川上弘美のレビュー一覧

  • 伊勢物語

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    現代語訳の伊勢物語。俵万智さんの「恋する伊勢物語」いわゆる解説本を読んだら、やはり伊勢物語を読みたくなり読み始めた。
    解説本を先に読んでいたおかげで、内容はすんなりはいる。
    現代語訳なので「昔、男ありけり」が「男がいた」なのは少し味気なく感じるけど、通して読みやすい。
    やはり業平はイケメンである。

    数行でも言葉少なくても濃密な内容に感じるのは、日本語の言葉の持つ奥深さだろうか。
    和歌とはこうも心に残るものかと改めて思う。

    平安末期に書かれたものに、書き写すごとに人々が加筆しながら残されたもの。
    何が史実で何が虚構か?はっきさせることなく読み手が思いを馳せながら読むのが伊勢物語の魅力なのだろ

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    2024年07月20日
  • ぼくの死体をよろしくたのむ(新潮文庫)

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    ネタバレ

    短文だけど、とっておきの一文が来る感じ。小説と詩の間みたいな文章だった。展開もロマンチックで、一話は短いものの、満足度が凄い。後味が残るから、すぐ次に行かずに、暫く余韻を感じていたいと思えた。

    お気に入りの話は二百十日、土曜日には映画を見に。

    p200
    弱いってことは、とても強いことなんだな。

    p216
    好物じゃないネタの回転寿司のお皿が流れ去る、みたいな感じだな

    p238
    あのころ、わたしは小西さんと知りあったばかりで、小西さんとセックスしたり共に生活したりするさまを、ほんのぽっちりも想像できなかった。小西さんはでぶで汗かきでオタクで全然魅力的ではなかった。
    でもわたしは、小西さん

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    2024年06月29日
  • 猫を拾いに(新潮文庫)

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    「こないだ本よんでたらさあ。圭司はそこでぱさりとあおむけになった。こんなことが書いてあった。地球上の生活には金がかかるかもしれないけど、太陽のまわりを年に一周する旅が無料でついてくるって」

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    2024年06月24日
  • 此処 彼処

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    一つ一つの章の、作者の様々な場所に関わる記憶を、人生の縁とも捉えられるエッセイ。はじめて場所のことを書かれたとのこと(2005年)。
    場所が全て違うからか、新鮮で、状況をイメージ出来て面白かった。まるで、目の前で語られているように感じてしまった。
    大変おこがましいが、自分もそうだと思った章、どきっとしたり、意外だった章、息子さんとのやり取りではほっこりしたり。新婚旅行のお話が印象に残っています。10円を一枚一枚投入した、電話ボックスとか。記憶の隅にあるその場所は今でも覚えている。
    自分の居場所について、改めて考えた。
    大切な時が、大切だったと知るのは、いつだってその時が、遠く過ぎ去ってから。ほ

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    2024年06月15日
  • 恋ははかない、あるいは、プールの底のステーキ

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    好きです。淡々として、胸がきゅっとなる瞬間が確かにあるのに押し付けがましくない。川上弘美さんが好きだなといつもいつも思う。

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    2024年06月14日
  • ぼくの死体をよろしくたのむ(新潮文庫)

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    川上弘美さんのお話は とっても不思議でどこか共感できるそんな感じがします

    自分のできる事の60%くらいで 生きてていいんだなぁと思ったりしました

    「いいラクダを得る」「二百十日」がよかったです

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    2024年06月01日
  • 恋ははかない、あるいは、プールの底のステーキ

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    プールの底の灰色になったステーキ、極北の灰色になった渾然一体のスープ、翡翠の蝉、それが順繰りに浮かんでは消える読後感。六十代になった時、もちろんもう一度読みたいし、それまでも繰り返し読み返したくなる。
    三回読み終わって、今、溺レるを読み返したくなっている。なめらかで熱くて甘苦しくて、も。
    そう思うと、何だか泣きそうになった。

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    2024年05月27日
  • ぼくの死体をよろしくたのむ(新潮文庫)

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    なんてことない日常の中に紛れるはずの無い違和感が当たり前のように存在していて、読んでいて脳がバグったしとても不思議な気持ちになった。 こんな話の内容、ジャンル?に出会ったことがなかったため非常に新鮮な気持ちになった。

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    2024年05月25日
  • 危機の時代に読み解く『風の谷のナウシカ』

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    いかに漫画版「ナウシカ」が奥深い作品かという事を様々な方が語っています。
    この本を読んでいる最中は常に、「ナウシカ」を読み返したくなってしまいます。その欲求に抗いつつなんとか読み終えました。
    …さて、漫画版「ナウシカ」を出してきますか!

