歴史・時代 - 講談社文庫作品一覧

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  • 一命
    3.8
    病床の妻子を置いて家を出た浪人は、なぜ自ら命を絶ったのか?―二度映画化され、二度ともカンヌ国際映画祭に出品された不朽の名作「異聞浪人記」の他、武家における殉死の意味を問う「高柳父子」、家族愛を描く「拝領妻始末」など6編を収録。武士の悲哀を描き続けた時代小説家の傑作選。
  • からくり乱れ蝶
    値引きあり
    3.0
    幕末、甲斐の侠客・竹居の吃安の娘お冴えは売り出し中の若親分・黒駒の勝蔵と愛しあうが、吃安が獄死し一家は離散する。女壺振りに身を変えたお冴えは、清水の次郎長と抗争を続ける勝蔵を助けるため次郎長に近づくが、逆に惚れ込まれて後添いに……。二代目お蝶の短くも鮮烈な生き様を描く傑作時代小説。
  • 闇試し 古道具屋 皆塵堂
    値引きあり
    3.3
    古道具屋銀杏屋の若旦那太一郎は、幽霊が見える。修業先だった曰く物ばかり集める皆塵堂に降りかかる幽霊騒ぎの数々にかかわってきた。 銀杏屋に浅草森田町の札差大和屋の養女お縫がやって来た。まだ十歳くらいに見えるが、年は十三歳。綺麗な女中と下男を連れ、ふるまいは堂に入っていて、売りたい壺があるという。太一郎は壺に執着する幽霊に気づき、札差を贔屓にしたい番頭の勧めで壺を買おうとする。お縫は太一郎を一軒の袋物屋に連れて行く、その家で太一郎は壺に執着するおかみさんの幽霊を見るが、それに気づいたお縫は、皆の目の前で壺を叩き割ってしまう。壺に執着していた幽霊は消え去ってしまった。 お縫は、太一郎が幽霊が見えるのを知っていて、自分にも見えないものか試したくて、幽霊の出そうなあちこちに太一郎を引きずりまわしたいらしい。 だが太一郎は、お縫の人懐っこい笑顔に悪い予感を抱いていた……。 太一郎のように幽霊を見たいお嬢様に皆塵堂の面々が翻弄される。はたしてその正体は? 「皆塵堂」シリーズに新キャラクター登場!
  • 怨返し 古道具屋 皆塵堂
    値引きあり
    3.5
    日光街道の越ヶ谷宿の旅籠で働かせてくれた恩人・仁兵衛の遺品には幽霊が憑いていた。仁兵衛が若い時分に、江戸で借金の取り立て屋「すっぽんの桑次郎」という異名をとっていたことを知った甥の藤七は、遺品の数々を元の持ち主に返す旅に出ることになった。道中、「刀狩りの男」と呼ばれる浪人に襲われ川に落ちた藤七は、深川亀久橋近くの古道具屋「皆塵堂」で目を覚ました。 三十年前に仁兵衛が手に入れた遺品の数々は、「すっぽんの桑次郎」の借金の形なのか。優しかった伯父が人々に恨まれる非情な取り立て屋だったことがどうしても信じられない藤七は、限られた七日間の江戸滞在のうちに、遺品の持ち主を捜し出し、憑いている幽霊の謎を解き明かし、伯父の正体をつきとめることができるのか? 材木商のご隠居・清左衛門、力自慢の魚屋・巳之助、有能な小僧・峰吉らの助けも借りながら、「知りたがりの藤七」は江戸でも行く先々で幽霊をみることに……。 怪談+とぼけた笑いで人気の「皆塵堂」シリーズ、第十弾!
  • 孤愁の岸(上)
    3.8
    財政難に喘ぐ薩摩藩に突如濃尾三川治水の幕命が下る。露骨な外様潰しの策謀と知りつつ、平田靭負ら薩摩藩士は遥か濃尾の地に赴いた。利に走る商人、自村のエゴに狂奔する百姓、腐敗しきった公儀役人らを相手に、お手伝い方の勝算なき戦いが始まった……。史上名高い宝暦大治水をグローバルに描く傑作長編。
  • 李世民
    値引きあり
    3.2
    皇帝は帝都・長安を捨て、中国全土に反乱があいつぎ、隋の権威は地に墜ちていた。群雄割拠の時代を迎え、北方を守る太原留守(りゅうしゅ)・李淵(りえん)の次男・李世民(りせいみん)は李淵に決起をうながし、大陸の覇権を賭けて長安をめざした。唐朝第2代皇帝となる李世民の後戻りのできない戦いを描くロマンとスペクタクルの中国歴史長編。
  • 花隠密
    -
    花を好んだ11代将軍・徳川家斉に、各藩は競って自慢の花を献上した。四国・宇和島藩も、花造りの名人・田吹弥兵衛に花菖蒲を造らせ献上した。だが無残にも家斉は冷笑し、細川家献上の肥後菖蒲を讃美する。その結果、弥兵衛は割腹した。息子・弥十郎は、悲憤に耐え肥後に潜入する。花造りを盗むための隠密である。異色の題材に挑んだ時代長篇。
  • 武将と茶道
    -
    名器をあさり、名物道具を無上の贈り物とした武将たち。茶道は、武将の重要なたしなみの一つだった。それは智的レベルの高さを強調する手段でもあり、権力の象徴でもあった。弱肉強食の変転きわまりない社会機構の下で、武将間の離反確執の原因となったり、逆に時代の潤滑油となったりした例も多い。この書は、茶道が歴史に果した役割を興味深く解明するものである。茶道は歴史にいかなる影響を与えたのか?
