文春文庫作品一覧

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  • 「ななつ星」極秘作戦 十津川警部シリーズ
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    豪華列車「ななつ星」の車中で明かされる、戦争末期に試みられた日中和平工作の秘密とは!? 警視庁副総監からの命令で、十津川警部は「ななつ星」へ乗り込む。 乗客を装うために同伴した妻・直子は、豪華列車に声を弾ませるが、十津川はマークすべき人物が誰なのかさえも分からない。同乗するは、台湾からの旅行客、アメリカ人夫婦、気鋭の歴史学者、外務省の職員。 やがて、列車最後部の7号車DXスイートに集まった彼らは、太平洋戦争末期の1945年にあったという南京政府の高官・繆斌(みょうひん)による日中和平工作について激しい議論を交わす。 十津川は、彼らの目的が日中の歴史の真実を明かすことと知るが、ここに敵対する勢力が登場、思わぬ妨害工作で乗客たちは絶体絶命の危機に直面する! JR各社が手掛ける「クルーズトレイン」のなかでも、JR九州が運行する「クルーズトレインななつ星in九州」はいまだに予約が困難な人気豪華列車。「一度は乗ってみたい……」と思う読者も多いはず。 本書は、鉄道・トラベルミステリーの第一人者である著者が、「ななつ星」に実際に乗車し、車内を隅々まで取材して書かれた、臨場感溢れる作品である。 2015年に単行本として刊行された本書には、西村さんの実際に乗車した「ななつ星」への感動と、戦後70年という節目にも関わらず対立を深める日中両国への危機感とが込められている。作中、熱く議論される歴史の断章は、鉄道ファンのみならずすべての日本人必読だ。
  • マリファナも銃もバカもOKの国 USA語録3
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    「ハッパ(マリファナ)のためにカウボーイとヒッピーが握手する、そんなバカげたことが起こるからアメリカという国は面白い」。「イスラム国」もハリウッド女優のヌード写真流出事件も、政治からサブカルまで、アメリカの「今」をメッタ斬り。「週刊文春」人気連載の文庫版第3弾、澤井健のイラストも完全収録。解説・津田大介
  • 西郷隆盛101の謎
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    2018年のNHK大河ドラマ「せごどん」の主人公、日本でいちばん親しまれている偉人、と言っても過言ではない西郷隆盛。その大人物然とした我々の知る風貌は、しかし、実は死後にイタリア人画家キヨッソーネが、親族を参考に想像で描いた「肖像画」なのだ(本書カバービジュアル)。実は西郷隆盛には、この肖像画のイメージに似合わぬ、意外なほど激情家の一面を持ち、主君との衝突、心中未遂、過酷な島への流罪、抜擢と左遷の繰り返し、といった波乱万丈の前半生を送っている。 そして、どう考えても時代に逆行した「西南戦争」の指揮者としての最期。彼は何故ここに至ったのか。それは果たして西郷の理想とした生き方だったのか。 さらに、その軍神・西郷が何故「浴衣姿で犬を連れて」上野公園に復活するのか? 我々歴史を愛する者は、その大づかみなイメージに満足せず、人目を引くトピックスだけに目を向けず、彼の生涯を詳細にたどることで、その魅力の「謎」の本質に迫りたいと考える。そこで西郷の生涯を「101の謎」に分け、それぞれ見開き2ページ~4ページでコンパクトに答える形式とした。 西郷ならよく知っている、そんなに謎があるはずがない……、そう考える歴史好きこそ、本書を手に取ってほしい。よく知られたエピソードの中にも、詳細に見れば「何故、この人は、敢えてこの道を選ぶ?」という疑問が沸いてくる。 文春文庫が世に問う以上「この一冊で西郷のすべてが分かる」ことをお約束する、しかし、結局「西郷とは何者か」という最大の謎は、各自がみずから解き明かしていただくしかない。この本は特定の「価値観」を前面に出すことはしないが、その材料を余すところなく提供している。西郷を考える前に、まずこの一冊を手に取ってほしい。
  • グルジェフの残影
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    革命の嵐が吹き荒れるロシアで、20世紀最大の神秘思想家グルジェフを巡って起こる殺人。 孤高の鬼才がミステリーの臨界に挑む! 20世紀初頭、革命前夜のロシアに彗星のごとく現れた神秘思想家グルジェフとは、いったい何者なのか? ラスプーチン、スターリンなど歴史を彩る大物をはじめ、魅力的な思想家群像を描きながら、 「20世紀最大のオカルティスト」の正体に迫るスリリングな本格歴史ミステリ長篇。 奥泉光氏との特別対談を収録。
  • 寅右衛門どの 江戸日記 千両仇討
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    越後四条藩で影武者を務めていた与多寅右衛門は、一橋家の元家老・飯田能登守易信の推挙で武蔵滝山藩主にして若年寄の座に就いた。江戸と甲州をつなぎ「桃源郷」と呼ばれる美しいと土地だが、石高は貧しい。そんな小藩に金鉱が発見され、寅右衛門の首を狙う賊が現れ、さらには謎の女の暗躍も――。古典落語に材を取った人気シリーズ大波乱の第4弾!
  • 学びなおし太平洋戦争 1 徹底検証「真珠湾作戦」
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    ビジネスマンから受験生まで! 昭和史研究の第一人者による唯一&最新の太平洋戦争全史。昭和16年12月8日の真珠湾攻撃から昭和20年8月15日の終戦まで、快哉と苦渋と辛苦の激闘の戦史を克明に描き出すシリーズ全4巻。第1巻は山本五十六連合艦隊司令長官の秘策が的中した緒戦から南方作戦での快進撃までを収録。巻末のみならず各章ごとに監修者・半藤一利氏の解説付き。総ルビ表記で、大人から子供まで楽しめます!
  • ともえ
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    源平から元禄。時空を越えたファンタジー 近江義仲寺で運命的な出会いをした松尾芭蕉と智月尼。 最晩年の芭蕉のプラトニックな関係と、巴御前との魂の交感を描く歴史時代小説。 大津にある義仲寺、その境内にある巴御前の塚に額ずく一人の尼に、 声を掛けたのは旅の途中の松尾芭蕉であった。 そして芭蕉最後の恋が始まるのだった。 その尼・智と芭蕉の淡い恋に、遥か五百年の時空を越えて 巴御前と木曾義仲の縁が美しく絡む。 近江と鎌倉を、そして過去と今を往還する純愛ファンタジー。 解説・島内景二
  • 見出された恋 「金閣寺」への船出
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    テレビでおなじみの作家・岩下尚史が描く三島由紀夫の知られざる物語。 舞台は、約50年前の東京。赤坂の一流料亭の長女として、絹に覆われ贅沢に育った19歳の満佐子は、才気あふれる一人の文士と出逢う。本来、住む世界が違うはずの二人はなぜか強く惹かれあい、逢瀬を重ねるうちに、男はある“決心”を固める。若き三島由紀夫の秘められた恋を、実話をもとに絢爛たる文体で小説に仕立てた傑作。
  • そして誰もいなくなる 十津川警部シリーズ
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    前代未聞のクイズ付きミステリー小説! 製菓メーカー主催のクイズ大会に参加したものの、優勝候補の不自然な脱落を怪しむ探偵の橋本。その背後を探り始めた十津川警部にも危機が迫る――。東京駅から神戸、有馬温泉、洋上へと舞台が移り変わるノンストップミステリー。ストーリーの進行に応じ難問クイズも登場(解答つき)。貴方は事件の謎とクイズが解けるか? Q現在の東京駅には、存在しないホームがあります。それは何番線ホームでしょうか? Q神戸の名所に、メリケンパークがあります。どうしてメリケンパークと呼ばれているのでしょうか? Q兵庫県尼崎市の杭瀬東墓地には、残念さんと呼ばれる墓があります。これは、どんな人の墓でしょうか? ――答えは本文中にあり!
