川上弘美のレビュー一覧

  • 変愛小説集 日本作家編

    Posted by ブクログ

    純文学作家の発想
     ひとつづつ評していく。

     川上弘美。未来SF。
     発想が陳腐だと思ふ。書きたいことを意識的に書いてはゐるが、予定調和的で凡庸から突き抜けない。
     人間由来の人間を工場で作らず、多様な動物由来の人間どうしが結婚し合ふ未来観(近親交配によるホモ接合型を減らすためだらう)。そこでの恋愛。
     厳密にいへば、人間と他種ではゲノムの相補性が少ないからありえない。遺伝子組換かもしれない。まあそこは目をつむることにしても妙だ。
     未来でも入籍といふ制度は残ってゐる。人間に本能の性欲が残ってゐるんだらうけど。結婚しない人や、核家族がどうなったかも書いてない。
     妙にSFが現実路線のわりには、ふはっとしてあいまいだ。雰囲気小説のたぐひか。さいきんの川上弘美には『大きな鳥にさらわれないよう』等、未来小説がある。

     多和田葉子。
     川上弘美より面白い。
     純文学らしく突っかかる表現が冒頭から続く。生花で花の首をちょんぎるだの、乱暴な表現は筒井康隆を想起した。独特で考へ抜かれた奇妙さを意識して、多和田自身も意図しない効果が出るやうな浮揺感を狙ってゐる。言語にこだはるナショナリストぶりもあらはれて、いつもの社会諷刺もある。
     全体としては普段の多和田の域をつかず離れず。

    0
    2024年10月10日
  • 神様

    Posted by ブクログ

    短編は一度途切れると次に読み進むのに少し労力がいるタイプだが、これは読みやすい。
    時々続編もあったりして、次が気になるせいかも。
    非現実的なキャラクター達が人間以上に上品に振る舞うので、そのギャップが奇妙で面白い。

    0
    2024年10月08日
  • 明日、晴れますように 続七夜物語

    Posted by ブクログ

    酒井駒子さんの挿絵が美しかった七夜物語…
    こちらは、ちょっと雰囲気がちがうな…と思ったらヒグチユウコさんの装画。
    どちらも素敵です。

    そしてやはり、川上弘美さんの子ども心の表現がなんとも愛おしい。
    「大人になったら、子どもの時のことは、わすれちゃうのかな」という絵くん
    「わからない。子どもの時にあったできごとは、きっとわすれないよね。でも、今の自分の気持ちは、おぼえてるかどうか、わからない。だって、大人になったら、ちがう気持ちになってるかもしれなくて、そうすると、もっと前の気持ちをいつまでもおぼえてて、いちいちそのことを思い出してたら、気持ちが決まるのに、すごく時間がかかっちゃうじゃない?」と、りら。

    その後、絵くんは隣にいるりら、おかあさんを見て大切なものはすぐそばにあったと気付く。



    子どもの時の気持ちはそのまま覚えていることはできなくても、その気持ちがあったから、あらたに感じることもある。
    気持ちが変わることは悪いことではない。

    大切なものが何かに気付くのにも、時間がかかってもいい。大切なものはなんだろうと探すことで初めて気づくことはたくさんある。

    大人になることは子どもの気持ちがわからなくなってしまってちょっぴり淋しいことだけど、こうして子どもの気持ちを考えてみることは悪くないなと思う。

    そして、いろんな子どもがいていろんな大人がいるこの世界は、案外面白いものかもしれない。

    そう思わせてくれる続七夜物語だった。
    「明日、晴れますように。」
    これは、希望を持つことができた子どものささやかなの願いごとなのかもしれないな。

    0
    2024年10月07日
  • ニシノユキヒコの恋と冒険

    Posted by ブクログ

    ニシノユキヒコの恋愛遍歴を描いたお話です
    モテ男子の生活を疑似体験してみたら、意外と楽しそうじゃなかった

    あまり努力しなくても手に入れられると、決め手に欠けてしまうのですね
    まさに器用貧乏という感じです

    0
    2024年10月03日
  • Seven Stories 星が流れた夜の車窓から

    Posted by ブクログ

    川上弘美さん、三浦しをんさん、糸井重里さんと好きな作家さんのラインナップに惹かれて手にとった。本のデザイン素敵だなーと思ったら、クラフト・エヴィング商會だった。
    九州の豪華寝台列車「ななつ星」にまつわるお話。寝台列車の旅って憧れがあるけど、なかなかなお値段。それでも抽選になるぐらいだから、きっと素敵なんだろうな。
    途中のイラストも小山薫堂さんの「旅する日本語」も素敵で、眺めているだけでほわっとした気分になった。

    0
    2024年09月30日
  • 明日、晴れますように 続七夜物語

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    仄田くんとさよの子供達りらと絵が紡ぐ続編.もちろん二人も親となっての登場.小学3年生の悩みなどから人生哲学のようなものまで壮大に広がる世界観.グリクレルも登場して懐かしい.

