、その背景にあるユーゴスラビアという国の特殊な成り立ちまで、考えることはありませんでした。
本作のミステリーは、帰国した彼女が少しでも安定した場所にいてほしいという願いから生まれる推理でもあります。
言ってしまえば、淡い希望のミステリーです。
今読んでもとても素晴らしい作品ですが、発表当時は少し読者層が難しかったかもしれません。
高校生を主人公にした物語としては重厚で、ミステリーとしては社会性が強い。
社会派として読むには、どこか軽やか。
その微妙な位置にある作品だったのではないか、そんな気もしました。(今まで読んでいなかった言い訳を考えたわけですねm(_ _)m)
日本の高校生達が、一人の少女の存在から
世界の情勢へと思考を広げていくという、
太刀洗さんのデビュー作としても
素敵な作品でした -
Posted by ブクログ
小市民シリーズ第4弾です。
途中、番外編的な本があるので小市民シリーズとして5作目です。
この作品で春夏秋冬と揃います。
そしてこちらは、2025年このミステリーがすごいの10位になります。
これを読むために、前の4作品を読みました(笑)
その甲斐があって、面白かったし、ちゃんとミステリーでした!
小鳩くんと小山内さんが下校中に轢逃げ事故に遭って、小鳩くんが大怪我を負って入院した。
事故にあった場所が3年前、同級生が轢逃げにあった場所で、小鳩くんと小山内さんはその事故を通して互恵関係を結んだ。
その回想と小鳩くんの今回の事故、入院生活が綴られていき‥。
まぁ、偶然が過ぎると言えばそうなんですが、でも個人的には四季の中で1番冬が面白かったと思います。
最後に京都に見つけに来てと小山内さんに言われてるので、京都の美味しいスィーツと小鳩くんと小山内さんの話しを読みたいです!
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物語に終始漂う異国情緒と緊張感は独特。物語冒頭から丁寧に伏線が張り巡らされ、なんとなく印象に残っていた単語が実は事件解決へのキーワードであった、ということが後半でいくつもあって、しかもそれが大袈裟ではなく非常にさりげなく感じさせられるのも気持ちが良かった。
カトマンズの人々や宿の宿泊客に対する主人公の接し方が好きだなと思った。観察眼が鋭く記者として冷静な視点を持っているが、決して利己的ではなく人と人として関わろうとしているのが良い。
宿の主人であるチャメリがとても良い人だなと思った。自国で動乱が起こっている中で淡々と働き、仕事の一環としてただこなしているだけかもしれないが、度々主人公たち宿泊客に茶や軽食を提供する場面ではあたたかさを感じた。最後に太刀洗に簪をくれたのも彼女の優しさが垣間見えたような気がした。
ただのミステリーとしての面白さだけではなく、メディアのあり方、報道の倫理について立ち止まって考えさせられる一作。
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Posted by ブクログ
ネタバレ緊張感とスピード感のあるストーリー、主人公のやや軽妙で読者の感覚に近い語り口が読みやすい。王道のクローズドサークルもので、インディアンの置物など読者はすぐにピンとくる描写がいくつかあるけれど、主人公以外の登場人物たちは自分の陥っている状況がクローズドサークルだと実は理解していないで動いているということに途中まで気づかなかった。
安東、好きなキャラだったのに後半急に頭が働かなくなって、というかかなりゴリ押しの推理をまかり通そうとしていてちょっとキャラブレてるかもと思ったけど元から別に賢い訳ではなくて落ち着き払ってる風に見せて賢ぶってるだけだったのか。
結末に近づいていくにつれてこの小説にはミステリーとしてのメタ的な意図があるんだと気づいてからはちょっと興ざめしたかもしれない。でも面白かった。
主人公の言う通りクローズドサークルものにしては生き残った人が多い。
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Posted by ブクログ
ネタバレ積読消化中の土瓶さんの高評価に刺激されて
読んでみました。
事前にきちんと調べず予約してしまったのですが、本作は米澤氏のいわゆる記者連作の一作で、
「さよなら妖精」「真実の10メートル手前」と同じく太刀洗万智を主人公に、ジャーナリストとして「何を信じ、何を伝えるのか」を手探りしていく物語です。みんなはちゃんと知ってるみたいだけど。
米澤作品とは相性が良いのか、冒頭から文章が滑らかに流れ、イメージは自然とネパール、そしてカトマンズの喧騒の中へ入り込んでいきます。
2001年に実際に起きたネパール王族殺害事件が、
物語の背景の一つとして描かれています。
主人公である女性ジャーナリストの行動力や、
情報に向き合う姿勢には惹かれるものがありました。
ただ、前半で大きく描かれる王族殺害事件は、読み進めるほどに「これは物語の核ではなく、背景でさえないのではないか」
という感触も残ります。
本作 、王とサーカス は当時、
このミステリーがすごい! や
このミステリーが読みたい!