  • 平蔵狩り
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    第49回吉川英治文学賞受賞作! シリーズ第二弾! 父である「本所のへいぞう」を探すために、京から下ってきた女絵師。 果たして、この女は平蔵の娘なのか。まったく新しい鬼平の貌。 人前には自らの顔を決して見せない火付盗賊改の頭領、長谷川平蔵。 オランダ渡りの秘薬の謎を探り、盗賊を率いる父娘を追う。 ある日、自分の父であるという「本所のへいぞう」を訪ね、京から若い女絵師が下ってきた……。 ハードボイルドの調べに乗せて描く、逢坂版平蔵シリーズ第二弾! 特別対談・諸田玲子 挿画・中一弥 【目次】 「寄場の女」 「刀の錆」 「仏の玄庵」 「平蔵狩り」 「鬼殺し」 「黒法師」
  • 江戸川乱歩傑作選 獣
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    巨匠の妖しき名作を桜庭一樹が厳選! 日本推理小説の巨匠・江戸川乱歩が没して50年。 名作に光を当てるアンソロジー第1弾はデビュー作「二銭銅貨」、 明智小五郎初登場の「D坂の殺人事件」、大正期の退屈と倦怠を 犯罪に描いた「屋根裏の散歩者」、絢爛と恐怖の箱庭世界「パノラマ島綺譚」……。 初期傑作にして異形の問題作「陰獣」を中心に、傑作七編と二つの随筆を厳選。 直木賞作家・桜庭一樹が案内する、妖しくも美しい巨匠乱歩の新世界。 【目次】 「二銭銅貨」 「一枚の切符」 「D坂の殺人事件」 「屋根裏の散歩者」 「一人二役」 「パノラマ島綺譚」 「陰獣」 随筆「恋と神様」 随筆「幻影の城主」 監修・新保博久
  • 十一月に死んだ悪魔
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    15万部のベストセラー『六月六日生まれの天使』を超える、衝撃の恋愛ミステリー! 鳴かず飛ばずの作家・柏原は交通事故で一週間分の記憶を失う。 その日を境に、突然意識が遠のき恐ろしい「穴」を見る発作を起こしてしまう。 十一年後、謎の美女・舞華と偶然出会った事をきっかけに、封印されていた記憶が戻り始め……。 幾重にもからんだ伏線と、衝撃のラスト! エロスと狂気、妄想と現実が錯綜する究極の恋愛ミステリー。
  • あしあと
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    1巻784円 (税込)
    彼方に封じ込めていた記憶の封印が解かれるとき、妖しく危うい官能の扉が開く。 夢とも現実ともつかぬ時空を往来しながら「生」と「性」を描く、円熟の傑作十篇。 風来坊だった父の死後、家族に届いた一通の手紙。 ともに暮らした女たちが愛した二体の人形。 九十二歳、養護施設で暮らす老女にたったひとつ残された鮮やかな記憶――。 「青春」と「老い」が渾然一体となったとき、妖しく危うい官能の物語の幕が開く。 最後の文士・勝目梓が描く生と性。熟達の傑作短篇十篇。 解説・逢坂剛 【目次】 「万年筆」 「記憶」 「ひとつだけ」 「人形の恋」 「秘儀」 「橋」 「一夜」 「影」 「封印」 「あしあと」
  • 杖ことば
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    人間は、言葉によって傷つき、また言葉によって癒され救われるもの。「杖ことば」とは、苦しみや不安に満ちた日常の中で、とことん落ち込んでしまうことなく、さりげなく手となり足となり、ささえてくれる言葉のこと。誰もが知っている先人たちの金言、格言、諺から、人生を投げ出さず、乗り越える言葉を厳選したエッセイ集。
  • 破落戸 あくじゃれ瓢六捕物帖
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    円熟の江戸活劇、いよいよクライマックスのシリーズ第5弾! 文化人を弾圧し悪名高い「天保の改革」。瓢六は弥左衛門やお奈緒らと陰に陽に立ち向かうが、やがて圧政者たちも決して一枚岩ではないことに気付く。 「妖怪」こと鳥居耀蔵の裏切り、それによる水野越前守の失脚と復活。一方瓢六は勝家の若き当主・麟太郎と親交を深める。 時代はうねり、活劇シリーズいよいよ佳境へ。 解説・大矢博子
  • 再会 あくじゃれ瓢六捕物帖
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    新ヒロイン登場! 絶世の色男が活躍する幕末活劇シリーズ第4作 今度の敵は“妖怪”だ!  瓢六が仲間たちと立ち上がる 天保の大火でお袖を失い自堕落な生活をおくる色男・瓢六。 しかし老中・水野忠邦と“妖怪”鳥居耀蔵の陰謀に苦しむ人々を見ていられず、また謎の武家女性・お奈緒の魅力に導かれるように、相棒の堅物同心・篠崎弥左衛門と幕政の理不尽に立ち向かう。 大切な人を喪った者のみが知る優しさが漂うシリーズ第4弾。 解説・細谷正充
  • 糖尿病S氏の豊かな食卓
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    ある日、糖尿病の数値がガクッと悪くなった。血糖値を下げる努力の仕方が間違っていたらしい。「ああ、これからはご飯がまともに食べられなくなる」と思い悩み、そこから陶芸家S氏のおいしい一日1800キロカロリー料理生活が始まった。糖尿病ならずとも食べたくなるS氏の日常の食とは?その15年の変遷をレシピつきで公開。S氏こと坂本素行は1950年、東京都五日市町(現あきるの市)生まれ。自動車メーカーのデザイナーから、陶芸家に転じる。象嵌や灰釉の作品は、その緻密な技と造形で、現代陶芸家の中でも屈指の斬新さを持つひとり。フツーの「おいしさ」が詰まった一冊。
  • 中国 詩心を旅する
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    李白、杜甫、王維、杜牧、陶淵明、白楽天、文天祥……細川元首相が幼少の頃から親しんできた漢詩・漢文の名言名句を手がかりに、それらの縁の地を訪ねた。杜甫の「国破れて山河あり」の舞台となった長安では、唐の詩人たちが活躍した往時の都を偲び、陶淵明の「帰りなん いざ」に導かれ、名勝と謳われた廬山へ。蘇東坡が「人生夢の如し」と謳った古戦場・赤壁では、『三国志』の時代に思いを馳せる――。詩人に限らず、達磨や玄奘といった僧侶や、王羲之や八大山人のような書家や画家も細川氏が「詩心」を感じた人々として登場。中国全土を巡り、四十八話をつづった細川護熙流「中国歴史紀行集」。旅愁を誘う撮り下ろし写真や、筆者自ら旅の印象を描いた絵画や書もふんだんに収録。
  • 秋色(上)
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    「秋色」とは、心の中にある秋景色のこと、である。 世界的に有名な建築家と京都の名家出身の二廻り年下の妻、この華麗なる夫婦の実態は……夫には三十年来の愛人がいる。常に控えめな妻は、シドニー行の機内で出会った奈良の老舗の二男坊に惹かれていく。シドニー、麻布、銀座、奈良、京都、伊豆山と舞台を移して、華やかに、かなしく、時におそろしく展開される人間模様と愛のかたち。
  • がんと闘った科学者の記録
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    「自分の命が消滅した後でも世界は何事もなく進んでいく」 ニュートリノ観測でノーベル物理学賞は確実といわれながら、がんで世を去った戸塚洋二氏。 本書は戸塚氏が余命を宣告された後、ひそかに匿名でつづっていたブログを編集したものである。がんとの闘病のみならず、人生論、科学論、医学論、教育論、宗教論と、さまざまな分野に筆が及んでおり、どのテーマであってもシャープな切り口で綴られている。その一方で、庭や公園で花を愛でつつ病から気をそらせている心境も書かれる。 巻末には立花隆氏との対談を収録。この対談が掲載された2008年8月号の発売日に、戸塚氏は世を去った。逝去の直前まで明晰さを保った科学者による感動の手記。
  • 花森安治の編集室 「暮しの手帖」ですごした日々
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    「文章は話すように書け」「ひとの身になって考えろ」「編集者は、芸人でなくてはならない」「編集者にとって、字はいのちだ」「眼は高く、手は低く」 ――伝説の編集者・花森安治はきわめつきの頑固でワンマン、そして自由でしなやかな精神をもつ、天才肌の職人だった。 「暮しの手帖」編集部で花森安治、創業者の大橋鎭子と6年間を過ごし、雑誌作りを一から叩き込まれ、だれよりも怒られた元編集部員がつづる回想。 NHK連続テレビ小説「とと姉ちゃん」が、より楽しめる一冊!