  • 石田三成
    3.0
    石田三成にまつわる陰湿なイメージは、江戸時代、幕府御用学者によってでっちあげられた虚像である。では、三成という武将のまことのすがたは、どのようであったのか? ――「士は己れを知るものの為に死す」との真の武士の信念を常に肚に収め、故・秀吉の信頼と恩顧にこたえて、大敵・家康に挑み殉じた、三成の生涯と実像を描く会心作。
  • 首一万両
    -
    面子を捨てて利のみを求めて生きる、したたかな商人上りの侍。毒と知りつつ、あえて江戸友禅の秘法に挑む職人。幕府の禁令に抗して、嫌いな家業を継ぐ張形師。若気の至りが、思いがけない人生を招く浮世絵の絵師と彫り師。……意地と工夫で日々の暮しをしのいでいく、江戸の庶民たちを描く、傑作時代小説集。
  • 天下を呑んだ男 「秀吉」が生まれた朝
    -
    夢は身銭を切って購うもの――東海道吉田宿の一夜、針売りの青年・藤吉郎は、旅の僧にこう言い放った。一升八文の酒を仲立ちに「天下」への道が招き寄せられ、一人の男が歩き始める。平凡な人生を大きく転回させ、歴史に名を成す豊臣秀吉へと変貌させた叡智とは何か。英雄誕生に秘められた、成功への発想法を描く。
  • 紅椿無惨 唐人お吉
    -
    下田一の美妓で、明烏のお吉と人気の高かった娘に立った白羽の矢。お国のために、好いた男の夢のために、異人の許に送られたが、通商条約締結後、無惨に砕かれた女だけが残された。ハリスの許から暇を出されたお吉には、下田の町は居づらかった。愛しい鶴松が侍になっているはずの江戸へ、身を隠して行く。時代の嵐に巻き込まれ、男たちの明治維新に利用された女心。美しくて脆かった女の意地を切々と描く、著者初の時代長編小説。
  • 不知火の化粧まわし なにわの源蔵事件帳
    -
    大阪と東京との対抗意識は相撲界にも持ちこまれ、東西合併興行は大さわぎ。上方力士の梅ヶ谷が勝利を収めて湧く大阪の町で、元大関・不知火の化粧まわしが3本盗まれる。不知火も上方から東京に出て、頂上をきわめた名力士だった。元大関のまわしなどを、誰が何の目的で盗み出したか? 海坊主の親分の活躍に期待が集まる! 快調大阪捕物帳。
  • 六歌仙暗殺考
    3.3
    不可解な心中事件から始まった連続殺人の謎に挑む、名探偵・南条圭の推理。殺害現場には僧正遍昭、在原業平といった六歌仙の歌仙絵が、つねに残されていた。犯人を追う鍵は六歌仙の秘密にあるのだろうか。最も現代的な舞台設定と懐しい探偵小説の世界。古典と現代を結びつける、井沢元彦の歴史ミステリー。
  • 武蔵坊弁慶(一)玉虫の巻
    4.3
    源氏再興に義経と行動を共にし、衣川で果てたわれらが弁慶は、身の丈2メートル、130キロの巨躯にみなぎる怪力に似ず、美女・玉虫との恋に身を灼く純情な青年でもあった。正義感に燃えてふるった蛮勇のせいで比叡山を追われた弁慶を待つものは……。剛力無双のヒーロー・弁慶の波乱万丈の生涯を描く痛快巨編。男の強さ、優しさ、哀しさがみなぎる、NHK大型時代劇原作にもなった全10巻。
  • 青江鬼丸夢想剣
    -
    刀鍛冶に育てられた美少年・次郎丸は、一刀流奥義"夢想剣"の会得と引き換えに師匠・伊藤一雲斎を斬り、育ての親を見殺しにする。非情の剣鬼と化した彼は「鬼丸」と名を変え江戸を目指すが、謎の魔手が行く手を阻む。やがて幕府を巻き込む大騒動が!? 吉宗暗殺を目論む異能集団と新陰流一門に挑む、瞠目の剣豪小説。
  • 女狐
    5.0
    お前、私と相対死しておくれでないか――女の一言が男を出口なしの恋の地獄へと落とした。大店の若内儀・お艶との心中の仕損じから落ちぶれた伝次の、無惨きわまる恋を描く表題作をはじめ、市井に咲いた毒の花・悪女を凄艶に描いて鮮やかな時代小説デビューをかざった傑作短篇集。
  • 海音寺潮五郎短篇総集(一)大老堀田正俊他
    -
    歴史文学の第一人者、海音寺潮五郎の傑作短編80余編を全8巻に編成。武士の潔さ、日本人の美意識を追求した作家の精髄がここに。第1巻は処女作「うたかた草紙」、実録文学「大老堀田正俊」、西南戦争を背景とした「南風薩摩歌」、忠臣蔵の片岡源五右衛門を通して武士道観を描く「白菊」など、著者が作家としての地位を確立させた記念碑的作品群12篇を収録する。
  • 五人女捕物くらべ(上)
    3.0
    朝の神田川に、女が1人釣り糸を垂れていた。「おおい、姐さん、御注進」。猪牙舟(ちょきぶね)が真一文字に近づいて来る。太公望のおせんと綽名(あだな)される売れっ妓は、老岡っ引小平次の手先として、恐るべき連続女殺しに取り組んでいく……。次々と、五人の女岡っ引が小平次と共に難事件に挑む、連作江戸推理作品集。
  • 公子曹植の恋
    3.3
    三国志の英傑・曹操の公子曹植が13歳で出会った人は、兄の妻となる人だった。義姉への叶わぬ恋を詠んだ詩篇は都の文壇で噂となる。その妃の死後、兄である皇帝の非情な仕打ちに不遇の時を過ごしながらも詩作に打ちこみ変わらぬ想いを抱いた。秘めねばならぬ愛を貫いた詩人の生涯を清新に描く中国純愛ロマン。
  • 本能寺の変
    3.0
    信長の天下統一に向けての戦いのなか戦場での武功は目覚ましいものではなかったが、行政処理の敏腕を買われ信長に重用された明智光秀。39歳のときから信長に仕えて15年、なぜ光秀は信長を討とうと決意したのか? 歴史上もっとも有名な謀叛の真実と本能寺の謎を、画期的な視点から解き明かす傑作歴史長編。
  • 勇のこと 坂本龍馬、西郷隆盛が示した変革期の生き方
    -
    改革も闘争の創造も、最後は勇気があるかないか、この1点が勝負を決める。幕末の混乱期に、類(たぐい)まれなる勇気を持って時代を切りひらいた、坂本龍馬と西郷隆盛。この2人の勇気の源とは? 歴史小説家・津本陽が資料を駆使し分析。どん底の日本を変えるために何が必要か。龍馬や西郷の生きかたに答えがある!
