【感想・ネタバレ】某のレビュー

あらすじ

「あたしは、突然この世にあらわれた。そこは病院だった」。限りなく人間に近いが、性的に未分化で染色体が不安定な某。名前も記憶もお金もないため、医師の協力のもと、絵に親しむ女子高生、性欲旺盛な男子高生、生真面目な教職員と変化し、演じ分けていく。自信を得た某は病院を脱走、そして仲間に出会う――。愛と未来をめぐる破格の長編小説。

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感情タグBEST3

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面白かった
好き

マリのぽっかりした空虚さと、ナオの二人がすき

ひかりとみのりの結末が好き

他の人の話も好き

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2024年12月29日

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不思議なお話だった( °o°)☆
面白くて一気に読んじゃった☆(*ˊ˘ˋ*)。♪:*°
表紙デザインで選んだけど、まさにこの表紙って感じ。読んだら納得。

読む人によって読後感変わる作品かもしれない。
私は「ほぉぉお。」って少し考えさせられる読後感ですごく良かったなと思った☆

みんなはこれ読んだらどう感じるのか気になる!

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2024年10月08日

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主人公の形態がコロコロ変わるものの内容が入ってきやすく、ハラハラさせられながらもあたたかい物語で、とても好きだった。

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2024年09月29日

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ネタバレ

「今の自分に納得いかなくて全く違う誰かになれたらいいのに……」「朝起きたら佐々木希になってますように……」「Twitterでの自分はキラキラOLで彼氏とも上手くいってて……」「転職先ではパリピとして振舞おう……」そんなふうに普段から思いながら生活をしているわたしにとって、とてもぴったりな作品でした。
そして、本当に愛する人ができた時に他の誰でもない自分でありたいと願ったり、その人のために生きたいとか命を投げ出したりとか、本当の愛について深く考えました。

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2023年05月06日

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「誰でもない者」という独特な設定なのに、なぜかすっと受け入れられた。一つ感じたのは、じゃあ私は空っぽではなくちゃんと私であれているのかなということ。もっと私自身と寄り添ってみよう。

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2023年03月26日

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ネタバレ

某って響きいいな。
こんな簡単に色んな人に変われたらなーって誰しも思うよなぁ。女にも男にも日本人以外にもなってみたい。しかも元の人間の記憶がありながら。
大切な人が出来たら変わらないことを望むかー。確かに。考えたことなかった。今のその人自体が好きなんだものね。ありのままが1番ってわけだ。

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2022年12月17日

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あなたは、『名前も、性別も、年も、わからない』という人に出会ったらどうするでしょうか?

さまざまな事情で記憶を失うことはあると思います。映画やテレビドラマ、そして小説にはそのような設定の作品も存在します。ショッキングな状況をまず打ち出して、視聴者、読者を釘付けにする、これは演出として十分あり得ることだと思います。そして、話が進むに従ってその人物の人となり、背景事情が明らかになっていく、このような筋書きの作品は普通に存在します。

とは言え、そんな作品の最後には、すべての謎が解き明かされて、視聴者、読者のモヤモヤはスッキリと解決される結末が待っている。めでたしめでたし、こう展開してくれることを私たちは期待しています。しかし、この世には数多の作品があります。そんな定石通りの展開を辿らないものもあるかもしれません。いつまで経っても正体が判然としない、そんな展開もあり得るかもしれません。

さてここに、『お名前は、と聞かれたけれど、答えることができなかった』と語る存在が登場する物語があります。『今までの記憶が、全然ない』と語るその存在。『男女どちらだか判別できない』とも言われるその存在。そしてそれは、そんな存在=『わたし』が、さまざまな『アイデンティティーを確立』していく様を見るキョーレツな物語です。

