講談社文庫作品一覧

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  • 山のおんごく物語
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    おかかんに早く死なれた功は、百姓仕事を嫌いこんにゃく商売に夢中のおとっつあん、元気なおばばん、姉、弟と山おくの村で暮している。貧しい山の生活は辛いが、四季折り折りの自然、村の祭りや行事が功たちを慰めてくれる――遠国の厳しい生活を暖かく描いた、現代の民話ともいえる秀作。野間児童文芸賞受賞作品。
  • 蝶ネクタイとオムレツ
    3.0
    磨ぎ澄まされた感性で、日々の「粋」をつづる。感受性豊かな青春時代を描いた「こしかた」をはじめ、「食べもの飲みもの」「身のまわり」など、現代人が失ってしまった味覚やこいきな心意気を呼びさます。今日ではほとんど見当たらなくなった、東京もんのダンディズムが燻銀のように光る、珠玉のエッセイ集。
  • 「正義の味方」の嘘八百 昭和史のバランスシート
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    第二次石油ショックを経て、経済効率において世界のトップに進み出た瞬間から、我が国は指標とすべき「先進国モデル」のない、海図のない時代へと突入した。これは構造的また心性的に、劇的な地殻変動である。この時期に当って日本歴史を見直し、日本人の智恵と活力を再発見し、現代の日本人として生きていく目安、勘所を模索して出した答案が本書である。
  • 日本近代美術史論
    -
    秀抜な眼識が捉えた日本近代美術の創生・発展の軌跡……高橋由一・黒田清輝・青木繁・狩野芳崖・フェノロサ・岡倉天心・横山大観・菱田春草・富岡鉄斎・藤島武二・山本芳翠……個々人の内包する諸問題を分析しつつ、近代日本における洋画・日本画の進化・展開の様相を克明に追究した、高階秀爾の力作評論。
  • 田園の微風
    4.0
    景色にも気候にも恵まれた牧畜とワインの地、南フランスの田舎をのんびりと周遊する、旅のエッセイ。旧知を訪ね、点在する古城に中世をしのび、澄み切った大気をこころゆくまで吸い込む田園の中の散歩は、何だか寿命がのびるような思いがする……。著者の手になる、物語豊かなスケッチと写真を多数収録。
  • 大国・日本の「正体」
    -
    繁栄のさきに行きつく日本の未来はあるか? いま日本は、政治も経済もそして社会も、歪みが極限に達している。その歪みの正体を捉えることが、日本の未来像を描くために、最も重要である。現代は否応なく、個人が国家の命運に縛られざるを得ない。いや、世界がわれわれを直撃する。碩学が時代を喝破し、処方箋を提示する! 「精神的鎖国の民」に未来はあるのか……海図なき日本の真の姿が見えてくる!
  • 課長島耕作の男と女の成功方程式
    4.0
    仕事や恋がいまひとつうまくいかないのは、あなたが女性を分かっていないから? 女性の感性、生理、そして論理の立て方を充分に理解することなくして、ビジネスの成功はあり得ない。女が分かり、人生に成功する60の基本型を満載。ヤング・ビジネスマンから圧倒的共感を呼んでいる「成功方程式」、待望の第3弾。女心のわからぬ男は、必ず仕事も失敗する!
  • 花渦
    -
    夫はなぜ消えたのか? 突然の失踪を契機に、前妻、娘、老母、再婚した妻、孤立していた4人の女の心は、微妙に波立つ。男を失うことで呼び醒まされる、女としての官能。体の内奥に潜むエロスが、しだいに女たちの心を結びつけ、不思議な絆と連帯感を生んでゆく。女の生と性、愛のかたちを精緻に描く、髙樹文学の真髄。
  • 遠い日の海
    -
    米軍の機銃掃射で両親を失い、孤独に生きる27歳の下嶽安芸子、家主の息子で新制高校生の槇枝静吾、その級友でラグビー部の花形・久慈史郎。3人の青春には、それぞれ戦争の傷痕が微妙に刻みこまれている。青春の友情、愛、絶望感に、社会の移ろいが濃密に投影していた昭和20年代を、精錬された手法文体で描く文芸作品。
  • エフェソス白恋
    3.0
    ミステリアスな雰囲気の人妻・舞由子と、大学教授・峰の恋は、古代遺跡・エフェソスで燃えあがった。だが、遠く離れた異国の地でも、舞由子の夫の思惑が見え隠れする。いったい、夫は何を企んでいるのか? ある夜、峰の身に重大な事故が発生し、舞由子は意外な行動に出た。そして、あまりに過酷な運命が、二人を襲う――。切なすぎる不倫の結末、時空を超えた恋が古代遺跡で燃えあがる!
  • 「初恋の湯」殺人事件
    3.0
    初恋の思い出をつづるイベントに参加したのを機に、島崎藤村ゆかりの小諸の温泉に出かけた志垣警部が、謎めいた殺人に遭遇! 多数のりんごを浮かべた風呂に青年が沈み、嫌疑はふたごの姉妹にかけられた。謎の「りんご殺人」は、ふたごの姉妹が犯人なのか? 事件を担当する杉山優花刑事は、出産退職まであと6日。奮闘する彼女を助けるため、志垣が全力で立ち上がる!
  • ザ・マーケット 第一部 デパート合併工作
    -
    1~3巻660円 (税込)
    デパート戦争の最先端に立つ3人の男が、みずからの運命を賭けて戦った、感動のドラマ。私立大学の同級生3人が、横浜・伊勢佐木町の老舗デパートに入社して12年が経った。営業企画課長・外商課長・総務課長になった彼らを、大手デパートの吸収合併の嵐が、突然襲った。経済小説の俊英が、流通業界の内幕をえぐるビジネス長編。ビジネスマンの冒険と野望を描いた傑作。〈全3巻〉
  • 煮え煮えアジアパー伝
    5.0
    このままじゃバカになる、酒と女の人生修業!? ……寺で修行するために訪れたミャンマーでも、いつの間にか娼館へ。失禁しても飲み続けた韓国の夜に、欲求不満が募るタイ娘とのデート。ベトナムのパンツ職人やコーベの路上生活者との出会いで、鴨ちゃんが悟ったことは? 笑激と哀愁のサイバラ漫画も、向かうところ敵なし。諸行無常の世の中を見つめる、アジア紀行。
  • 歌麿殺人事件
    -
    ジャーナリスト・風間隆平の変死に疑惑を抱いた星野昇子と柚木哲也は、隆平が生前追っていたテーマを手がかりに、親友の怪死の謎を解くため、調査に当たる。「喜多川歌麿は殺人犯だった」というのが隆平のテーマだと知った二人は、歌麿の暗号を解くことで、隆平の死の真相に近づいたが……。見立て殺人の衝撃的結末。天才浮世絵師・歌麿は殺人犯だった? 三角関係から殺人を犯したという歌麿の謎を追った男の怪死は何を物語るのか?