  • 中国で考えた2050年の日本と中国 北京烈日 決定版
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    日本は、この巨大な隣国といかなる向き合い方をすべきか。 習近平独裁体制が確立され、政治的にも経済的にも膨張を続ける中国。巨大商社のトップから、中国大使へと転じた著者が、これからの日中関係を真率に論じる。中国バブルは弾けるのか? 習近平が掲げる「中華民族の夢」とは? 日本企業は中国へ進出しても大丈夫なのか? そして、少子高齢化の進む日本の生きる道とは。 刊行時、大きな話題となった『北京烈日』にオリジナルの最終章を加えた決定版。
  • 泳ぎたくない川
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    子どもができたら籍を入れる――。 その言葉を信じて、ミイは元気な男の子を産んだ。自分の人生を変えてくれる子だと。敏雄と名付けられた男の子は、父がいなくても母の愛情たっぷりにすくすくと大きくなっていく……。戦時下の昭和を舞台に、身を寄せ合って懸命に生きた母と子の絆を描いた半自伝的小説。
  • 志士の風雪
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    維新ドラマの裏に隠れた志士の激烈な生涯 松陰のもとで学び、維新志士として、信念を貫く明治の政治家として「暴発」しつつ活躍した品川弥二郎の生涯に光を当てる歴史長篇。
  • 信長影絵(上)
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    すべては、母に疎まれたことからはじまった 渇いた心が信長を天下統一へと駆り立てた。「下天は夢か」から四半世紀を経て、より深い人間解釈によって描かれる津本文学の集大成。
  • 敷島隊の五人 海軍大尉関行男の生涯(上)
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    神風特攻隊の先駆けとなった若者たち レイテ島沖で米空母に体当りをし、若い命を閉じた神風特別攻撃隊敷島隊の五人の若者たちは、何を思い、いかに生きようとしたのか
  • 狼がやってきた日
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    昭和四十八年の石油ショックは戦後最大の危機であった。当時の状況を、未発表の資料や当事者の証言を基軸に再現し、危機状況においていかに行動すべきかを考えるドキュメント。
  • 他者が他者であること
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    文学から趣味まで、宮城谷昌光の素顔 二十代の頃、歴史小説を侮蔑していた――。いかにして現代を代表する歴史作家への道が拓けたのか。創作への思いが見えるエッセイ集。
  • 警視庁組対五課 大地班 ドラッグ・ルート
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    大地清隆率いる警視庁組対五課「大地班」は、薬物捜査を手掛けるスペシャルチーム。地道な内偵捜査により捜査線上に浮かび上がってきたのは、以前、摘発した中国からの密輸事件の中心人物でありながら、最終的には逃げられた人物だった。思わぬところで繋がった「ドラッグ・ルート」を辿る大地たちに内部告発者からもたらされたのは、極秘取引の情報……千載一遇のチャンスを前に大地は大きな“賭け”にでる。そして裏切りと罠に血塗られた悲劇が幕を開ける……。
  • 決定版 100歳までボケない120の方法
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    何歳からでも、一つだけでも効果があります 野菜はブロッコリー、魚ならサケ。睡眠は7時間、階段の上り下りは自分の足で。アンチエイジングの第一人者による実践的レッスン。
  • 十津川警部 陰謀は時を超えて リニア新幹線と世界遺産
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    雑誌編集者の若杉誠は、世界遺産の白川郷を取材したが、その裏に別の目的があった。かの地に伝わる秘薬を入手すること。秘薬をめぐる殺人事件まで起き、十津川警部もかけつけた。錯綜する関係をほぐしていくと、リニア新幹線計画との意外な関係が浮かび上がった――。過去と未来がクロスする社会派トラベル・ミステリー。
  • にこにこ貧乏
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    山本家の日常は、相も変わらず大騒ぎ! 名曲「天城越え」の日本語の力に圧倒され、息子の大怪我で福祉のありがたさを知る。上京して初めて食べた思い出の十円鮨、築地魚河岸場内の極上トースト、富山の超特大オムライス……取材に講演旅行に日本中を駆け巡る人気時代小説家が出会った、旨いものと人情、カミさんや息子たちとの大騒ぎな日常を本音で綴る。「週刊文春」連載エッセイ第2弾。
  • おらんくの池
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    元気なお父さんが、日本を明るくする! “おらんく”とは土佐弁で「おれの家」のこと。愛する故郷・高知から上京して40年。21世紀の江戸に暮らす山本家は今日も大騒ぎ。効果的なセールストーク、道中疲れを治す秘伝、贈り物の極意――生きていく上で役立つ“一力流格言”はきっとあなたの心に届くはず。「週刊文春」連載の爆笑日常エッセイ第1弾。
  • めまいは治せる!
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    めまいや、それにともなう耳鳴り、難聴は原因不明の難病である。その治療法を札幌の内科医が発見。「めまいと耳鳴りが消失」したり、「めまいが消失し、耳鳴りが軽快」した患者が84パーセントという治療成果をあげている。1990年から治療を始めた患者は3500人を超えた。患者の声をはじめ、多くの治療データを収録。電子版刊行にあたり「電子版まえがき」を追加。
  • 瞼の媽媽 自力で帰国した残留孤児の手記
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    1970年、日中の国交が断絶していた時代に、自力で奇跡の帰国を果たした青年がいた――。4歳に満たぬうち、満州で日本の両親と生き別れ、「孫玉福」として貧しくも養母に愛情をもって育てられた著者だったが、大学受験を前に生活は激変。歴史に翻弄されながらもうひとつの「戦後」をたくましく生き抜いたひとりの男が記す凄絶な運命の物語。
  • 紅ぎらい 献残屋はだか嫁始末
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    美貌と気立てを見込まれ、江戸でも指折りの献残屋(江戸の高級リサイクルショップ)に嫁いだおしの。夫が外で生ませた子を育てながら、店の女主人として迷い決断しながら成長する、第一弾『はだか嫁』に続く第二弾。理解ある舅・姑とともに大店・仙石屋の暖簾を守るおしのだが、大地震の後、店を追われたもと夫が妾と娘を連れて戻ってきたからさあ大変! 跡継ぎ息子の実母であることを盾に女主人の座を狙う妾のおみね、店を支えてきた誇りを胸に迎え撃つおしの。女同士、進退かけた分け目の戦が始まる。新感覚時代長編!