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    2024年05月21日
  • ゆっくりさよならをとなえる(新潮文庫)

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    表題「ゆっくりさよならをとなえる」が大好き。
    思わず朗読してしまった。それから幾度となく朗読するのが気に入っている。
    川上弘美氏にはいつも「そのままで良いんだよ」と言ってもらっている。
    精神の安定のために川上氏のエッセイは側に置いておく。

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    2024年09月29日
  • 真鶴

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    ネタバレ

    揺れるような不思議な小説。小舟で揺られているような。
    自分にとっては、仕事でしばらく忙しく、別のところに連れていかれるような感覚があり、心地よかった。心地よい・・ちょっと違うかな。。心の中に深く潜る・・というか。。自分はこのような状況に陥ったことはないし、異性だし、確かに理解しているとは感じられない。でも、どこかの自らの心象風景に近づくことがある。

    最初の文に>>
    歩いていると、ついてくるものがあった。
    まだ、遠いので、女なのか、男なのか分からない。どちらでもいい。かまわず歩き続けた。
    ・・・
    布団はすぐに敷きます。風呂は地下です。そっけなく説明する息子が出て行ってから薄いカーテンを引くと、

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    2024年04月14日
  • ざらざら(新潮文庫)

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    なにげない、さりげない日常の中で、とりわけ大声を上げて叫ぶほどでもないけれど、やり過ごすこともできない.....そんな「ざらざらな気持ち」を集めた短編集です

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    2024年04月14日
  • 龍宮

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    川上弘美さんの英語翻訳版が発売。NYに実際にお越しいただき、直接お会いする機会まで。本当にありがたい。
    人間と異界の存在が交わる不思議な世界観を、まるで日常の中に溶け込ませるような格好で隣接させ、融合していく。客観的な視点から、主観的な視点に移しながら、日常をぐにゃりと曲げていく感じ。秀逸な、それぞれのストーリーを体験させていくことで、浮かび上がらせる人間の生き方。女性の存在を強く前に押し出すような作品を感じますという風にお伝えしたところ、私自身から自然と出てくるものであって、それだけを意識しているものではないんですよ、と爽やかな笑顔で語って頂いた。本当に、魅力的な内面の部分が溢れ出るような、

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    2024年04月14日
  • なんとなくな日々(新潮文庫)

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    春の憂鬱→新緑の夢
    蝋燭の光→ゆすらうめ 
    この間の流れる感じがものすごく好み

    うすらうめ は多分この本の中でいちばんしっくりきたというか、すっと沁み込んだような気がする。なんだろう、今まで体験したり読んできたお話の中から拾い集めて自分にしてきたものが包まれてそっと置いてあった、みたいな、気持ちになった

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    2024年04月11日
  • 恋ははかない、あるいは、プールの底のステーキ

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    ネタバレ

    途中まで川上弘美さんが自分の経験を語っているのかと思って読んでいたが、途中で主人公の名前が出てきて違うということがわかった。
    最初の章に出てくるアメリカでの子供のころの経験話が最後までつながっていて、しかもそれが大昔の思い出であるにもかかわらず、登場人物たちはいろいろなことを覚えている。
    今は全員60代で、その登場人達の中で恋愛っぽい話ことも出てきて面白い。

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    2024年04月05日
  • 三度目の恋

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    伊勢物語を理解していれば、
    もっと楽しめただろうと思いつつ。

    最近の長編は特に、
    後半部のぎゅいんと動く、
    まさに動く描写のスピンがすごくて、
    どうやってこれを生み出すのだろうかと、
    川上弘美の内界を考えてしまう。

    表紙が大好きなjunaidaであるのも素敵。

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    2024年03月19日
  • 恋ははかない、あるいは、プールの底のステーキ

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    久々の川上弘美さんの小説を読んだ。エッセイはずっと読んでるけど。同じ歳だから、川上さんの日常に思うことが共感できる。

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    2024年03月05日
  • ニシノユキヒコの恋と冒険

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    川上弘美の小説は久しぶりに読んだけれど、これも大好きだった。ニシノユキヒコ、女たらしのような男なのに、どうしてか憎めないのはなんなんだろう。ニシノユキヒコという名が作品タイトルに入っているけれど、語りは彼ではなく、彼と関わった女の子たちだというところがよかったな。短編集みたいで読みやすかった。

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    2024年02月14日
  • 三度目の恋

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    ネタバレ

    読む手を止められない。
    でも、噛み締めて読みたい…!
    年間100冊以上読む私が「一気読みするのは勿体ない…!」と躊躇するのは初めての体験でした。
    と、同時にこれはどんな答えを見出せばいいのか…今でも少し戸惑います。
    すっごくカロリーが高い作品であることは間違いないです。
    本来「愛しい」という気持ち、「愛」というものは、もしかしたら心苦しいものなのかもしれない。
    幸せを運ばないのかもしれない。
    けれども、人は「愛」を心に抱くことを辞められず、傷つき、悲しみながら生きていく。
    「愛の形」は時代によって変わるけれども、「愛しい」「愛する」という気持ちの本質は変わらず、悲しいものなのかもしれないと思

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    2024年02月04日
  • 東京日記7 館内すべてお雛さま。

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    期待通りの七冊目。大好きな東京日記。繰り返し読むことになるだろう。うれしく、あたたかな気持ち。川上弘美先生の本に出会えて良かったな。数独の本、買ってみようかな。

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    2024年01月28日