  • もっと煮え煮えアジアパー伝
    3.7
    奔放なタイ娘と、列車で向かった国境の町。高校時代からの友人と見上げた、ソウルの雪空。父親の生まれ故郷をたどる旅でも、酒と女に彩られた夜は変わらない……。鴨ちゃんの流れゆく旅の記録と、サイバラ画伯のミもフタもないオモシロ漫画が、同居するアジア紀行。生きる事の意味を考えながら、ますます佳境に! まさに酔いどれ行脚。グダグダになって初めてわかることもある!
  • サラリーマン勝者の条件
    5.0
    日本を襲う未曾有の危機。「いままで」の方法論は、まったく通用しない、天下大乱の世紀末。ボーダレスな弱肉強食の時代に、生き残り勝ち抜くために、必要な努力と素養とは? あの「島耕作」が課長から部長になれたのは、いったい何故なのか? 成功するビジネスの視点、会社に埋もれない実践的ビジネス人間関係論。
  • 最後のアジアパー伝
    3.8
    「死にたい人の顔をしている」と、元ゲリラ兵は僕に言った。博打もへた。商売もまったくだめ。戦場カメラマンとなって、女医に託されたクリスマスプレゼントを戦下の街へ届けようとしたが……。勝手ばかりやっている男たちと、したたかな女たち。強い絆で結ばれたコンビが、徹底的に描き続けた放浪エッセイ、いよいよ完結! 転がり続けて、こんなとこまで来たけれど……ゴールは見えたか?
  • 密室殺人講座
    4.3
    地下室に人工的に造られた「孤島」の扉が、再び開かれるのは、72時間後。そこで、ミステリー講座が開校された。参加者は、ミステリー講座を主催する立案者の推理作家と、若い教え子7人。だが、密室状態になった初日の夜、推理作家は死体となって発見された。異常な心理状態に追い込まれる参加者たち。それは、次々と起こる事件の幕開きにすぎなかった! 孤島での密室殺人講座・実践編の答えとは? 真犯人は誰だ?
  • ノサップ岬の女
    -
    最果ての地でめばえた炎のような愛と憎しみ――青梅の料亭旅館の女将・雅代は、年来の愛人である流行作家の麻生と芸者・駒太の仲に疑いを抱いていた。そんな折、近くの渓谷で駒太の夫が撲殺死体で発見される。そして今度は、雅代の親代わりの番頭・甚助が行方を絶って……。旅情ミステリーの名手が贈る、会心の長編。1冊の小説がきっかけで起こった連続殺人。東京・青梅から根室、そして留萌へ……。20年の歳月を経て、いま殺意の炎が燃えあがる!
  • 冬の旅人(上)
    3.5
    1~2巻880円 (税込)
    裕福な骨董商の家に育った少女・環は、幼いころに見た1枚の西洋画に心を奪われる。その運命の導くまま、聖像画を学ぶために、17歳で革命前夜の帝政露西亜へと留学するが、尼僧たちのいる窮屈な名門女学院を脱走、市中の貧民窟、そしてシベリアへと北の大地を彷徨(さまよ)い、絵筆をとりつづける。大河歴史ロマン。
  • 人間関係 都市銀行二人の支店長
    3.0
    某都市銀行の横浜・伊勢佐木町支店長に起用された小野寺卓雄(たかお)は、頭取直々に3年で貯金量を倍増せよとの特命を拝受した。行内の地位による力関係で自由自在に操られる、冷酷無残な非人間的関係。金と女と権力を巡り、野望と策略が渦巻く銀行業界の、歪んだ人間関係と内幕を、実態に肉迫し大胆に描ききった、記念碑的名作。
  • せとぎわの魔術師
    -
    短編小説と随筆で明かす“もう一つの素顔”「お祭り騒ぎが、ひじょーに好きなもんだからね。ここはひとつ15周年を口実に、パーッと思いを吐き出してしまおう」と、さだまさしが縦横無尽に演出する文化祭
  • 経営者「ウラとオモテ」の研究
    -
    <大変な時代>を生きぬくリーダーの条件とは何か? 先行き不透明な経済・社会環境にあっては、今日の常識では対処できない。経営者の「ウラとオモテ」を見てきた著者が、逆境を克服し、組織を活性化し、事業を成功に導くには、「胆識」を身につけた経営者こそが望まれる、と説く。ユニークな実感的リーダー論。
  • ヘッドハンター
    -
    バブル経済がはじけ、業界の再編・変動がはじまっている。いかに優秀な人材を集めるか……ヘッドハンターの動きは巧妙をきわめる。「W・W・R」本社の人材課課長・高村泰生は、銀行や証券会社の若手に狙いを定めた。鋭い嗅覚と型破りな手で誘いをかける。人材スカウト会社の知られざる実態を描く、経済情報小説。
  • 城盗り秀吉
    -
    大大名出世の陰に風魔忍者! 「天下をとる」と予言した藤吉郎の出世、幸運の裏にある意外な謎とは……? 三郎太ら山の民の陰の援助と、自らの才覚で出世した藤吉郎は、風魔の雷太やお桂も味方につけ、情報戦を勝ち抜く。信長の上洛、姉川の合戦で功をたて、墨俣城と横山城を得る。さらに浅井長政を自刃に追い込み、小谷城の城主となる。秀吉の「城盗り」の未知の部分を、斬新な解釈で、「本能寺」前夜までを描く時代小説!
  • 階級
    -
    現代社会の〈辺境〉とも言える廃鉱に遺棄され、痛憤の生存を強いられる人々の、熾烈をきわめる階級的憎悪の情念。内面までも風化解体に瀕した人間破壊の状況は、読者に異様な衝撃と戦慄を与える。〈辺境〉の外で惰眠する人間の、精神の荒廃を烈しく指弾した傑作。他に、炭鉱離職者をテーマにした「せむしたちの冬」を収録。
  • 花散里
    -
    舞踏家・鹿野艶子、近代的未亡人・朝吹頼子、俳人・立川喜和……おんなの夕映えともいうべき年齢の3女性が、日常生活を律する倫理を超えた、性の神秘を経験していく過程を通じて、艶やかに人生の無常をうたう名作。
  • 気まぐれにフリースロウ
    -
    肉体を酷使する快感を通じて、現代人の不思議な生態が浮かび上がる。もう若くはない男たちが始めたバスケットボール、殴られ役のアジア人ボクサーがリングで知る真実、フリーターが挑むトライアスロン……。スポーツと関わる男たちは、なぜか哀しく、そして美しい。硬質の文体で、奇妙な味わいを醸し出す小説集。スポーツと男たちを結ぶ奇妙な悦びと哀しみ、現代の生のありようを探ったスポーツ小説!
