【感想・ネタバレ】某のレビュー

あらすじ

「あたしは、突然この世にあらわれた。そこは病院だった」。限りなく人間に近いが、性的に未分化で染色体が不安定な某。名前も記憶もお金もないため、医師の協力のもと、絵に親しむ女子高生、性欲旺盛な男子高生、生真面目な教職員と変化し、演じ分けていく。自信を得た某は病院を脱走、そして仲間に出会う――。愛と未来をめぐる破格の長編小説。

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感情タグBEST3

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面白かった
好き

マリのぽっかりした空虚さと、ナオの二人がすき

ひかりとみのりの結末が好き

他の人の話も好き

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2024年12月29日

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不思議なお話だった( °o°)☆
面白くて一気に読んじゃった☆(*ˊ˘ˋ*)。♪:*°
表紙デザインで選んだけど、まさにこの表紙って感じ。読んだら納得。

読む人によって読後感変わる作品かもしれない。
私は「ほぉぉお。」って少し考えさせられる読後感ですごく良かったなと思った☆

みんなはこれ読んだらどう感じるのか気になる!

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2024年10月08日

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主人公の形態がコロコロ変わるものの内容が入ってきやすく、ハラハラさせられながらもあたたかい物語で、とても好きだった。

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2024年09月29日

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ネタバレ

「今の自分に納得いかなくて全く違う誰かになれたらいいのに……」「朝起きたら佐々木希になってますように……」「Twitterでの自分はキラキラOLで彼氏とも上手くいってて……」「転職先ではパリピとして振舞おう……」そんなふうに普段から思いながら生活をしているわたしにとって、とてもぴったりな作品でした。
そして、本当に愛する人ができた時に他の誰でもない自分でありたいと願ったり、その人のために生きたいとか命を投げ出したりとか、本当の愛について深く考えました。

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2023年05月06日

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「誰でもない者」という独特な設定なのに、なぜかすっと受け入れられた。一つ感じたのは、じゃあ私は空っぽではなくちゃんと私であれているのかなということ。もっと私自身と寄り添ってみよう。

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2023年03月26日

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ネタバレ

某って響きいいな。
こんな簡単に色んな人に変われたらなーって誰しも思うよなぁ。女にも男にも日本人以外にもなってみたい。しかも元の人間の記憶がありながら。
大切な人が出来たら変わらないことを望むかー。確かに。考えたことなかった。今のその人自体が好きなんだものね。ありのままが1番ってわけだ。

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2022年12月17日

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ああ、川上弘美だ。
「神様」とか「蛇を踏む」とか、久しぶりに思い出した感じがあった。

たぶん、私たちはふだん「わたし」というものをそれほど意識して生きてはいない。
少なくとも私はそんなに「わたし」について考えることはしない(思春期の頃はもっと「わたし」について考えていたように思う)。
なぜなら「わたし」について考えることはとっても面倒くさいことだからだ(この言い方が適当でなければ、非常に時間がかかるとかって言い換えてもいい)。
10代のころは時間だけはあったから「わたし」について考えても差し障りがなかったけれど、社会人になってしまったいま「わたし」について考えていたら、日々の生活に支障をきたすこと請け合いだ。だから私はふだん「わたし」ついて考えることはしない。

ではなぜ「わたし」について考えることはそんなに時間を必要とするのか?
その答えは簡単だと思う。それは「わたし」というのがとても曖昧なものだからだろう。それは本書『某』で繰り返し書かれていることだ(そう私は解釈する)。

主人公(人じゃないらしいけれど)の〈わたし〉が「わたし」にたどり着くまでにいったい何年の歳月と、何人の「自分」と、何種類の〈変化〉を体験することが必要であったことか。
「わたし」とはそれくらい曖昧で、とてつもない広がりをもったものなのだということが、『某』を読んでいるとひしひしと伝わってくる。

私の中で川上弘美さんは曖昧なものをなんとか言語化していくという作家さんだ。そしてその曖昧なものの、一つの主要なテーマとして「わたし」があるように感じている。
初期の作品では〈無人称〉が一つのスタイルであったように思う。この『某』では人称がころころと変わっていく。そうした移ろいゆくもの、はっきりしないもののなかで、藁ほどでもよいので確かなものをつかみ取ろうとする作業。

そんな私の川上弘美さんのイメージを、より強く意識させるような作品、それがこの『某』だった。それが今回の感想。

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2022年03月26日

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不思議な本だった。本屋で一目惚れして購入。あらすじ見ただけだとどういうジャンルな話かわからなかったが、SFに近いジャンルだった。心内文が地の文として多く、話し手が変わってもカッコでわけていないため少々読みにくかったが、こういう表現も、「誰でもない者」が語り手であるが故なのかなと思いました。

