米澤穂信のレビュー一覧
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一作目はキャラクターやその関係性を描きつつ、この作品がどのような方向性かを示していたと思う。
二巻目は2人のキャラクターがわかっている分、狐vs狼が堪能できる「シャルロットだけは僕のもの」みたいな日常ミステリーがとても面白かった!
一作目の小佐内さんの「狼」ぶりも衝撃だったが、今回は小鳩くんとの対決もあって、これで小市民は無理だろうとしか思えない。
今作に関しては、前作よりも小市民というキーワードが後退していて、2人の本性が表だったストーリー展開だったと思う。それゆえ、スリリングな展開も多く、2人のキャラクター性が前作よりも前面に出ていたように思う。
スイーツ巡りそのものも楽しく、ダイエッターには辛いほど、甘いものが美味しそうに思えた。シャルロット、食べてみたい。 -
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ネタバレ冒頭は堀川と松倉の窮屈でくだらないやり取りが物語の大半を占め読むのをやめようかと思うほどに退屈。大の男2人が瀬野にわざわざ謝罪を要求した時はあまりの女々しさに咎めたくなったほどだ。根本的に考えが合わない。昭和の運動部でしごかれて欲しい。ただ、本格的にミステリパートに入ってからは気にならなくなったので、古典部、小市民、図書委員シリーズに共通するこの鬱陶しさはミステリという流れの中であればスパイスとして楽しめ、それ自体がメインになるとあくどいという知見を得た。後半の面白さもあり満足度として星の通りに高い。あらゆる作品の中で、図書委員シリーズは著者が好き勝手書いているのか彼の作品のなかで手癖と好みが出ているような気がしてならない。
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飛行機の中で一気読みした。面白かったけど、ある種の殺人ゲームの話なので一時期流行った系だという理解。
車が欲しくて怪しいバイトに参加するようなちょっと抜けている主人公の結城だが、実はミステリー好きだし割と鋭いところもある。ただダメな奴ではないという人物描写がいい。
他に出てくるキャラもいい。カップルの大迫&若菜とか、美しいのに性悪な箱島など、キャラクターが生き生きしていて読んでいて面白い。
最後まで、ヒロイン?的なポジションの須和名はいけ好かない奴だなあと思ったのと、どう見ても普通の参加者ではない感はあった。
時給10万円超えという破格の待遇の中、お互い知らないもの同士なのになぜ殺し合おうとするのか?単なる犯人探しをするミステリー小説ではなく、そうなる仕組みを雇用主の「主人」がどうやって作ったのか、そしてヒトを殺さねばならない動機を与えられた中、個々はどう考え行動するか?
もう少し個々が参加した背景描写や生い立ち、なぜそこまで追い込まれたのかという説明があったらよかったな、とは思った。
最後に結城が計算して導いた答えと、そこから明らかになった「報酬の仕組み」の部分が面白かった。読み応え十分だけど、やっぱり沢山死ぬ話はちょっときついなあ。 -
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本の帯と、あらすじに惹かれて購入しました。
収録されている5本のお話は、登場人物や出来事の舞台こそ異なっていたものの、「バベルの会」という読書サークルの存在のおかげで、小説内での全体の繋がりを感じることができ、とても読みやすかったです。
また、一人称視点で物語が進んでいくのですが、上流階級に関わる方たちの視点になるため、あまり深く感情移入をせずに読めたことも私の中では大きく、彼女たちより少し離れた場所から物語の行く末を見守るような姿勢で読み進められました。
最初の1、2本目くらいはお話の進むまま読んでいきました。3本目あたりから何となく文字には明確にされていない彼女たちの思惑や、欲望を推理しながら読んでいたのですが、自分の想像をはるかに上回るオチばかりで、まさにどんでん返しという言葉がぴったりなように思います。
特に最終話の「儚い羊たちの晩餐」はタイトルの通り、小説タイトルを回収するような内容で、読み終えた後には思わず笑いがこみあげてしまうほどでした。
物語に救われながら、生きていきたいものでありますね。 -
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面白かった。
劇的なことも起こらず前に進んでいくその世界観は、少し陰鬱でありながら思春期の人間の心に寄り添ってくれているような不思議な魅力があり、さわやかな読後感だった。
「赤いトマトのことを考えているとき赤信号に引っかかったからといって、この二つを結びつけて考えるなんておかしなことだ。」作中に出てくるちょっとした一文だが、リカーシブルを象徴するようなフレーズだと思う。本作のどことなく陰鬱で不気味な雰囲気の中でも、目の前の不思議な出来事に飛びつかず筋道立てて1歩ずつ論理が進んでいくのが面白い。
同作者の『ボトルネック』でもそうだったが、もう一つ印象的だったのは作中の天気。曇っていたり雨が降っていたり、晴れの日にも川が濁っていたりと作中では天気について何度も語られる。どことなく湿っぽく嫌な感じがして、天気によって様々なことが左右される感覚が、思春期特有の閉塞感と本作の質感を持ったリアリティをより増しているように思えて好き。 -
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ネタバレ王とサーカスで前のシリーズも読みたいと思っていたので今回読めて良かった。太刀洗万智は主人公ではなく、友人の守屋の視点でストーリーが進んだが、ネパールで取材をしていた太刀洗と比較して、学生時代の太刀洗はより無口で不思議な印象を受けた。紛争の起きたユーゴスラビアに帰ったマーヤの安否を心配し、連邦の中のどこに彼女がいるか明らかにする、というのが大筋だが、ほとんどのシーンはマーヤとの回想に割かれ、ミステリーという感じがしないあたりは、著者の特徴を感じさせた。何事にも特に打ち込むということがない主人公が、マーヤをきっかけにユーゴスラビアのために何かしたいと思い、しかしそれは本当の当事者から見れば観光に来るようなものだと言われて葛藤する、何とも言い難いやるせなさがあった。王とサーカスもラストは晴れ晴れとしない終わり方だったが、今回も最後に切ない気持ちにさせられた。