  • すこし枯れた話
    -
    枯淡の文体で、人生の知慧をつづる、珠玉のエッセイ。比類なき知性と磨ぎ澄まされた感性で、数多くの名エッセイを発表してきた著者が、「この頃は、気に染まない原稿は書かないことにしている」というなか、自ら選りすぐった名編の数々。日頃気になるアレコレから芸術観まで、成熟の眼に映ったものは――。
  • 北国の女の物語(上)
    -
    1~2巻660円 (税込)
    大正3年、青森県尻屋崎で遭難した船から、ただ一人生き残った赤子があった。その子は沖子と名付けられ、観音堂守りのもとで育てられたが、長じて材木問屋の女中として働くことになる。沖子の美貌と陰日向ない働き振りは誰からも好かれ、17歳の年に番頭の伊助と結婚するが、運命の悪戯は沖子に無情だった……。暗い宿命に耐えて生き抜く女の哀しさと美しさを謳いあげる哀切ロマン。〈上下全2巻〉
  • 物語 愛と幻想
    -
    文芸作品はさまざまの様式に従って書かれているが、この本に集めた文章は、様式にとらわれず、自由に書いたものである。創造の少女・ナルダを添景とした愛の物語「遠い街」と、エッセイ風の「憂愁のノート」、それに幻想的作品を加え、四季の色彩がきらめき、詩情ただよう物語集となっている。
  • 中年族の反乱
    -
    幸せな家族を夢みる若者にも、社会の現実は甘くない。だれもが、やがては中年になる。勤める会社の倒産や失業、病気や借金苦、わが子の不良化や暴力問題など、生活の重荷を一身に背負うようになる中高年の男性たちは、この危機にどうするか。人生の破局と転落のドラマを綿密に追った、衝撃のレポート。危機に直面した男たちは、どう決断し、どう乗り越えたのか?
  • 世界企業・日本攻略の構図 外資トップが語る対日企業戦略の全貌
    -
    日本に進出している外国企業の経営者たちは、日本の経済、企業、そして日本人をどうとらえているのか……。真の狙いは何か? 30兆円の日本市場を狙う米国通信界の覇者「AT&Tインターナショナル」、「デュポン・ジャパン」、「コカコーラジャパン」など、日本を攻略する世界企業の社長らを完全取材して、熾烈な経済戦争の内幕に迫る、問題レポート。
  • 杉浦明平著作選(上)
    -
    1~2巻660円 (税込)
    渥美半島・福江湾のノリ養殖に関して、利権にむらがるブローカー、漁業ボスのあさましい行動。それはやがて不正を生んで、素朴な漁民たちの目を覚まさせた。戦後の民衆運動の典型を、重い視点と深いユーモアで描いた名作「ノリソダ騒動記」のほかに「町会議員一年生」を併録。知性と野性が結実する杉浦文学の秀作選。
  • 小さい心の旅
    -
    8歳で父をなくした昌男は、小学校を卒業すると給仕になったが、満たされず、小僧奉公に出ても、どれも長続きしない。童話作家になりたいと願う昌男を、元気づけてくれるのは、文通をしている北国の少女だった……。大正から昭和への転換期を生きる少年の、心の成長をつづった、自伝的小説。日本児童文学者協会賞、赤い鳥文学賞、サンケイ児童出版文化賞受賞作品。
  • 出口・廃墟の眺め
    4.0
    過ぎ去った遠い日や心の底深くに、しめやかな触手をのばし、生の根の不思議なゆらめきを鮮かに捉えた、虚無に献げる高貴な酒にも比すべき短篇集。真昼に現れ出た夢魔の如き「出口」、痛ましいまでの思春期の青年の心を描く「手品師」、瓦礫の中に青白い女の裸体が横たわる「廃墟の眺め」など14篇を収録。
  • 残虐な抱擁
    -
    誤りの戦死公報を受けて再婚していた妻を、復員後20余年たって殺すにいたった男の「戦後」。女子挺身隊員の記憶を胸に、10年以上も結核の療養生活を送っている女の「青春」……戦争の暗影をひきずりながら、現実から脱落して陰のように過去に生きるしかない二つの人生。斬新な手法を駆使して、「戦後」の意味を問う問題作。
  • 湖の琴
    -
    若狭の国の貧しい農家に生れた栂尾さくは、琵琶湖の北端にひっそりと水をたたえた余呉の湖の近くの蚕の糸とりの家に、糸取り娘として奉公に出る。そこで、同じく若狭出身の宇吉にめぐり会うことにより、さくは新たな運命の糸にもてあそばれていく……。三味線糸生産地の風土を背景に、悲痛な女人像を浮かび上がらせ、哀しみと詩情をこめて描いた人間愛が、哀切な琴の音をひびかせる長編ロマン、悲恋物語。
  • 火の舞い(上)
    -
    1~2巻660円 (税込)
    若狭の山村に祖母とつましく暮らしていた村瀬ふくが、男女の仲にうるさい田舎をあとに、京都の町へ出たのが19歳の秋。多情の血を継ぐふくは、勤め先の工場で出会った初めての男・田島の子を宿すが、それを知った田島は突然、姿をくらます。やむなく腹の子を堕ろし、呑み屋、ホテルの女中を転々とし、男遍歴を重ねるふく。そして偶然にも田島に再会したふくは、幸福な結婚を夢見るのだが‥‥。男たちへの愛に命を賭けた女の哀しい半生を描く。〈上下全二巻〉
  • 艶めき
    3.0
    舅にできた女友達を通して昔の恋人に再会した和香子。女癖が悪く甲斐性のない別れた夫を思い切れない千絵子。ふと知り合った男と梅の古木を見にいく律子……。平穏な日常のなかで、女の心にはひそやかに蕾が育まれ、躰(からだ)の奥では小さな焔(ほのお)が燃え続ける。
  • 六十六の暦
    -
    わたしは精一杯生きたいと、手さぐりしてきた。はっきりした答えのないまま、アメリカヘ行き、沖縄へ移り住んでみようとしている……。66歳にしてスタンフォード大学に学び、沖縄の習慣や行事に眼をみはる日々。貧欲に存分に人生を楽しみ、いのちを愛おしむ眼に映じた風景を切り取る、珠玉のエッセイ集。老いることと、年を重ねることは違う。若い日の問いかけを心の底に持ち続け、爽やかなチャレンジ。さあアメリカヘ、沖縄へ!