  • 御宿かわせみ傑作選1 初春の客
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    江戸の大川端にある小さな旅籠「かわせみ」を舞台に繰り広げられる、大人気“人情捕物帳”。1973年に連載が開始されて以来、現在まで続く、総累計1000万部を超える国民的ベストセラーである。全34巻から選りすぐった7篇を、美しいカラー挿絵(画・蓬田やすひろ)とともに収録した、ファン必携のベスト版第1弾! シリーズを振り返った書き下ろしエッセイを収録。
  • 悪血
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    人は、おのれの血にどこまで縛られるのか? 高名な日本画家の家系に生まれながら、ペットの肖像画家に身をやつす時島一雅は、かつてない犬種を開発中というブリーダーの男に出資を申し出る。血の呪縛に悩みながら血の操作に手を貸す矛盾。純白の支配する邪悪な世界への憧憬。制御不能の感情が、一雅を窮地へと追い込んでいく――。ホラーサスペンスであり動物パニック小説であり芸術小説でもある、門井慶喜の意欲作! 『血統(ペディグリー)』を改題。
  • オリンピック雑学150連発
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    4年に1度のスポーツの祭典・オリンピック。実は……〈聖火の生みの親はヒトラーだった?〉〈55年かけてマラソンを「完走」した日本人ランナー〉〈『シャーロック・ホームズ』の作者、コナン・ドイルは審判を務めていた〉〈アジア初のメダリストはインド人〉〈太古、選手もコーチも全裸だった〉……など、紀元前8世紀にその源流を発するオリンピックは、ロマンと謎に満ちあふれた意外な逸話に彩られていた! 近年の印象深いエピソードも満載し、観戦の予習・復習に必携の一冊。五輪取材経験豊かな著者ならではの、オリンピックトリビア決定版!
  • フィニッシュ・ゲートから
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    「ランナーとは走る者を言う。現世の何を背負おうとも、ただ純粋に真っ直ぐ走り続けられる者だけをランナーと呼ぶのだ」。東京マラソンを舞台に、友情と、遠い日の恋心を優しく紡いだ中編。文春文庫『シティ・マラソンズ』収録。
  • 秋山久蔵御用控 隠し金
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    八丁堀・中ノ橋に、蜆売りの春吉の死体があがった。袈裟懸けに斬られており、侍の仕業らしい。父を亡くした春吉は母を助け健気に働いており、八丁堀御組屋敷街のみなに可愛がられていた。やはり贔屓にしていた南町奉行所吟味方与力・秋山久蔵は、少年を無残にも斬った外道に、怒りの刃を向ける。 好評シリーズ第12弾!
  • 伴侶の死
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    あなたは自分にとって大切な人――たとえば夫や妻のことを、本当に知っていると言えますか? 著者は、38年間連れ添った夫を、癌告知からわずか12日で失います。突然の別れに混乱する中、著者の中で芽生えたのは、「夫はどんな人だったのか?」という、自責を含んだ問いでした。そうして、夫の真の姿を知るために旧知の人たちを訪ね歩き、「夫探し」の旅を始めた著者が見出した答えとは……。夫婦の在り方を問い、ベストセラーとなった名著、四半世紀の時を超えて待望の復刊です
  • 秋山久蔵御用控 埋み火(うずみび)
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    神楽坂下の掘割に、袋物屋『丸菱』の内儀・お艶の死体があがった。お艶は半年前に入り婿の文吉を追い出して離縁しており、恨みによる殺しと思われた。だが当の文吉は事件と係わりがないらしい。南町奉行所吟味方与力・秋山久蔵は、2人の離縁の裏には何事かが潜んでいると睨み、手下に探索を命じる。 好評シリーズ第4弾!
  • 長崎奉行所秘録 伊立重蔵事件帖  麝香(じゃこう)ねずみ
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    次期奉行の特命で、江戸から1人長崎の地に先乗りした与力・伊立重蔵。そこで目にしたのは、得体の知れぬ「麝香ねずみ」と呼ばれる阿片や鉄砲の抜け荷を得意とする一味に蝕まれた奉行所の姿だった。身を崩した錺職人・善六、地元の親分・吉次郎らと真相に迫った先に出会ったものとは──。書き下ろし長編時代小説シリーズ第1弾!
  • 中国秘伝 よく効く「食べ合わせ」の極意
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    中国には、代々伝わる「食べ合わせ」の極意があった! 清朝宮廷で伝統医学を指導していた祖母に学んだ著者が明かす、秘伝の「食べ合わせ術」。不眠には「人参+豚肉」、肩こりには「ホタテ貝柱+ナス」、腰痛には「栗+米」。家庭だけではなく、居酒屋でもコンビニでもファミレスでも実践できる、「食べて元気になる!」技術が満載。食べ合わせ一覧表付きです。
  • 整体かれんだー 旬な身体になる
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    「のぼせ」「冷え」「首が痛い」。身体の悩みはありませんか? 骨盤がゆるむ春、胸のひらく夏、おなかの動きの良くなる秋、骨盤を縮めて冷えに対抗する冬。1年のサイクルを快適に過ごすため、身体はバランスをとりながら変化しています。身体の言い分に沿ってあるがままに生きることを目指す「身がまま整体」を、著者の30年の経験からサポート。
  • 何も起きなかった
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    「雪の匂いはカエルの生臭い匂い」…高校の帰り道、どっちが匂いをうまく表現できるか競って言葉遊びができる親友だった、真樹子と品子。連絡が途絶えていた二人だが、同窓会を機にメール交換が始まる。互いの競争心や嫉妬をオブラートに包んだやりとりから暗い過去が炙り出され、次第に本音が見え隠れしだす。二人の間の緊張感が最高潮に達したとき、真樹子が送ったラストメールは…。これは「忘れられない香り」の記憶をテーマとして競作されたアンソロジーの一篇です。
  • スワン・レイク
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    久しぶりに叔母を訪ねたサツキ。信州の小さな町でバーを営む叔母は、何でも話せる唯一の存在。でもこの厳寒期に突然きた理由は話していない。きっかけは、一本の古いビデオテープだった…。3年前交通事故で夫を亡くしたサツキが、人生を新たにやり直そうと20年勤めた会社を辞める際、引き出しの奥で見つけたビデオ。そこに映っていたのは…。今、小雪が舞う中その場所へ。これは「忘れられない香り」の記憶をテーマとして競作されたアンソロジーの一篇です。
  • ロックとブルースに還る夜
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    編集者の私は、予備校時代を過ごした仙台を30年ぶりに訪れ感傷的になっていた。ハードロックとギターに明け暮れていた浪人時代、レコードを聴きたくて授業をサボって通った国分町のロック喫茶。それがいま目の前にある。まさかこの店が残っていたとは…。タイムスリップしたような錯覚を覚えながら、片想いの“彼女”を思い出しハッとする。閉じていた心の引き出しが開いた瞬間だった。これは「忘れられない香り」の記憶をテーマとして競作されたアンソロジーの一篇です。
  • いちば童子
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    ちょっと不思議な話をしたろか、大阪万博の前の年のこと──俺がいた環状線のT駅の近くに小さな市場があった。肉屋、魚屋、乾物屋、果物屋、食い物屋、ふとん屋にゲームセンター。市場を歩き回る俺は、同い年くらいの男の子があちこちにいるのに出会った。いちば童子だ。座敷ワラシの親戚みたいなもんやな。そんな頃、新しい道路と市場をつなぐ話が持ち上がり、市場は賛否で割れた……。これは「忘れられない香り」の記憶をテーマとして競作されたアンソロジーの一篇です。
