川上弘美のレビュー一覧

  • 真鶴

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    この作品の1番の好きなところは終始、静かなところ。
    静かだからこそ、娘を愛する気持ちや、礼を憎む?愛する?恋しがる?気持ちが熱く伝わってくる。

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    2025年11月23日
  • 神様

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    ネタバレ

    川上弘美さん大好きだったんだけど、この作品はまだ読んでなかった、なんだかタイトル的に難しそうと言うかなんだか神々しそうな感じがしてちょっと手に取れなかったけど、読んでみたら、なんだ!!!!めちゃくちゃかわいい話!!!!!!ほっこり。する。
    2日くらいで読み終えちゃって勿体ないという気持ち。
    「神様」ってタイトルを聞いて当たり前に人型の神様を想像してたけど、くまの神様かい。
    くまの料理は本当に美味しそうだな、自然豊かなところでピクニックして、すごく素敵。
    その分、主人公と同じくくまが帰ると知ったら、ちょっと寂しくなった。最初は、大男をくまと表現してるのかと思ったけど、くまはくまなんだ。そりゃ、人

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    2025年11月23日
  • 大きな鳥にさらわれないよう

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    ブッカー賞候補作。
    どこかの世界を描いているわけでもなく、神話のような世界。
    設定も人同士ではなく、異なる遺伝子同士で交雑させた子どもたちが描かれている世界
    これを映像にしたら、人の姿をしているかもわからないし、想像力がフル稼働させられてしまう1冊。

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    2025年10月23日
  • 大きな鳥にさらわれないよう

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    とてもよかった:
    世紀末的な世界観を著者らしい静かで優しく描いていた。
    緩やかに終わりへと向かっていく中での人々の思いが見事に描かれていた。
    時折のぞかせる筆者の生物学への専門的な知識が作品のクオリティを見事に押しあげている。
    個人的に、「愛」という短編が印象に残った。
     「研究所」という独特な環境の中で、男の子の一途な恋慕の感情が、とても新鮮に映った。
    また読み返したいです。

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    2025年10月01日
  • 大きな鳥にさらわれないよう

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    冒頭の一話目、遠い未来の日本を舞台にした幻想的な短編……としみじみ読んだところが、先へ進むにつれて世界は様相を何度も変え、最終的にSF的神話体系となってぐるりと巡る。眩暈がするような読書体験だった。

    人類はいつか必ず滅ぶだろう。私たちは必ず死に絶えるだろう。その先にあるのが絶望だけなのか、その過程にこそ救いがあるのではないか。
    祈りに満ちた眼差しが全編に染み通っていて、背表紙の「新しい神話」の評もなるほど、と。

    聖書に所縁のあるような人名もところどころに見受けられ、個人的には福音書のようにも感じられた。

    エリ、エリ、レマ、サバクタニ。その過程にこそ神の慈愛は注がれていた。

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    2025年09月28日
  • 恋ははかない、あるいは、プールの底のステーキ

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    会話が心地いい。
    軽やかさ、言葉選び、ユーモア、
    短くてテンポのいい台詞、
    それでいて深みがあるところ。


    登場人物は60代なのに、
    読んでいると無意識のうちに
    30代くらいで脳内再生される。


    言葉にならない気持ちの描写がすごいと思った。
    煮詰める感じじゃなくて、
    自然な感覚を取り出して
    そのまま文章のかたちにしたみたいな。


    主人公の回想をそっと覗かせてもらうような
    気持ちで読みました。
    何度でも読みたくなる作品。
    穏やかな空気感に包まれる読書体験でした。

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    2025年09月15日
  • 大きな鳥にさらわれないよう

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    圧倒的な空想と人類観
    淡々とした(神話的とも評される)書き口で遠き日の人類を描く どちらかと言うとマクロな情景の描き方、読点の使い方(間のとり方)、情報の開示の仕方が魅力的
    世界観 世界観 世界観

    「ねえ、人は、どこから来たの」p.20

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    2025年09月07日
  • 神様

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    ドゥマゴ文学賞、紫式部文学賞を受賞した短篇集。デビュー作の「神様」と続篇の「草上の昼食」が特にお気に入りです。多くを語ることで、本書のもつ神々しさが損なわれかねないので、感想は敢えて一言で。現実と夢の境界のような不思議で美しい作品に出会えて幸せな読書体験でした。

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    2025年08月27日
  • 物語が、始まる

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    茫洋とした、悪夢ではないのだけど、見ている間全くもって気が休まらない夢、そんなお話。
    毎度のことだけど、この人の文章にはただひたすら、打ちのめされる。
    わからない言葉ではないのだけど、わからない。
    わからなくて、こわくて、惹き込まれるだけ。

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    2025年08月26日
  • 神様

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    デビュー作「神様」と合わせて9つの短編小説。200ページ足らずの薄い本だけど、長いとか短いとか薄いとか厚いとか関係ない世界が広がっています。それが何かは分からないけど何かを言い当ているような、そんな切実さがあるような気がしました。

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    2025年08月09日
  • 神様

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    ネタバレ

    「神様」というインパクトのあるタイトル。
    自分ではなかなか手に取らないタイトルと表紙デザインで、この機会がなければ読まずに人生を終えていた気がします。

    表題作である「神様」とその続きである「草上の昼食」。ゆめうつつのような物語に童心に返ったよう。「くまにさそわれて散歩に出る」、まるで幼い頃に読んだ絵本みたい。くまと散歩に出かけて、ご飯を食べてひと眠り。
    面白い!スリルがある!といった強い感情をもたらすのではなく、ひとときの安らぎを感じさせてくれる作品だなと思いました。