  • 恋愛論
    4.1
    まだ「常識」っての、持ってます? もうメンドクサイから、俺の「初恋」の話しちゃうね。よかったら腰抜かしてね。現実に恋愛って、存在しないんだよ。みんなサ、救済の「宗教」と恋愛をゴッチャにしてるんだよね。男って、恋すると「天使」になっちゃうし。それでもまだ、あなたって「常識」を持ってます? 恋愛ってそんなものじゃない…という橋本治的恋愛論!
  • 霊界予告殺人
    -
    交通事故で臨死体験した探偵作家が、日常生活に戻ると、次々に不可思議な体験をする。まばたきをしない人々、唇も動かさないのに聞えてくる話声、そして死んだはずの恋人が姿を現わす。死者の国=霊界に踏み込んだ男は、コナン・ドイルを名ざした殺人予告状に遭遇。だが彼は殺され天上は大騒動に……。臨死体験した探偵作家が、ヴァン・ダイン、クリスティ、乱歩、正史らと、霊界殺人の謎解きに挑む!
  • 立原道造の世界
    -
    優美な抒情、音楽との融合、青春の痛み……。「優しき歌」などで知られる四季派の詩人・立原道造の魅力は、数多く挙げられようが、それに加え、彼が夭折者であったことも、後世の若者に愛好される要素だ。その詩を含め、彼はすなわち青春なのである。本書は、「四季」派研究で知られる著者が、豊富な資料(新資料含む)と広い観点とで、立原道造の足跡を解いた、最良の研究書である。夭折した天才詩人の全貌を、その生い立ち、精神形成、詩法などの面からとらえ、新資料や彼の代表的作品を収める素晴らしい入門書!
  • 日本人の自伝
    -
    自伝というジャンルの文学史上の位置を展望しながら、日本人の〈我〉の自覚の歴史を解明した、画期的な長編評論。福沢諭吉、内村鑑三、勝小吉、鈴木牧之、新井白石、山鹿素行、松平定信らの著作から、三世中村仲蔵、七世市川中車など歌舞伎役者の芸談という形の自伝まで、独自の発想で精緻に論究した野心作。自伝という分野の文学史上の位置を展望し、自伝的著作の中に日本人の自我観を探る名著!
  • 前夜のものがたり
    3.0
    明日、答えが出るのにじっとしていられず、バーの扉を押し開けた。53歳にして私は、竹馬の友を相手にこの店の女主人を取り合うことになり…(「蘭の前夜」)。三角関係、熟年夫婦の危機、家出した娘に許しを請う旅――中年男性が折々に迎える人生の転機を、ほろ苦い思いとともに切り取った作品集、全8話。
  • 錆びた波止場
    -
    かもめ、ポートサイド、アンカー、マスト、ホックスル、すばる、カシオペア……船員酒場のネオンが涙に滲む。銀ラメドレスの娼婦たちの純愛の涙に。元一等航海士、積荷鑑定人・日高凶平。親のつけた因果な名前のせいか、今にも沈みそうな便宜置籍船が出入する港の一匹狼に、麻薬や密送や娼婦たちのからむ事件が、相次いでふりかかる。半端な野郎は容赦しないぜ! 女の汗と非情の味がしみこんだ、霧笛にむせぶ、センチメンタル・ハードアクション・ロマンの連作集。
  • 再びの生きがい 特捜検事からボランティアへ
    3.0
    日本中の注目を集めたロッキード事件を担当し、カミソリと恐れられたエリート検事が、法務大臣官房長の地位をなげうってまで、福祉の世界に転じた理由とは!? 検事時代の思い出から、再びの生きがいを求めて、180度異なる世界に身を投じるまでの心境、福祉に懸ける情熱を、あますところなく綴った話題の書。仕事と生きがいのあり方を問い直す!
  • 金属バット殺人事件
    -
    誰からも「よい子」と愛されていた少年が、ある夜、突然、両親を殴り殺した。いったい今は、何が正常で、何が異常なのか。この一家の両親にも、次男にも、異常なものなど、どこにもなかった。正常な少年を駆り立てた動機とその異常な行動の間の「真白」な闇とは、何であったのか。現代っ子の意識に潜む狂気を暴く問題作! 川崎市で起きた衝撃の事件に鋭いメスを入れる。
  • メニューの余白
    -
    酒や料理のうしろには文化がある。フランス料理、イタリア料理から懐石、すし、クジラ・マグロ問題まで、「食」を楽しむためのおもしろエッセイ。ランキングや偏った「常識」から自由になって、酒のつまみに最適の、ちょっとすすんだ大人の「食こぼれ話」。うまい酒を飲みうまい肴を食べたいから、これを読む!
  • メディア・ウォーズ テレビ仕掛人たちの興亡
    -
    絢爛たる成功と、無残な敗北。野心家たちの覇権が渦巻く、テレビ・メディア。そのテレビを創った人々、テレビによって時代の制覇を図った人間たち。テレビの魅力、凄さを察知して、そのテレビを駆使してスーパースターにのし上がった男……。強烈な興味を抱かせるテレビ・メディア仕掛人列伝、その興亡の舞台裏。最前線に生きる男たちの、激しい欲望の対決!
  • いつかは恋を
    3.0
    夫亡き後、ちいさな町工場を細々と営む久美子は57歳。心と躰に乾きを覚えながらも、邪心を振り払うがごとく健気に生きてきた。タクシー運転手の寺坂との出会いが久美子を揺さぶる。たやすくない人生を歩んできた男と女。その軌跡は重なってどこへ向かうのか。抑えた筆致の中に色気が漂う、おとなの恋物語。
  • アジアパー伝
    3.5
    カモシダ青年は、片道切符で単身、タイに乗りこんだ!……のはいいけれど、その日の食事にも困る貧乏暮らし。ビデオカメラ片手に即席のフリージャーナリストになって、内戦のカンボジアへ。ささやかなギャラで、命懸けの取材だ。おバカな人間たちとの出会いを通して描く、激ヤバ異国体験記。サイバラ漫画も大爆笑!