  • 鎮魂戦艦大和(上)
    -
    世界最大級を誇り、日本の希望の象徴であった戦艦大和は沈んだ。その最期を見届け、奇蹟的な生を得た著者が、艦と運命を共にした三千余名と「大和」の鎮魂の為に書き記した二つの生と死の軌跡。死を覚悟した彼らの悲痛な祈りに、いま我々は耳を傾けねばならない。「臼淵大尉の場合」「祖国と敵国の間」の2作を収載。下巻「戦艦大和ノ最期」。
  • 謀殺
    -
    竜造寺隆信は、柳川城主蒲池民部大輔を宴に招き、討ち取ろうと企てる。使者は西岡美濃。美濃は竜造寺家切っての正直者として名高い。彼が「身の危険などなし」と告げ、相手を信用させるわけである。果たして美濃の一世一代のウソは通じるだろうか? 竜造寺家、鍋島家にかかわる悲劇の数々を、練達の筆致で描いた歴史小説集。
  • 御書物同心日記
    3.8
    将軍家の蔵書を守れ! 新米同心の奮闘記。本の知識では誰にもひけをとらない丈太郎は、天下の稀本珍本が集められた将軍家の御文庫に勤める新米同心。その使命は一にも二にも本を大切に保管すること。個性豊かな先輩同心がそろう御文庫に、同じく新米同心として角一郎がやって来たときから、奇妙な事件が相次いだ――。江戸情緒あふれる連作集。(講談社文庫)
  • 孔明の艦隊(1)
    -
    「余は諸葛孔明である。現代の魏、アメリカを討つため、我が知恵を貸す」ミッドウェー海戦で大敗北を喫した連合艦隊司令長官・山本五十六は、失意の底で幽鬼のごとき声を聞く。別人のごとく変化した長官は全艦反転を命じ、アメリカ太平洋艦隊を叩く! 歴史の熱きロマンを描く究極のシミュレーション戦記。(講談社文庫)
  • 彼も人の子 ナポレオン
    3.0
    世界史の上で、最も強烈な光を放った男、ナポレオン。勇敢さと人並み外れた集中力で、仏皇帝の座に就いた彼もまた人の子であった。幼児性を残し、自己正当化の果てに破滅していく生涯。少年兵の体験を持つ著者が、矛盾する大号令を臆面もなくかけ続けた男の素顔に、現地取材して迫る。(講談社文庫)
  • 雁金屋草紙
    -
    慕情を胸に異才尾形光琳を見つめる女の心裡。奈津が雁金屋の次男と出会ったのは光琳八歳、奈津十歳のときだった。早くも逸材の片鱗を見せる光琳に奈津は胸をときめかすが、それは果たせぬ恋の始まりだった。(講談社文庫)
  • 神州日月変(上)
    1.0
    江戸で評判の美女が次々神隠しにあった。娘達はすべて十八歳で人気絵師清春の姿絵になったという共通点があった。事件を追う同心古河雷四郎を取巻く妖気の正体は。(講談社文庫)
  • 笑う花魁 結わえ師・紋重郎始末記
    4.0
    菊花結び、鶴結び、宝珠結びに五行結び――。あらゆる“結び”から超人的捕縛術までを操る、漢部紋重郎(あやべもんじゅうろう)は、江戸の花街・吉原で仕事をする結師(ゆわえし)である。ある日、金持の座興で花魁を縛るという依頼を受けた紋重郎は、特注の組紐を手に場に臨む。意外な事の成りゆきと、あらゆるものを結び、解く、神業が連続する痛快書下ろし長編時代小説!   (講談社文庫)
  • 婆沙羅
    3.0
    鎌倉幕府打倒に失敗し、隠岐へ流される後醍醐天皇、お人よしで涙もろい足利尊氏、冷徹な合理主義者足利直義、好色悪逆に生きる高ノ師直、師泰兄弟……百獣横行の乱世を、綺羅をかざり、放埒狼藉をきわめ、したたかに、自在に生きぬいた、稀代の婆沙羅大名・佐々木道誉の生涯を描く、絢爛妖美の時代絵巻。
  • 遺恨の譜
    -
    薩摩藩の勤王派による先走りを、上意によって阻もうとした寺田屋の変。辛くも生き残った志士たちは、国元へ送り返されたかにみえたが、長州とのリーダーシップ争いに腐心する薩摩藩としては、若者たちに苛酷な運命を刻印せざるをえなかった! 歴史の変動に挟みこまれた犠牲者のうめき、酷薄な人生を、鮮やかに浮き彫りにする表題作等4篇。
  • 薩摩軍法
    5.0
    ひっそり暮らす田舎の老爺与茂作に、突然七十万石の太守島津家久から呼び出し命令がきた。「きっとあのことじゃ」と胸に覚えのある与茂作は腰をぬかしそうになる。40年も前の戦場で起きたあの出来事こそ、薩摩武士の酷薄な掟ゆえ秘匿された与茂作の秘密であった。士道の表裏を鮮烈に描く俊英の代表作品集。
  • 恨み黒髪
    -
    猛将立花道雪のもとで、長い滞陣をもて余した35人がひそかに家庭に戻った。これを知った道雪は成敗を命じ討つ手が35人のもとに走った。三杉右京の新妻真砂は、討つ手として訪れた夫の親友甲斐源吾に向かい、夫の自害ののち、ある決意を告げる……。軍律の酷薄さに抗う女心のしたたかさを描いた表題作等、鮮烈な7編を収録。
  • 葉隠無残
    -
    急死した姉に代わって義兄の後添えにと望まれたみなは、そこで初めて驚くべき真相を知らされた。姉は病死ではなく、若党と密通し、それを目撃した義兄に成敗されたのだという。愛妻の裏切りにも毅然と武士道(体面)を貫き通した義兄に、みなは人間としての対決を迫る。葉隠精神の峻烈さと人間性との接点を鮮やかに描いた秀作集。
  • 落日の鷹
    5.0
    天正12年、九州の雄だった竜造寺隆信が戦死し、佐賀35万石の藩主の地位は、隆信の家臣だった鍋島氏に引き継がれた。異例のこの交代劇は、表面おだやかにみえたが、竜造寺家につながる人々にとって、次第に怨念をつのらせる推移となった……。乱世に生きる武門の消長と士魂をドラマチックに描いた歴史長篇小説。
  • 拝領妻始末
    -
    会津藩主松平正容の愛妾お市の方は男子を生んだが、藩主の気まぐれから家臣笹原与五郎の妻として生きる。夫や舅にいたわられる幸せな一時の後、突如再び藩に戻された。彼女の生んだ子がお世継ぎとなったのだ。藩命に屈すべきかどうか。与五郎は父と共に決心をした……。武家社会の非合理を峻烈に描く名作短編集。映画『切腹』の原作「異聞浪人記」を含む8編。