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2025年07月24日

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今までの記憶が全然なく、名前も性別も年齢も分からないまま、突然この世に現れた某は、担当医の蔵利彦氏の元でアイデンティティーの確立のため治療を始める。
女子高生、男子高生、高校の事務員…次々と別の誰かに変化して演じ分けていき、ついには病院を脱走してしまい、外の世界で自分と同じような存在の仲間に出会うことになります。

何とも小難しい設定なのに、登場人物たち(人間ではないのだけれど)それぞれが飄々としていて面白い。
日本のみならず世界を飛び回り、病院でお世話になった蔵医師や水沢看護師はどんどん年老いてゆくのに、某のような「誰でもない者」たちは100年ほど生きていたり、時間軸が人間とはずいぶんずれている。

都合よく何者にも変化を続けて生きてきた某だけれど、このSFのような長編小説を通して作者が私たち訴えかけていることに終盤になってやっと気づくことができて、しんみりとした気持ちになるとともに、生や死や人を愛することについて考えさせられてしまいました。
とても貴重な読書体験でした。
川上さんの想像力って、ほんとうに素晴らしいです。

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2025年06月08日

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不思議な小説だった。SFのような哲学のような。結局よくわからないまま終わった事柄もいくつかある。余韻を味わう感じの物語。

"誰でもない者"という、見た目は人間そっくりの生命体が老若男女・国籍問わず姿かたちを変化させながら日々を過ごしていく。前の姿での記憶ははっきりととは限らないが受け継がれる。そうして何人かの人間への擬態を経て、しだいに愛着や家族、共感といった感覚を身につけていく様子は、一人の人間が赤ちゃんから大人へと成長していくのと似ている。

個人的には前半までが物語のピーク半分過ぎたあたりからは失速した感じ。にしても展開が読めないし、"誰でもない者"ってなんだ?人間とは?生きるとは?死ぬとは?みたいな哲学的なことを考えさせてくれるお話。面白かった。

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2025年06月06日

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ネタバレ

淡々とぼんやり「自分がわからない」まま進んでいくけれど、「わたしは私を選ぶ」となる終盤からは文章もしっかりしてきて…なんだか凄いものを読んだ、という気持ちです。
人間に似ているけれど人間ではない生命体「某」、何者にもなれるし成長する事もないから死ぬこともない。誕生なのか発生なのかもわからない(みのり以外)。変化する前とした後では、前の時を覚えていたり薄っすらとだったり。分離することはある…?つかめるようでつかめない。。
とりあえずあわあわと生きていきながら経験を積み重ねていきつつ、片山冬樹のときの決断が、主人公にとっての始まりと終わりだったんだろうな。

自分とは?
愛とは? 
成長しながら生きていくとは?
死ぬとは?

SFだけれど哲学。
わたしが…ことさら訴えたりはしないけど「わたしはこんな女」を積み重ねてきた年月とかのおかげで薄っすら決めていかれるけれど、登場人物たちは「わたしはこんな女・こんな男」を何もないところからひとつひとつ確認して生きていくのか…どこを歩いてもいい、膨大な空白が目の前に広がっているんだな。
なんという不安と不穏。わからないから怯えはできない。

重たいテーマを内包して淡々と進んでいくからさらさら読める、でも読み終えたら心に湖が出来てる。
川上弘美さんのSF、しみじみ好きだなぁ

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2025年02月16日

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安楽死が選べるようになると、人は最初は安楽死を選ぶが、そのうち少なくなること。いつでも死ねるなら今ではなくてもいいということ。
死を得られないと分かると、死を求めるようになること。
死を得られるものになったことを、かすかな喜びとともに受け入れること。

よるべのない人物と文章、物語がとても川上弘美らしかった。人物は情報を吸収して形を成してゆくので、最初にあらわれたときはAIのように受動的であることも川上弘美の作品らしくて愛おしくなった。

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2025年02月03日

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前半は川上弘美版「ソフィーの世界」とでも言いたくなるような哲学入門風内容で、ぐいぐい惹きこまれた。後半はもっと広義の意味での「存在」が問題提議され‥‥結局、寝不足から逃れられなくなった。

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2025年01月19日

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私達が当り前として受け入れている、正しくは受け入れさせられているというべき、成長において追うべき過程をひとつひとつ丁寧に確認していく物語。ありえない不思議な設定の中、どこか心当たりがある感じ。人は係わりの中で、何者にかになっていく。

