米澤穂信のレビュー一覧
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ネタバレ知らなくていいことってあるよね。というのが率直な感想。自分は無実だと訴えたいけどそれを話すと娘のことがバレてしまうかもしれない。真実は雪の中に閉じ込めておきたいという父親の気持ちは娘への愛だ。お話と結末が違い確信に踏み込んでいくページは鳥肌もの。主人公が頭がよすぎてバイトの女の子の影が薄すぎたけど話がとっちらからないからこれくらいがいいのか。でも結局誰も幸せにならなかったな。主人公もおじさんも何も解決してないし、きっと今以上に良くなりたいとも思ってなさそう。ページ数にしては読み応えもあるし余韻も残ったが気持ちが落ち込んでしまうから少しでも希望がほしかった。
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登場人物に無駄がないので、犯人に限らず、謎の人物枠に誰がハマるかはだいたいわかる。「あっと驚く」ことよりも、高校生たちの正義感や優しさや、悲しみや苦しみや憤りの発露にはっとさせられた。
発端にどんなおぞましいことがあったのかや、このあとどうなったかは、「ここから先は別の物語だ」という割り切りで描かなかったり「まあわかるよね」とぼかされたりしている。これは、品良く露悪を避けていて、苦しくならない良い距離感だ、ともいえるし、踏み込み不足、もっと訴えてほしいと感じたともいえる。でも主人公の立ち位置からすると、やはり適切だったのだろう。このシリーズは、彼自身の話にこれから迫っていくのだろうか。家庭環境も気になるし。
くだらないことをひとついうと、バーテンダーのバイトをする友人(長身イケメン)の姿を妄想するのが楽しい。誰が見ても美人という女生徒の姿も気になる。こういうのは視覚表現がないからこそだ。具現化しないうちが楽しいのだ。概念だけで生きたい。 -
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米澤穂信、方丈貴恵、荒木あかね、松嶋智左、芦沢央『裏切りの捜査線 警察小説アンソロジー』文春文庫。
5人の作家による警察小説アンソロジー。文春文庫の警察小説アンソロジー『捜査線』シリーズは様々な作家の短編が味わえるところに魅力があるのだが、当たり外れが大きい。
このアンソロジーで一番面白かったのは、松嶋智左の『ヤギノメ』シリーズの1編である『家につく猫』だった。他の短編は並みか、それ以下という感じで、文春文庫の警察小説アンソロジー『捜査線』シリーズは他の出版社の警察小説アンソロジーに比べるとレベルが低いなと感じた。
米澤穂信『お見通し』。人気ミステリー作家の1人であることは認識しているのだが、肌に合わないのか、これまで1冊しか読んだことが無い。さてこの短編。謎解きはよく解るし、警察小説としての雰囲気も良いのだが、言い回しというか文章がイマイチで損をしている。★★★★
方丈貴恵『メゾン・イニッシュの怪』。初読み作家。オカルトチックな雰囲気のある警察小説だったが、偶然ばかりが重なり、今ひとつ面白さは無かった。最後の最後までオカルトで突っ走った方が良かったのでは。★★★
荒木あかね『プライドの隙間』。史上最年少で第68回江戸川乱歩賞という『此の世の果ての殺人』は面白かったのだが、次作の『ちぎれた鎖と光の切れ端』が『Z世代のアガサ・クリスティによる超絶技巧の本格ミステリ』という物凄いキャッチコピーで紹介されていたので、昭和世代ど真ん中の還暦ジジイで普通の読書好きには敷居が高く、腰が引けて手を出せなかった。警察のような旧態然とした組織では虐めなどで心を病む警察官も居るようだ。自分が10年ほど暮らしている福島県でも、何度か警察官の拳銃自殺のニュースは耳にしている。しかし、警察官の拳銃自殺のニュースは第一報くらいで、自殺の理由などの続報が報じられることは殆んど無い。報道機関に圧力を掛けた一種の組織的な隠蔽なのかも知れない。署内の男子トイレで発生した若手警察官の拳銃自殺。あろうことか自殺に使用した拳銃が何者かにより持ち去られていた。★★★★
松嶋智左『家につく猫』。元警察官で白バイ隊員という異色の経歴に興味を持ち、デビュー作からしばらく追い掛けていたのだが、最近はご無沙汰している。『刑事ヤギノメ』シリーズからの1編である。このアンソロジーの中では最も警察小説らしく、時系列を反転させた構成も見事で、面白かった。いきなり拉致され、農家の納屋に監禁された2人の警察官。納屋の中には腹を刺され、瀕死状態の男性が横たわっていた。★★★★★
芦沢央『コールバック』。著者サイン入り本ということで購入した『火のないところに煙は』がイマイチだったので、以来読んだことが無かった。このアンソロジーでは唯一の探偵小説であった。中学生の虐めと心無い悪戯により苦しめられる人びとが描かれる。最近の虐めは陰惨極まりない。度々、虐めによる殺人まで起きているのだ。ネットやゲームといったバーチャルな世界でしか遊んだことが無い現代の子供たちは、現実世界で加減するということを知らないのではないかと思う。★★★
本体価格800円
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休日に一気読み。この世界観が好きすぎるので、単行本も買って本棚に並べたいですね……。
上巻に続いて取り調べかと思いきや、下巻からはアクションが加わり物語が一気に加速する。
「剣と魔法の世界」にも関わらず、「読者への挑戦状」も「名探偵みなを集めて『さて』と言い」もあって興奮してしまいました。
思わず上巻を確認するほどさりげなく張られた伏線の回収もお見事。
上巻から星が一つ減っているのは、結末があまりにつらすぎたからですね……。かっこよすぎるよ。
アミーナも、このままソロンに留まるには惜しい人物。
米澤先生、アミーナとニコラにまた会いたいので続編、いかがでしょうか?
