川上弘美のレビュー一覧

  • 光ってみえるもの、あれは

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    「"ふつう"って何?」みたいな翠くんの中にうずまいている居心地の悪さに我々が向き合うにはとうに歳をとりすぎていて、だからそのことを語ろうとしても口から出るのは自分というものを世界から切り離して俯瞰のつもりで語る空想にすぎなくなるのだから、それを自覚できているだけいくぶんかましだとおしだまるのが吉。
     川上弘美という作家は私を含めた川上弘美ファン全員にとって自分の生活/思考様式の中で大きな位置を占めてしまう、いうなれば病のようなところがある、だろう。あるだろう。私の周りには何人か、好きな作家を尋ねたときに「川上弘美」と答える人たちがおり、そしてその人たちの書く文章というのは川

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    2023年07月11日
  • 東京日記 6 さよなら、ながいくん。

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    この感覚はすっごく好きです。

    今度、小説も読ませてもらいます。
    ありがとうございます。日記を書いてくれて。

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    2023年07月02日
  • パスタマシーンの幽霊(新潮文庫)

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    久しぶりに川上弘美の作品を読んだ。
    川上弘美作品に出てくるちょっと行儀が悪かったり、性格に難アリというような主人公をチャーミングに描いているところが好きだ。作品内の他キャラクターには「チャーミングですね」とは認識されていなくとも読者にはどこか可愛く思えるし、そういう少しの「難」を抱えた読者をちょっと救う話ばかりだ。

    物語そのものは大きく変化していなくて、問題に対する心持ちだけがギュンと変わりましたよというお話が大好きなのでかなり良い作品集だったなあと感じた。

    特に表題作の「パスタマシーンの幽霊」で主人公が披露するケチャップごはん(ほかほかごはんにバターと醤油、ケチャップを回しかけて適当にぐ

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    2023年06月17日
  • 猫を拾いに(新潮文庫)

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    川上さんの作品は、いつもハッとさせられる。これまで気が付けなかった視点や、言語化できなかった気持ちに出会える。

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    2023年06月08日
  • 危機の時代に読み解く『風の谷のナウシカ』

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    何年も前に読んだナウシカをまた読みたくなったきっかけだった。
    こんなに深い視点がいっぱい詰まった作品だったとは思わなかった。当時読んだ時は20代前半でまだ世の中の現実や厳しさなどほとんど知らない世界で過ごしていたためか、ほとんど心に残っていなかった。というよりも理解できていなかったのだと思う。
    もう一度ナウシカを読み始めて、同時にこの本も読んでたくさんの人の考察を見ると、全然見える世界が変わった。
    本書の誰かも書かれていたけれど、過去に読んだ時と別にもう一度読み直すと見える世界が違う。まさに自分もそうだった。

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    2023年06月06日
  • 真鶴

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    心の中の葛藤が正直過ぎて切なくなる
    がんばったね
    辛かったね
    時間が
    大切なものの存在が
    現実に導いてくれたね

    執着しない事が「トレンド」な昨今
    それに反した執着ありきの
    とてもシンプルで普遍的な「愛」のお話しでした

    こんなふうに
    さらけ出した文学はとても好物です
    幽霊の解説もとても良かった

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    2023年05月29日
  • 夜の公園

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    人が人を好きになる不条理さやら切なさやら、息苦しいくらい読んで取れた。

    結局は誰も幸せになってない感じも、私独りよがりの感想なのかも。

    捉え方は複雑だけど、僕は胸に染みた、傑作だと思います。

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    2023年05月28日
  • 夜の公園

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    不倫関係のつながり
    ① 妻
    ② 夫
    ③ 妻の親友(独身)/ 夫の不倫相手
    ④ 妻の不倫相手 / ⑤の弟
    ④ 夫の友人(独身)/ ③の男友達
    ⑤ ③の男友達(独身)/ ④の兄
    ⑥ ③の男友達(独身)

    最終的に皆自分たちの居場所を見つけ出し始めて、これらのつながりは解消されていくところで物語は終了。
    登場人物の気持ちのうつろいや感情の揺れ動きを、作者はゆったりとした文体で丁寧に描写しているところが良かったです。

    物語はスリリングな展開はなく、波が打ち寄せてはかえるといった情景が浮かんでくるような、穏やかで平和な流れで構成されていました。

    文章の細やかな描写に惹かれ二度読みましたが、一度読んだ

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    2023年05月11日
  • 某

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    ネタバレ

    「今の自分に納得いかなくて全く違う誰かになれたらいいのに……」「朝起きたら佐々木希になってますように……」「Twitterでの自分はキラキラOLで彼氏とも上手くいってて……」「転職先ではパリピとして振舞おう……」そんなふうに普段から思いながら生活をしているわたしにとって、とてもぴったりな作品でした。
    そして、本当に愛する人ができた時に他の誰でもない自分でありたいと願ったり、その人のために生きたいとか命を投げ出したりとか、本当の愛について深く考えました。

