米澤穂信のレビュー一覧
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ネタバレ『倫敦スコーンの謎』は、米澤穂信さんの〈小市民〉シリーズの短編集。
⚫︎桑港クッキーの謎
⚫︎羅馬ジェラートの謎
⚫︎倫敦スコーンの謎
⚫︎維納ザッハトルテの謎
以上4編が収録されており、食べ物をきっかけにさまざまな謎が展開されていきます。
まず、国名が難しくて少し戸惑いましたね。笑
小市民シリーズは、やっぱり小佐内さんと小鳩くんの掛け合いが最高に面白い!
今回の作品では、特にその魅力を強く感じました。
短編集ですが、それぞれの物語が少しずつ繋がっていて、最後にほろ苦さを残しつつも、良い終わり方でした。
謎解きパートのテンポもよく、読んでいてとても心地よかったです。
そして何より、小佐内さんの「えへん」という表現が脳内再生されて、それはそれは可愛い……。
「わたし、だれにでも公平でありたいと思ったことは、一度もない」
この言葉が凄く好きです。
可愛いのに、冷血な小佐内さんが大好きです。
そんな小佐内さんを、やれやれと優しく見守る小鳩くんの構図がまた最高で、この二人の関係性が本当に好きです。
続編を期待 -
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ネタバレ時代小説はこれまであまり手を出したことがなく、苦手意識を持っていたのだが、ここ最近『イクサガミ』、『木挽町のあだ討ち』と楽しく読ませていただいたので、よっしゃ! いっちょ読んでみっか! と軽々しい気持ちでこの『黒牢城』を手に取った。
いやはや、前2作はかなりマイルドな方だったんですね。かなり苦戦しました。当時の言い回しとか言葉遣いとか漢字とかが難しい。それでもなんとなく意味はわかるし、ストーリーも理解できるのはすごい。学のない私にだって読めたんだからみんな読もう!
学生時代の歴史の授業では日本史を選択していてそれなりに得意ではあったけど、教科書レベルの内容しか知らなかったので、合間合間にWikiで武将の来歴を確認しながら読み進めた。
史実に沿った結末へ収束するための因果の空白を独自の展開で埋めるような内容と言えばいいのだろうか? 主人公である荒木村重の行く末についてよく知る歴史好きの方なら垂涎もののストーリーなのかも……。
あとはやっぱり物語のキーパーソンである黒田官兵衛。私も名前くらいは知っている。ゲームの無双シリーズにも出てたし。
こいつはあれだな、『羊たちの沈黙』のハンニバル・レクター博士やな? まさにそんな感じの動きをしておる。ところどころオマージュのような展開もあったりするし、間違いなく意識していると思う。違うのは人間を食べないところくらいか。
もう一人の主人公と言って差し支えはないと思うけど、その割に登場シーンは少なめなので黒田官兵衛が好きでその活躍を楽しみたい! という方はご注意を。
ページも多いし、文章も難しいし、あとものすごく広い部屋の中心に一人取り残されたような静寂の中で淡々と物語が進んでいくところとかもあって、とっつきにくさを感じるものの、スルメを噛むようなじんわりとしたおもしろさのある作品だと思うので、あまり急がずにゆっくり読むのをおすすめします。私もほぼ一週間かかったので、大型連休のときにでも読めばいいと思うよ。 -
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ネタバレ穂信さんの小説もう1回読んでみますかと思い、評判のこちらをえらんでみました。
うーーーん、好きですねぇ!!バベルの会にまつわる短編集なのですが、バベル会員にはいわくがたくさん!最初のが1番好きかも!?