  • 父とガムと彼女
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    小学4年生のある日まで、忙しい母にかわって学校の送り迎えをし、自分の世話をしてくれた初子さん。脚本を書きあぐねていた父と、家計をささえていた母。母が実家に行ったきりになったときは、父と初子さんと私で数か月暮らしたこともあった。そしてある日を境にふいに消えてしまった。父が亡くなり、通夜ぶるまいの席で再会した初子さんは……。これは「忘れられない香り」の記憶をテーマとして競作されたアンソロジーの一篇です。
  • 夢の香り
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    35歳の季理子は、中学生のころ夢で嗅いだ“男のにおい”が未だに忘れられない。それはどこか懐かしい、いくつものにおいが混ざり合った複雑なハーモニーだった。年を重ね、デートの誘いも減ってきたある日、海外紛争地帯に長期取材に赴く元同僚の壮行会のため、友人たちと集まった。あ、この男の香りは、あの夢のにすごく似ている……けれど、100%同じではない……。これは「忘れられない香り」の記憶をテーマとして競作されたアンソロジーの一篇です。
  • アンタさん
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    駆け出しライターの私が、後輩の結婚式の2次会でワインを思い切り引っかけて知り合った男は、なんと宮大工。食事に誘われてみれば、食べ物の好みが合い、肩がこらず、話がはずむ。うーん、宮大工の女房もいいかも。親しくなるうちに結婚相手と意識するのだが、それをほのめかした途端、男は青森の山寺修復に行くよ、携帯の電波も届かないような山奥だ、と音信不通に……。これは「忘れられない香り」の記憶をテーマとして競作されたアンソロジーの一篇です。
  • 韓国芸能界裏物語 K-POPからセックス接待まで…禁断の事件簿
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    KARA、少女時代などのK-POPから、イ・ビョンホンらベテラン韓流スターまでの裏事情を徹底レポート! 華々しい舞台の裏側で伝えられる、分裂騒動や奴隷契約、セックス接待などのスキャンダルを、現地通ライターが解き明かす。少女時代屈辱の「10ミニッツ」事件とは? 韓流芸能人はなぜ自殺が多い? 女優の「整形」カミングアウトが流行中? 「本当のところ、どうなってるの?」という疑問に答え、韓国芸能界独特の歴史やルールまで網羅したファン必読の一冊。
  • 海兵四号生徒
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    1巻550円 (税込)
    デモ隊の喧騒をよそに、足どり重く街路をぬう中年の男。同窓生の集まる母校へと向かう彼の脳裡をよぎるのは、少年時代の不器用でひたむきなおのれの姿だった。苛酷な鍛錬に堪え、田舎中学の柔道部優勝に貢献した盛田修平は、みずからを律するものを求め、それに堪え、そしてそれを越えることにより他をも律し得る存在たらんとして、海軍兵学校を志願した。再び続く厳格な規律と鍛錬の日々、個性豊かな同期生との友情を得、やがて戦場へと向かう。太平洋戦争前夜の青春群像を描く力作。
  • 修羅の匂い
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    ブティックの女経営者の恋人が殺され、彼女の親友である人妻に疑いがかかる。殺人現場に残された人妻と同じ香水の香りの謎は? (「修羅の匂い」)。実直なサラリーマンが出来心で犯した浮気相手の若いホステスの部屋を訪れると、彼女は全裸で倒れていた。男にアリバイはない(「擦れ違った顔」)。一見、何不自由ない平和な家庭に隠された事情、場末の調査事務所に持ち込まれた五つの依頼は、やがて凄惨な事件へと発展する。著者持ち前の曖昧の美学が光る本格ハードボイルド連作短篇集。
  • さらば、愛しき藝人たち
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    アダチ竜光、牧野周一、広沢虎造、大辻伺郎、吾妻ひな子、石田一松、シミキン、可楽、馬風……比類なき芸ゆえにいかなる奇矯も許された古き良き時代。ずらりと並んだ15人は誰を見ても二度と現れそうもないキャラクターばかりである。筆者は、すでに鬼籍に入って見ることも聞くこともかなわぬ芸をいとおしみ、愛すべき素顔を懐しむ。その優しい目と、巧緻な筆で描いた「しがない」芸術家への鎮魂歌は、同時にもうひとつの昭和史になっている。
  • 極楽トンボ
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    親父はな、作家なんてお前には無理だよ、出来もしねぇヤクザな夢を追ってねぇで、まともな商売でもやれってんだよ、ひでぇこと言うじゃねぇか……。あるときは下町のトリスバー経営者、あるときは人気抜群の放送作家、またあるときはカンヌ映画祭で激賞を受けた映画監督、直木賞受賞の人気作家。さらには俳優、雑誌社オーナー、そしてアイディア商品の開発に売り込みと、多芸多才、あふれる才気をほしいままにする著者自身の人生の忘れがたき思い出をベースに描いた自伝的連作小説。
  • 鬼が来た(上) 棟方志功伝
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    1~2巻770円 (税込)
    善知鳥(うとう)……それは青森市の古名でもあり、なぜか悪知鳥とも呼ばれて古今集にも歌われた悲しい伝説の鳥でもある。その幻の鳥を追って本州北端、青森の善知鳥神社に隣接する貧しい鍛冶屋から始まった棟方志功の旅は、柳宗悦と民芸運動、保田與重郎と日本浪曼派、太宰治らとの出会いと微妙な反発を経て、未知の闇へと進んで行く……。天才版画家・棟方志功の人とその時代を、郷里を同じくする作者が、深い愛情と渾身の力をこめて描いた伝記文学の傑作。芸術選奨文部大臣賞受賞。
  • 琥珀の技 三船十段物語
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    「三船久蔵は単なる選手ではなくて、求道的であったという点でも真の柔道家であった。……書き終えて、一業に秀でた人間のすさまじい闘志にふれた感動が、ずっしり胸底に残っている」(あとがき)。一五九センチ、五十六キロの体ながら、あくなき技の追求者として空気投げ、球車、踵返し、諸手刈、三角固めなどをつぎつぎに発明し、生涯無敗を誇った三船久蔵十段。負けじ魂と精妙な技で日本柔道を造りあげた不世出の柔道家の堂々の一生を、同郷の直木賞受賞作家が熱愛をこめて綴る。
  • ミッドウェー戦記
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    太平洋戦争の帰趨をきめたミッドウェー海戦。日米機動部隊の激突を前に索敵の利根四号機が打った一本の無電「敵ラシキモノ十隻見ユ……」。自身、海軍中尉として撃墜され米国の捕虜収容所での経験を持つ筆者が、そこに収容されていた「飛竜」乗組員の話をきっかけに、戦後多くの生存者に会い、日米両軍の資料にもとづいて、海戦の勝敗をわけた戦況をつぶさに描く。通説とされてきた「運命の五分間」をくつがえす新しい鍵を明らかにする、著者会心の長篇記録文学。
  • 幕末風塵録
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    浦賀にペリー艦隊が突如、現れたのは、嘉永六年六月のこと。この黒船ショックが、その後どういう変容を遂げて明治維新や現代に受け継がれて行ったか──。「戊辰戦争の敗者の慰霊鎮魂なしには、明治以後の歴史は語り得ない」とする著者が、動乱の幕末の深層を抉り、将軍から遊女まで、人々の息遣いに触れさせてくれる随想集。《目次の一部》榎本武揚と樺太、吉田松蔭とテレパシー、大奥は砂糖天国、家茂びいき、将軍の気くばり、トコトンヤレ節由来、写真術事始、ナポレオンと留学生ほか。
  • にわか産婆・漱石