といったランキングにも選出されていますが、
そこで評価されている「ミステリー性」は、王族殺害事件そのものと直接結び付きません。
ジャーナリズムへの不信や憎悪が引き起こした事件として受け止められるかどうかで評価が変わりそうです。
そこに納得できれば、静かながらも強く惹き込まれる作品だと思います。
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Posted by ブクログ
土壇場地団駄ダンダダーン!
さらに追加で
ダッダーンボヨヨンボヨヨン!
はい。わからない子は置いていく方針の積読消化14冊目ずら。
ヅラ?(笑)
祝!★4\(゜ロ\)(/ロ゜)/ワーーッイ!!
少々オマケですが。
意外と読んでる米澤穂信さん。
しかしよくこんなの書けるなぁー!
感心しきり。
実際にネパールで2001年に起きた王宮事件。多くの王族が一夜にして殺害された事件を舞台の背景としている。
話のメインではなく、あくまで背景としてってのが賢い。
「さよなら妖精」で登場した太刀洗万智がジャーナリストとしてネパールへ。
そこで偶然起こってしまった王宮事件。
ジャーナリストとして情報を求める太刀洗の前に死体が現れる。
いやネパールなんて知らん知らん。きっと説明だらけで読みづらいんじゃないのと思ってたら、意外にこれが読みやすいのよ。
うまいなー。
登場人物もけっこう多いんだけど特に覚えなくてもいい。特に王族関係はまったく覚えなくていい。なんとなく流して読んでも平気。人物一覧もないけど困らん。
きっと文章がうまいんだろうなー。
思慮深くて冷静な太刀洗のキャラは悪くない。
巻き込まれタイプの探偵役。
王宮事件を記事にするべくインタビューを試みた軍の准尉の死。准尉の背中にはINFORMER(密告者)の文字が彫られていた。
表のテーマは単純な謎解きではなく、本文のある部分「王とサーカス」がタイトルとなっているようにジャーナリズムとはなんぞやってことだろう。
「自分に降りかかることのない惨劇は、この上もなく刺激的な娯楽だーー」
「タチアライ。お前はサーカスの座長だ。お前の書くものはサーカスの演し物だ。我々の王の死は、とっておきのメインイベントというわけだ」本文抜粋。
なるほどその通り。
そしてもうひとつの裏のテーマは、人間の多面性というか誰もが多重構造であるということだろう。
「軍人も密売人になれる。密売人も誇りを持てる。誇り高い言葉を口にしながら、手はいくらでもそれを裏切れる。ずっと手を汚してきた男が、譲れない一点では驚くほど清廉になる。……どれも当たり前のことじゃないか。あんた、知らなかったのか」本文抜粋。
そう。100%の善人もいなければ100%の悪人もいない。そうと知っているはずなのに聖職者が性犯罪を犯すと衝撃を受けるし、逆に痴漢が人助けをすることもあるだろう。
人間なんて単純な白黒だけじゃ計れないヘンテコな生き物なのだ。
さすがは
「このミステリーがすごい!」(宝島社)
「ミステリが読みたい!」(早川書房)
「ミステリーベスト10」(週刊文春)
などで1位になっただけのことはある。
加えてネパールの歴史や情勢なんかも知ることができた。
で……、そもそもネパールってどこ?(笑)
インドのとなり、かなー?