米澤穂信のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ミステリー作品なので具に作品を振り返ったり、結末が明らかとなり、これなら読む人の楽しみを失わせてしまうことは避けたい。
ゆえに、ボンヤリとした書き方になるが、飄々とした登場人物のやりとりの中で差し込まれる嘘。そして、その嘘の先にある一途な、切実な思いが、ミステリー作品を読み終え、謎を解き終えた、読み終えた達成感や爽快感とは異なる、心にちくりとした痛みを残して風のように去ってゆく。いかにも米澤穂信作品という、良い小説でした。
絶妙な距離感の友人的存在、冒険、そして大いなるエネルギーや情念に突き動かされる行動、一途さ。そのほろ苦さ。
私めのようなオッチャンにはそういうものは非常に懐かしく感じ、青 -
Posted by ブクログ
ネタバレシリーズ3作目!
今回は短編集で、主人公はそれぞれ変わりますが、各章必ず万智がパートナーとして登場します。
第三者から見た万智は、やっぱり表情が読みにくい。その万智の状態を言葉の微妙なニュアンスや書き方で上手く表現されていて、米澤先生〜!!ってなりました。いつも圧倒されています。
時系列的には『王とサーカス』の後かな?と思いますが、万智がまた一段階大人になっているような気がしました。子供の頃から大人びていたので、逆に大人になったら若く見られるようですが…
この短編集で語られていたお話しは、おそらく万智の報道人生のごく一部で、ここに書かれていない辛くてきつい仕事もいくつもこなしてきたんだろうなと -
Posted by ブクログ
悲劇を報じることは、他所で起こっている者たちに、娯楽を提供していることに他ならないのではないか。
それ以外の意味は一体何なのか。
国内外問わず、起こる悲劇を知り、心を痛めることが良くあるが、それを私が知って一体何になるのだろう。
私のような人々に知らせるために、取材するジャーナリストは何がしたいだろう。
そんなジャーナリズムの本質をストーリーを通じて問う。
この物語の舞台はネパールのカトマンズ。
経済的に裕福でない国の子どもたち(本当は国ではないかも)の逞しさと強かさにゾッとした。
常識では思いもつかない、計り知れないようなことを軽々とやってのける。
だから日本は平和ボケと言われるのかも。 -
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肩の力を入れなくてすむけれど、しっかりとミステリーとして、伏線が散りばめられた連作小説。
図書委員の男子高校生二人の距離感が絶妙で、熱くもなく、冷めてもいない友情が心地よい。
そして最後の2話では、これまでとは違った二人の話が展開する。青春小説としても読み味が良いと思う。
探偵役は基本的に松倉なのだが堀川も賢く、賢い二人のやり取りはロジックが整っていて気持ちがいい。
また、取り上げる謎もこれまで読んだミステリー小説とは違った視点で新鮮だった。
図書委員だが、いわゆるビブリオ系ミステリーとはちょっと違う。本が主役になることはないので、マニアックな本の話が出ることはないのもよかったと思う。 -
Posted by ブクログ
やっと読めたあああああああああ!!!!
小市民シリーズの冬期。
主人公の小鳩常悟朗が、小佐内ゆきと下校している時にひき逃げにあってしまって入院を余儀なくされるところから始まる。
今回の事件の真相を考えながらも、過去の因縁?の事件を思い出しながら、徐々に真相に近づいていく、という形。
実は先にアニメを見てしまっていたので、結末とかは知ってたけど、やっぱり字で読むと細かいところが分かっていいよねー
あの時の間、とか、空気感とか、読み終わってからこそちゃんとアニメを見返したいっ!て思えますん
何よりも何よりも、今までのシリーズのタイトルで「限定」ってついてる意味がちゃんと解説されてて、ほわぁそ