『お名前は、と聞かれたけれど、答えることができなかった。年齢は。性別は。どれも、わからない』と思うのは主人公の『わたし』。『それでは、地下一階の2番診察室前でお待ちください』と言われた『わたし』は、指示された場所へと向かいます。『ささ、入って入って』と『扉の中へと踏み入』ると、『白衣を着た男性が』『名前も、性別も、年も、わからないんですね』と『楽しげ』に訊いてきます。『痛みや熱は、ありますか?』、『いいえ』、『でも、雲の上を歩いているみたいで』と会話する中に、『わたし』は、『白衣の胸にとめられた名札に、「KURA」とある』のに気づきます。『あなたは、クラさん、とおっしゃるのですか』と訊く『わたし』に『はい、蔵です。蔵利彦といいます。医師です』と返す男性。『では、わたしは病気なんですね?』、『それはまだわかりません』、『なぜ病院に来たのかも、よくわからなくて』、『今までの記憶が、全然ない、と。いちばん古い記憶は、どんな記憶ですか』とやり取りする中に、『地下一階、2番扉の前で待て、と言われた』のが『いちばん古い記憶』ですと説明する『わたし』。そんな『わたし』は、『しばらく入院して、検査をしましょう』と言う蔵利彦の指示に従って、『1011号室。それが、わたしの病室となった』と、入院生活に入ります。『一週間の間に、さまざまな検査』が行われる中、『逆向性健忘の一種とも考えられはするのですがねえ』、『ある時以前の記憶を、すべてなくしてしまう症状のことです』と話す蔵利彦ですが、『とはいえ、判断はなかなか難しい…』、『あなたはまるで、受付に来た時にはじめて、この世に存在しはじめたようにみえるのです』とも語ります。『それまでのあなたというものは、どこにも存在していなかったのではないかという意味です』、『あなたがこの世に生まれ出たのは、受付に来る直前だったのではないか』と続ける蔵利彦は、『あなたは、自分がどんな顔をしているのか、知っていますか?』、『今ご自分の顔を、よく見てみてください』と言うと『机の上に伏せてあった手鏡を、わたしに渡し』ます。『目が二つ。鼻は、高くも低くもない。くちびるには、ほとんど色がない…』と自らを思う『わたし』に、『男女どちらかわからないような顔ですね』、『男女どちらだか判別できないんです。未分化なんですね。染色体も不安定ですし』と話す蔵利彦は、『そういう者が時々いると、聞いたことがあります。医学界の都市伝説みたいなものだと、今までは思っていたのですが』と語ります。『いやいや、あなたは人間、あるいは人間に限りなく近い生物、ですよ。実際にそういう存在に出会ってしまう確率はほぼないはずなのに、出会ってしまった。ぼくは、とても嬉しいですよ』と言う蔵利彦は、『さて、それでは、これから治療に入りましょう』と続けます。『治療して、あなたのアイデンティティーを確立しようではありませんか』と言う蔵利彦に『アイデンティティー』と呟く『わたし』。そんな『わたし』に、『自分が自分であるよりどころ、というほどの意味です』と説明する蔵利彦は『では、さっそく治療方針を説明しましょう』と『わたし』に向き合います。そんな蔵利彦が説明する『ひどく奇妙な』『治療方針』の先に、奇妙奇天烈、摩訶不思議な物語が描かれていきます。

“ある日突然この世に現れた某(ぼう)。人間そっくりの形をしており、男女どちらにでも擬態できる。お金もなく身分証明もないため、生きていくすべがなく途方にくれるが、病院に入院し治療の一環として人間になりすまし生活することを決める…ヘンテコな生き物「某」を通して見えてくるのは、滑稽な人間たちの哀しみと愛おしさ”と内容紹介にうたわれるこの作品。グレー基調の表紙にヌボーとした生き物のような何かしらが描かれた不思議な表紙が「某」というこれまた不思議な書名を不気味に演出してもいます。

さて、この作品の作者である川上弘美さんは、1996年に芥川賞を受賞された「蛇を踏む」の〈あとがき〉で、こんなことを記されています。

 “自分の書く小説を、わたしはひそかに「うそばなし」と呼んでいます”。

“うそばなし”とは言い得て妙ですが、確かに川上さんの作品はリアル世界の描写というよりもファンタジーに振った不思議な世界を舞台にしたものが多いように思います。そして、読者もそれを川上さんに期待するところがあると思うのですが、そんな川上さんがこの作品で描き出すのは、”うそばなし”の真骨頂とも呼べるような物語です。この作品の冒頭はこんな風にはじまります。

