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Posted by ブクログ
今までの記憶が全然なく、名前も性別も年齢も分からないまま、突然この世に現れた某は、担当医の蔵利彦氏の元でアイデンティティーの確立のため治療を始める。
女子高生、男子高生、高校の事務員…次々と別の誰かに変化して演じ分けていき、ついには病院を脱走してしまい、外の世界で自分と同じような存在の仲間に出会うことになります。
何とも小難しい設定なのに、登場人物たち(人間ではないのだけれど)それぞれが飄々としていて面白い。
日本のみならず世界を飛び回り、病院でお世話になった蔵医師や水沢看護師はどんどん年老いてゆくのに、某のような「誰でもない者」たちは100年ほど生きていたり、時間軸が人間とはずいぶんずれている。
都合よく何者にも変化を続けて生きてきた某だけれど、このSFのような長編小説を通して作者が私たち訴えかけていることに終盤になってやっと気づくことができて、しんみりとした気持ちになるとともに、生や死や人を愛することについて考えさせられてしまいました。
とても貴重な読書体験でした。
川上さんの想像力って、ほんとうに素晴らしいです。
Posted by ブクログ
不思議な小説だった。SFのような哲学のような。結局よくわからないまま終わった事柄もいくつかある。余韻を味わう感じの物語。
"誰でもない者"という、見た目は人間そっくりの生命体が老若男女・国籍問わず姿かたちを変化させながら日々を過ごしていく。前の姿での記憶ははっきりととは限らないが受け継がれる。そうして何人かの人間への擬態を経て、しだいに愛着や家族、共感といった感覚を身につけていく様子は、一人の人間が赤ちゃんから大人へと成長していくのと似ている。
個人的には前半までが物語のピーク半分過ぎたあたりからは失速した感じ。にしても展開が読めないし、"誰でもない者"ってなんだ?人間とは?生きるとは?死ぬとは?みたいな哲学的なことを考えさせてくれるお話。面白かった。
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小説・文芸
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