  • 流砂
    3.0
    突然の病をきっかけに、仕事一途の人生につまずいた私。不如意な休職中の旅で訪れたのは、奥能登の海沿いの小さな宿だった。結婚に破れて東京から戻り、姉の女将を手伝う志津子は、疲れた男を包む、翳のあるやさしい女。終わりある恋と知りながら、情欲の炎は静かに燃え上がる。冬に咲いたおとなの恋物語。
  • 銀行頭取(上)
    -
    1~2巻770円 (税込)
    巨大銀行のワンマン頭取が、老人ボケに! 次期頭取の椅子を狙い、幹部たちが動きだす。盗聴・誘惑・罠……泥沼化する権力争い。権力への執念は、人間をこうも変えるのか。望月竹盛は思い迷いながらも、すでに引き返せないところまで来ているのを感じた。「えい、行くのみだ!」――銀行内部に展開する権力の知られざる醜い実態=ドラマを描く長篇小説。<全2巻>
  • 花まつり殺人事件
    -
    襟裳岬発、哀しみのトラベル・ミステリー。姉が遺した謎の言葉、冬の花まつりとは? ……冬の北海道から「花まつりを見に行きます」という絵ハガキを遺して死んだ姉。上着のポケットには1匹の蜂の死骸が……。姉は何を伝えたかったのか? 姉の死に不審を抱いた岡田美沙緒は、その足跡をたどって襟裳岬から広尾、帯広へと真相を探る旅に出た。哀切な愛の行方を追うトラベル・ミステリーの傑作!
  • ダブルハッピネス
    3.8
    体は「女」だけれど心は「男」の性同一性障害。辛さ、悲しみは2倍、でも2倍楽しいフミノの青春ストーリー。文野はいまどき珍しいぐらいかっこいい。(一青窈)常に“女体の着ぐるみ”を身に付けているかのような違和感を抱く日々。心と体の性の不一致に苦悩する「性同一性障害」を抱えながらも、フェンシングに打ち込み、仲間や家族、愛する人たちとの理解を育んできた著者。真剣に悩み、真剣に楽しんできた“フミノくん”の直球自伝エッセイ。文庫版の書下ろし収録。
  • 「物」の思想「人間」の思想 小田実評論集1
    -
    たくましい精神と行動力で、「蒼ざめた」現代文学に衝撃を与え、「ベ平連」のリーダーとして、戦後の反体制運動に新しい方向を打ち出した、〈行動する思想家〉小田実が、激動する歴史と現実の渦中から、あらゆる非人間的なものを拒否し、状況の変革をめざす人びとにおくる、新編評論集の1巻目。65年から70年にかけての代表的評論とルポルタージュ13編を精選。
  • 乱調
    3.0
    人気ミュージシャンだった息子・鷹也が自宅で首を吊った。パリで働いていた私は帰国し、死の原因を探ることにした。ファンなのか、恋人だったのか、息子の部屋に住んでいた女子高生・深雪と出会った私は、次第に彼女にひかれていく……。著者の原点であるミステリーと恋愛小説を融合させた問題作。
  • 戦力外通告
    3.0
    リストラされて9ヵ月。就職活動にも疲れてきた。55歳、もうやり直しはきかないのだろうか。初めて出席してみたクラス会では、中学の同級生たちも人生という舞台を降りようとしていた。失職を受け入れてくれる妻に不満はない。だが故郷で再会した晶子のことが気にかかる。
  • 江戸の夕映え
    -
    お上のために、危険を承知の火消しこそ、男の中の男である……「あっしにとってのお上は前将軍(さきさま)だけ」と、徳川慶喜の水戸退去に大役を果たした、新門の辰五郎。男のつとめをやり遂げて、やくざ者ながら侠気の誇りに生きた、清水の次郎長、会津の小鉄など、新政府に媚びることなく、義理を立て通した男たちを描く傑作。激動の時代を侠気で生きた男たちを描く長編小説。
  • 象を撃つ
    -
    腐った貝を食べ、辺境に置き去りにされた老人たちが、妊婦を輪姦する――自らを「想像力の技術師」と信じこむ入院患者の描く、悪夢のような虚構の世界=小説。いっぽう、その彼が看護婦を妊娠させたという噂が、彼の抗弁をはねつけ、病院内に拡まる。想像力を超える非難と指弾という現実の荒廃を描出し、「小説とは何か」を追求した意欲作。
  • 小屋
    -
    自殺した知人の遺品を遺族に届けた19歳の青年は、その村に居ついて、村人や遺族の異様な光景に出会う。戦争にいって廃人同様になった父親。そして、その妻のモノローグを通じて、戦後25年経ったいまも、戦争の傷を癒せぬ、夫婦の戦慄的生活が現われる。暗い時代の深暗部を照し出した力作。他に「小泊海岸の犯罪」と「雪」を収録。
  • 奈落の偶像 警視庁殺人分析班
    値引きあり
    3.3
    銀座のショーウィンドーに吊るされた奇妙な遺体。謎の遺留品に悩む警察をよそに、第二の被害者が拉致される。殺人分析班の見立ては。
  • 北北東の風、マイナス三度
    -
    新しい都会小説のジャンルをひらく、山際淳司の処女小説集。冷たい風が北北東から吹き、上空1500メートルの気温がマイナス3度を下回ると、東京を春先の雪が包む。大都市の空中楼閣で季節はずれの舞いを見せる男と女、ひび割れた日常の中での、つかのまの透明な時間……。「人工海浜」「事件」「桜売」「タンゴ」など、奇妙な味の連作東京物語12編。現代の都会人の風景を描く、新しい都会小説の味!