 『お名前は、と聞かれたけれど、答えることができなかった。  
  年齢は。性別は。  
  どれも、わからない』。

リアル世界を舞台にされる他の作家さんであれば、何かしらの事件、事故により記憶喪失になった主人公の物語がこの先に展開していく…これは十分あり得ます。しかし、”うそばなし”を舞台にされる川上さんが描いていくのは、そんな主人公を診察する医師のこんな言葉に続くものです。

 『あなたは人間、あるいは人間に限りなく近い生物、ですよ』。

そうです。作品冒頭の吐露で、大丈夫だろうか?と少なからずの読者が心配する心持ちになる主人公がいきなり、『人間に限りなく近い生物』という存在とされてしまうところから物語は始まるのです。この作品は上記で触れた冒頭の”プロローグ”とも言える文章に続く8つの章から構成されていますが、それらの章に記されていくのは『わたし』がさまざまな『アイデンティティーを確立』した先に生きていく様が描かれていく物語です。と言っても未読な方には何を言っているか意味がわからないと思いますので、最初の章〈ハルカ〉を見てみましょう。

 〈ハルカ〉: 『丹羽ハルカ。その名前に決めたのは、わたし自身だ。 何回か、紙に書いてみる。丹羽ハルカ。丹羽ハルカ。 十六歳。女性。高校二年生。埼玉県出身。趣味は占い』と、『丹羽ハルカの特徴をそれ以上挙げようとするわたしを』、『ま、そのくらいでいいでしょう』、『あんまりこまかく作りこむと、きゅうくつになりますからね』と制止する蔵利彦。そして、幾つかのやり取りの後、『あなたは、転校生です。高校二年の一学期の途中から転校してきた女性。どうぞ、あなたの役を楽しんでください』と語ります。そして、病院を後にした『丹羽ハルカ』は、学校へと向かいます。そして、『担任と共に教室に向か』い、クラスメイトに紹介されます。『一時間目が終わって休み時間になると、女の子が一人、寄ってき』ます。『丹羽さん、どっから引っ越してきたの』、『ね、ハルカって呼んでいい?』そんな風に始まった一日ですが、声をかけてくれたのは『ユナ』という生徒のみ。それ以外の生徒との交流は一度もなくその日は終わってしまいます…。

物語は、そんな先に高校二年生女子としての日常を生きる『丹羽ハルカ』の姿が描かれていきます。一方でこれは『治療』でもあるので、『丹羽ハルカ』は病院にも通い続けます。

 『そうですか。でも、それでいいんじゃないかな。丹羽ハルカは、積極的に友人をつくりに出てゆく感じの人物ではないみたいですしね』と『ハルカ』の説明を訊く蔵利彦。

はい、『お名前は、と聞かれたけれど、答えることができなかった』という『わたし』を『丹羽ハルカ』という架空の人物に設定して生活を送らせるというのが医師・蔵利彦の『治療』でもあるのです。これでイメージがお分かりいただけたでしょうか?そして、そんな蔵利彦は『わたし』に『日記』を記すよう指示を出します。物語では字体を変えて『わたし』が記す”小説内日記”が描写されてもいきます。

 ・『丹羽ハルカ、ユナと長良さんと駅で待ち合わせ』

 ・『わたしは聖徳太子ではないのである』

『日記』を記すことにどういう意味があるのかよくわかりませんが、蔵利彦がこの『日記』のこの箇所で、『丹羽ハルカのことを、「丹羽ハルカ」ではなくて、「わたし」と表現している箇所が出てきた』ということを重要視します。

 『わたしは着々と丹羽ハルカと同期しつつある』

物語は、『丹羽ハルカ』となった『わたし』の日常が描かれていきますが、『そろそろ失踪しましょう』と語る蔵利彦の指示により、『次の段階』に『治療』が進んでいきます。それこそが、8つの章からなるこの作品の真骨頂です。それぞれの章題には人の名前が記されています。最初の章〈ハルカ〉で、『丹羽ハルカ』の『アイデンティティーを確立』した『わたし』は、それ以降、それぞれの章の章題に記された人物の『アイデンティティーを確立』しながら生活を続けていくのです。