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2024年07月24日

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いつもながら設定が斬新でした。特に最終章の光と言う物語がいい。ひかりは曖昧に生きていたけれど、みのりを恋する事を選ぶ事で変化が出来なくり恋と言う感情を知り、曖昧な性格に彩りが生まれたところが好き。ひかりは恋をして自分らしく生きたんだと思う。

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2024年04月07日

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人間ではない人間の形をした生き物を通して見る人間は、滑稽って、不思議で、おもしろい。
「愛する」とは何かを考えさせられたし、そこに行き着いた某の成長や姿に心を打たれました。

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2024年01月23日

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ほかの誰でもない自分として存在するってどういうこと?とか、人を愛するってどういうこと?とか突き詰めて考えたくなる小説。ラストシーンに対する自分の解釈が固められずモヤモヤしているのは、まだその二つの問いに対する自分なりの考えを持ててないからなのかな?と思ったり。

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2023年06月19日

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ネタバレ

人間に近い何かの目線で登場人物をみれるのが面白かった。最初は淡々と進んでいき感情の変化もそこまでないが、後半になるにつれ主人公の心の変化が大きく、豊かになっていくのが感じられて良かった。
何者でもない時は誰にでもなれるしどこにでも行けるが、愛するものなど執着が産まれたらそこにつながれてしまうというのは人間においても同じように感じた。人間でないものの話だけども、人間味を感じる話だった。

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2022年11月29日

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ネタバレ

読む前の印象は、もっと怖くて仄暗いお話なのかな~‥と思いましたが、そんな事はなくてちょっぴり不思議なお話でした。

一見、突拍子もない摩訶不思議な話しに思えるけど、この物語を前世の記憶を少しだけ持っている人達の話と置き換えて読んでみると、非常にしっくりくる‥

何度も何度も変化(輪廻転生)を繰り返しながら
生とは?死とは?

問いかけながら

変わっていく事、変わらない事。

色んな人格になり、色んな人生を経験する事で、自身も知らない間に少しずつ成長していく‥

「愛するって何?」
「相手の為に生きたいって思える事だよ」

死を恐れなかったひかりが、愛する事を知って変化する事を恐れた事も、変化出来なくなった事も、魂の意志、成長を現しているように思えた。

最後の人格が「ひかり」という希望の溢れる名前なのも良かったな‥。

あと、個人的には何度か
途中禅問答のようなやりとりも出てきて、あ〜こういうの好き♡
と思いながら夢中で読み耽りました。

色んな解釈が出来る一冊
私好みのお話で面白かったです。

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2022年08月27日

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何とも奇怪な話を考え付く才能はどこから生まれるのか、読みながら考えたが未だに結論が得られない.丹羽はるかが野田春眠になり、山中文夫、神谷マリ、ラモーナ、片山冬樹、ひかりと変身していくなかで、キャバクラで働いたり、カナダに移住したり、幼児になったり、なんだこりゃ! 蔵先生と水沢看護師が唯一まともな人と思ったが、芦田先生、津田さん、アルファ、シグマ、高橋さん、鈴木さん、等々ユニークな登場人物をチェックするのも大変だった.人間の生き方を上下左右に振り回しても、生き長らえられるのだと感じた.

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2022年06月24日

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究極の自分探し。
アルファやシグマ等の「仲間」が出てきたあたりで飽きてしまった。
意外と「特殊な」みのりがあっさりしている

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2021年09月17日

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ジェンダーという概念の行きつく形を、何者でもない物で型取りをしてみた話なのかなと。概念(ガイネン)::物事や現象に共通する性質や特徴を抽象的に捉え、ひとつのまとまった考えやイメージとして理解するための枠組み。これがまさにこの本の説明のようである。人間ではなく人間のようなもので男でも女でもない。その都度性別が変わったからこそ見える世界が違う。世界は何も変わってないのに自分の性別が変わったら全てが変わるように思えて戸惑う事もある。それが日本で見る時だけに限らず世界で見た時の事も描かれているからこそ主人公の某が変わるのと同時進行で世界も実は少しづつ変わっていく様子がどことなく感じ取れる。

そしてこの某は成長はしない。そればかりか物質としてでもないけど生きているという形にもなる。これも新たな性別の無い個体達が産み出したものが、成長していく変化も、この世のジェンダーという概念の変化の進みとリンクしている気がする。

壮大な感想みたいになってしまったが、確かな実感はなく、気がしている。に留まった感想なのだけど
それこそ読み手の感想に託されたのうは不思議でSFのようでいて哲学的だと思わされる作品。