    0
    2024年09月25日
  • 蛇を踏む

    Posted by ブクログ

    三篇の「うそばなし」は、言葉の力で人や物や空気の境目を曖昧にして、破壊と再構築を読者に強いる。
    自分とその他を隔てるのは肌であるから、肌感覚を研ぎ澄まして、様々な言葉で世界を切り貼りするのを面白がっているのかも。

    0
    2024年09月16日
  • 100万分の1回のねこ

    Posted by ブクログ

    佐野洋子さんの『100万回生きたねこ』。インパクトの強い緑色の瞳をしたオスのトラ猫が表紙の絵本です。おそらく子どもの頃にも読んだことがあったと思うんですが内容はほとんど記憶になく、大人になって改めて読んでグッときました。

    1977年に発売されて以来、今なお多くの人に読まれ続けている大ロングセラーであるこの絵本への、13人の作家によるトリビュート短篇集です。

    佐野洋子さんの息子さんで絵本作家の広瀬弦さんや元旦那さまの谷川俊太郎さんも執筆されています。結構著名な作家陣ばかりですが、私は読むのは初めましてな作家さんが多かったですね。

    どういうこと?と理解が追いつかないお話もあれば、ちょっと不思議なお話もあり、せつなかったりしんどかったりおもしろかったりこわかったり、猫がまったく出てこなかったり、13人それぞれ個性豊かなお話でした。ただ、私が期待していたものとはどれも「なんか違った」なぁ、という感じ。

    でも江國香織さん、角田光代さん、山田詠美さんのお話がおもしろかったかな。

    0
    2024年09月16日
  • これでよろしくて?

    Posted by ブクログ

    平凡な主婦が道でばったり会った元カレの母親から奇妙な女子会に誘われて…という話
    主人公の菜月が相対する困難は夫婦間の溝や嫁姑問題など
    自分は結婚していないけど、よくある夫婦、嫁姑問題ってこんな感じだよなぁという感じ。
    大事件が起きるわけではないけど、なんとなくもわもわする感じ…
    テンポ良くは読めたのと、女子会のおばさまたちのトークは軽快で面白かったが、特に大きな感動も驚きもなかった。
    読んで疲れる傑作の合間、箸休めに読むのにおすすめ。
    良作ではある!

    0
    2024年08月18日
  • 七夜物語(中)

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    上巻の続きを読み始めます。
    三夜目から五夜目までの物語、

    う〜ん、正直自分にはそれほど面白いとは思えません。

    頑張って下巻を読破します。

    0
    2024年08月22日
  • 明日、晴れますように 続七夜物語

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    まさかの続編。
    あの冒険を忘れて大人になった2人がそれぞれ家庭を持ち、その子どもたちが巡り会う。りらと絵の冒険譚、というには現実世界の比重が大きいかな。

    グリクレルも懐かしい。欲を言えば、酒井駒子さんの絵で見たかったな(ヒグチユウコさんが悪いわけじゃなくて)。

    0
    2024年08月04日
  • 恋ははかない、あるいは、プールの底のステーキ

    Posted by ブクログ

    予想以上に「大人」の物語だったが、今まで出会った物語の中で一番リアルな「大人」像だったし、こんな風に歳をとれたらいいのになと思った。
    しかし難しい言葉がたくさん出てきた。主人公が小説家だからかな?

