川上弘美のレビュー一覧

  • ゆっくりさよならをとなえる(新潮文庫)
    表題「ゆっくりさよならをとなえる」が大好き。
    思わず朗読してしまった。
    川上弘美氏にはいつも「そのままで良いんだよ」と言ってもらっている。
    精神の安定のために川上氏のエッセイは側に置いておく。
  • 真鶴
    揺れるような不思議な小説。小舟で揺られているような。
    自分にとっては、仕事でしばらく忙しく、別のところに連れていかれるような感覚があり、心地よかった。心地よい・・ちょっと違うかな。。心の中に深く潜る・・というか。。自分はこのような状況に陥ったことはないし、異性だし、確かに理解しているとは感じられない...続きを読む
  • 龍宮
    川上弘美さんの英語翻訳版が発売。NYに実際にお越しいただき、直接お会いする機会まで。本当にありがたい。
    人間と異界の存在が交わる不思議な世界観を、まるで日常の中に溶け込ませるような格好で隣接させ、融合していく。客観的な視点から、主観的な視点に移しながら、日常をぐにゃりと曲げていく感じ。秀逸な、それぞ...続きを読む
  • ざらざら(新潮文庫)
    なにげない、さりげない日常の中で、とりわけ大声を上げて叫ぶほどでもないけれど、やり過ごすこともできない.....そんな「ざらざらな気持ち」を集めた短編集です
  • なんとなくな日々(新潮文庫)
    春の憂鬱→新緑の夢
    蝋燭の光→ゆすらうめ 
    この間の流れる感じがものすごく好み

    うすらうめ は多分この本の中でいちばんしっくりきたというか、すっと沁み込んだような気がする。なんだろう、今まで体験したり読んできたお話の中から拾い集めて自分にしてきたものが包まれてそっと置いてあった、みたいな、気持ちに...続きを読む
  • 恋ははかない、あるいは、プールの底のステーキ
    途中まで川上弘美さんが自分の経験を語っているのかと思って読んでいたが、途中で主人公の名前が出てきて違うということがわかった。
    最初の章に出てくるアメリカでの子供のころの経験話が最後までつながっていて、しかもそれが大昔の思い出であるにもかかわらず、登場人物たちはいろいろなことを覚えている。
    今は全員6...続きを読む
  • パスタマシーンの幽霊(新潮文庫)
    単純に読みやすい。
    普遍的な感情が文学的な表現に昇華されていることで、登場人物に共感しつつ別世界にトリップできる感覚(物語を読んだ感覚)を味わえる。
    「黒豆」や「輪ゴム」、「パスタマシーン」などのアイテムが物語ごとに使用されていることで、一つ一つの物語が印象に残る。
  • 三度目の恋
    伊勢物語を理解していれば、
    もっと楽しめただろうと思いつつ。

    最近の長編は特に、
    後半部のぎゅいんと動く、
    まさに動く描写のスピンがすごくて、
    どうやってこれを生み出すのだろうかと、
    川上弘美の内界を考えてしまう。

    表紙が大好きなjunaidaであるのも素敵。
  • 恋ははかない、あるいは、プールの底のステーキ
    久々の川上弘美さんの小説を読んだ。エッセイはずっと読んでるけど。同じ歳だから、川上さんの日常に思うことが共感できる。
  • ニシノユキヒコの恋と冒険
    川上弘美の小説は久しぶりに読んだけれど、これも大好きだった。ニシノユキヒコ、女たらしのような男なのに、どうしてか憎めないのはなんなんだろう。ニシノユキヒコという名が作品タイトルに入っているけれど、語りは彼ではなく、彼と関わった女の子たちだというところがよかったな。短編集みたいで読みやすかった。
  • 三度目の恋
    読む手を止められない。
    でも、噛み締めて読みたい…!
    年間100冊以上読む私が「一気読みするのは勿体ない…!」と躊躇するのは初めての体験でした。
    と、同時にこれはどんな答えを見出せばいいのか…今でも少し戸惑います。
    すっごくカロリーが高い作品であることは間違いないです。
    本来「愛しい」という気持ち...続きを読む
  • 東京日記7 館内すべてお雛さま。
    期待通りの七冊目。大好きな東京日記。繰り返し読むことになるだろう。うれしく、あたたかな気持ち。川上弘美先生の本に出会えて良かったな。数独の本、買ってみようかな。
  • 蛇を踏む
    数珠屋に勤める女性の、店主たちとの何気ない日々が描かれている。だが、私たちの世界とはちょっとだけ違う。この物語の世界では、蛇が人になるのだ。そして、そのことを誰も不思議がらない。読んでいて、とても不思議な気持ちになった。
  • パスタマシーンの幽霊(新潮文庫)
    一遍一遍読むたびに、はぁとひと息ついて、余韻に浸りたくなる。なんだかわからないけど、噛み締めたくなる。

    この短編集を手に取る前に、『ざらざら』『ぼくの死体をよろしくたのむ』を読んでいたので、リンクするお話を見つけるたびに感動していた。もちろん、この短編集から読んでも十二分に楽しめると思う。
    『ざら...続きを読む
  • 猫を拾いに(新潮文庫)
     大好きで何度も読んでる本。どれも本当に短いお話なのに印象的で心に残るし読み返したくなる。特に好きなものは、

    「猫を拾いに」
    あたしたちは、じきに、ほろびるんだね
    空想のようで現実のような少し切ない日常。

    「クリスマス・コンサート」「旅は、無料」
    一本の映画を見たような気持ちになる恋の話。

    ...続きを読む
  • 夜の公園
    やっぱり川上弘美さん♡
    可愛いくて、おしとやかで、深い。
    心の動きが、私が普段使わない優美な言葉で描かれている。
  • 東京日記7 館内すべてお雛さま。
    勝手に、作者の方を文学のすごい人で、高尚な遠い感じの人というイメージを持っていたので、ゆるく、ほっとして、たまに何だか笑ってしまうような内容に惹きこまれました。装丁も素敵ですね。紅白と駅伝を、録画して、お正月に晩酌をしながら3日とかかけて見る、というのに、年末年始で力がぐっと入っていたので何かほっと...続きを読む
  • 蛇を踏む
    ⚫︎受け取ったメッセージ
    「影」としての心との出会い

    ⚫︎あらすじ(本概要より転載)
    ミドリ公園に行く途中の藪で、蛇を踏んでしまった。
    蛇は柔らかく、踏んでも踏んでもきりがない感じだった。「踏まれたので仕方ありません」人間のかたちが現れ、人間の声がして、蛇は女になった。
    部屋に戻ると、50歳くらい...続きを読む
  • センセイの鞄
    「今年いっぱいはまだ三十七」の主人公の「わたし」と、「歳は三十と少し離れている(すなわち60代後半ということ)」「センセイ」の恋物語。センセイはわたしの高校時代の国語の教師であり、卒業から20年近く経ってから、偶然、再会したのだ。
    恋愛のテンポは驚くほどゆったりしている。「センセイと再会してから、二...続きを読む
  • 恋ははかない、あるいは、プールの底のステーキ
    とても、おしゃれ〜な気分になる。欧米人の会話ってウィットが効いてて、嫌味なく本気で喋っていいよな、とら思っているけど、そこを少し日本人的ないテイストで流してる感じ。口に出さなかったことも含めて、表現がおしゃれ。