63ページしかない短い本だったけど、すごく整理されており、読みやすくわかりやすい。
岡山は隣の県で駅周辺はよく見知った場所だったので、高畑勲の空襲で辿った経路をなんとなく想像できた。
整備された美しい小川だと思っていた西川緑道が、防火帯のための強制疎開で開かれた道なのは初めて知った。
街には歴史があり、私たちは歴史の上に生きていると思った、歴史を生かさなければと思う。
この本で高畑勲は、悲惨な戦争の体験を語っても戦争を防止することはできない、そうなる前のこと、どうして戦争が始まったか、為政者、国民がどう振る舞ったかを学び、ではどうしたら防げたのかを考えることが戦争防止になると主張する。
最後にまとめられているが、私たち日本人の同調し責任追求ができず、押し流され空気を読む気質のせいで、本当の民主主義はまだ身に付けられていないと非難している。異を唱えるものは排除される村社会であり、多数派に流され、上部の議論で全てが進んでいく。(最近の国会の様子を見ていても野党が弱く、閣議決定されたものでほとんどの法案が決められてしまっているのも危機感を感じる)
この体質を変えるのは簡単ではないし時間のかかること、これを変える努力をするのはもちろん、こう言った日本人の性質から戦争への道を閉ざす最後の砦はやはり憲法9条なのだと。
安倍政権時から改憲を目指す動きが徐々に顕になってきているが、本当に恐ろしいことだと思う。
憲法9条に守られてきたことを誇りに思い、アメリカに頼らず、沖縄に依存しない外交は何かよく考えるべきだと思う。
私は日本の文化的財産を世界に発信すること、強い経済で世界に通用するインフレ基盤を持つこと、輸出産業を守ることが、防衛以外の安全保障として役割をもつ大事な抑止力になると思う。
経済を推進するにも、少子化に歯止めをかけるのも、人権が守られ戦争をしない国にするためにも今の政治(とも呼べない茶番劇)を今すぐ変える必要があると思う。
裏金問題が露呈しても、責任を取らず居座り続ける議員にはすぐに全員辞めてもらわなければ、と強く思う。
高畑勲みたいな頭が良く心がある人を亡くしてしまったのは本当に惜しく思うし、この本で言う「頭で食う」人間が多くなっていて危機感を感じる。東大をはじめとする有名大学出身のエリート層はもうどうしたら稼げるかしか考えておらず、社会の見えない弱者には関心もなく自己責任と自助努力で糾弾し、社会全体の利益を考えてるような志はないような人が多く見られる。そしてこの国の全体もそんな感じでみんな自己中心的で物事を考えている。
どうやったら同調することに寄らない民主主義、功利主義をみんなが身につけられるようになれるのだろう。
自分で考えて意見できるようになりたいから、私ももっと勉強しなきゃいけないと反省する。