米澤穂信のレビュー一覧
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ネタバレ小市民に俺はなる!!と言っておきながら、相変わらずどう見てもその気が感じられない小鳩、小佐内コンビ。
学校に名を残したい小佐内さんの彼氏とそれを操って悦にいる犯人、承認欲求という自意識の葛藤という共通のテーマが(たぶん)ありました。
「コケティッシュ」というこの小説ではじめて知ったワードの自分の中での代名詞が小佐内さんになりました。
コケティッシュ小佐内。ズルいなこのキャラ。(アニメでも存分に発揮されてましたね)
このシリーズ、なんでスイーツを絡ませるんだろうと思ってましたが、大抵ビターな感じで着地する謎解きをスイーツを食しながら行うアンバランスさがミソなのだと勝手に解釈しました。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ「夏期限定トロピカルパフェ事件」のラストを経た小鳩くんと小山内さんがどうなったのか気になっていたが、それぞれの人間関係に変化が訪れていた。しかしながら、互恵関係は解消されたはずなのに、多分に小山内さんの策略(?)によって、ふたりは間接的に関わり始めていく。その背後では、連続放火事件が次第にエスカレートしていて不穏だ。
頑張って小市民に「擬態」しようとするけれど、魅力的な謎が彼らを離さないみたいである。小鳩くんがデート中に思わず謎解きをしてしまうのには呆れるし、小山内さんは相変わらず読めなさ過ぎて怖いし⋯
新キャラの瓜野くんも推理力(を補強する取材力)が高くてすごいが、気負い過ぎて暴走して危険に自ら足を踏み入れそうなのがかなり心配だ。小山内さんに操られている節もある。つまり、続きが気になる。 -
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小市民シリーズ三作目で初の長編。夏期で描かれた小鳩と小佐内の互恵関係の変化。それが二人に何をもたらし、どう展開したのかが描かれる。
相変わらず光るのは心理描写で、細かな心情説明があるわけではないのに、読み終える頃には登場人物たちの抱える悩みや、倫理とエゴの衝突、人間関係の複雑さについて考えさせられる。それらは多くが青春特有のもので、大人になれば大したことではなくなるのかもしれないが、青春の痛みは形を変えて残り続けるのだと思う。
主人公たちだけでなく、登場人物それぞれが等身大の役割を持っていて、それがたった二人の限られた視点だけで描かれていく点も興味深い。
物語を駆動するのは放火事件で、ミステリとしての軸となる。ただシリーズを通してそうだが、この作品の事件はあくまで「人を描く」ためにある。ミステリとして丁寧とは言えない部分もあるが、それは視点人物の推理能力や人間性、抱える問題を描くために調律されている印象がある。ミステリの強度を上げれば文学的な意味で精彩を欠く気もして、そこは致し方ないが、もう少し楽しみたい部分ではある。あえて率直に言えば、メインディッシュは読者の知り得ない情報で、前菜は簡単すぎて謎になっていない。
一方で、新本格の某氏や海外の某氏がやりそうな、探偵と助手の関係性そのものを使って遊ぶような一面も垣間見えて、そこは実に楽しい。
テーマがあり、関係があり、問題があり、それが一つの決着を見せる。そしてどうやらそこにはまだ意味深な何かが潜んでいる……という構成は無駄がなく、象徴的なメタファーも驚くほどハマっている。個人的には小鳩くんの上巻のエピソードや行動原理に身に覚えがあり、かなり痛々しい気持ちになった。思うところが多く、今のところシリーズの中でも一番好きな作品だ。 -
Posted by ブクログ
普段ファンタジー読まないし、中世ヨーロッパ?の話も読まないのでそんなに興味無かったのですが、米澤穂信の黒牢城がとても良かったので(普段戦国小説とか歴史小説全然読まないけど、丁寧にわかり易く、かと言って自然な感じで凄く良かった)、折れた竜骨も読んでみようと思いました。
予想通り、普段読まない私でもとても読みやすかったです。中世ヨーロッパのファンタジーでミステリが成立するのか…!?って感じですけど、今のところすーっと違和感なく読めてます!!
タイトルの意味がまだ?????って感じなのですが、これから回収されるんでしょうか?ワクワク!
とても良いところで終わったので早く下巻も読みたいです! -
Posted by ブクログ
読み始めた時はそうとは思わない本格ミステリ。探偵役は、順風満帆で進んでいたがある日原因不明の皮膚病にかかり、会社をやめ、社会から逸脱者扱いになった彼が故郷に帰ったら治ったが心は沈んだまま、犬探しをメインの事務所を立ち上げた、若いやつれぎみの男性。初日から人探しを頼まれ、ある事件の深淵を覗くことになる。逃げるしかないと思っても、たとえ誰が何をしても目をそらすことはできるが、自然なまま逃げない選択を進む主人公に共感が持てる。最後は、殺人を止めることはできなかったが、それをあえて殺人者を警察に付き出さなかったのも共感する。ただそのせいで逆に殺人者に口封じされるリスクが出てしまったが、彼ならうまく気づかれないだろう。古典部シリーズの折木以外の探偵が描かれて面白かった。タイトルで今まで躊躇していたが、予想をはるかに面白かった。