川上弘美のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
『示準化石とは、ある地質時代に特有の化石のことで、たいがい、すでに滅びている生物の化石であるとされる。人類は今のままではやがて滅びてしまう、という嘆きではまったくなく、なぜならどんな生物種も、いつかは滅びるものだからであり、それは悲劇でもなんでもない。むしろ、化石として残ることのできる幸運、種としてわずかな時(地球時間でいえば人類の繁栄している時間はごくごく短い)でも存在できたことの幸運をこそ、言祝[ことほ]がなければと思う』―『自選一年一句』
俳句のようなものを詠んでいると、写生を越えた何かをつい詠み込みたくなる。そしてそれがすっと言葉にできた時の達成感。どこまでも自己満足な達成感だし、他 -
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Posted by ブクログ
今月の頭に内定式のために行った東京で、生まれてはじめて神保町を訪れた。古本屋でついつい名前を探してしまう著者はそんなに多くないが、川上弘美は私にとってそのうちの一人である。短編集だというのも相まって、すぐに150円と引き換えにこの本を手に入れて、帰りの新幹線でのんびり読んだ。今日になってやっと最後まで読み終わったので感想記録。
一番好きなのは、うーん、決められない。「クリスマス・コンサート」「旅は、無料」の連作は良かった。金色の道、も素敵。川上弘美の書く年の差恋愛は大好物だから。朝顔のピアス、捨てがたい。「猫を拾いに」はそこまで刺さらなかったけど、自分にしてはこれは珍しい。表題作ってやっぱり -
Posted by ブクログ
ネタバレ家族についての、物語。
家族とは、何だろうか。
たとえば、結婚している男女、血のつながり…。
でも、そうではなくて、呼び名はどうであれ、一緒に暮らしているなら、それは家族なんだと思う。
誰と一緒に暮らしたいか、誰と家族になりたいかは、それぞれの選択だ。
ママは、武治さんではなくパパを選び、ママ曰く、パパとはそれ以上の関係ではないらしいけれど、兄妹としてではなく、パパママとして家族になった。
ママはとても魅力的で、この家族の物語の中心に、ママがいる。
解説で江國香織は、1986年の章は音楽のようだ、と言うけれど、まさにその通りで、この小説全体も、現在と過去を行き来し、まるでフーガのようなのだ。