めも:《修道士カドフェル》シリーズ -
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ネタバレこーーーれは…。文章は読みやすくてスラスラ読んだんだけど、これはたしかに元気な時にしか読めない読後感。凄いズシンときている…。1週間くらい考え込みそう。
自分が生まれていなかった世界線。自分の世界では水子として亡くなっていた陽気でお節介で頭のきれる『姉』が、その世界では意識的にも無意識的にも、自分が生きていた世界線をいい方向にしている。自分の世界で亡くなっていた恋人も兄も生きていて、両親も仲が良く、周りの店すら活気があり…。生まれてこなかった方が良かったのは自分なんじゃないか?元の世界に戻ったとて、今後どう生きていけばいいのか?それでも生きていればまだ世界を変えられる?
いやー私なら耐えられない。生きられない。って思ってるところにラストの一文。しんどいよ…。 -
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ネタバレ小山内さんの瓜野くんへの論評がやっぱり盛り上がった
「この子他愛ないなって」というおよそ親しくあろうとした人に向けるとは思わない評価が最高でした
あの夜の瓜野くんのピエロ感ったらなかった
プライドをあんなにもズタズタにへし折られて自分だったら羞恥心で死にたくなるし闇堕ちしてもおかしく無い
ずっと続いていた放火魔事件に一区切りついて、小山内小鳩ペアも見事に戻ってきて一件落着という感じだった
結局あの2人は似たもの同士で、マロングラッセの話の意味を正確に理解した小鳩くんと理解できなかった瓜野くん、そこが小山内さんと一緒にいれるかどうかの違いだと思った -
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ネタバレこれから何かが始まるという予感を感じさせる内容だったけれどもアニメを見ているときもそうだったが、瓜野くんが急に出てきて困惑した
小山内さんもそうだが小鳩くんのヤバさが如実に現れている巻だった
堂島部長がただの無骨なやつじゃなく芯のあるしっかりとした考えを持った人だとわかって好感度が上がった
瓜野くん
見ていて痛々しいほどに青かった
何者かになりたいという願望は誰しもが持っていると思うけどそうした人たちと違うのは行動力に全特化して浅慮であった点だと思う
あと小山内さんに勝手にキスするな死ぬぞ
堂島部長
生徒指導部の新田への対処とか瓜野くんを諭す場面とか割と満点に近い対応だったと思う
頭ごなしに全てを否定する門地くんとの対比がよく出てて門地くんのかませ犬感すごかった
こんな先輩が欲しかった
小鳩くん
彼女の名前や吉口さんのことも記憶にないのやばい
仲丸さんの兄の泥棒の話を聞いている時の心情が全てだったと思う、自己顕示欲の塊で頭の回転が速いのがタチが悪い
アニメだと里村さんのポーチに視線がいって思い出しててうまいなあと思った記憶
小山内さん
瓜野くんの話聞く気なさすぎるキャラメリゼの話はいいから
アニメではレシート落として跪かせて見下ろしてたのにその描写なかったな -
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面白かったー
アニメでも見たがやっぱ面白い。この、冒頭からストレスなくサクサクと読める感じがとてもよい。なぜこの人の小説はこんなに軽い読み味で読めるのにも関わらず、こんなに深い所まで連れて行ってくれるのだろう。創作物の理想だと思う。
1人称の語り手をやっていた高校生が悪いわけではないのにコテンパンにされていて、でもあんまり胸糞感はなかった。自分で創作をするとき、そこのバランスが気になるので、こんなに好き放題してやっていいんだと思った。
何より、文脈的良さがすごくある。えもい。
推理せずには居られない小鳩君と復讐せずにはいられない小山内さんが小市民を目指す、という形はそもそも「自分自身を認めず、誰かになろうとしている」という点で間違っている。そこを間違いとは見せず、でも微妙な違和感として観客に感じさせているからこそ、このクライマックスが素晴らしいものに見えつつも間違う主人公にストレスを溜めないで楽しめる。
そもそも、「人の謎を勝手に先んじて解くこと」と「復習し、屈服させること」の喜びというところに目をつけ、その二つが似ていることを理解し、それを主人公にそのままくっつけると痛すぎるから、それで失敗して自制しようとしているが漏れてしまう、という人格の紐づけすぎないキャラクター設計が素晴らしい。さらに言えば、小市民を名乗ることそれ自体の自意識過剰さにも自覚的でそこまでの自省に到達したうえで、一緒にいるいないの話をしているのが最高に理性的でよい。
二人は他の人と付き合って、「小市民」と名乗って孤立しないために自分を下げることも、それ以前のようにの能力を押し付けることもやめ、ただ、自分をわかってくれる人の存在だけいればいい、という結論を出した。
「やっぱりこっちの方が、体温が上がる」という表現が最高。
そうして、こんなに論理だてて、一緒に結論を出したうえで、小鳩君は純粋に小山内さんに恋している。それが本当に素敵だなと思う。こういう恋をしたいと思った。 -
購入済み
わたしのようなアニメからのファンにも嬉しい新作短編集。「夏」を前にした小鳩と小佐内のやりとりに微笑ましさも感じつつ、各篇と一冊を通しての味わいのビターさは流石の魅力だった。