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    明治三十八年十二月十四日未明、夏目漱石は鏡子夫人の分娩を助けるべく、汗みどろになっていた。産婆が来る前に、出産が始まってしまったからだ。なぜ俺が、と直前まで夫人へ悪態をつき、いよいよとなったとたん、明治男子の面子にこだわりながらも母子ふたりの命をあずかった父親の混乱ぶりを胎児の側から描いて話題を呼んだ表題作はじめ、家康に命じられ、明国に出張した義歯職人たちが体験する宦官にまつわる悲喜劇を克明に描いた傑作「大御所の献上品」他二篇を収録。
  • 古代女王ものがたり
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    人類文明の故郷である古代オリエントには、輝かしい名を残した女王と王妃が少くない。クレオパトラやハトシェプストなど、おなじみの古代エジプトの女王から、シバの女王ビルキス、ローマに挑戦したパルミラの女王ゼノビア、最高の美女といわれた王妃ネフェルティティ、ツタンカーメン王の最愛の王妃アンケセナーメンなど、紀元前十五世紀から紀元後三世紀に至る古代オリエントの歴史の中で、波乱万丈の生涯を華やかにたどった六人の女性たちの、ロマンにみちた劇的な生涯を描く。
  • ナポレオン その情熱的生涯
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    「女を探せ」は犯人追跡の極意である。男性の伝記を書く場合も同じではあるまいか。およそ、伝記の主人公になるくらいの男なら、女を愛し女に愛されなかったはずはない……。コルシカ生まれの一砲兵士官が、フランス革命後の風雲に乗じ、軍事的天才を揮って全ヨーロッパを席捲し、ついにフランス皇帝の座をかちとる。絢爛たるナポレオンの生涯を一層華やかに飾ったのは、戦争と同様の情熱をそそいだ多彩なる恋愛遍歴である。英雄の人間的側面をドラマチックに描く異色の伝記。
  • 炎は流れる(1) 明治と昭和の谷間
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    はたして日本人とは世界でもまれな精神構造をもった特異な民族なのか。近代夜明けの明治期を象徴するふたりの人物に焦点をあて、彼らの行動を支配した思考に迫る。この本は歴史というよりは、歴史を歩いたルポルタージュであり、いわば「タテの紀行文」だ。日本人の精神構造の中核を形成している「忠誠心」の源流をたずねて、乃木大将の殉死から筆をおこし、その死をめぐるさまざまな評価から、さらに赤穂浪士の仇討ちまでさかのぼって、日本的特性をさぐっている。
  • わかっちゃいるけど… シャボン玉の頃
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    テレビの笑いを決定づけた、いまなお語り継がれる黄金期の怪物バラエティ「しゃぼん玉ホリデー」。ミスター・しゃぼん玉が語る、抱腹絶倒の真実! ザ・ピーナッツ クレージーキャッツ(ハナ肇、植木等、谷啓、犬塚弘、安田伸、桜井センリ、石橋エータロー)入江美樹 坂本九 中尾ミエ クリント・イーストウッド なべおさみ 小松政夫 水原弘 勝新太郎 中山千夏 朝丘雪路 永六輔 前田武彦 大橋巨泉 野坂昭如 井上ひさし みんな出てくるのだ!
  • 犬が育てた猫
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    優しい老犬に育てられた猫は自分を犬と思っているのかどうか、鷹揚で食卓の上の食物を狙ったりすることがまったくなかったのが、二度の失恋以来調子が狂って、ついに食卓の上の魚を盗んだ。「おまえともあろうものが、なぜそんなことをするのだ」と、私は猫に言った。間もなく、その猫はふっと姿を消してしまった……。二度と戻ってこなかった愛猫への思いを語る表題作はじめ、日常生活、嗜好、交遊、戦中体験、追悼、独自の濃密な文学空間を軽妙洒脱な文体で綴る絶妙のエッセイ集。
  • 不思議の国の野球 チェンジアップを16球
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    GYマークのついた帽子をかぶった白兎に誘われて「不思議の国(ジャイアント・ランド)」に迷い込んだ“マスミ”の姿をブラックな笑いで描く「不思議の国のマスミ」、すべての野球選手に段位を与えようとした計画の意外な結末を描く「幻の『四番サード長嶋八段』」他、「マスコミ江川裁判」「風雲児落合博満武勇伝」などSF、時代小説、純文学等さまざまな手法を駆使する風刺と諧謔とユーモアに満ち満ちた奇想天外プロ野球パロディ集。東京ドームに行くより楽しめます。
  • リリー・マルレーンを聴いたことがありますか
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    私は万博会場で初めてマレーネ・ディートリッヒの歌う「リリー・マルレーン」を聴いた。なぜか心に残る歌だった。私はその歌に誘われてヨーロッパへの旅に出た。そこで第二次大戦中、ドイツ軍兵士が熱烈に愛唱し、やがて戦線を越えてイギリス兵やアメリカ兵にも歌われたことを知った……。一曲のラブソングがくり広げる壮大な人間ドラマを、ひとりの日本人が冷戦当時のヨーロッパの地を歩いて探りだす。欧州独特の情景と国境を越えて邂逅する多彩なひとびととの交流。
  • 罠のある季節
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    ストリップ劇場、お触りバー、ライブ・ショー、そして……それが罠なのだろうか。新しい女性生理用品の開発・発売をめぐって、メーカー、広告代理店の虚々実々の闘いが始まる。新製品の厖大な宣伝費を獲得するのはどこか? テレビ局から大物タレントまで巻き込んで、噂は噂を呼び、同業者の疑心暗鬼は深まるばかり。罠をかけ、あるいは罠にはまり、しかもなおどろどろとしたビジネスのなかで生きつづける人間たちの、マンガチックでシリアスな人生。
  • 話のたね
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    7年間に23人女房を替えた男がいた。検非違使の長官の邸に仕えながら盗賊の頭目になっていた女がいた。皇后の嫉妬がこわいばかりに勅命を取り消した天皇がいた。覚悟の入水自殺を遂げたはずなのに何故あのとき止めてくれなかったのかと化けて出た偉い僧侶がいた──悩みのタネも、うろたえ方も、現代人とへだたるところなく、しかし彼らの対処ははるかにユニークで、風流である。古典から面白い話、ためになる話、いい話を集め、ていねいで軽快な筆致で解説をつけたアンソロジー。
  • 流行作家
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    「この作品は私の生理の産物のようなものである。この一、二年、私の中に、最も水位を上げて溜ってきたものが、流行作家という自分が置かれている立場への意識からくる、さまざまな絡み合いである」……芥川賞候補五回という輝かしい経歴をもちながら、こと志と反し情痴小説の第一人者、ポルノの大御所と呼ばれ、夜な夜な銀座に浮名を流す作家の心を、時によぎる若き日の夢。得たものと失ったもの、優越感と劣等感の間をたえず揺れ動く人気作家の哀歓を赤裸々に語った傑作自伝。
  • 幻燈辻馬車(上)
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    1~2巻660円 (税込)
    干潟干兵衛、もと会津藩同心。維新後は東京で辻馬車屋を営む。馭者台に孫のお雛と、息子と妻の幽霊を乗せて……。自由民権の思想に傾倒する青年たちと、彼らのもくろみを防ごうと密偵たちがもつれあう都市で、幕末の戦争で辛酸なめつくし、唯一の生きがいである孫娘とふたり、おだやかな日々を送るはずだった中年の男は、いつしかその渦に巻きこまれていく。三遊亭円朝の講釈にオッペケペーの川上音二郎、築地の市場ですし食う伊藤博文など、豪華絢爛の登場人物が奇怪な彩りを添える。
  • 木綿恋い記(上)
    -
    1~2巻660円 (税込)
    万葉集にも歌われる別府の奥の由布岳の麓に生まれた娘に、砕石工夫だった父は由布(ゆう)と名付けた。その父は彼女が十歳のときダイナマイト事故であっけなく死に、病弱だった弟も幼くして世を去った。敗戦直後の貧しさから温泉旅館の芸者になった由布は、酔客に手込め同然に処女を奪われ、以後、客にからだを売るようになる。そんな由布を心配した母は、同郷のつてを頼って東京へ行きマッサージ師の勉強をするよう勧めた……。女性の生涯を描いて追随を許さない水上文学の白眉!