    0
    2024年08月03日
  • 明日、晴れますように 続七夜物語

    Posted by ブクログ

    主人公の小学生、仄田りらと鳴海絵の二人を中心としたストーリーが視点を変えて進んでいく。りらはマイペースで自分のルールのようなものがあって、確かにちょっと変わっている。りらと絵は性別を超えて仲が良く、いつもべったりなわけではないけど、すごく良い関係だなと思った。最後のあとがきまで読んで初めて知ったけど、『七夜物語』という作品の続編らしい。

    この物語は小学生二人が自分の成長やら両親のこと、いじめなどに直面していく成長ストーリー…かと思いきや、ファンタジー要素もあり、幼い頃ってこんな風に感じてたなぁと思うこともあれば、二人(特にりら)はずいぶん大人だなぁと思うこともあった。

    0
    2024年07月29日
  • 明日、晴れますように 続七夜物語

    Posted by ブクログ

    小学生の目線で書かれているのに、所々ハッとさせられるような真理に出会った。なつかしいと、さみしいは、近い気持ち、など。

    0
    2024年07月29日
  • 明日、晴れますように 続七夜物語

    Posted by ブクログ

    ずるいなぁ。続編書かれたら読まないわけにはいかないでしょう!
    しかも仄田くんの娘とさよの息子が同級生ときたら。仄田くんがどんなお父さんに、さよがどんなお母さんになってるかも知りたいじゃないですか。

    存分に味合わせてもらいました。
    「七夜物語」のゾクゾク感は薄れたものの、またあの世界に入れたのはうれしいかったです。

    最後のおまけエピソードも、ずるいなあ。

    0
    2024年07月22日
  • 明日、晴れますように 続七夜物語

    Posted by ブクログ

    本編は読んでいないが、後半から繋がりが段々とわかってくる。
    りらと絵の関係、小さい頃にはあったな。りらみたいに変わってないかったけど(笑)

    本題にもなっている最後の章。
    ちょっとご都合主義だけど、なんだか許せる。
    時代は変わっても、いろいろな形で歴史は繰り返す。

    大好きなヒグチユウコさんの装画がうれしい。

    0
    2024年07月18日
  • 明日、晴れますように 続七夜物語

    Posted by ブクログ

    前作は未読です。装丁とタイトルがステキで読んでみようと思いました。子供目線で描かれている世界観は不思議でもあり、現実的でもありました。前作を読み、今作を読んだ方がよりこの2人の関係性に理解が深まると思いました。

    0
    2024年07月04日
  • 恋ははかない、あるいは、プールの底のステーキ

    Posted by ブクログ

    途中までエッセイだと思って読んでいたが、連作短編集だった。川上さんの掴みどころのなくてふわっとした、それでいて繊細な文章が好きです。

    0
    2024年06月28日
  • 神様

    Posted by ブクログ

    今までファンタジーは敬遠していたが、読んでみてやはり自分はファンタジーっぽいのは苦手だと感じてしまった。

    物語世界自体にはとにかく「不思議」という感覚を強く覚えた。
    好きだった話は表題作の「神様」と「夏休み」と「離さない」。特に「離さない」は若干ホラー味もあってゾクっとする感じが気に入った。

    あとはなんと言っても解説だな。「夢」を読んでいる(あるいは夢を見ている)感覚を自覚すると、確かにファンタジー作品の読み方は変わってくると思った。これを踏まえてまた色々ファンタジーは読みたい。

    0
    2024年06月24日
  • 伊勢物語

    Posted by ブクログ

    大河「光る君へ」で古典に興味が湧いてきた。「伊勢物語」は文より尾形光琳の「燕子花図屏風」から入っている。あの素晴らしい絵がこの「伊勢物語」に基づくものだとは、絵の解説を読むまで知らなかったのだ。この本では原文は無く、川上弘美の文のみ。この川上氏の文がとてもいいのだ。

    文庫のページで2,3ページ、短いのは1ページに収まる。

    男がいた。
     男と女の説明
    和歌
     和歌の意味

    と、この形式で語られる124の男の恋の物語。
    あっさりと、成就しなかった状況が語られる。ここでの和歌の川上訳は素直。ここがすんなり入って行けたところなのかも。・・でも半分くらいまできて、同じような様相になんか飽きてきてしまった。

    「源氏物語の結婚」工藤重矩氏の本を読んだので、ああ、成就しない、脇道の男女の恋物語、の話だ、まさしく、との感。

    燕子花、のところは第九段にあった。これは長くて5ページあった。

    池澤夏樹個人編集 日本文学全集03 「竹取物語/伊勢物語/堤中納言物語/土佐日記/更級日記」2016.1河出書房刊の文庫化。一部修正し、書き下ろしのあとがきと山本登朗氏の解題を加える。

    2023.10.20初版 購入

    0
    2024年06月15日