  • 川波抄・春の歌
    -
    隅田川を心のふるさととした明治・大正の東京の情趣が、若い日の「私」の歳月と交錯し、失われた時間に寄せる、想いの光と影を清婉に織りなす「川波抄」、さまざまな歴史を包みこんだ女の、不気味な明るさを湛えた晩年の性を描く「春の歌」など、円地文学の多様な才華と幽玄な到達点を鮮かに示す、傑作全9編を精選。
  • 野の鈴(上)
    -
    1~2巻660円 (税込)
    扁平足で脚が短く、あひるのようにペタペタと歩く、少年・庄吉。9歳の彼の姿は、どことなく剽軽でもの哀しい。その孤独な歩みのたびに、背の鈴の音が響く。戦地の中国・満州で父を失い母と生き別れ、戦後ひとり荒廃した日本へひきあげた庄吉。敗戦直後の東京の焼野原で、母を求めて彷徨い、四国の田舎で生きていく。運命の神に翻弄されながら、やがて来るつかの間の再会。だが、それが永遠の別れへの旅立ちとなった……。戦後の混沌とした時代状況の中で、人間の哀しい定めと愛の美しさを謳い、凜とした深い感動を伝える名作。<上下全2巻>
  • 生贄伝説殺人事件
    -
    長野県の諏訪に古代より伝わる秘密宗教結社「ミシャグジ教団」の信者たちが、50年に一度の大祭に結集し、10代の美少女を生けにえにする「闇の大祭」が近づいているという。そんな折、諏訪出身のレストランの主人が一人娘を誘拐されてしまう。彼は名探偵・滝連太郎に救出を依頼したが、殺人事件に発展してしまう。3人の美少女が秘密宗教の儀式で生贄に……ロリコン・マニアとカルト教団を結ぶ黒い罠とは? 謎解き伝奇ミステリーの傑作!<『古代諏訪生贄伝説殺人』改題作品>
  • 死体化粧人
    -
    東京都監察医務院の医務官として、仕事にかまけて家庭を顧りみなかった垂水鋭一は、妻を自殺へと追いやった。妻の死を機に退官し葬儀社の嘱託となり、第二の人生を遺体修理師の仕事に賭けた。そして自殺や事故死の無残な遺体を繕い直す修復作業の際に発覚する不審点をもとに、隠された犯罪を発き、事件を解決していく。物体と化した死体の無言の訴え、そこに隠された謎、そして惨死の裏の疑惑。異色の短篇ミステリー集!
  • 幻の戦艦空母「信濃」沖縄突入
    2.0
    米軍が沖縄に大艦船を集結させ、上陸を開始。満身創痍の連合艦隊が乾坤一擲(けんこんいってき)の反攻を、戦艦大和を囮(おとり)として計画。主力は米潜水艦が撃沈したはずの超空母「信濃」。艦上にはミッドウェー以降の海戦で戦死者扱いのベテラン操縦士たちの護国軍神隊が搭乗する「紫電改」。手に汗握る感動のシミュレーション架空戦史。
  • 風を見た人(一)
    -
    1~5巻660円 (税込)
    強い季節風の吹き下す、新潟県の石曾根で生れた真崎ちよは、幼い頃に父を失い、貧しい娘時代を過す。しかし、不幸な青春の中にあって恋を知り、やがて妊娠する。だが、愛する男は軍隊におり、男の両親はその責任から逃れようとする。「別れ」の人生を送ってきたちよが、誰にも恥じない陽の下道を選んで生きようとする、哀切きわまりない長篇ロマン。<全5巻>
  • 白い衝動
    値引きあり
    4.0
    小中高一貫校でスクールカウンセラーとして働く奥貫千早のもとに現れた高校1年の生徒・野津秋成は、ごく普通の悩みを打ち明けるように、こう語りだす。「ぼくは人を殺してみたい。できるなら、殺すべき人間を殺したい」千早の住む町に、連続一家監禁事件を起こした入壱要が暮らしていることがわかる。入壱は、複数の女子高生を強姦のうえ執拗に暴行。それでも死に至らなかったことで、懲役15年の刑となり刑期を終えていた。「悪はある。悪としか呼びようのないものが」殺人衝動を抱える少年、犯罪加害者、職場の仲間、地域住民、家族……そして、夫婦。はたして人間は、どこまで「他人」を受け入れられるのか。社会が抱える悪を問う、祈りに溢れた渾身の書き下ろし長編。
  • オールブラックスが強い理由 世界最強チーム勝利のメソッド
    5.0
    今秋開催のラグビーワールドカップの必携書。「勝利以外は、引き分けも負けも同じだ」。驚異的勝率を記録し、日本開催のワールドカップで空前の三連覇に挑むオールブラックスは、あらゆるスポーツで最も成功したチームと評される。ラグビーW杯を七大会連続で全期間取材し、ラグビーの楽しさと厳しさを知り尽くす著者が、オールブラックス経験者・関係者たちに連続インタビューした本書が描きだすものは、単なる戦術論、組織論にとどまらない。形式ばらない人材育成、人種の壁を越えたチーム作り、生きる意味や価値をNZ国民と分かち合う……本書には強く生きるためのヒントが詰まっている。ただ強いだけじゃない。―大野均(ラグビー日本代表最多キャップ保持者。対オールブラックス戦、二戦先発)すべての色を混ぜ合わせると黒になる。圧倒的強さの象徴である黒のジャージーから学べるものは、何でも吸い取ってしまおう!―大友信彦
  • 45° ここだけの話
    3.5
    カフェで、ファストフードで、教室で、ケアホームで、一見普通の人物が語りはじめる不可思議な物語。一卵性双生児、夢の暗示、記憶の改竄、自殺志願者など、ちりばめられた不穏なモチーフが導く衝撃の結末。読んでいるうちに物語に取り込まれ、世界は曖昧で確かなことなど何もないと気づかされる戦慄の9篇。
  • 透明な歳月の光
    4.0
    人間の眼は常に曇っている。血走っていたり、酔っていたり、近視眼的だったりする。しかし、そういうときにこそ、歳月の光は静かに、透明に、ものごとを映していく――。人の一生の重み、そこに込められた濃密な意味とは何か。日本、アジア、中東、世界各国の街の中から、人間を見つめる作家のエッセイ集。
  • 空色カンバス 瑞空寺凸凹縁起
    4.0
    三十間近な日比野隆道和尚が高校三年生の妹・ゆかりと暮らす寺に、泣きぼくろが印象的な美女が行き倒れ!? 着の身着のまま「夫から逃げてきた」という千尋と日比野兄妹の暫定的三人暮らしが始まる。進路問題に悩むゆかり、真意の見えない千尋、思い出せない記憶を辿る隆道。「縁」の力は三人を救えるのか? あたしにとって、お寺は家だ。お釈迦さんの説いた教えは今一つピンとこなくても、お父さんや、歳の離れた兄ちゃんが頑張って守り、顔なじみのお檀家さんが優しい顔でお参りに来てくれるお寺は、あたしには一番大事な場所だ。──そんな、あたしの大好きなお寺に、あたしの「大っ嫌い」な、あの女はやってきたのだ。(本文より)
  • 陸奥こけし殺人事件
    -
    東北は鶴岡名物の化け物祭りの夜に起きた、凄惨な殺人事件から10年。美貌の女流棋士・小柳カオリは、ひょんなことから「犯人」の母親に真相の再調査を頼まれるが、今も事件は尾を引いていて、次々と奇怪な連続殺人が起こり……。愛らしい陸奥名産のコケシにまつわる大掛りなトリックに挑み、不思議な人生の謎を追う、長編傑作旅情ミステリー。
  • 今日も君は、約束の旅に出る
    3.8
    何度だって、飛んで行くよ。笑わないで聞いて欲しい。これは、“絶対に約束を破れない”体質になった男の、一生に一度の恋の話だ。全てを賭けて臨んだオーディションに落ち、女優になる夢を諦めようとする国木アオ。自室で失意に暮れる中、突如地震が発生、目の前に一人の男――幼馴染の森久太郎が現れた。聞けば久太郎は、約束を果たす時が来ると、その場に瞬間移動する体質になってしまったと言う! 極上の感動を約束する傑作恋愛小説。
  • 銀行合併
    -
    合併のためなら、どんな手段を使ってもよいのか……。金融摩擦を避けるため、アメリカの銀行との合併を画策する大蔵省。女子行員を誘惑・利用する仕事屋。政財界にとり入る大物フィクサー。頭取の追放を企む若手専務。おぞましいほどに野望が交錯する。銀行内部に通ずる著者が、迫真の筆致で描く長篇問題小説。
  • 決戦!関ヶ原
    3.8
    当代きっての作家たち、ガチンコ競作シリーズ!慶長五年九月十五日、霧立ちこめる地に戦国時代の終焉を告げる運命を背負った男たちが集結した。天下分け目の大戦「関ヶ原の戦い」。徳川家康率いる「東軍」圧勝の理由、石田三成率いる「西軍」敗北の契機、そして両軍の運命を握る男。七人の作家が七人の武将の視点で描く競作長編「決戦!」シリーズ初陣。刊行当初から話題沸騰!業界初の立体的(3D)な競作長編!