  • 猿ケ辻風聞
    -
    動乱の幕末、尊攘派の公卿姉小路公知は、京都猿ケ辻で刺客に襲われ、非業の死をとげた。刺客の持っていた刀が薩摩の田中新兵衛の差料だったことから彼が容疑をかけられるが、刀は盗まれたものと主張して自決する。複雑な政治状況のもとでの暗殺事件はついに謎のままか? この事件の謎や風聞を巧みにからめた表題作など、歴史秀作10編収録。
  • 胸に棲む鬼
    4.0
    志賀島の竜女に恋着された、凜々しい若者の悲劇、奴隷の牧畜を考える冷酷な美女の本性、防人の留守家族に起った戦慄の事件、女奴隷と恋に落ちた高僧の宿業、女の奸計に引っかかり、生霊をとりちがえてしまった傀儡師の嘆き等、奈良、平安朝の下層民の、命のしたたかな強さとあっけない死を語る、傑作短編集。
  • 斎藤道三
    -
    蝮と言われ、梟雄と呼ばれる戦国の怪物斎藤道三。彼はまさしく国を盗った。一介の素牢人が油売りから身を立てて、ついには美濃一国の主に成り上がったのだ。その智謀と武略、非情ともいえる自在な権謀術数は、さすがの戦国時代においても群を抜いていたといえよう。この一代の傑物の生涯を克明に描く好著。
  • 江戸城大奥列伝
    -
    春日の局――徳川三代将軍家光の乳人となり、家光の将軍継嗣に尽力し、「表」の老中に匹敵するほどの権勢を持つようになった、江戸城「大奥」の取締役。ついでお万の方、矢島の局、桂昌院、右衛門佐の局、お伝の方、左京の方、絵島等々、江戸の時代を背後から彩る大奥婦女を活き活きと描く海音寺史伝。
  • 新顎十郎捕物帳
    5.0
    旗本木村軍之助の屋敷でばくちに負けた大工の棟梁が、美しい娘を借金のかたに奪われた。娘の連れ戻しをたのまれた顎十郎こと仙波阿古十郎は、客を装って旗本屋敷に乗りこむ。しかし、なぜかその旗本が殺されて……。久生十蘭の名作「顎十郎捕物帳」を名手都筑道夫が書き継ぎ、現代に顎十郎をよみがえらせたユニーク捕物シリーズ。
  • 上杉謙信 天の巻
    -
    戦国の動乱を乗り切る武将の経略には現代社会の経営に共通するイズムがある。熾烈を極める戦争と弱肉強食の苛酷な世界を彼らはどう生き抜いたか? では、著者が初の歴史小説として渾身の力で描く、時代の寵児上杉謙信の、真摯・激烈な生涯をのぞいてみよう。時は天文五年(一五三六)の暮れ……。〈全三冊〉
  • 市塵(上)
    4.0
    貧しい浪人生活から儒者、歴史家としてようやく甲府藩に召し抱えられた新井白石は、綱吉の死後、六代将軍家宣となった藩主とともに天下の経営にのり出していく。和漢の学に精通し、幕政改革の理想に燃えたが、守旧派の抵抗は執拗だった。政治家としても抜群の力量を発揮した白石の生涯を描く長編感動作。
  • 天保図録1
    5.0
    上意! 江戸城老中部屋に呼ばれた将軍家慶の側用人水野美濃守は、老中筆頭水野越前守忠邦から、突然の罷免を告げられた。その瞬間こそ天保の改革の幕あけだったのだ。家慶の信を得た忠邦は野望に燃える鳥居耀蔵を町奉行に抜擢、苛烈ともいえる容赦ない諸改革を断行する。天保政治の実相を壮大に描く時代長編〈全5巻〉
  • 異変街道(上)
    3.0
    幕府直轄の要衝、甲府勤番に役替されたばかりの鈴木栄吾が死んだ。死んだはずの栄吾に会ったという向両国水茶屋の主人が何者かに殺された。栄吾は生きている――、親友、銀之介は真相究明のため甲州街道を西へ馳る。そのあとを女が、そして岡っ引が、謎の影が追いかける。街道に異変がおきている――。
  • すかたん
    値引きあり
    4.2
    江戸詰め藩士だった夫が急死し、大坂の青物問屋に女中奉公に出た知里。戸惑いながらも、次第に天下の台所の旨いもんに目覚めていく。ただ問題は、人好きはするが、遊び人でトラブルメーカーの若旦那。呆れていた知里だったが、野菜への純粋な想いを知り、いつしか強く惹かれるように。おもろい恋の行く末は?
  • シベリア抑留
    -
    酷寒の異境、広大なソ連邦の全域に広がる収容所(ラーゲリ)に、日本兵と民間人六十万が虜囚として強制労働に服した。その隠された実態を、新資料を駆使し、また「最後の証言者」を訪ねて明かす。死者・生者ともに心癒やされぬ歳月と空白の現場が、ついにあらわれる。民族の悲劇に新しい歴史の光をあてたドキュメント。
  • 絵島疑獄(上)
    -
    七代将軍家継の生母月光院に仕える、大奥大年寄絵島と、当代の人気役者生島新五郎のスキャンダルは事実無根、全くのデッチ上げ! 連坐者千五百名に及んだ一大疑獄事件を、正室派対側室派、保守対革新、尾州家対紀州家等々、幕閣内に渦まく派閥抗争と捉え、犠牲者絵島の人間像に迫る、杉本史眼が冴える長編。
  • 降りしきる
    4.3
    激しく降り続ける雨の中、女が一人壬生村の新選組屯所に駈け込んだ。好きで来たわけではない、と自棄ぎみにからむ芹沢鴨の女を、沖田総司や土方歳三は、強引に追い返そうとする。その夜、屯所内では凄惨な斬り合いが――。幕末から明治にかけて、時代の奔流に浮き沈みする男女の哀歓を描く、名作短編集。
  • 風塵
    4.3
    人は塵の如く風に翻弄され散る――。まったく新しい徳川家康像を創り出した表題作『風塵』。藩政を守るために乱心と称して壮絶な死を選んだ酒井家の家老、川合勘解由左衛門とその生死のまぎわを一瞬照らす女の命を描く「九思の剣」を含む6作を収録。武士道の厳しさと哀しみを生き生きと伝える傑作短編集。(講談社文庫)
  • 甲賀忍法帖 山田風太郎忍法帖(1)
    4.3
    家康の秘命をうけ、徳川三代将軍の座をかけて争う、甲賀・伊賀の精鋭忍者各十名。官能の極致で男を殺す忍者あり、美肉で男をからめとる吸血くの一あり。四百年の禁制を解き放たれた甲賀・伊賀の忍者が死を賭し、秘術の限りを尽くし、戦慄の死闘をくり展げる艶なる地獄相。恐るべし風太郎忍法、空前絶後の面白さ!
