川上弘美のレビュー一覧
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純文学作家の発想
ひとつづつ評していく。
川上弘美。未来SF。
発想が陳腐だと思ふ。書きたいことを意識的に書いてはゐるが、予定調和的で凡庸から突き抜けない。
人間由来の人間を工場で作らず、多様な動物由来の人間どうしが結婚し合ふ未来観(近親交配によるホモ接合型を減らすためだらう)。そこでの恋愛。
厳密にいへば、人間と他種ではゲノムの相補性が少ないからありえない。遺伝子組換かもしれない。まあそこは目をつむることにしても妙だ。
未来でも入籍といふ制度は残ってゐる。人間に本能の性欲が残ってゐるんだらうけど。結婚しない人や、核家族がどうなったかも書いてない。
妙にSFが現実路線のわりには、ふはっとしてあいまいだ。雰囲気小説のたぐひか。さいきんの川上弘美には『大きな鳥にさらわれないよう』等、未来小説がある。
多和田葉子。
川上弘美より面白い。
純文学らしく突っかかる表現が冒頭から続く。生花で花の首をちょんぎるだの、乱暴な表現は筒井康隆を想起した。独特で考へ抜かれた奇妙さを意識して、多和田自身も意図しない効果が出るやうな浮揺感を狙ってゐる。言語にこだはるナショナリストぶりもあらはれて、いつもの社会諷刺もある。
全体としては普段の多和田の域をつかず離れず。 -
Posted by ブクログ
酒井駒子さんの挿絵が美しかった七夜物語…
こちらは、ちょっと雰囲気がちがうな…と思ったらヒグチユウコさんの装画。
どちらも素敵です。
そしてやはり、川上弘美さんの子ども心の表現がなんとも愛おしい。
「大人になったら、子どもの時のことは、わすれちゃうのかな」という絵くん
「わからない。子どもの時にあったできごとは、きっとわすれないよね。でも、今の自分の気持ちは、おぼえてるかどうか、わからない。だって、大人になったら、ちがう気持ちになってるかもしれなくて、そうすると、もっと前の気持ちをいつまでもおぼえてて、いちいちそのことを思い出してたら、気持ちが決まるのに、すごく時間がかかっちゃうじゃない?」と、りら。
その後、絵くんは隣にいるりら、おかあさんを見て大切なものはすぐそばにあったと気付く。
子どもの時の気持ちはそのまま覚えていることはできなくても、その気持ちがあったから、あらたに感じることもある。
気持ちが変わることは悪いことではない。
大切なものが何かに気付くのにも、時間がかかってもいい。大切なものはなんだろうと探すことで初めて気づくことはたくさんある。
大人になることは子どもの気持ちがわからなくなってしまってちょっぴり淋しいことだけど、こうして子どもの気持ちを考えてみることは悪くないなと思う。
そして、いろんな子どもがいていろんな大人がいるこの世界は、案外面白いものかもしれない。
そう思わせてくれる続七夜物語だった。
「明日、晴れますように。」
これは、希望を持つことができた子どものささやかなの願いごとなのかもしれないな。 -
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佐野洋子さんの『100万回生きたねこ』。インパクトの強い緑色の瞳をしたオスのトラ猫が表紙の絵本です。おそらく子どもの頃にも読んだことがあったと思うんですが内容はほとんど記憶になく、大人になって改めて読んでグッときました。
1977年に発売されて以来、今なお多くの人に読まれ続けている大ロングセラーであるこの絵本への、13人の作家によるトリビュート短篇集です。
佐野洋子さんの息子さんで絵本作家の広瀬弦さんや元旦那さまの谷川俊太郎さんも執筆されています。結構著名な作家陣ばかりですが、私は読むのは初めましてな作家さんが多かったですね。
どういうこと?と理解が追いつかないお話もあれば、ちょっと不思議なお話もあり、せつなかったりしんどかったりおもしろかったりこわかったり、猫がまったく出てこなかったり、13人それぞれ個性豊かなお話でした。ただ、私が期待していたものとはどれも「なんか違った」なぁ、という感じ。
でも江國香織さん、角田光代さん、山田詠美さんのお話がおもしろかったかな。 -
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主人公の小学生、仄田りらと鳴海絵の二人を中心としたストーリーが視点を変えて進んでいく。りらはマイペースで自分のルールのようなものがあって、確かにちょっと変わっている。りらと絵は性別を超えて仲が良く、いつもべったりなわけではないけど、すごく良い関係だなと思った。最後のあとがきまで読んで初めて知ったけど、『七夜物語』という作品の続編らしい。
この物語は小学生二人が自分の成長やら両親のこと、いじめなどに直面していく成長ストーリー…かと思いきや、ファンタジー要素もあり、幼い頃ってこんな風に感じてたなぁと思うこともあれば、二人(特にりら)はずいぶん大人だなぁと思うこともあった。 -
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大河「光る君へ」で古典に興味が湧いてきた。「伊勢物語」は文より尾形光琳の「燕子花図屏風」から入っている。あの素晴らしい絵がこの「伊勢物語」に基づくものだとは、絵の解説を読むまで知らなかったのだ。この本では原文は無く、川上弘美の文のみ。この川上氏の文がとてもいいのだ。
文庫のページで2,3ページ、短いのは1ページに収まる。
男がいた。
男と女の説明
和歌
和歌の意味
と、この形式で語られる124の男の恋の物語。
あっさりと、成就しなかった状況が語られる。ここでの和歌の川上訳は素直。ここがすんなり入って行けたところなのかも。・・でも半分くらいまできて、同じような様相になんか飽きてきてしまった。
「源氏物語の結婚」工藤重矩氏の本を読んだので、ああ、成就しない、脇道の男女の恋物語、の話だ、まさしく、との感。
燕子花、のところは第九段にあった。これは長くて5ページあった。
池澤夏樹個人編集 日本文学全集03 「竹取物語/伊勢物語/堤中納言物語/土佐日記/更級日記」2016.1河出書房刊の文庫化。一部修正し、書き下ろしのあとがきと山本登朗氏の解題を加える。
2023.10.20初版 購入