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    2023年05月06日
  • センセイの鞄(谷口ジローコレクション) : 2

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    こうなってほしくない、こうなってほしい、と私が願うままにうまく物語が展開されて、終わっていったー。不思議な感覚。
    原作を読みたいような読まずにいたいような…
    読みたい!と思う日がきたら読む。

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    2023年05月02日
  • センセイの鞄(谷口ジローコレクション) : 1

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    はじめは2人を不気味に感じてしまったが、お酒やおつまみがおいしそうだったり、散歩の空気を感じられたり読んでて胸がいっぱいになる。きのこ狩りのあたりからもうこの物語がとても好きになっていた。
    2も読みます。

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    2023年04月12日
  • センセイの鞄

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    めっちゃ良かったです。良すぎて、下手な感想が書きにくい…。
    よく思うのが、恋愛が成就する、というのは、どういうことなのか、ということ。30も歳の離れたセンセイと、30代後半のツキコの場合、恋愛が成就するってどういう状態なのかな?って考えてしまったんですが、やっぱり、いくつになっても恋愛はいいものだし、自分の年齢も相手の年齢もそんなこと、どうでも良いことなのでしょう。

    と、月並みなことしか、書けないですが、とても良かったです。

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    2023年04月09日
  • これでよろしくて?

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    川上弘美の小説は、いきなり「?」な始まり方をする。元彼の母親?これでよろしくて?同好会?どこから出されてるの?その議題…どうにもこうにも食えない女達が次々登場。ドラマにしてくれないかなぁ〜と思った作品。

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    2023年03月30日
  • 某

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    「誰でもない者」という独特な設定なのに、なぜかすっと受け入れられた。一つ感じたのは、じゃあ私は空っぽではなくちゃんと私であれているのかなということ。もっと私自身と寄り添ってみよう。

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    2023年03月26日
  • 神様 2011

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    川上弘美さんらしい柔らかで優しい文体の中に、まじらわず冷たく光る"あの事"の描写。みんな口々に放射線の話をしている。神様自体が可愛らしくて大好きな短編だが、こんな形でリメイクするとは思いもしなかった。
    変わってしまったんだなあ。もう戻もどらないのか、それとも人の力で元にもどせるのか。

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    2023年03月18日
  • パスタマシーンの幽霊(新潮文庫)

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    雑誌「クウネル」に連載していた短編集。
    柔らかくて不可思議で美味しそうな相変わらずの川上ワールドを堪能しましたとさ。
    お腹すいたー。

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    2023年03月11日
  • 神様

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    表題作『神様』を初めて読んだとき、ただ落ち着いたのをよく覚えている。川上弘美さんの小説に出てくる人は無表情でしんとしていて私はすごく落ち着く。『花野』、『春立つ』あたりが好き。

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    2023年02月06日
  • どこから行っても遠い町(新潮文庫)

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    ネタバレ

    これはタイトルが猛烈に好きで中身も知らずに買った本。東京のどこかの町の、商店街を中心とした11の連作短編集だった。読む前から絶対に好きだと分かっていたけれど、最後まで読んでみてやはり大好きだった。
    ただ続いていく日常と積み重なっていく過去。この町で働く人、買い物に訪れる人、住居としている人。主人公が代わっていっても一様に温度の低さが心地よく、誰も無理をしていないように見える。
    この町の人々は、自分の心と孤独に向き合い、隣人に心をさらけ出したり隠してみたり、付かず離れず生きている。どこにでもいそうだけれどここにしかない、はかない繋がりがあって、それがどうしようもなく心を惹きつける。
    特に忘れられ

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    2023年01月10日
  • 某

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    ネタバレ

    某って響きいいな。
    こんな簡単に色んな人に変われたらなーって誰しも思うよなぁ。女にも男にも日本人以外にもなってみたい。しかも元の人間の記憶がありながら。
    大切な人が出来たら変わらないことを望むかー。確かに。考えたことなかった。今のその人自体が好きなんだものね。ありのままが1番ってわけだ。

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    2022年12月17日
  • 神様

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    夏休み 春立つ が好きだった。

    どのくらい若いかというと、自分がどんなに若いかも気がつかないくらいの、若さである

    「好きっていうのは、好かれたいことよ」

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    2022年11月13日