  • 幕末御用盗
    -
    京都朝廷から薩摩藩へ倒幕の密勅が下った慶応3年秋。倒幕戦の端緒をつかもうと西郷吉之助は、江戸に騒擾を起こすべく、浪士を集め御用盗なる組織をつくり、幕府御用達の豪商を襲わせた。その中の1人に薩摩示現流の使い手・大迫新太郎がいた……。維新の変革の裏面史を鮮やかに描いた痛快傑作歴史長編。
  • 続 御書物同心日記
    3.7
    嫁入り道具の絵巻物を担保に、大名家が古本屋に金を借りにきた。目利きを頼まれた御書物同心の丈太郎は、極彩色の春画にうろたえる。一方、将軍家の書物を管理する御文庫では将軍遺愛の本が紛失した。書名を聞いた途端、丈太郎は驚愕する。そして「事件」は意外な展開をみせた・・・。江戸情緒あふれる連作集。(講談社文庫)
  • 其の一日
    4.0
    吉川英治文学新人賞に輝いた傑作短編集。安政7年3月3日、井伊家の密偵・可寿江(かずえ)は水戸浪士の不穏な動きを察知し、主君でかつて恋人でもあった直弼に通報しようとするが。「桜田門外の変」「箕輪心中」などの事件を題材に、江戸市中で懸命に生きる人々の、運命を変えた1日を描いた時代小説短編集。全4編を収録。<第24回吉川英治文学新人賞受賞作>
  • 妻敵討ち 鴉道場日月抄
    -
    江戸・小石川の貧乏剣術道場、柳花館で病に倒れた道場主の代わりを務める師範代・高森弦十郎。門弟とその姉が胡乱な浪人に付け狙われていることを知った弦十郎は二人を匿うが、裏には意外な事情が隠されていた。表題作ほか、世の不条理、時代の波に翻弄される人情の機微を描く、書き下ろし時代小説連作集。
  • 抜討ち半九郎
    -
    抜討ちの達人関根半九郎は、許嫁を犯した上役を斬り、破牢して盗賊の群に落ちた。拾った女お民を連れて、殺人と強盗の凄惨な日々。やがて、最後の大仕事に失敗し、奉行所の追手、血みどろの仲間割れ、敵(かたき)たちとの対決、とすべての結着をつける時が迫って――。苦い人生を急ぐ男を、鮮烈に描く傑作他6編を収録。
  • 阿蘭陀西鶴
    値引きあり
    4.4
    江戸前期を代表する作家・井原西鶴。彼の娘おあいは、盲目の身ながら、亡き母に代わり料理も裁縫もこなす。一方、西鶴は、手前勝手でええ格好しぃで自慢たれ。傍迷惑な父親と思っていたおあいだったが、『好色一代男』の朗読を聞いて、父への想いが変わり始める。小説を読む歓びに満ちた、織田作之助賞受賞作。
  • 大江戸人情花火
    値引きあり
    4.5
    花火職人清七に降って湧いた鍵屋の主・弥兵衛からの暖簾分けの話。なぜ俺が、と考える暇もなく、職人を集め、火薬を調達し、資金繰りに走る。お披露目は夏の大川だ。女房と二人三脚で暖簾を大きくした清七は、玉屋市兵衛と名乗った。大輪の華ひらく一瞬に、すべてを賭けた江戸っ子の心意気が沁みる感動の一代記!
  • 中国皇帝伝 歴史を動かした28人の光と影
    3.3
    中国史上、一番の名君は誰か。歴代皇帝の総数は少なくとも二百を超えるが名君と呼ばれる皇帝はわずかだ。しかし名君とは何か、その答えは簡単ではない。王朝の創業者か、領土を拡げた征服者か、善政を布いた為政者か。あるいは上司にするなら誰がいいか、という身近な基準もありだ。様々な角度から探った素顔の皇帝伝。
  • 子づれ兵法者
    -
    剛剣が唸り小太刀が舞う、武士の世界。我が子の命を賭け真剣で勝負を挑んだ兵法者と、その男を愛してしまった道場主の娘を描いた表題作をはじめとする7編の時代小説短編集。自らも剣の達人である筆者が洞察力鋭く、緊迫した立ち合いの瞬間を描く。ドゥ・マゴ文学賞に輝いた『黄落』に続く佐江作品の傑作。
  • 「たられば」の日本戦争史 もし真珠湾攻撃がなかったら
    3.5
    歴史において「もし○○していたら」と論じるのは無意味・・・ではない! もし満州鉄道の日米共同経営を受け入れていたら、もし第一次大戦でヨーロッパに派兵していれば、もし真珠湾を攻撃していなかったら――その後の歴史は大きく変わっていたはずだ。そんな「幻の選択肢」を検証する、画期的な戦争史論。(講談社文庫)
  • 獅子王アレクサンドロス
    値引きあり
    3.4
    紀元前4世紀、わずか10年余でギリシアからインドに及ぶ大帝国を築き上げたアレキサンダー大王。その少年時の師は哲人アリストテレスであった。いかなる劣勢、いかなる謀略にも屈しなかった最強の武将の真の姿とは? 勇気と知性と一途な夢をもって駆け抜けた波瀾の生涯を圧倒的スケールで描く長編小説。
  • 新装版 柳生刺客状
    3.3
    関ヶ原の合戦で徳川家康は死んでいた! 以降は影武者だった世良田二郎三郎が家康を演じるも、秘事を知った柳生宗矩は、対立する二代将軍秀忠にいち早く伝えて信頼を得る。権力者に取り入り、暗殺という汚れ仕事を請け負う側近となった宗矩の顛末を描いた表題作ほか、最後の短編などを収録した、傑作短編集。
  • 闇の歯車
    3.4
    川端にひっそりとある赤提灯で、互いに話すこともなく黙々と盃を重ねる4人の常連。30過ぎの浪人と危険なにおいの遊び人。白髪の隠居と商家の若旦那。ここに4人を〈押し込み強盗〉に誘う謎の男があらわれた。そして、それぞれに関わる女達。誰が操るのか、皮肉なさだめに人を引き込む、闇の歯車が回る。
  • 裂帛 五坪道場一手指南
    5.0
    「義によって助太刀いたす!」長屋を改装した道場で子どもたちに剣術を教えている日比野左内は、事に応じてどんな者にも一撃必殺の技を授ける。大中小の三刀を神のごとく振るう中条流達人である左内には、自ら果たさねばならない宿命があった。居合道五段の若き俊英が放つ文庫書下ろし新時代小説開幕!