では、残りの7つの章の章題と『わたし』が『アイデンティティーを確立』していく人物についてごく簡単にご紹介しておきましょう。

 ・〈春眠〉: 野田春眠、高二

 ・〈文夫〉: 山中文夫、22歳

 ・〈マリ〉: 神谷マリ、23歳

 ・〈ラモーナ〉: ラモーナ、25歳

 ・〈片山冬樹〉: 片山冬樹、40代

 ・〈ひかり〉: ひかり、10歳

 ・〈みのり ー ひかり〉

年齢も性別も異なるであろうさまざまな人物の名前が登場することがお分かりいただけたかと思います。これ以上の詳細に触れるのは避けますが、これらはいずれも作品冒頭で『わたし』として登場した存在が、これらの名前の存在として生きていく日々が描かれていくのです。ここで一点補足したいのは、〈ハルカ〉の章に描かれたような蔵利彦の『治療』の繰り返しとして物語が進んでいくわけではないことです。そうです。よくあるパターン化された連作短編のような物語はここには展開しません。後半に行くに従って読者を振り落とそうとするかの如く、キョーレツな物語がそこには展開していくのです。そこに、こんな言葉が登場します。

 『あなたは、誰でもない者に、会ったことがあるんですね』。

『誰でもない者』とはよく言ったものです。しかし、この作品の冒頭に登場する『わたし』は間違いなく『誰でもない者』と言えます。さまざまな『アイデンティティーを確立』していく『わたし』。そんな『わたし』は、さまざまな『アイデンティティー』との出会いの中で、さまざまな人たちと出会い、さまざまな経験をしていきます。それは、『性欲のようなものを感じたのかもしれない』という感情であり、『恋愛とは、なんぞや』という感情であり、そして『死を恐れる』感情でもあります。そんな中で『わたし』の考え方、生き方にも確かな変化が生まれてもいきます。「某」という『誰でもない者』のさまざまな生き方が描かれるこの作品には不思議な存在の生き方を映し出す物語の中に、人が生きる意味を垣間見る物語が描かれていたのだと思いました。

 『名前は、そうだ、ないのだ。文字どおり、誰でもない者、さしずめ、「某」だ。妙に明晰に、思う』。

『誰でもない者』が奇妙奇天烈、摩訶不思議な日々を生きていく様が描かれるこの作品。そこには、川上ワールド全開に展開する、まさしく”うそばなし”の究極を見る物語が描かれていました。次から次へと変化する『アイデンティティー』の面白さに酔うこの作品。後半に行けば行くほど突き抜けていく物語に頭の回転が追いつかなくもなるこの作品。

『誰でもない者、さしずめ、「某」だ』という存在を思えば思うほど、私たち人ってなんなのだろうか?とも考えてしまうキョーレツ極まりない作品でした。

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2025年12月13日

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不思議な本だった。本屋で一目惚れして購入。あらすじ見ただけだとどういうジャンルな話かわからなかったが、SFに近いジャンルだった。心内文が地の文として多く、話し手が変わってもカッコでわけていないため少々読みにくかったが、こういう表現も、「誰でもない者」が語り手であるが故なのかなと思いました。

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2025年07月24日

Posted by ブクログ

今までの記憶が全然なく、名前も性別も年齢も分からないまま、突然この世に現れた某は、担当医の蔵利彦氏の元でアイデンティティーの確立のため治療を始める。
女子高生、男子高生、高校の事務員…次々と別の誰かに変化して演じ分けていき、ついには病院を脱走してしまい、外の世界で自分と同じような存在の仲間に出会うことになります。

何とも小難しい設定なのに、登場人物たち(人間ではないのだけれど)それぞれが飄々としていて面白い。
日本のみならず世界を飛び回り、病院でお世話になった蔵医師や水沢看護師はどんどん年老いてゆくのに、某のような「誰でもない者」たちは100年ほど生きていたり、時間軸が人間とはずいぶんずれている。

都合よく何者にも変化を続けて生きてきた某だけれど、このSFのような長編小説を通して作者が私たち訴えかけていることに終盤になってやっと気づくことができて、しんみりとした気持ちになるとともに、生や死や人を愛することについて考えさせられてしまいました。
とても貴重な読書体験でした。
川上さんの想像力って、ほんとうに素晴らしいです。