  • 北斎まんだら
    3.3
    信州小布施の豪商、高井家の惣領息子・三九郎は、かの有名な絵師の葛飾北斎に会うために江戸へやって来た。浅草の住まいを訪ねてみると、応対してくれたのは娘のお栄。弟子入りを志願するもまともには取り合ってもらえず、当の北斎はどこかへ出かける始末。美人画で有名な絵師の渓斎英泉こと善次郎にはかまってもらえるが、火事見物につき合わされたり、枕絵のモデルをやらされたりで、弟子入りの話はうやむやのまま。そんな折、北斎の放蕩な孫・重太郎が奥州から江戸に戻ってきたことが伝わる。同じころ、北斎の枕絵や鍾馗の画の贋作が出回る事件が出来し、重太郎に疑いの目が向けられるが……。
  • 青空に飛ぶ
    3.4
    中学2年の萩原友人は、伯母の住む札幌を訪れていた。学校での凄絶ないじめで心が折れた友人は、高いところから“青空に飛ぼう”と決意をしていた。そんなとき、伯母の勤務する病院に入院している佐々木友次のことを知る。佐々木は、太平洋戦争時、特攻隊に選ばれ9回も出撃しながら生還したという人物だった。「死ぬのが当然という状況で、どうして“生きよう”と思い続けられたんだろう」佐々木が所属した陸軍万朶隊の物語、そして佐々木自身の言葉を前に、友人の傷ついた心は少しずつ前を向きはじめるが……。
  • さすらい猫ノアの伝説
    3.7
    ノアありがとう。そして、さよなら。ある日突然、やってきた黒猫。名前はノアというらしい。なにげない日々のなか、ノアが心に届けてくれる「宝物」。算数の授業中、一瞬の早技で教室に飛び込んできた黒い猫。首に巻かれた風呂敷の中には、「あなたのクラスはノアに選ばれました!」という手紙が。自由気ままなさすらい猫が、ちょっと困っている子どもたち、悩んでいる大人たちに思いださせてくれる大切なこととは。不思議な猫が巻き起こす小さな奇跡の物語。大人気作品、講談社文庫に登場!
  • 危険銀行
    -
    バブルの崩壊は、銀行を弱体化させた。そこに与党の有力議員、政経のフィクサーたちが、目をつけた。頭取の地位まで登りつめたエリート銀行マンを襲った、奇妙な小切手詐取事件。そこに仕組まれた巧妙な罠……。頭取を取りまき暗躍する、怪しげな人々を描き、存亡の危機に立つ銀行を描ききる話題作。<『罠の行方』改題作品>
  • 銀行消失
    -
    ポスト・バブル――。長期不況下、巨大化する不良債権に呻吟する金融業界。リストラの限界に挑む都銀にひろがる、救済合併や倒産整理の噂。今やそれが現実となった。神話を覆す「銀行倒産」を予見し、業界再編の極秘プランを描く、迫真の銀行小説。現役の銀行監査役の著者が、業界内部から描いた話題の長編。
  • 銀行淘汰
    -
    北海道拓殖銀行、山一證券の破綻を迎え、金融危機は極まった。これから銀行・証券界に淘汰の嵐が吹き荒れるのか……。和洋銀行合併を巡る、最大手の帝都銀行・荒牧頭取と友井銀行・大友会長の暗闘。それは巨大銀行のサバイバル・ゲームだ。現実の死闘をシミュレーションした、迫力満点、話題の書。バブル崩壊、金融危機の一歩先を読む本!<『第三の取締役』改題作品>
  • 炎の放浪者
    -
    『サスツルギの亡霊』が2019年「本屋大賞 発掘部門『超発掘本!』」に選出された、著者の「もうひとつの超発掘本!」が文庫化。14世紀初頭、端麗王フィリップ四世が統治するフランス。パリに暮らす鍛冶屋ジェラールは、ある日突然、妻と共に投獄される。無実の罪を訴える彼に王の腹心が出した解放の条件は、神殿騎士団逮捕直前に失踪した、一人の神殿騎士を探し出して捕らえるというものだった。妻を囚われたジェラールに選択肢は無く、わずかな手がかりを頼りに、謎の騎士を追う旅に出る――。 2019年の「本屋大賞」発表会で「知らなかったけど、読んでみたいと思った」と会場にいたすべての人に強い印象を残し、話題をさらった『サスツルギの亡霊』推薦者の書店員・蔦屋書店諏訪中州店の立木恵里奈さんの名スピーチ。その中で選出作である『サスツルギの亡霊』を差し置いて「文庫化してほしい!」と熱く語られたた本作が、このタイミングでついに文庫化!
