川上弘美のレビュー一覧

  • 神様

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    ネタバレ

    主人公の名前が最後まで分からない連作短編。名前がなくても、この人のやわらかいまなざしは一貫していて居心地が良かった。
    一話ずつご近所さんたちが登場して、ちょうどよい距離感でそれぞれ交流して、だんだん季節が巡っていくのが良かった。こんな風に付かず離れず穏やかに周囲と関わって生きていけたら、幸福な人生と言えると思う。少し寂しい別れもあるところが良い。
    人間社会で暮らす熊、梨の妖精、叔父の幽霊、河童、壺の魔人、鬼、人魚。色んな存在が世界を共有していることが不思議で可愛くておおらかで、少し怖い。
    生きることに疲れたらこんな本を読みたいと思わせてくれる、どこかあたたかい作品だった。

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    2026年02月14日
  • 神様

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    人には人の神様。
    熊には熊の神様。
    きっと梨や壺にも神様がいるのかもしれない。
    不思議なのにすとん、と入ってくる、日常とファンタジーが仲良く同居してる感じが心地良いです。
    熊と主人公と私が一緒に日向ぼっこしながら川辺でうたた寝しているような優しい温かなお話でした。

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    2026年02月07日
  • 蛇を踏む

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    動物が日常生活に馴染んでいるというマジックリアリズム。それを周囲の人々も同じ体験をしているという不可思議な世界。
    それ自体は別に珍しくないかもしれないが、蛇を踏むという一文から始まる作り方には感服した。
    他にも二編あったが、蛇を踏むが断然好き。

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    2026年02月07日
  • 夜の公園

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    この方のジャンル、そしてこの本の内容は
    まちがいなく「恋愛小説」だと思うのだけれど、
    解説を読むと、どうもご自分ではそんなつもりはないらしい。

    「ただお酒を飲むような話が好きなんだけど、
    いつの間にか登場人物の間で恋愛が始まってしまう」
    のだそうだ。

    ということは「恋愛小説」という型は
    話が進んでいくうえでの舞台設定、もっというと
    フォーマットのようなものなんだろうか。

    たしかに、殺人事件とか警官小説とかAI未来小説ではなく、
    川上さんが選ぶフォーマットは一貫して「恋愛」である気がする。

    今回のお話も、男女4人の恋愛をベースに、
    でもちょっと怖い結末も待っている。


    ※中公文庫238

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    2026年01月31日
  • 大きな鳥にさらわれないよう

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    この本の良かったところは、人間と観測者、そして大きな母という生み出す者によって物語が紡がれている点だと思う。みんな人間を愛し、憎んでいるところが本当に人間らしくて好きだ

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    2026年01月31日
  • 恋ははかない、あるいは、プールの底のステーキ

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    序盤は、著者の自叙伝的なものだとは理解しつつも設定が共感できなさすぎてオロオロし。読むのをやめようかと何度か思いましたが、でもだんだん小説として著者らしい世界観になっていって、最終的に夢中で読みました。弘美さんらしい素敵なお話でした。

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    2026年01月27日
  • 蛇を踏む

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    不思議にぷかぷか世界を移ろう夢の心地なのに背景が全くぼけない ピント以外も鮮明に見える パーツの認識と形容が夢の中のそれじゃなくて、あり得ない世界の見え方した 凄く良かった

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    2026年01月13日
  • 神様

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    わたし、いまこの世界にいるわ、と思わせてくれる短編集だった。くまと散歩に出かけたり、壺の中の女性と女子会をしたり、人魚の妖艶さだったり、すべてをまるっと受け入れてしまって、妄想のバリエーションが広がってしまう。ああファンタジーものか…と受け入れない態度のタイミングで出会わなくて、本当によかった。

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    2026年01月10日
  • 真鶴

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    この作品の1番の好きなところは終始、静かなところ。
    静かだからこそ、娘を愛する気持ちや、礼を憎む?愛する?恋しがる?気持ちが熱く伝わってくる。

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    2025年11月23日
  • 神様

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    ネタバレ

    川上弘美さん大好きだったんだけど、この作品はまだ読んでなかった、なんだかタイトル的に難しそうと言うかなんだか神々しそうな感じがしてちょっと手に取れなかったけど、読んでみたら、なんだ!!!!めちゃくちゃかわいい話!!!!!!ほっこり。する。
    2日くらいで読み終えちゃって勿体ないという気持ち。
    「神様」ってタイトルを聞いて当たり前に人型の神様を想像してたけど、くまの神様かい。
    くまの料理は本当に美味しそうだな、自然豊かなところでピクニックして、すごく素敵。
    その分、主人公と同じくくまが帰ると知ったら、ちょっと寂しくなった。最初は、大男をくまと表現してるのかと思ったけど、くまはくまなんだ。そりゃ、人

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    2025年11月23日
  • 大きな鳥にさらわれないよう

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    ブッカー賞候補作。
    どこかの世界を描いているわけでもなく、神話のような世界。
    設定も人同士ではなく、異なる遺伝子同士で交雑させた子どもたちが描かれている世界
    これを映像にしたら、人の姿をしているかもわからないし、想像力がフル稼働させられてしまう1冊。