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2025年06月08日

Posted by ブクログ

不思議な小説だった。SFのような哲学のような。結局よくわからないまま終わった事柄もいくつかある。余韻を味わう感じの物語。

"誰でもない者"という、見た目は人間そっくりの生命体が老若男女・国籍問わず姿かたちを変化させながら日々を過ごしていく。前の姿での記憶ははっきりととは限らないが受け継がれる。そうして何人かの人間への擬態を経て、しだいに愛着や家族、共感といった感覚を身につけていく様子は、一人の人間が赤ちゃんから大人へと成長していくのと似ている。

個人的には前半までが物語のピーク半分過ぎたあたりからは失速した感じ。にしても展開が読めないし、"誰でもない者"ってなんだ?人間とは?生きるとは?死ぬとは?みたいな哲学的なことを考えさせてくれるお話。面白かった。

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2025年06月06日

Posted by ブクログ

ネタバレ

淡々とぼんやり「自分がわからない」まま進んでいくけれど、「わたしは私を選ぶ」となる終盤からは文章もしっかりしてきて…なんだか凄いものを読んだ、という気持ちです。
人間に似ているけれど人間ではない生命体「某」、何者にもなれるし成長する事もないから死ぬこともない。誕生なのか発生なのかもわからない(みのり以外)。変化する前とした後では、前の時を覚えていたり薄っすらとだったり。分離することはある…?つかめるようでつかめない。。
とりあえずあわあわと生きていきながら経験を積み重ねていきつつ、片山冬樹のときの決断が、主人公にとっての始まりと終わりだったんだろうな。

自分とは?
愛とは? 
成長しながら生きていくとは?
死ぬとは?

SFだけれど哲学。
わたしが…ことさら訴えたりはしないけど「わたしはこんな女」を積み重ねてきた年月とかのおかげで薄っすら決めていかれるけれど、登場人物たちは「わたしはこんな女・こんな男」を何もないところからひとつひとつ確認して生きていくのか…どこを歩いてもいい、膨大な空白が目の前に広がっているんだな。
なんという不安と不穏。わからないから怯えはできない。

重たいテーマを内包して淡々と進んでいくからさらさら読める、でも読み終えたら心に湖が出来てる。
川上弘美さんのSF、しみじみ好きだなぁ

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2025年02月16日

Posted by ブクログ

安楽死が選べるようになると、人は最初は安楽死を選ぶが、そのうち少なくなること。いつでも死ねるなら今ではなくてもいいということ。
死を得られないと分かると、死を求めるようになること。
死を得られるものになったことを、かすかな喜びとともに受け入れること。

よるべのない人物と文章、物語がとても川上弘美らしかった。人物は情報を吸収して形を成してゆくので、最初にあらわれたときはAIのように受動的であることも川上弘美の作品らしくて愛おしくなった。

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2025年02月03日

Posted by ブクログ

前半は川上弘美版「ソフィーの世界」とでも言いたくなるような哲学入門風内容で、ぐいぐい惹きこまれた。後半はもっと広義の意味での「存在」が問題提議され‥‥結局、寝不足から逃れられなくなった。

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2025年01月19日

Posted by ブクログ

私達が当り前として受け入れている、正しくは受け入れさせられているというべき、成長において追うべき過程をひとつひとつ丁寧に確認していく物語。ありえない不思議な設定の中、どこか心当たりがある感じ。人は係わりの中で、何者にかになっていく。

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2024年07月24日

Posted by ブクログ

いつもながら設定が斬新でした。特に最終章の光と言う物語がいい。ひかりは曖昧に生きていたけれど、みのりを恋する事を選ぶ事で変化が出来なくり恋と言う感情を知り、曖昧な性格に彩りが生まれたところが好き。ひかりは恋をして自分らしく生きたんだと思う。

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2024年04月07日

Posted by ブクログ

人間ではない人間の形をした生き物を通して見る人間は、滑稽って、不思議で、おもしろい。
「愛する」とは何かを考えさせられたし、そこに行き着いた某の成長や姿に心を打たれました。

