米澤穂信のレビュー一覧
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小市民シリーズ。
今回は、小鳩くんと小佐内さんの高校1年生の秋〜冬にかけて、1作目と2作目の間にあたる期間を描く番外編短編集です。
1〜3作目までは、作中で免許証の不正取得や誘拐、連続放火などの事件が扱われていて、読んでいて米澤さん作品特有の仄暗さ、ほろ苦さを大いに感じる内容だったのですが、今回は割とほのぼの。
小鳩くんと小佐内さんコンビが日常の謎に挑む4編で、とても読みやすかったです。
小佐内さんの復讐スイッチが入ることもなく笑
次はいよいよ最終巻のボンボンショコラ事件。
シリーズを読み終わってしまうのは少し寂しい気もしますが、最後まで楽しみたいと思います! -
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大学を休学し、伯父の古書店を手伝っている主人公は、死んだ父親が残した5つのリドルストーリーを探している女性の依頼を受ける。
人間関係から各掌篇を探すうち、書くに至った経緯と込められた意味がわかっていく。
この本で初めてリドルストーリーという形を知りました。
初めの方は、鬱屈とした様子の主人公と、作中に出てくる掌篇のなんとも苦い内容にちょっと気圧されましたが
リドルストーリーに秘められた背景が明らかになるにつれ、真相を推理する面白さがありました。
辿り着いた真相が、途中考えていたものと合っていて、その一点はスッキリ達成感。
しかし同時に少し理に合わない部分もあって、
結果謎の残る作品 -
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小市民シリーズ3作目。
前作のラストで"互恵関係"を解消した小鳩くんと小佐内さん。
今回は2人の絡みがほとんどなく、新しいキャラクターも登場して、前作までとはまた違った新たな展開に。
お話の大部分が、新聞部1年生の瓜野くんの視点で進み、彼が追いかける連続放火事件が今回のストーリーの軸となります。
そして、この連続放火事件を巡って、小鳩くんと小佐内さんは再び関わりあうことになりそう…なところで上巻は終了。
小佐内さんがどんな思惑で瓜野くんと付き合ったり、新聞部に働きかけたりしているのか、放火事件は夏休みの誘拐事件と関係しているのか、気になります…。
下巻も楽しみに読みた -
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『さよなら妖精』『王とサーカス』に続く太刀洗万智シリーズ短編集。(『さよなら妖精』がシリーズ1作目と知らずに飛ばして読んでた)
やっぱ米澤穂信は短編集が上手い。短い尺の中で論理的な推理と驚く真相がちゃんと用意されている。
探偵とジャーナリストっていう食い合わせが良さそうで意外と難しいこの設定。ジャーナリストという職業は色んな場所・事件に絡むことができる必然性をもたらすけど、ただの探偵役と違って真実を暴いた先には「記事にする・しない」という選択がまとわりつく。探偵役として真実を暴くだけなら善でいられるけど、事件を記事にすることは悪になり得てしまう。真実を暴いて終わりの話にいくらでもできるとこ -
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ネタバレ女性を探す依頼と、古文書を確認する依頼を並行して調査する構成。
初めは淡々と仕事をしている描写が続くものの、進むにつれてその2つの事件が重なっていき段々と不穏な空気が出てくる。
最後の方で、主人公が急いで谷中城を探すくだりにはやられた。間壁が女性を殺害してしまうから焦っているのかと思いきや。
文庫版の帯にて「振り返らず。来た道から逸れないように。」の一文が引用されているが、いい一文だと思う。
それと主人公の紺屋さんのキャラがよい。
殺人を防ぐため危険を犯して山に入るところや、殺人を見逃すなどの完全な正義でないところが人間らしさが出ているなと感じた。
GENさんは何者なのだろうか?それと主人 -
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Audibleにて。
女性フリーライターの目線で物語は進んでいく。
ネパールの首都カトマンズ旅行レポのような感じではじまり、自分も異国の地に行ったような空気感を感じながら、現地の魅力的な登場人物によって物語に惹き込まれていく。
米澤さんを読むと毎回同じことを書いてるけど、事件が起きる前から自然にぐいぐい読ませる力がすごいと思う。
穏やかな旅行のような日常から一変して事件が起きる。
この事件は2001年にネパールの王宮で実際に起きた事件がモチーフとなっていて、緊迫感がありリアルに感じる。
重大ニュースの取材を開始した彼女に待ち受けていたものは…
これも米澤さんの作品で毎回書いてるけど、今回 -
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ネタバレ春から始まって、とうとう冬。
終わってしまうと思うと惜しくて大事に読んだ。
一つ一つの経験が、感情が、その人を形成していくんだ。
どんなときも思考し続ける小鳩君、小佐内さんの前で泣いた小鳩君、褒めてもらいたかった小鳩君、小鳩君が大好きになった。
爪を研ぐ余り牙まで鋭くなった小佐内さんも好きになった。
小佐内さん視点のお話が読めたら、もっと好きになれるかもしれない。
今まで知りたかったことや読みたかったことが書かれていて、締めくくりとしては大満足だったのだけど、最後に小鳩君と小佐内さんの会話を読んでいて、ものすごく大学生(あるいは浪人生)編が読みたくなった。
それだけ二人の未来が明るく感じら -
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ネタバレあえて結末は読者に委ねるリドルストーリー。
本書では亡くなった父が昔寄稿したらしい5編の話を探す話であるが、その5編ともリドルストーリーでありながら、それぞれの結末の1行、答えともいえるのか、も読むことが出来る。
その最後の1行を読む手前で読者は凡そ2択の選択肢のどちらなのだろうかと考える形なのだが、答えを知ることでスッキリ感もありながら、これは答えを知らない方が味があって良かったな、などと感じた。
リドルストーリーの面白さを楽しみながら考えることができた。
真相は思ったより定番のものだった。
主人公自身もバブル崩壊により父の事業が失墜し、そのまま飲酒による事故で亡くなり、生命保険で借金は消 -