川上弘美のレビュー一覧
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『「うん、そうだよね。でも、わかりやすくちゃ、だめなの?」ぼくは大ねずみに聞いてみた。最初は、大ねずみのことがこわかったけれど、今はもう、どっちでもよかった。いろんなことがあって、つかれてるからかもしれない。「だめとかいいとか決めるってことが、そもそもわかりやすいことじゃないのかい?」かあさんが、大ねずみのその言葉を聞いて、わらった』―『二人の夜』
ああ、なるほど。これは続編だったのか、と届いた本の表紙を見て理解する。本棚には横長の新聞の切り抜きの束がある。もちろん、単行本もあるが初の新聞連載ということで一日一日読み継ぐ愉しさを味わった名残だ。本当は、連載された後に単行本となったものを読む方 -
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現代語訳の伊勢物語。俵万智さんの「恋する伊勢物語」いわゆる解説本を読んだら、やはり伊勢物語を読みたくなり読み始めた。
解説本を先に読んでいたおかげで、内容はすんなりはいる。
現代語訳なので「昔、男ありけり」が「男がいた」なのは少し味気なく感じるけど、通して読みやすい。
やはり業平はイケメンである。
数行でも言葉少なくても濃密な内容に感じるのは、日本語の言葉の持つ奥深さだろうか。
和歌とはこうも心に残るものかと改めて思う。
平安末期に書かれたものに、書き写すごとに人々が加筆しながら残されたもの。
何が史実で何が虚構か?はっきさせることなく読み手が思いを馳せながら読むのが伊勢物語の魅力なのだろ -
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一つ一つの章の、作者の様々な場所に関わる記憶を、人生の縁とも捉えられるエッセイ。はじめて場所のことを書かれたとのこと(2005年)。
場所が全て違うからか、新鮮で、状況をイメージ出来て面白かった。まるで、目の前で語られているように感じてしまった。
大変おこがましいが、自分もそうだと思った章、どきっとしたり、意外だった章、息子さんとのやり取りではほっこりしたり。新婚旅行のお話が印象に残っています。10円を一枚一枚投入した、電話ボックスとか。記憶の隅にあるその場所は今でも覚えている。
自分の居場所について、改めて考えた。
大切な時が、大切だったと知るのは、いつだってその時が、遠く過ぎ去ってから。ほ -
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ネタバレ揺れるような不思議な小説。小舟で揺られているような。
自分にとっては、仕事でしばらく忙しく、別のところに連れていかれるような感覚があり、心地よかった。心地よい・・ちょっと違うかな。。心の中に深く潜る・・というか。。自分はこのような状況に陥ったことはないし、異性だし、確かに理解しているとは感じられない。でも、どこかの自らの心象風景に近づくことがある。
最初の文に>>
歩いていると、ついてくるものがあった。
まだ、遠いので、女なのか、男なのか分からない。どちらでもいい。かまわず歩き続けた。
・・・
布団はすぐに敷きます。風呂は地下です。そっけなく説明する息子が出て行ってから薄いカーテンを引くと、 -
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川上弘美さんの英語翻訳版が発売。NYに実際にお越しいただき、直接お会いする機会まで。本当にありがたい。
人間と異界の存在が交わる不思議な世界観を、まるで日常の中に溶け込ませるような格好で隣接させ、融合していく。客観的な視点から、主観的な視点に移しながら、日常をぐにゃりと曲げていく感じ。秀逸な、それぞれのストーリーを体験させていくことで、浮かび上がらせる人間の生き方。女性の存在を強く前に押し出すような作品を感じますという風にお伝えしたところ、私自身から自然と出てくるものであって、それだけを意識しているものではないんですよ、と爽やかな笑顔で語って頂いた。本当に、魅力的な内面の部分が溢れ出るような、 -
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ネタバレ読む手を止められない。
でも、噛み締めて読みたい…!
年間100冊以上読む私が「一気読みするのは勿体ない…!」と躊躇するのは初めての体験でした。
と、同時にこれはどんな答えを見出せばいいのか…今でも少し戸惑います。
すっごくカロリーが高い作品であることは間違いないです。
本来「愛しい」という気持ち、「愛」というものは、もしかしたら心苦しいものなのかもしれない。
幸せを運ばないのかもしれない。
けれども、人は「愛」を心に抱くことを辞められず、傷つき、悲しみながら生きていく。
「愛の形」は時代によって変わるけれども、「愛しい」「愛する」という気持ちの本質は変わらず、悲しいものなのかもしれないと思 -
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一遍一遍読むたびに、はぁとひと息ついて、余韻に浸りたくなる。なんだかわからないけど、噛み締めたくなる。
この短編集を手に取る前に、『ざらざら』『ぼくの死体をよろしくたのむ』を読んでいたので、リンクするお話を見つけるたびに感動していた。もちろん、この短編集から読んでも十二分に楽しめると思う。
『ざらざら』よりかはソフトな恋模様だった。
それぞれ異なる恋愛をしていて、チープな言い方になってしまうが、面白い。
表題作『パスタマシーンの幽霊』が特に大好きで、料理の不得意な主人公がケチャップごはんをつくるシーンが一番のお気に入りだ。短編集を読み終わってからも、この部分は何回も読み返しているし、実際に -
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ネタバレ⚫︎受け取ったメッセージ
「影」としての心との出会い
⚫︎あらすじ(本概要より転載)
ミドリ公園に行く途中の藪で、蛇を踏んでしまった。
蛇は柔らかく、踏んでも踏んでもきりがない感じだった。「踏まれたので仕方ありません」人間のかたちが現れ、人間の声がして、蛇は女になった。
部屋に戻ると、50歳くらいの見知らぬ女が座っている。「おかえり」と当たり前の声でいい、料理を作って待っていた。「あなた何ですか」という問いには、「あなたのお母さんよ」と言う……。
母性の眠りに魅かれつつも抵抗する、若い女性の自立と孤独を描いた、第115回芥川賞受賞作「蛇を踏む」。
⚫︎感想
ユングの「影」を想起した。積極