その中でも変わらなかったのは病院の看護師で、歳をとってもずっとこの某を気に掛け続けたのは
ジェンダーとかを横に置いても何か母のような存在。
どんなにジェンダーという意識の変化はあっても女性の体内から生まれるのは不変である事のように思う。

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2025年10月30日

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「彼はひまわりを栽培していました。観賞用のひまわりを品種改良し、市場に流通させました。彼の家の食卓には、いつもそのひまわりが飾られていました。でも彼は本当は、ひまわりがあまり好きではなかったのです。ひまわりを栽培することにも、妻と生活することにも、子どもたちを育てることにも、彼は倦んでいたのです。遠くに行きたいと、彼は切望していました。でも遠くにいくことはかなわない。だから彼は、自分に罰を与えるような気持ちで、必ず毎朝一本のひまわりを畑から切ってきて、食卓に飾ったのです。緑色の硝子の花びんに。」

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2025年04月09日

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元々著者のSF(すこし・ふしぎ)は淡々としていて好きなんだけど、これも「物語にならない物語」のくだりなどは特に人間の在り方の奇妙さにリアリティが感じられて良かった。
ただ、人間もどきみたいな生物が人を共感や愛の生物として理解しそれを得る、という本作に限らず世に広く存在する話の定型には反発したい。共感や愛は人にとって自明ではないと思うからだ

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2024年11月02日

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突然現れた変化できる生命体
なんにでも変われるのに
やっぱり誰かと共感したくてあがいてみる
誰でもないもの達の葛藤
不思議な生命体になりたいかと問われたら
なりたくはないかな
生と死を考えたくなる

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2024年10月18日

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ネタバレ

【2023年114冊目】
大体あらすじを頭に入れずに読み出しちゃうことがほとんどなんですけど、いや〜不思議な小説でした。川上弘美さん、SFもお書きになるんですなぁと思ったけど、「蛇を踏む」もそうだったかもしれない。

主人公は突然この世に誕生した、というか存在が始まった、生命体。途中から、この生命体には個体名がつくんですけど、まあそれは置いといて。女子高生、男子高生、男性事務員とどんどんと変化していく主人公。変化する前の記憶は持っているのに、性質とかはがらりと変わるというのが面白いなと思いました。似通った性質を引き継ぐこともあれば、全く違った性質なこともあり。

確固たる己がない生命体の話だからこそ、物語全体を通してなんだか、ふわふわと包まれるような雰囲気があったのですが、かと言って話に芯がないわけではないのが、さすがでした。

マリあたりまでが生命体としては好きだったかな。

しかし、なんでこの生命体に対して殺意をもつ人間がいるのか、そこだけは説明がなかったのが残念でした。

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2023年09月25日

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世界観は結構好き

初めの頃の某の不自然な口調がよかった

学生編がもう少し読みたい気もしたし、
途中まではスイスイ読めたけど後半がよくわかんなくなってしまった。
それと先生と水沢さんが自然にFOして寂しかった。哲学みたいな本でした。

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2023年09月12日

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誰でもない者、という架空の存在を題材にした作品。人間ではない存在が主人公であり、人を人たらしめるものは何かを第三者視点から理解することを試みる。
不思議な世界観に引き込まれます。

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2023年06月10日

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ネタバレ

不思議な話だった。不思議な世界に飲み込まれていってすらすらと読めたがアルファとシグマという仲間が出てきた途端つまらなくなった。何者でもない者は1人(最低2人)でいいと思う。

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2022年12月07日

Posted by ブクログ

ネタバレ

忽然と病院に現れた女性。名前も性別も年もわからず記憶も持たない彼女は、「誰でもない者」(「医学界の都市伝説みたいなもの」と思われていた「人間に限りなく近い生物」)だった。主治医の蔵医師の指示でアイデンティティーを確立すべく、治療を開始し、まず丹羽ハルカという女子高生になる。治療の過程で次々と別人(性別も変わる)になるが、それにより人格も変化する。さまざまな人間としての経験を重ねながら、仲間に出会い、感情を獲得していく。

それぞれの話はそういうものとして読めば、とても面白い。これはSFでもミステリでもないので、それでいいのだ。
なんでそんな存在なのかは自分にもわからないし仲間たちも知らない。家族もなく、どこか欠落したものを感じながら「人間」のように生きる彼らの自由さには不穏さがつきまとう。人は一人で生きるしかないからこそ、他人を求めるのかもしれない。

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2022年03月13日

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