  • 影帳 半次捕物控
    4.0
    相模屋の店先で雪駄が一足盗まれた。上野山下の助五郎親分は、懸命に追い、下手人・仙八を挙げた。そこで相模屋出入りの岡っ引・判次は、穏便に赦免してもらおうと、親分に頼みこんだ。ところが、うまくいかない。単純に見えた事件は意外な展開をみせはじめ、やがて大きな謎が……。直木賞作家の傑作捕物帳。
  • 御書物同心日記 虫姫
    3.8
    江戸城内にある紅葉山御文庫(将軍家の蔵書)を管理する御書物方、新米同心の東雲丈太郎。書物が好きで好奇心旺盛、書物に関係があるとなるとどんな些細なことにでも首を突っ込みたくなる丈太郎は、次々と不思議な事件に巻き込まれる。年の瀬に丈太郎が懇意の古本屋に頼まれて払い出しの古書を買い付けに行った顛末を描く表題作ほか、江戸の歳時、風俗を巧みに織り込みながら温かな人情を描く短編シリーズ第三弾(講談社文庫)。
  • ぬけまいる
    値引きあり
    3.9
    一膳飯屋の娘・お以乃。御家人の妻・お志花。小間物屋の女主人・お蝶。若い頃は「馬喰町の猪鹿蝶」と呼ばれ、界隈で知らぬ者の無かった江戸娘三人組も早や三十路前。それぞれに事情と鬱屈を抱えた三人は、突如、仕事も家庭も放り出し、お伊勢詣りに繰り出した。てんやわんやの、まかて版東海道中膝栗毛!
  • ちゃんちゃら
    値引きあり
    4.0
    江戸・千駄木町の庭師一家「植辰」で修行中の元浮浪児・ちゃら。酒好きだが腕も気風もいい親方の辰蔵に仕込まれて、山猫のようだったちゃらも、一人前の職人に育ちつつあった。しかし、ある日を境に、一心に作庭に励んでいた一家に、とんでもない厄介事が降りかかる。青空の下、緑の風に吹かれるような、爽快時代小説! (講談社文庫)
  • 白石城死守
    3.8
    戦地へと向かった伊達軍、その留守を狙い、白石城は上杉の猛攻を受ける。主君・政宗の命は「攻撃を受けた際にはすみやかに岩手沢に撤退せよ」というものだったが、浜田治部介と家来五十一騎は、籠城に出る……。なぜ主君の命に背いて籠城をするのか。表題作「白石城死守」のほか、五篇を収録。命を賭して己の意義を貫く生き方を端正な言葉で描き出した傑作。
  • B-1爆撃機を追え
    4.0
    グアムのアンダーソン米空軍基地から核ミサイルを装備した爆撃機が飛び立った。極右組織の指令を受けてモスクワ攻撃に向うロックウェルB-1D戦略ステルス機である。米ソ全軍はこれを撃墜できるか? 核戦争の危機をはらむ、米ソ首脳たちの焦燥と苦難の一日を描く迫力にみちた戦略テクノ・サスペンス。
  • ムッソリーニを逮捕せよ
    -
    戦争を止めるには、最高権力者の逮捕しかない! 泥沼化した第二次世界大戦下、イタリア国軍中枢にいた一人の参謀が、密かに危険な作戦を開始した。「早期休戦」による救国に燃えた将軍たちは、1943年7月25日ついに決行。この極秘計画の全貌を、初めて解明した講談社ノンフィクション賞受賞作品。
  • 水滸伝(一)
    4.3
    江西の竜虎山は道教の大本山である。そこの伏魔之殿に昔から封じこめられていた妖魔を誤って逃がしたばかりに、三十六員の天コウ星がこの世に臨み、七十二座の地サツ星が下界におりて宋国の乾坤を揺るがす。――梁山泊に屯集して世間を騒がす百八人の好漢の事跡を描く中国四大奇書の一つ、大長編伝奇小説の完訳。
  • 福袋
    値引きあり
    4.1
    今、いちばん勢いのある時代小説作家・朝井まかてが、こよなく愛する江戸の町を舞台に、歌舞伎役者や職人、商売人など様々な生業の人々の姿を、中身の詰まった8編の人情話に仕立てた傑作短編集。 1編目の「ぞっこん」では、「筆」が語り手になる。看板書きだったあるじと「筆」との出会いや情の深まりを、緩急をつけた落語調の文体で読ませる。2編目の「千両役者」は、ぱっとしない歌舞伎役者に千載一遇のチャンスが巡ってくる。もう後がない役者の焦りと、破滅と背中合わせの功名心が生々しく伝わる。3編目の「晴れ湯」は、湯屋(銭湯)を営む家に生まれた少女が主人公。客の戯作者や長屋のおかみさんたちのふるまい、子どもなりの家業への意気込み、江戸で恐れられた火事……。少女は大小のドラマに遭遇しながら、道楽者の父と働きづめの母という夫婦を、一つの男女の形として受け入れていく。続いて、自分のやりたいことを見つけた古着屋の少女が巻き込まれた揉め事に、愉快なオチを付けた4編目「莫連あやめ」。離縁された大喰らいの姉と、彼女を馬鹿にしながら利用する弟の、それぞれの顛末を活写した5編目「福袋」。さらに、女絵師が描いた枕絵が、昔の恋を照らす6編目「暮れ花火」。堅物の家主が、神田祭のお祭掛になってしまった7編目「後の祭」。その日暮らしの遊び人、卯吉と寅次の二人が助けた男からお礼にもらった品で商売を始める8編目「ひってん」。と、まさに福袋のように、何が入っているかわからないワクワク感とお得感。直木賞作家・朝井まかて初の短編集にして、第11回舟橋聖一文学賞を受賞した傑作!