  • さむらいの本懐
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    幕末の世に大仕事をしながら、将軍慶喜からも疎まれ罵倒された勝海舟、一介の流人あがりにもかかわらず東国武士に担ぎ上げられ鎌倉に幕府を開いた源頼朝などなど、人の褒貶は棺を蓋うてもなおなお定まらない。永い時の流れを経てみれば勝者も敗者もみなひとしく美しく懐しい。遺るのはただ、男の美学の存否のみ、その尺度で測られることこそが「さむらいの本懐」だろう。円熟の史眼で転変を凝視する巨匠の小説と随想集。歴史を読む醍醐味はこの一冊に凝集される。
  • 四畳半色の濡衣
    -
    〈……方丈より一尺せまき九尺四方すなわち四畳半はいにしえより色のにぎわい。香りゆかしき閨のうち、いくよの夢は宝舟、立てし帆柱いとめでたきありさま、つたなき筆に写して、雨の振袖しっぽりと、濡色みするよしなしごと書きつづらんと、珍腐山人しるす……〉雑誌「面白半分」編集長として伝・永井荷風作の名作「四畳半襖下張」を再録し、刑法一七五条わいせつ文書販売人の判決を受けた著者が、憤然、筆のかぎりを尽くして男女の営みを活写し、わいせつとは何かを世に問う問題作。
  • 嗚呼 江戸城(上)
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    天下を握った徳川家康には金がなく、一大名になり下った豊臣秀頼には巨額の金銀があった。貧しい天下人家康は、富有な大名を滅ぼしてその財宝を奪うべく兵を起す。大坂の役とは、それだけのことであった……。しかし三代将軍家光はその大金の埋蔵場所を知らされていなかった。ドラマはそこから始まる。将軍家から大名、旗本、はたまた浪人、商人、いかがわしい町奴に吉原の遊女までが縺れ合い、江戸城の建設と莫大な太閤の遺金をめぐって展開される雄大な長篇の幕開け。
  • 人殺し(上)
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    1~2巻550~660円 (税込)
    糖尿病検査に家から遠く離れた京都の病院を選んだのは、作家、井崎の計算である。古い友人が勤務ばかりでなく、からだの関係がある酒場の女、瑛子が、入院する前の日を私にちょうだいと言ったのも理由のひとつだった。青年でもなく老年でもないというのは、何か中途半端である。井崎は疲れていた。疲れているという感じは他人には説明のしようのないものだった……。年齢の重みが人の心に与える苦渋と、香ばしい人生の漿果の甘露を思う存分啜り味わう快楽の交差する著者会心の傑作。
  • 土俵に棲む鬼 相撲小説集
    -
    「ワシは大関なんかなりたくない」昇進がきまった日に、天才力士とうたわれた関脇御前山は、当惑し憤慨する相撲関係者や驚く記者を尻目に突然姿を消してしまった。いったい彼に何が起こったのか(「一瞬の栄光」)。他に力士や親方たちの人生を活写する「走れ幕下」「摺り足の秘密」「タニマチ」。行司や呼出したちに材を取った「差し違い」、「蛇の目の柝」など、大相撲を舞台にして様々な人間模様をいきいきと描き出した相撲小説の醍醐味八篇。
  • 春日局
    -
    父は逆賊明智光秀の重臣、斎藤内蔵助利三、離縁したとはいえ元の夫は関ケ原で西軍を裏切った小早川秀秋の筆頭家老、稲葉正成、運命にもてあそばれる前半生を経たお福が、徳川家康に見込まれ、将軍秀忠の嫡男竹千代、のちの家光の乳母となる。江戸城に入ったお福は家康の絶大な庇護のもと、大奥に新しい秩序をきずき、江戸幕府の大きな礎となった。――激動の世を、気品高く、豊かな教養と知性、そして類いまれな行動力で生きぬいた女の一生は、からたちの花を愛した生涯でもあった。
  • 地獄を嗤う日光路
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    「股旅小説を書いていると、ぼくもいつの間にか主人公と一緒に旅を続けることになる。あの峠を越えたらその向こうに何があるか、急がないと日が暮れてしまう、こうした旅とはまったく孤独なものだ、などとぼくも主人公と同じことを考えている」(あとがきより) 「借りを返さにゃ死にきれぬ」渡世人・小仏の新三郎を描く連作は街道シリーズ「雪に花散る奥州路」の姉妹篇。「背を陽に向けた房州路」「月夜に吼えた遠州路」「飛んで火に入る相州路」「地獄を嗤う日光路」の四篇を収録。
  • 戦中派の死生観
    -
    戦中派は一度は捨てた命なのだから生死には恬淡だといわれる。しかし、一度捨てた命だからこそ、本気で大切にすべきではないのか。そして、戦後の日本がその出発にあたって存立の基盤であるアイデンティティーまで喪失したことの愚を、我々戦中派は黙視すべきではない。──日本と日本人の生きることの意味を、自らの戦争体験をたえず反芻しながら真摯に問いつづけた「戦艦大和ノ最期」の著者の熱い想い。没後、時を経ても、なお広い共感をよぶ感動の遺稿集!
  • 死者と栄光への挽歌
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    昭和十七年、菊池睦男が生まれる前にニューギニア戦線のボロホロ島で戦死したはずの父親が生きていたという。いや、生きていたが八日前に交通事故で死亡して、そのため一億円の生命保険金が睦男に転げこんでくるという。突然訪ねてきた男に、そう告げられても、睦男は、にわかに信じることができなかった。こんなバカな話ってあるだろうか? ――戦後幾星霜を経てなお戦いの傷痕いえぬ男たちが織りなす凄絶な生死の葛藤。「軍旗はためく下に」から構想十年、著者渾身の長篇推理小説。
  • 草野球必勝法
    -
    小学生の頃は強肩強打の左翼手。サラリーマン時代は投手兼三塁手にして四番打者。そして後に監督と豊富な経験をもつ筆者が、ウンチクをかたむけて語る、江分利満氏の華麗にして優雅なベースボールの楽しみ方。プロ野球なら長嶋茂雄論から熱涙の巨人・阪神戦観戦記まで、草野球なら選手起用法から監督のありようまで、あらゆる局面にふれたこの本は、根っからの野球好きが愛情をこめて書いた野球論であると同時に、ユニークな人生論にもなっている。
  • 志ん生のいる風景
    -
    没後何年たっても志ん生のレコード、テープの売れ行きは、他の追随を許さない。「去る者日々に疎し」の古諺は、この人には当てはまらない。戦争も、売れない芸人の悲哀も、すべてを芸のこやしにして、見事に開花させた闊達さ。名前を覚えてもらうのがなにより大事な仕事で十六回も高座名を変え、師匠まで何度も取り替えた自由奔放さ。極貧時代の思い出を自伝『びんぼう自慢』にしてしまう諧謔精神。思うままに生きた八十三年の人生を、生前の面影ありありと活写した評伝文学の傑作。
  • 上海ララバイ
    -
    「私は、一瞬ともいえるあいだに見せた母の強いけはいにたじろいだ。そして、自分と母とのあいだにピンと張られた糸が、巨大な指の爪先にビンとはじかれたような幻想におちいった――」母と私がはじめて会ったのは高校卒業の直前だった。新聞の上海特派員だった父は私の誕生前に腸チフスで死に、母は祖父・村松梢風の意志で、祖父の籍に入れられた私を残して他家へ嫁いだのだ……。不安定な思いを抱きながら母とともに、幼児期を過ごした千駄ヶ谷の家を探し、上海を訪ねる自伝的長篇。
  • 巨人軍かく勝てり V9達成の秘密
    -
    川上監督ひきいる巨人軍は、九たび連続して日本一の栄光の座についた。空前絶後の輝かしい記録である。V9はいかにして達成されたか。当時の名参謀が絶対に勝つための巨人式野球術を、人事管理の面から明らかにしたユニークなV9秘録である。初めてあかす巨人戦法、新人の鍛え方、スーパースターを生み出す条件ほか、無敗の巨人をささえた主要人物の素顔を紹介、全盛時代の長嶋、王の知られざるエピソードをふんだんに織りこんだ野球ファン必読の書。