    子守唄を歌いたかったくまの顔、見てみたかったです。

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    2025年08月07日
  • 三度目の恋

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       昔の章
    すべての女をとりこにする魅力的な男、ナーちゃんと結婚した主人公、梨子。
    常に他の女性の影が消えない夫との暮らし

    夢の中では別の女として生きます。
    貧農の家から10歳で売られ、江戸吉原の、かむろ
    になります。
    廓での生活が、食べ物、着るもの人間関係などなど、かなり詳しくて興味深い。
    夢の中では、かむろとして、生き、話してはいるものの、気持ちは現代の梨子のままなのです。

       昔昔の章
    現実の世界で梨子は、ナーちゃんの子供を産みます。

    夢の中、今度は源氏物語より少し前の時代へ。
    10歳で、貴族の姫さんに仕える女官である、女房として働きます。
    そして姫さんは婿取りをして…
    平安貴

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    2025年07月31日
  • 真鶴

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    いま私がもっとも関心を寄せている作家・髙村薫さんが、「川上弘美に出会えたことが大きかった」と語っているのをどこかで読み、それがきっかけで、この作品を手に取りました。この『真鶴』という小説は、独特のリズムをもつ文章で、人の心の深いところへ、静かに、まるでさまようように潜っていきます。そうして、人が生きていくということの核心に、なんとかして触れようとする。その結果、人が生きていくうえで、ある種の支えになるような言葉の連なりが生まれ、他にはない種類の小説になっているのではないかと感じました。

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    2025年07月21日
  • 大きな鳥にさらわれないよう

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    これは何度も美味しい小説ですね。
    一読目
    世界観とか想像するのに忙しすぎて脳内パニック。すごい世界観、驚いた、このサイズの本にこんなスケールの話が収まるの?しかもこの柔らかな雰囲気のSFって、何が何だか、、ぶっ飛ばされました。

    もう一回読んで、三読目くらいからようやく文章楽しめるのかな、、、

    いやぁすごかった、こんなみたことも聞いたこともない世界観だけど解像度高く情景が想像できてしまった、なんちゅう文章力。

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    2025年06月30日
  • 大きな鳥にさらわれないよう

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    短編集かと思って読み始めたら、とても不思議な世界に遭遇したような感覚で引き込まれて読み進めた。独特のふんわりした中にも鋭い感性が溢れた文章で、最初はきつねにつままれたような感覚で読んだが、
    最後まで読み、解説を読んだら作者の深い人間感というか世界観に感銘を受けた。

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    2025年06月29日
  • ニシノユキヒコの恋と冒険

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    ネタバレ

    魔性の男とその周りの女性たちとの話。
    高校生の頃から死に際までニシノという1人の男について書かれているけれどずっと掴みどころがなくて、掴むものがないようなそれこそ空っぽともとれた。それでも一つ一つの話で女性たちと関係をつくろうとしていくのは素敵なのに似たようなことが無限に起きてる。
    現実にいたらクズ男なのだけれどどこか憎めないのがニシノという男。
    面白いかどうかは分からないけれど、私はニシノのような男が出てくる少女漫画とか好きですし、悲恋も好きなので満足感がありました。

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    2025年06月16日
  • Seven Stories 星が流れた夜の車窓から

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    この小説を読んで、YouTubeで動画見ました!
    素敵な寝台列車でした!
    私もいつか未来の旦那さんと泊まってみたいなと思いました!

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    2025年06月13日
  • ハヅキさんのこと

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    とっても短い短編を集めた短編集。登場人物がみんなひょうひょうとしていてつかみ所がない。川上弘美の小説はいつもそう感じる。「森」50歳になってから好きだった幼なじみに再開する話が好きだった。それぞれの視点から描かれる浮気を疑う連作の「疑惑」もいい

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    2025年06月11日
  • センセイの鞄

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    ネタバレ

    ずっと読んでみたくて機会を逃し続けていたので今年の目標に「センセイの鞄」を入れてようやく読めました。
    センセイとツキコさんがカタカナで呼び合うのが印象的でした。ツキコさんが「センセイ」と呼ぶ時、小島孝や石野先生が「松本先生」と呼ぶのとは異なる温度を感じました。息子さんが「父春綱が生前お世話になったそうで」と話した瞬間は、センセイが他の人になってしまったような、ふたりの時間が本当に終わったような気持ちで悲しかったです。ツキコさんの泣く様子が目に浮かびました。
    冒頭、サトルさんのお店で会っていた頃のやりとりも楽しかったですし、中盤のパチンコへ行くあたりからの展開も良かったです。「干潟ー夢」の章は、

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    2025年06月07日
  • 大きな鳥にさらわれないよう

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    小さなエピソードがモザイクみたいに重なって、最後には一枚の大きな絵が浮かび上がってくるような構成がすごくよかった。

    物語が円を描くようなつくりになってて、読み終わったあとにもう一回最初から読みたい、と自然に思えた。

    自然に生まれたわけじゃない人間や、クローン、母という存在に管理される世界。現代の延長線にありそうなテーマを通して、自分たちの価値観や常識がどれだけ不安定なものなのかを突きつけられる感じがした。

    そもそも「人間を人間たらしめる条件」ってなんなんだ、と立ち止まって考えさせられる作品だった。


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    2025年06月03日