  • 深川澪通り燈ともし頃
    値引きあり
    3.8
    江戸で5指に入る狂歌師となった政吉は、野心のあまり落ちこぼれて行くが、唯一救いの燈がともっていて・・・。幼い頃親を失ったお若は、腕のよい仕立屋になれたが、1人の心細さがつのる時は、まっすぐに深川澪通りに向って・・・。辛い者、淋しい者に、無条件に手をさしのべる木戸番夫婦を描く、傑作時代長編。(講談社文庫)
  • 十三人の修羅
    -
    明治維新を間近かにした文久2年12月、攘夷の激情をおさえかねた長州の若手藩士13人が、横浜の英国公使館を焼打ちする。20歳の瓜生愼蔵もその中のひとりだった。彼は激変する歴史の流れに順応することを拒み、独自の道に入る。それは或る娘との出会いで宿命づけられた人生……。歴史小説の俊英による野心作。
  • 北の黙示録(上)
    -
    伊達政宗が150年前に抱いた、奥州独立の理想と野望。その実現に、伊達を盟主として南部・津軽・上杉・佐竹・二本松の6藩が起った。時は寛政4年、北海道根室にロシアの軍船・エカテリーナ号が寄港した。伊達藩は密かに使者を送り、貿易による経済力の強化、ライフル銃の大量輸入、六藩同盟の確立を急いだ。
  • 戦艦武蔵レイテに死す(上)
    3.0
    昭和19年10月11日、第一遊撃部隊は勇躍ボルネオ西岸ブルネイ泊地を出撃した。目的地はレイテ。そこで米軍主力を叩こうというのである。隊列には巨大戦艦の大和と武蔵の勇姿が見られた。だがそのころ、すでに日本軍は大方の戦闘機を失い、艦隊の護衛機は皆無というさびしさだった……。超弩級戦艦の死闘と最期を活写する海戦ドキュメント。戦記物の第一人者が描く傑作。
  • 謎の団十郎
    5.0
    初代団十郎の暗殺の謎を解いた八代目の面相に、世にも恐ろしい兆候が浮き出た。そして八代目もまた非命に斃れる。歴史の中に塗り込められた異様な事件が今、霧のかなたからゆらゆらとその正体を見せ始めた。連作形式で迫る歌舞伎界最高の名跡の怪!? 千両役者を襲う黒い影は、いったい誰だったのだろうか?
  • 修羅の絵師
    -
    三河の家康信仰の因縁がまつわる出生に、漂泊貧窮の幼児期を過ごし、屈辱の青春時代を凌いだ男は、ついに、豪快な筆法をもって鳴る、江戸荒事歌舞伎絵看板の創始者となり、浮世絵界に不滅の流派を築き上げた。過酷な運命と闘い続けた男は、人生の仕上げに、命がけの大勝負に挑んだが……。鳥居流元祖・清元の生涯を描く傑作長編小説。
  • 剣法一羽流
    3.0
    諸流派が日本各地に盛名を競った天正年間、常陸の剣客諸岡一羽斎の、剣の理法と謎の秘伝書は、3人の高弟たちを翻弄する。力と技では及ばない、「剣の心」を渇望する剣士たちの死闘を描く表題作他、人斬りに失敗した刺客、秘命に斃(たお)れた隠密、悪名高い復員兵等、男の人生の風雪を鮮烈に描く、初期傑作短編集。
  • 白い旗
    3.0
    ※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 玉砕か、降伏か、人間の尊厳を問う衝撃の問題作! 戦記ドキュメンタリー完全復刻! 「硫黄島は、その名のごとく硫黄の島であった。井戸を掘っても、硫黄臭い海水まじりの湯が出る」。昭和20年2月、米軍に包囲されながらも、日本軍は必死に戦っていたが、押し寄せる物量の前に徐々に攻略されてしまう。やがて弾薬も食料も尽き、決断の時が迫る。玉砕か、降伏か、人間の尊厳を問う衝撃の問題作。
  • 新装版 孫子(上)
    3.6
    戦史の研究に没頭している孫武は、戦争に勝つには勝つだけの理由があり、負けるには負けざるを得ない理由があることを知った。呉楚の確執が続く古代春秋時代の中国。楚への復讐に憑かれた伍子胥の計らいで呉の将軍となった孫武は、独自の機略で楚軍を打ち破り続ける。孫子の兵法で名高い孫武を描く歴史小説。(講談社文庫)
  • 南天
    -
    主君浅野内匠頭(たくみのかみ)の仇・吉良を討つべく策を巡らせる浪士たち。片岡源五右衛門の下僕元助(もとすけ)は、上野介(こうずけのすけ)討伐の密命を帯び、山伏の形(なり)にて上野山中へと向かう。仇討ちを巡るもうひとつの攻防を描いた表題作ほか、「試し胴」「小笠原ミゲル始末」「へそくらへ」「牢人噺」「枝もゆるがず」の6編を収録した、歴史異聞短編集。 (講談社文庫)
  • 鳴子守 見届け人秋月伊織事件帖
    3.5
    悲運の姉弟の絆を想い、哀しく田に響く鳴子守の音。南原(なんばら)家の埋蔵金騒動に絡んで、穴掘り人足が次々と殺される。真相の見届けにあたっている秋月伊織は、数日前に縄暖簾で「穀潰し」と罵られていた貧相な若い人足・仙吉の豹変ぶりを不審に思い、探索を開始した。苦界に身を沈めた姉と、貧しさに翻弄された弟の運命を描く、大人気文庫書下ろしシリーズ第5弾。(講談社文庫)
  • 戦国武士道物語 死處
    4.0
    昭和16年に執筆され、戦後の混乱期の中、未発表のまま保管されていた短篇小説「死處」。77年ぶりに発見された本作を収録した小説集、遂に刊行! 表題作「死處」のほか、伊達家先方隊として山中を進む武士たちとそれを追う女の恋を描く名作「夏草戦記」、戦場で手柄を立てない良人とその本当の姿を知る妻を心の繋がりを哀切深く描いた「石ころ」など、動乱の世に生きた人々の生き様を通し、人の在り方を問う全篇名作時代小説集
  • 藪医 ふらここ堂
    値引きあり
    3.8
    江戸は神田三河町の小児医・天野三哲は、「面倒臭ぇ」が口癖。朝寝坊はする、患者は待たせる、面倒になると逃げ出す、ついたあだ名が「藪のふらここ堂」だ。ところがこの先生、見えないところで凄腕を発揮するらしい。三哲に振り回されながらも診療を手伝う娘のおゆん、弟子たち、ふらここ堂の面々の日常と騒動を描く!