自分が夢遊の中で誰かを殺しているのではないかと思って手足縛って寝てみたら、自分が守ろうとしていたご主人様が人殺しをしていたっていう…wこちらの作品はどんでん返しが有名ということでしたが、まさにこれですね!あ〜後味わる〜となる感じ、最高に好きでした。
あとは北の館に閉じ込められた女史の復讐が色で分かるのとかもね〜好きですねぇ!仲良くしてたし従っていたけど本心はそうじゃないよねっていう、こういうね…。穂信さんのキャラクターってアニメ的な要素を持ったキャラクターが多くて覚えやすいのが良いですね。
遭難者を山荘に閉じ込めるのもよくってぇ…五十鈴ちゃんはご主人様を助けたい!も大好きです。つまりそういうことでいいんですよね???そうだと言ってください。
そして最後にみんないただかれてしまうという…諸行無常な終わり方です。
面白かったです!好きな本です。
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ネタバレ小市民シリーズの短編集。夏季限定トロピカルパフェ事件の前というのもあってか、小鳩くんと小山内さんの関係性に初々しい部分があり、互いの抱える業とでも呼ぶべき性質に対しても親近感と他人事がほどよくブレンドされた感じがあり、それだけに夏季限定の互いに踏み込んでしまった構図が際立つように思ってしまう。
表題作「倫敦スコーンの謎」はなぜスコーンが上手く焼けなかったのかという謎はわりと読みやすいというか、料理が失敗するのはレシピを守らなかったからで、普通の料理と違って製菓はその辺がよりシビアであるからこそ、論理的に帰結するなら家から生地を持ってきたぐらいしかない。そしてよかれと思ってこっそりダイヤルを弄った生徒の心境が最悪の結末につながる苦さがある反面、美味しいスイーツを一緒に食べる行為は大切なものを分け合うこと、という答えに行き着く小鳩くんがたまらなくいじらしい。
正直な話、ミステリとしては表題作よりも「羅馬ジェラートの謎」が個人的には一番で、「語られざる事件」をベースにした論理構成と伏線回収の妙に唸らされてしまった。ジェラートを食べない客=ジェラートが食品サンプルということまではすぐに分かったものの、なぜ待っているのか?という謎や冒頭の停電などが繋がっていき、それがこちらでは窺い知れない店主個人の信頼へと鮮やかに繋がっていき、最後はリドルストーリーのようにオチる様は見事としか言いようがない。もう一つ気に入っているのは最後の「維納ザッハトルテの謎」で、書き下ろしらしく他の短編を繋げる役目でありながら、動機がとても面白い。壊れた美術品。それに嫉妬する先生、という風に先入観に振り回されながら、実は生徒を守って責任を取ることを美徳とする先生だったというのが面白い。生徒には決して見せない顔でありながら、そこに辿り着いた猜疑心の強い小鳩にだけ見せる本当の顔。「いい大人になりなさい」は色々と感じいる台詞でもある。
総じて久しぶりに読む小市民シリーズには満足感があり、シリーズが終わってもこうして短編集が読めるのは嬉しいサプライズである。古典部氏リーフも早く続きが読みたい -
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6編を収録したミステリーの短編集。
感想を書こうとして気づいたが、ミステリーの短編集というのは、感想を書くのがとても難しい。
表題作の「満願」は、下記のように紹介されている。
「もういいんです」人を殺めた女は控訴を取り下げ、静かに刑に服したが・・・。鮮やかな幕切れに真の動機が浮上する。
この作品で言えば、この殺人を犯した女性の「真の動機」が物語のテーマであり、そのテーマが何かがミステリーのトリックを構成している。しかし、それ以上のことを、この作品の感想として書けるだろうか。殺人を犯したのは、何歳くらいのどのような女性だったのだろうか。どのような殺人の仕方をしたのだろうか、等、作品の紹介を書くことはできるが、そんなことは、この作品のテーマである彼女の「真の動機」に比べるとほとんど意味のないことであり、「真の動機」を最後に読者に鮮やかに見せて驚かせるための道具に過ぎない。また、逆に、「真の動機」が何かをこの感想で書いてしまうと、ネタバレになってしまう。
ということなので、この短編集の感想はこれ以上は書かない。
どの作品も、切れ味の鋭い結末で、かなり面白く読めるということだけが感想だ。