川上弘美のレビュー一覧

  • 神様

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    居心地のよい空間。
    みたいな文章で、大好きだし、気持ちよく読めるのに、読んだ端から内容忘れていくような感覚になる。
    なので、いつも新鮮な気持ちで手に取れる本。

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    2026年06月15日
  • 大きな鳥にさらわれないよう

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    川上弘美氏の国際ブッカー賞最終候補作品。
    冒頭の『形見』だけでは幻想的な短編作品のよう。しかし、一見無関係のような物語を読み進むにつれてパーツが組み合わさり壮大な世界の全容が見えてくる。この物語はSFであり神話であり、人類の滅亡と抗いと新生、愛と愚かさ、人間を網羅した現代的な寓話である。
    このような物語を構想し設計し書き上げる川上弘美氏の才能恐るべし。

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    2026年06月15日
  • 某

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    ネタバレ

    変わること、成長すること、これらの概念は異なると受け取った。
    変わるとは、過去と現在あるいは現在と未来で大きく変わり、不連続であること
    成長とは、その変化が1日単位では分からないほど緩やかで、地続きであること

    そして、生きることへの定義。
    日々刻々と変わってゆくこと。
    他の誰でもない自分として、いずれ死ぬことを自身で肯定すること。

    それを“誰でもない者”というたった一つの視点から客観的に物語ることが斬新。
    川上弘美にしか出来ない表現だと思った。

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    2026年06月01日
  • 蛇を踏む

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    ネタバレ

    正直この作品に意味を求めようとすることはナンセンスかもしれないと思う作品だった。意味より感覚で楽しむべきものなのだろう。しかし、完全にファンタジーに捉えるのもどうなのだろうか、そうしてしまうと少し何かを放棄した気分になってしまう。そんな難しくも美しい世界観の小説だった。ただ一応少しばかりの考察はしなければいけないという、よく分からない使命感から考察するだけしてみた。
    「蛇を踏む」での蛇とはなんだったのか。自分的には関係や繋がりを求める欲求の対象なのかと思った。蛇が化ける先は母や祖母、妻であってどれも繋がりの上にあるものであるし、性行為した相手が蛇になる描写からもそう考えられる。蛇の交尾は互いに

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    2026年05月29日
  • 王将の前で待つてて

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    巻末、ご自身が何十年かけてつくってきた句(一年に一句ずつ)について川上さんが思い出を語るコーナーがよかった。その自選自評コーナーと、あとがきを読み、メインの句集部分はパラパラと。

    自分が句を読まないせいもあるのだけど、やはり解説がなければ、句を味わうのは難しい。でも難しいといいつつ、著者の句は「状況描写→季語」(または逆の順番)というシンプルな構成の句が圧倒的に多く、しかも若い作家さんのように気を衒った単語や表現を は選ばないので、これまでに読んだ多くの句集よりは圧倒的に「味わえた」満足感がある。(単純に、好きな作家さんの句集だからーーということかもしれないけど。)

    季語に詳しくなりたいな

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    2026年05月19日
  • ぼくの死体をよろしくたのむ(新潮文庫)

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    なくしたものは:なくしたきれいな気持ちみたいな匂い
    お金は大切:十二万円のナポリタン、一晩中ワルツを踊る
    ルル秋桜:缶に集めたきれいな死体
    無人島から:「うん、それもある。でも、自分の子じゃなくてもみはるのことは、きっと好き」

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    2026年05月06日
  • 神様

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    寝る前に読んだからかぷかぷかした気持ちになりました。ちょうどありそうでないような、それぞれの物語の夢と現実の狭間の塩梅がとても良かったです。

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    2026年04月22日
  • 某

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    ネタバレ

    生きるとは何か、人間とは何か、というような哲学的な問いを投げかけてくる。
    しかし、物語は淡々と日常的に進められて、主人公が変身していき、不思議な時間軸の中を見せる。
    人間についてなのか、はたまた地球における生命体という大枠についてなのか。
    大胆な設定で、先が読めないが、静かにこの近未来?の世界に引き込まれていく。
    自分が何者なのか、自分の中に違う自分がいるような気がしたことがある人は少なくないだろう。
    そんな感覚が普通であることを疑似体験できる。

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    2026年04月17日
  • 神様

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    短編集だが、全体を通して、現実と昔話に出てくるような神話の世界が混じったような、独特の世界観で描かれている。
    1話目の一緒に散歩に行く「くま」をはじめ、どの作品にもちょっと不思議な登場人物が現れるて、読んでから、あれは神様だったのかしら?と思うような。イメージとしては八百万の神のようなものかもしれない。
    個人的には壺から出てくるモテ女子・コスミスミコと家庭のとりこみごとでニンゲンフシンに陥っていた気の毒な少年・えび男くんが印象に残った。
    川上弘美さんの作品は、かなり前に『センセイの鞄』を読んで以来。私は『神様』世界観が結構好みだったので、もっと他の作品も読んでみようと思う。