  • 夏姫春秋(上)
    3.5
    直木賞受賞作。「力」が現世の全てを制していた当時、大国の横車に押し切られる小国鄭に、美しい公女が居た。
  • 春秋の檻 獄医立花登手控え(一)
    4.0
    江戸小伝馬町の牢獄に勤める青年医師・立花登。居候先の叔父の家で口うるさい叔母と驕慢な娘にこき使われている登は、島送りの船を待つ囚人からの頼みに耳を貸したことから、思わぬ危機に陥った――。起倒流柔術の妙技とあざやかな推理で、獄舎に持ちこまれるさまざまな事件を解く。著者の代表的時代連作集。
  • 日本交響楽(1) 満州篇(上)
    -
    昭和3年6月4日、満州の実力者・張作霖を乗せた特別列車が何者かによって爆破された。満鉄の駅長の息子・倉田竜作とその家族をはじめ大陸に暮らす日本人の平和な日々に、広大な満州の平原を揺るがす戦争の嵐が近づく……。満州事変・太平洋戦争――激動の昭和史と日本人の運命を描く大河ロマン。
  • 三鬼の剣
    -
    天下無敵の剣、無住心剣流の奥義を極めた弟子に譲られる、長谷川道場主の座。常陸幻鬼、三河水鬼、出羽猿鬼の三鬼が修業から江戸に戻り、比留間道場三兄弟との因縁の対決が始まった。息づまる死闘と謎の数々。加えて直心影流毬谷直二郎の剣の冴え。乱歩賞作家が初挑戦したミステリーと剣豪小説の二刀流!
  • 冬の蝶 梟与力吟味帳
    3.6
    暗い世相に目を光らせ、闇に潜む悪を捕らえる北町奉行吟味方与力の藤堂逸馬は“梟”の異名で知られていた。同じ寺子屋で学んだ幼なじみの、計算が得意で神経質な八助、根っからの助平だが憎めない信三郎、性格も生活もバラバラの2人とともに、逸馬は世直しに立ち向かう。文庫書下ろし痛快連作時代小説のシリーズ第1弾。(講談社文庫)
  • 土龍
    3.0
    口入れ屋の紹介で御台場普請に雇われた国太郎と百蔵。2人がそこで見たものは、死人続出の怪しい穴掘り作業だった。一体、誰が何の目的で穴を掘らせるのか? 不審な男たちが跋扈(ばっこ)する中、真相をつきとめようとする国太郎たちの身に数々の危機が。黒船と地震に江戸の町が揺れるとき、城内までも揺れだした! (講談社文庫)
  • 勝山心中
    5.0
    湯女(ゆな)あがりながら、抜群の美貌と才覚で吉原随一の太夫となった花魁勝山(おいらんかつやま)には、人には言えない秘密があった。遊女の身で、男を受けつけられない煉獄の日々。ただ1人心を許した町奴(まちやっこ)の幡随院長兵衛(ばんずいいんちょうべえ)も、水野十郎左衛門の屋敷で凶刃に……。明暦の大火、親友の謀殺。波乱に満ちた遊女の生涯を描く哀切の吉原絵巻。(講談社文庫)
  • 時宗 巻の壱 乱星
    3.6
    国を守り抜いた男を描く渾身の歴史巨編。源頼朝亡き後、北条氏に権力が移り抗争が続く鎌倉。若き北条時頼は、病に臥した兄の執権・経時に、棟梁になれと告げられた。北条を継ぐ者に安寧はない。地獄の道だ――。内部闘争に血を流しても、国のあるべき姿を求めねばならぬ。武家政治を築いた父子を描き、「国を守るとは」を問う巨編、ここにはじまる。(講談社文庫)
  • 捨て首 臨時廻り同心日下伊兵衛
    4.5
    南町奉行所定廻り同心日下伊兵衛は、崩落した永代橋に殺到する祭礼日の群衆を止めようと抜刀し、町人たちを死傷させてしまう。息子新一郎の将来を考え、臨時廻りに退く頃合いなのか、と惑える伊兵衛。さらに夫婦仲も冷え切っていた妻荻乃が何者かに刺されてしまい!? 謎を追う同心父子を描く新シリーズ開幕。
  • 異聞 太平洋戦記
    3.7
    太平洋戦争は今なお謎に満ちている! 東京大空襲にも真珠湾攻撃にも、史実ならざる「真相」があった。『下山事件 最後の証言』の著者にして大藪春彦賞受賞作家が長年の取材に基づき「あの戦争の闇」を照射する、驚愕のノンフィクションノベル。(講談社文庫)
  • 疾風剣谺返し 深川狼虎伝
    3.0
    女郎屋を脅して大金をせびるごろつきが深川で出没し、始末を請け負った鳴海屋の面々。いったんは金で解決したはずの事件の背後には始末人皆殺しを目論む黒幕がいた。酒は強いが女に弱い渋沢念流の達人・宗二郎が、一太刀で眉間を斬り割る「谺返し」の遣い手に挑む! 大人気「深川群狼伝」待望の新シリーズ。文庫書下ろし。(講談社文庫)
  • 火除け地蔵 立ち退き長屋顛末記
    -
    長男一家が行方知れずの富蔵お熊の夫婦、病弱な妻を抱える八百屋の正市、暴力夫から逃れてきたお静、拾い子のお染……深川の弥次郎兵衛長屋の火除け地蔵は、そんな住人たちを見守っていた。ところが一帯を火除け地として空き地にしたいお上は、破落戸(ごろつき)どもを使って住人たちに立ち退きを迫ってきた。物言えぬ地蔵が引っ越せないみんなを心配する、文庫書下ろし人情シリーズ第一作。(講談社文庫)

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