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    2025年10月23日
  • 大きな鳥にさらわれないよう

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    とてもよかった:
    世紀末的な世界観を著者らしい静かで優しく描いていた。
    緩やかに終わりへと向かっていく中での人々の思いが見事に描かれていた。
    時折のぞかせる筆者の生物学への専門的な知識が作品のクオリティを見事に押しあげている。
    個人的に、「愛」という短編が印象に残った。
     「研究所」という独特な環境の中で、男の子の一途な恋慕の感情が、とても新鮮に映った。
    また読み返したいです。

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    2025年10月01日
  • 大きな鳥にさらわれないよう

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    冒頭の一話目、遠い未来の日本を舞台にした幻想的な短編……としみじみ読んだところが、先へ進むにつれて世界は様相を何度も変え、最終的にSF的神話体系となってぐるりと巡る。眩暈がするような読書体験だった。

    人類はいつか必ず滅ぶだろう。私たちは必ず死に絶えるだろう。その先にあるのが絶望だけなのか、その過程にこそ救いがあるのではないか。
    祈りに満ちた眼差しが全編に染み通っていて、背表紙の「新しい神話」の評もなるほど、と。

    聖書に所縁のあるような人名もところどころに見受けられ、個人的には福音書のようにも感じられた。

    エリ、エリ、レマ、サバクタニ。その過程にこそ神の慈愛は注がれていた。

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    2025年09月28日
  • 恋ははかない、あるいは、プールの底のステーキ

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    会話が心地いい。
    軽やかさ、言葉選び、ユーモア、
    短くてテンポのいい台詞、
    それでいて深みがあるところ。


    登場人物は60代なのに、
    読んでいると無意識のうちに
    30代くらいで脳内再生される。


    言葉にならない気持ちの描写がすごいと思った。
    煮詰める感じじゃなくて、
    自然な感覚を取り出して
    そのまま文章のかたちにしたみたいな。


    主人公の回想をそっと覗かせてもらうような
    気持ちで読みました。
    何度でも読みたくなる作品。
    穏やかな空気感に包まれる読書体験でした。

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    2025年09月15日
  • 大きな鳥にさらわれないよう

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    圧倒的な空想と人類観
    淡々とした(神話的とも評される)書き口で遠き日の人類を描く どちらかと言うとマクロな情景の描き方、読点の使い方(間のとり方)、情報の開示の仕方が魅力的
    世界観 世界観 世界観

    「ねえ、人は、どこから来たの」p.20

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    2025年09月07日
  • 神様

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    ドゥマゴ文学賞、紫式部文学賞を受賞した短篇集。デビュー作の「神様」と続篇の「草上の昼食」が特にお気に入りです。多くを語ることで、本書のもつ神々しさが損なわれかねないので、感想は敢えて一言で。現実と夢の境界のような不思議で美しい作品に出会えて幸せな読書体験でした。

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    2025年08月27日
  • 物語が、始まる

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    茫洋とした、悪夢ではないのだけど、見ている間全くもって気が休まらない夢、そんなお話。
    毎度のことだけど、この人の文章にはただひたすら、打ちのめされる。
    わからない言葉ではないのだけど、わからない。
    わからなくて、こわくて、惹き込まれるだけ。

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    2025年08月26日
  • 神様

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    デビュー作「神様」と合わせて9つの短編小説。200ページ足らずの薄い本だけど、長いとか短いとか薄いとか厚いとか関係ない世界が広がっています。それが何かは分からないけど何かを言い当ているような、そんな切実さがあるような気がしました。

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    2025年08月09日
  • 神様

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    ネタバレ

    「神様」というインパクトのあるタイトル。
    自分ではなかなか手に取らないタイトルと表紙デザインで、この機会がなければ読まずに人生を終えていた気がします。

    表題作である「神様」とその続きである「草上の昼食」。ゆめうつつのような物語に童心に返ったよう。「くまにさそわれて散歩に出る」、まるで幼い頃に読んだ絵本みたい。くまと散歩に出かけて、ご飯を食べてひと眠り。
    面白い!スリルがある!といった強い感情をもたらすのではなく、ひとときの安らぎを感じさせてくれる作品だなと思いました。

    子守唄を歌いたかったくまの顔、見てみたかったです。

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    2025年08月07日
  • 三度目の恋

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       昔の章
    すべての女をとりこにする魅力的な男、ナーちゃんと結婚した主人公、梨子。
    常に他の女性の影が消えない夫との暮らし

    夢の中では別の女として生きます。
    貧農の家から10歳で売られ、江戸吉原の、かむろ
    になります。
    廓での生活が、食べ物、着るもの人間関係などなど、かなり詳しくて興味深い。
    夢の中では、かむろとして、生き、話してはいるものの、気持ちは現代の梨子のままなのです。

       昔昔の章
    現実の世界で梨子は、ナーちゃんの子供を産みます。

    夢の中、今度は源氏物語より少し前の時代へ。
    10歳で、貴族の姫さんに仕える女官である、女房として働きます。
    そして姫さんは婿取りをして…
    平安貴

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    2025年07月31日