  • 東條英機と天皇の時代(上) 軍内抗争から開戦前夜まで
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    長州閥に陸軍を追われた父の無念を胸に、軍内抗争をかいくぐった陸軍軍人・東條英機は首相の座に就いた。そして日米開戦を数日後にひかえた昭和十六年十二月の某夜、彼は官邸別館でひとり号泣していた。その涙は何であったのか? 東條英機への嫌悪感を心に抱きながらも、自らの生理感覚を解明することが、戦後民主主義の脆弱さの克服への道だという視点から、新発見資料と関係者への徹底取材をもとに、昭和史最大の「悪役」として葬り去られた男の六十四年の軌跡を克明に検証する。
  • たべもの歳時記
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    春夏秋冬は毎年かわりなく巡ってくるのに、食べものの旬(シュン)はいつの間にか忘れさられてしまった。しかし養殖や温室栽培の技術がいくら進んでもシュンの味というものは人間には作りだせない。トマト、ハマチ、ドジョウ、ワカメなど二百数十種類の食べものと季節の関係を面白くわかりやすく綴った本。人気テレビ番組「料理の鉄人」にて審査員をつとめた、食通の中の食通として有名な著者が、クオリティのある知識を駆使して、平明な文章でつづる。
  • 小説吉本興業
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    古くはエンタツ・アチャコから、明石家さんま、桂三枝、笑福亭仁鶴、西川きよし、横山やすし、島田紳助、松本竜介、オール阪神・巨人、今いくよ・くるよなど、人気タレントを擁する<笑いの王国>吉本興業の「笑売繁盛」の秘密。大正から昭和にかけて大阪の寄席を次々と手中に収めていき、さらには関東にも進出、現在にいたる長い歴史をもつ興行師、上方の演芸とともに生き、「吉本ブーム」を支えてきた演芸界のドン、林正之助の夢と野望を描く長篇小説。
  • パパのおくりもの
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    作家でもある神経科のお医者さんが、フランス人の奥さんとの間に生れた三人の娘たち、ユキ・ミト・チカに贈る愛のプレゼント。幼な子たちのかわいい行状と、パパの昔の留学の思い出からヨーロッパ紀行と、数々の挿話の中に卓抜な文明批評が織り込まれている愛と機知とユーモアに溢れた楽しいエッセイ集。家族が変容しつつある現代にあって、見失われている父親の愛とはなにかを問い直し、こどもとの心の交流の偉大さに気付かせてくれる言葉のかずかず。
  • 星の王子とわたし
    -
    「『星の王子さま』は、ただの作家の作ではない。航空士といたいけな王子とが、一週間そこそこ、人間の大地を遍歴する記録ではあっても、つまるところは、人心の純真さを失わぬおとなの眼に映じた社会批判の書である」(はしがきより)。サン・テグジュペリの謎に包まれた一生を解き明かし、かつて子供だったことを忘れがちなおとなのために書かれた原作のより深い意味を探って、曇りない目で物事の本質を直視する童心のありようを、愛情ゆたかに訴えかけるファン必読の名エッセイ。
  • 言葉をください 新子の川柳エッセイ
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    「十七の花嫁なりし有夫恋」「妻をころしてゆらりゆらりと訪ね来よ」──句集『有夫恋』で一躍脚光を浴び、田辺聖子氏が「川柳界の與謝野晶子」と絶賛した川柳作家・時実新子。その彼女が川柳への熱き想い、さらには自分の生きざまを切々と綴り、女性心理のあやを赤裸々に吐露した全女性必読のエッセイ集。「死刑囚の手記わたくしに無期の刑」「雨の日電話つながりそうで切る」「十人の男を呑んで九人吐く」十七文字に集約された精選のことばが素直な文章と響き合う。
  • 日本人の笑い
    -
    西鶴研究の第一人者にして粋人教授のほまれも高き著者が、永年のウンチクを傾けて語る、色の道講座。江戸の川柳を引用しつつ日本人の性感覚やセックスにまつわる、さまざまな滑稽譚やユーモラスなエピソード集。人を悲しませるより、笑わせるほうがはるかに快適な生き方であると言い切る著者は、風刺と明朗な笑いを自由闊達に表現した江戸文学を現代的な解釈をくわえて紹介、当時の人たちの、風俗やハダカの生活が手にとるように解り、時代をこえた日本人の笑いが聞こえてくる名著。
  • イブのおくれ毛 I
    -
    長湯からあがり、秋のはつ風におくれ毛を吹かれながら語り明かす、酒と笑いとお色気たっぷりのおとなの会話。軽妙な関西弁で交わされるおしゃべりには、オトコとオンナの深くはてしない思惑の差異や政治へのユーモアあふれる提言などが、みごとな観察によってさわやかな笑いにされている。《内容の一部》男の三大ショックとはなにか、女の三大ショックとは? 二夫二婦という画期的アイデア、子宮作家、快感貯金、ナニをナニする、男の性的能力、スレチガイ、男のいじらしさ。
  • なぜ愛なのか 十三の報告から
    -
    傷の癒えぬつらい別れがあった。自由奔放な性に、ひきずられたひともいた。本当の愛にめぐりあわず、とりちがえられた愛もあった。男と女はどのような状態が、一番幸福なのだろうか? 「愛」は古くまた新しいテーマなのである。著者が出会った若い恋人たちの、さまざまな愛のゆくえをたずね、真実の愛を考える恋愛白書十三篇。「なぜ愛なのか。愛について悩むあなたも、この報告、この告白の中から、あなた自身の悩みを解く鍵を見つけて下されば仕合わせである」(あとがきより)
  • 雪に花散る奥州路
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    股旅小説ブームの先駆をなした笹沢左保の時代小説。その街道シリーズから四作を収めた。「雪に花散る奥州路」の二本桐の武吉、「狂女が唄う信州路」の抜かずの丈八、「木ッ端が燃えた上州路」の三下の勢五郎、「峠に哭いた甲州路」の天神の新十郎。昔の街道を舞台に、いずれも個性豊かでニヒルな渡世人を主人公にして、推理的手法を駆使して物語を展開、非情な男の世界を描く。時代小説界に旋風をまき起こした「笹沢股旅もの」の真骨頂がもっともよく現れている……。
  • 運命を変えた一球
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    「私が選手たちに本書の趣旨、狙いどころを話すと、彼らの反応はさまざまであった。ぽーんと返事のはねかえってくる者、30秒ほど考えてから、ぽつり、ぽつりとしゃべり出す者、うなりながら記憶をよびおこそうとする者──。しかし、これだけははっきりいえると思った。すらすらと、しゃべる男でも、脂汗を浮かべながら、記憶をたどる男でも、みんな他人にはいえない、自分だけの悲しみ、自分だけのよろこびを持っていた」(あとがきより)人間に焦点を合わせた感動のスポーツ・ルポ!
  • ノモンハン(上)
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    ノモンハン戦失敗の図式は三年後のガダルカナル戦失敗の図式に酷似している。特に作戦指導部の考え方において、そうである。作戦指導の中枢神経となった参謀二名が両戦に共通しているからでもあろうが、当時の軍人一般、ひいては当時の日本人一般の思考方法が然らしめたものであろうか。先入主に支配されて、同じ過誤を何度でも繰り返す。認識と対応が現実的でなく、幻想的である。観測と判断が希望的であって、合理的でない。反証が現われてもなかなか容認しない。(あとがきより)

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