  • スター・ウォーズ 暗黒の艦隊 上
    -
    1~2巻1,045円 (税込)
    新共和国で実権を握るため、アクバー提督を失墜させたフェイリャ評議員。その陰謀を追跡中のハン・ソロとランド・カルリジアンは、思いもよらぬ人物に遭遇する。また、ルークを目の敵にするマラ・ジェイドは、彼に助力を乞いにジョマーク星を訪れる。そして新共和国同盟軍は〈暗黒の艦隊〉と呼ばれる謎の大船団をめぐって、帝国軍と熾烈な大争奪戦を繰り広げる。深まる謎、陰謀、裏切り・・・・・! 二転三転の波乱万丈な展開に、いよいよ興奮が頂点に達する!
  • 銀行人事抗争
    -
    会長が倒れた! 派閥抗争の嵐が激化する! 実力会長発病の噂は疑心を呼び、男たちのサバイバル戦が始まる……。中堅都市銀行の実力会長の自宅に、銃弾が射ち込まれた。行内では、超ワンマン会長の老いを横目に見て、重役たちの派閥抗争が表面化した。行外勢力も加担して、経営破綻の不気味な足音が間近に迫る。メンツと建前に縛られ、いたずらに手をこまねく銀行と、そこに巣食う人々を活写した傑作。<『浮沈に賭ける』改題作品>
  • バブルと寝た女たち
    4.0
    バブル愛人たちの「SEX・金・恋愛」 大金が勝手に転がり込んできた「普通の女たち」はその時どうしたのか。バブルがはじけた今、彼女たちが「絵空事のような現実」を語りはじめた。衝撃のレポート。
  • 小説 大きな玉ネギの下で
    3.3
    1985年、北関東の県立高校3年生木島夕子は、都内の予備校生・辻島衆二と文通を始めた。手紙の言葉だけを頼りに純真な恋を育てた2人は、共通のファンであるロックバンドの武道館公演の席で初めての待ち合わせをするが――。爆風スランプの名曲「大きな玉ねぎの下で」に秘められたせつなさあふれる物語。
  • 花隠密
    -
    花を好んだ11代将軍・徳川家斉に、各藩は競って自慢の花を献上した。四国・宇和島藩も、花造りの名人・田吹弥兵衛に花菖蒲を造らせ献上した。だが無残にも家斉は冷笑し、細川家献上の肥後菖蒲を讃美する。その結果、弥兵衛は割腹した。息子・弥十郎は、悲憤に耐え肥後に潜入する。花造りを盗むための隠密である。異色の題材に挑んだ時代長篇。
  • 能登路悲恋
    -
    愛を失い恋に傷ついた美しい画学生は、いとこの詩「愛の空 恋の森」に触発されて、能登へ旅立つ。彼女がそこで邂逅したのは、野性的な若者だった。いつしか二人の心は激しく燃え、火の接吻を……。が、その若者には罪深い過去のあることを知る。能登半島を舞台に、人間とは?美とは?を問うた、新鋭の悲恋物語。
  • 魯迅作品集
    -
    清朝末から革命期へという混乱の時代に、ペンを執って敢然と立ちあがり、新しい中国文学を切り拓いた、偉大な作家・魯迅の代表作を、その著作『吶喊』『彷徨』『朝花夕拾』から集める。人に食われることを恐れる男を主人公に封建制度と儒教道徳を徹底批判した「狂人日記」のほか、「阿Q正伝」「藤野先生」「小さな事件」「家鴨の喜劇」など13編を収録。中国近代文学の父・魯迅の代表作がいっぱい!
  • 明治人物夜話
    -
    明治天皇の御逸事、大西郷の一言、海舟邸の玄関、大隈侯の碁、広瀬中佐余聞、天下の記者山田一郎、尾崎紅葉雑記、荷風の思い出、狩野亨吉先生、三遊亭円朝など、日本の黎明期といわれる明治に輩出した、政治家・文人など50余人の、知られざる逸事・言行を、著者多年の研究資料により、その真実を描く。伝記に定評ある著者による、「近世人物夜話」に続く名著。
  • 谷捨蔵の憂鬱
    -
    京都の畳職人・谷捨蔵は、昔に比べると仕事がめっきり減ってしまった。近代化の波が、畳業界をも襲ったのである。しかもあと継ぎ息子は、畳なんかはもう前代の遺物だといって、家業をかえりみず、バンドにうつつをぬかしている。50年も畳一筋に生きてきた谷捨蔵の憂鬱は、深まるばかりである……。という表題作のほかに傑作8編を収録。
  • 石を抱いた樹(上)
    -
    1~2巻660円 (税込)
    巨木は、地中深く、石を抱いているものだ。……名門・布施学園の理事長・布施英之は、樹木を愛し、学園のマンモス化により、緑が失われていくのを憂えていた。折しも20年の歳月を経て、敗戦の混乱のうちに、生き別れた息子が姿を現わす。大地にしっかり根を張ろうと、父と子それぞれに歩む道を描く、感動の長編問題小説。生き別れた息子との再会、親子の運命……水上文学のロマンチシズムの源泉がここにある!
  • 新さらりーまん野戦学
    -
    得点主義の人事考課のほうが、減点主義のやり方より、はるかに企業や組織を活性化させる。何でも見たがる、好奇心満々の人間がトップになる。つきあい方を知らない人間は疎外される。……学校では教えてくれないサラリーマン社会のABCを、具体的に説いて評判の「深田祐介さらりーまん学」第2作。われらサラリーマンの生きた教科書、必読46編。
  • 失楽園の武者 小説・大内義隆
    -
    室町期に西日本きっての勢力を誇った守護大名・大内氏の31代当主・義隆は、とりわけ貴族趣味が強く、武力強化よりも京都文化の摂取に熱中する。山口を京都の街並みに模し、自ら公卿を真似、文化人を招いては宴を催した。その結果、家臣間に亀裂を生み、やがては救いがたい破滅への道をたどることになるが……。大名よりも公卿になりたがった大内氏の、栄光と失墜を鮮烈に活写する、歴史長編。大内義隆の哀しく数奇な生涯、哀切のロマン!
  • 高杉晋作奔る
    4.0
    幕末の長州に生まれ、先取の気性と果断な行動で尊王攘夷の志士となった高杉晋作。乱世を鮮烈に駆け、明治維新の功労者となった、彼の短かく激しい生涯は、まさに動乱の世を奔るものだった。その晋作のユニークな素顔を、松下村塾時代の師、仲間、奇兵隊結成でバックアップした豪商、あるいは愛人だった芸妓などの視点から、生き生きと捉え鮮やかに描き出した、著者得意の領域の魅力的な連作歴史小説集。若き英雄の素顔を、関係者の眼で描いた傑作!

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