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    2026年03月24日
  • 伊勢物語

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    同じシリーズの森見さんの竹取物語とは真逆で、「原文に忠実に」のスタンスで書かれたとのこと。忠実なのに、言葉の選択と配置はまさに川上弘美ワールドなのが不思議だった。川上弘美ファンにはたまらない。川上さんの恋物語、やっぱり大好き。
    こちらがきっかけとなって生まれたのが『三度目の恋』。読み返すしかない。

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    2026年03月06日
  • 三度目の恋

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    まるで光源氏のようなナーちゃんと
    まるで紫の上のような莉子
    わずか2歳で恋に落ちて貫いた
    ありきたりの夫婦になっていく中
    ナーちゃんはまるで平安時代の人のように
    よそにも恋する人がいるのです

    そんな頃莉子は
    小学校の頃出会った
    不思議な高丘さんに
    再び出会い
    魔法を教えてもらう

    やがて夢の中で
    莉子は花魁への道を進むことになる
    現在と江戸時代と平安時代とを
    莉子と高丘さんは
    行ったり来たりして
    成長していく

    なんともたおやかな素敵な物語
    伊勢物語がモチーフとなっている
    すべての時代の女性の恋愛事情が
    この一冊に込められている
    夢のような読書時間でした

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    2026年02月27日
  • どこから行っても遠い町(新潮文庫)

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    この短編集に登場する人物一人一人の感性というか、物事に対する考え方感じ方みたいなものが自分と共通点があって、読んでいて頷きたくなってしまうような物語だった。

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    2026年02月23日
  • わたしの好きな季語

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    現代俳句の方が断然好きだけれど、川上弘美さんフィルターを通すと、定番季語の昔の俳句でも味わい深く読める。木星さんの句もちらりと。ご本人は謙遜されていたけれど、私は弘美さんらしいと思いました。すももと白T。
    (もう少し弘美さんエッセイ寄りの解説がついている方がもっと面白いのに、わりと俳句の教科書的なお話が多めだったかもしれない。)

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    2026年02月21日
  • ざらざら(新潮文庫)

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    短編小説を探してて、たまたまTwitterで見つけたので読みました!
    短編なので読みやすかったです
    彼氏にぎゅーとしたり、相談したくなるような中身でした♡

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    2026年02月18日
  • 神様

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    ネタバレ

    主人公の名前が最後まで分からない連作短編。名前がなくても、この人のやわらかいまなざしは一貫していて居心地が良かった。
    一話ずつご近所さんたちが登場して、ちょうどよい距離感でそれぞれ交流して、だんだん季節が巡っていくのが良かった。こんな風に付かず離れず穏やかに周囲と関わって生きていけたら、幸福な人生と言えると思う。少し寂しい別れもあるところが良い。
    人間社会で暮らす熊、梨の妖精、叔父の幽霊、河童、壺の魔人、鬼、人魚。色んな存在が世界を共有していることが不思議で可愛くておおらかで、少し怖い。
    生きることに疲れたらこんな本を読みたいと思わせてくれる、どこかあたたかい作品だった。

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    2026年02月14日
  • 神様

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    人には人の神様。
    熊には熊の神様。
    きっと梨や壺にも神様がいるのかもしれない。
    不思議なのにすとん、と入ってくる、日常とファンタジーが仲良く同居してる感じが心地良いです。
    熊と主人公と私が一緒に日向ぼっこしながら川辺でうたた寝しているような優しい温かなお話でした。

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    2026年02月07日
  • 蛇を踏む

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    動物が日常生活に馴染んでいるというマジックリアリズム。それを周囲の人々も同じ体験をしているという不可思議な世界。
    それ自体は別に珍しくないかもしれないが、蛇を踏むという一文から始まる作り方には感服した。
    他にも二編あったが、蛇を踏むが断然好き。

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    2026年02月07日
  • 夜の公園

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    この方のジャンル、そしてこの本の内容は
    まちがいなく「恋愛小説」だと思うのだけれど、
    解説を読むと、どうもご自分ではそんなつもりはないらしい。

    「ただお酒を飲むような話が好きなんだけど、
    いつの間にか登場人物の間で恋愛が始まってしまう」
    のだそうだ。

    ということは「恋愛小説」という型は
    話が進んでいくうえでの舞台設定、もっというと
    フォーマットのようなものなんだろうか。

    たしかに、殺人事件とか警官小説とかAI未来小説ではなく、
    川上さんが選ぶフォーマットは一貫して「恋愛」である気がする。

    今回のお話も、男女4人の恋愛をベースに、
    でもちょっと怖い結末も待っている。


    ※中公文庫238

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    2026年01月31日
  • 大きな鳥にさらわれないよう

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    この本の良かったところは、人間と観測者、そして大きな母という生み出す者によって物語が紡がれている点だと思う。みんな人間を愛し、憎んでいるところが本当に人間らしくて好きだ

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    2026年01月31日
  • 恋ははかない、あるいは、プールの底のステーキ

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    序盤は、著者の自叙伝的なものだとは理解しつつも設定が共感できなさすぎてオロオロし。読むのをやめようかと何度か思いましたが、でもだんだん小説として著者らしい世界観になっていって、最終的に夢中で読みました。弘美さんらしい素敵なお話でした。

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    2026年01月27日