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2024年01月23日

Posted by ブクログ

ほかの誰でもない自分として存在するってどういうこと?とか、人を愛するってどういうこと?とか突き詰めて考えたくなる小説。ラストシーンに対する自分の解釈が固められずモヤモヤしているのは、まだその二つの問いに対する自分なりの考えを持ててないからなのかな?と思ったり。

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2023年06月19日

Posted by ブクログ

ネタバレ

人間に近い何かの目線で登場人物をみれるのが面白かった。最初は淡々と進んでいき感情の変化もそこまでないが、後半になるにつれ主人公の心の変化が大きく、豊かになっていくのが感じられて良かった。
何者でもない時は誰にでもなれるしどこにでも行けるが、愛するものなど執着が産まれたらそこにつながれてしまうというのは人間においても同じように感じた。人間でないものの話だけども、人間味を感じる話だった。

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2022年11月29日

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ネタバレ

読む前の印象は、もっと怖くて仄暗いお話なのかな~‥と思いましたが、そんな事はなくてちょっぴり不思議なお話でした。

一見、突拍子もない摩訶不思議な話しに思えるけど、この物語を前世の記憶を少しだけ持っている人達の話と置き換えて読んでみると、非常にしっくりくる‥

何度も何度も変化(輪廻転生)を繰り返しながら
生とは?死とは?

問いかけながら

変わっていく事、変わらない事。

色んな人格になり、色んな人生を経験する事で、自身も知らない間に少しずつ成長していく‥

「愛するって何?」
「相手の為に生きたいって思える事だよ」

死を恐れなかったひかりが、愛する事を知って変化する事を恐れた事も、変化出来なくなった事も、魂の意志、成長を現しているように思えた。

最後の人格が「ひかり」という希望の溢れる名前なのも良かったな‥。

あと、個人的には何度か
途中禅問答のようなやりとりも出てきて、あ〜こういうの好き♡
と思いながら夢中で読み耽りました。

色んな解釈が出来る一冊
私好みのお話で面白かったです。

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2022年08月27日

Posted by ブクログ

何とも奇怪な話を考え付く才能はどこから生まれるのか、読みながら考えたが未だに結論が得られない.丹羽はるかが野田春眠になり、山中文夫、神谷マリ、ラモーナ、片山冬樹、ひかりと変身していくなかで、キャバクラで働いたり、カナダに移住したり、幼児になったり、なんだこりゃ! 蔵先生と水沢看護師が唯一まともな人と思ったが、芦田先生、津田さん、アルファ、シグマ、高橋さん、鈴木さん、等々ユニークな登場人物をチェックするのも大変だった.人間の生き方を上下左右に振り回しても、生き長らえられるのだと感じた.

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2022年06月24日

Posted by ブクログ

究極の自分探し。
アルファやシグマ等の「仲間」が出てきたあたりで飽きてしまった。
意外と「特殊な」みのりがあっさりしている

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2021年09月17日

Posted by ブクログ

途中めげそうになったものの、終盤で怒涛の展開具合に気づいたらのめり込んでしまっていたのが個人的ハイライト

内容はSF調かなと思います。
終始、世界観は普段過ごしている日常から若干軸がズレており、それが不思議ではあるものの、軸がズレているなりに人の営みに溶け込もうとする者達。
作品を読んでいると、もはや上記の『者達』と表現するのも相応しいのだろうか?とも思ってしまいます。一単語として形容すべき存在なのかな主人公なるものはと思います。

読んでいないと、このレビューもなんじゃこりゃといった感じですが、恐らく読むとなんとなく共有できると信じたいです。

常に頭に『?』を浮かべながら読んでいくのが、主人公達が人の営みに疑問を持ちながらも日々を過ごしていく様と、なんか似てるかもしれません。

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2025年12月17日

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ジェンダーという概念の行きつく形を、何者でもない物で型取りをしてみた話なのかなと。概念(ガイネン)::物事や現象に共通する性質や特徴を抽象的に捉え、ひとつのまとまった考えやイメージとして理解するための枠組み。これがまさにこの本の説明のようである。人間ではなく人間のようなもので男でも女でもない。その都度性別が変わったからこそ見える世界が違う。世界は何も変わってないのに自分の性別が変わったら全てが変わるように思えて戸惑う事もある。それが日本で見る時だけに限らず世界で見た時の事も描かれているからこそ主人公の某が変わるのと同時進行で世界も実は少しづつ変わっていく様子がどことなく感じ取れる。

そしてこの某は成長はしない。そればかりか物質としてでもないけど生きているという形にもなる。これも新たな性別の無い個体達が産み出したものが、成長していく変化も、この世のジェンダーという概念の変化の進みとリンクしている気がする。

壮大な感想みたいになってしまったが、確かな実感はなく、気がしている。に留まった感想なのだけど
それこそ読み手の感想に託されたのうは不思議でSFのようでいて哲学的だと思わされる作品。

その中でも変わらなかったのは病院の看護師で、歳をとってもずっとこの某を気に掛け続けたのは
ジェンダーとかを横に置いても何か母のような存在。
どんなにジェンダーという意識の変化はあっても女性の体内から生まれるのは不変である事のように思う。

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2025年10月30日

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「彼はひまわりを栽培していました。観賞用のひまわりを品種改良し、市場に流通させました。彼の家の食卓には、いつもそのひまわりが飾られていました。でも彼は本当は、ひまわりがあまり好きではなかったのです。ひまわりを栽培することにも、妻と生活することにも、子どもたちを育てることにも、彼は倦んでいたのです。遠くに行きたいと、彼は切望していました。でも遠くにいくことはかなわない。だから彼は、自分に罰を与えるような気持ちで、必ず毎朝一本のひまわりを畑から切ってきて、食卓に飾ったのです。緑色の硝子の花びんに。」

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2025年04月09日

Posted by ブクログ

元々著者のSF(すこし・ふしぎ)は淡々としていて好きなんだけど、これも「物語にならない物語」のくだりなどは特に人間の在り方の奇妙さにリアリティが感じられて良かった。
ただ、人間もどきみたいな生物が人を共感や愛の生物として理解しそれを得る、という本作に限らず世に広く存在する話の定型には反発したい。共感や愛は人にとって自明ではないと思うからだ

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2024年11月02日

Posted by ブクログ

突然現れた変化できる生命体
なんにでも変われるのに
やっぱり誰かと共感したくてあがいてみる
誰でもないもの達の葛藤
不思議な生命体になりたいかと問われたら
なりたくはないかな
生と死を考えたくなる

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2024年10月18日

Posted by ブクログ

ネタバレ

【2023年114冊目】
大体あらすじを頭に入れずに読み出しちゃうことがほとんどなんですけど、いや〜不思議な小説でした。川上弘美さん、SFもお書きになるんですなぁと思ったけど、「蛇を踏む」もそうだったかもしれない。

主人公は突然この世に誕生した、というか存在が始まった、生命体。途中から、この生命体には個体名がつくんですけど、まあそれは置いといて。女子高生、男子高生、男性事務員とどんどんと変化していく主人公。変化する前の記憶は持っているのに、性質とかはがらりと変わるというのが面白いなと思いました。似通った性質を引き継ぐこともあれば、全く違った性質なこともあり。

確固たる己がない生命体の話だからこそ、物語全体を通してなんだか、ふわふわと包まれるような雰囲気があったのですが、かと言って話に芯がないわけではないのが、さすがでした。

マリあたりまでが生命体としては好きだったかな。

しかし、なんでこの生命体に対して殺意をもつ人間がいるのか、そこだけは説明がなかったのが残念でした。

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2023年09月25日

Posted by ブクログ

世界観は結構好き

初めの頃の某の不自然な口調がよかった

学生編がもう少し読みたい気もしたし、
途中まではスイスイ読めたけど後半がよくわかんなくなってしまった。
それと先生と水沢さんが自然にFOして寂しかった。哲学みたいな本でした。

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2023年09月12日

Posted by ブクログ

誰でもない者、という架空の存在を題材にした作品。人間ではない存在が主人公であり、人を人たらしめるものは何かを第三者視点から理解することを試みる。
不思議な世界観に引き込まれます。

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2023年06月10日

Posted by ブクログ

ネタバレ

不思議な話だった。不思議な世界に飲み込まれていってすらすらと読めたがアルファとシグマという仲間が出てきた途端つまらなくなった。何者でもない者は1人(最低2人)でいいと思う。

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2022年12月07日

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