川上弘美のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
1人の作家を読み続ける傾向のある私はいつも最後の作品になると寂しくなる。。
この作品が川上小説の最後になってしまった。。
実はもう一作、幻冬舎から『いとしい』って作品が出ているんだけど、これが取り寄せ不可で今のところこれが最後の作品になってしまったの。。
この物語は4編からなる短編集で『うそはなし』の中でもちょっとまた異質な感じだった。。
表題作の『物語が、始まる』は絶対にない話でありながら、この広い世界のどこかで、こんな経験をしている人がいなくもなさそうだし、『トカゲ』は読み始めの最初の印象が最後にはがらっと変わるジェットコースター風だったし、『婆』の不思議は体験してみたい不思議だった。。
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Posted by ブクログ
ネタバレ普通の日本の風景のように始まった物語だが、進むにつれてどこかおかしい。違和感がどんどん増えていく。
ほとんど絶滅している人類の、最後の生き残りたちが生きる様子を、詩的な文章で描いていて、本当にこんな未来になるかもしれないと思わせる力がある。
世界観がはっきりしていて、最後の方でそれを説明しすぎてしまうところがやや難点か。雰囲気から読み取れるぐらいにしておいた方が、詩的な文章とのバランスがよかったかもしれないと思った。
ともあれ、想像力はすばらしく、読者の頭の中にも想像の世界をくっきりと立ち上げることができるすばらしい文章だった。これは映像では決してできない、文学だけが持つ力だと思う。 -
Posted by ブクログ
「女はたいがい、可愛いか、怖いか、無関心か、過剰かだ。」
「恋をすると、誰でもちょっぴりずつ不幸になるよ」
「好きなら、しょうがないわね もうちょっと、じたばた、したら」
不思議な話が多いけどそれをあれこれ言語化するのは野暮な気がしてきてしまう。このふわっとした感じが川上弘美さんの作品の味だと思う。っぽいことは書こうと思えば書けそうだが、「ぽさ」しかない。唯一無二だと思う。やわらかそうでふにゃふにゃしてて実態があるのかどうかもわからないのに、芯を感じる。優しく撫でられたようなのにちくちくする。
恋愛小説というよりも限りなく恋に近い物語が多い。どことなく居心地が悪いのにずっとこの話の中にいたい -
Posted by ブクログ
「ルツ」という女性が様々な平行世界で、どんな選択をしてどういう生き方をしているかを、それぞれ描いているという物語。
誰しもが「あの時こうしていたら」と、生きていく中で思ったことがあると思うけど、それが物語の中で行われていて、すごく満足感のある話だった。
最終的にはそれぞれが、幸せというものを発見して噛み締めていた。
中には、「それで本当に幸せって言えるの?」と思えるような結末もあったけど、それぞれ自分が選択した人生だから、っていうのが答えなのかな?
小説を書いた世界線の話、身近な人間を参考に物語を広げて書いているっていうのが面白そうすぎて私も書いてみたいな、と少し思った笑
でもそう簡単に上手く -
Posted by ブクログ
ネタバレ前作『七夜物語』の主人公鳴海さよと仄田鷹彦の二人は、冒険のあとそれぞれの人生を送り、大人になった。
そしてさよの息子の絵(かい)と仄田君の娘(りら)は小学4年生、同じ学校のクラスメートである。
りらは、クラスの女子三人組にいじめられている。
父親の仄田くんもそうだったように、頭はいいのに空気を読まない、少し変わったところがあるからだ。
絵はりらがいじめられている事に気付いても、しばらくは何もしなかった。
どうしたらいいのかわからなかったし、そのことについて考えるのも気が重かったからだ。
ふたりが冒険に出るきっかけはそういうことだったのだけど、そこに至るまでの絵の日々、りらの思いなどが丁寧に -
Posted by ブクログ
最初の1行が秀逸だと思ってる。
本の表紙を見て本を手に取るのと一緒で、最初の1行を読んだだけで、心がときめいてしまう作家さんだ。
「鍵」
うしろ姿に胸がときめいたのは、生まれてはじめてのことだった。
「大聖堂」
リンゴン、リンゴン、と聞こえるのは、二号室の人の目覚ましの音だ
「ずっと雨が降っていたような気がしたけれど」
とろりとした繊細なブラウスだった。
「二人でお茶を」
今日のあたくしの服、ちょっと痛い、って言われたの。それってどういう意味?
「銀座午後2時 歌舞伎町あたり」
どうして私は今、こんなところにいるんだろう
「なくしたものは」
起きたらすぐおまじないを唱える
「儀式」
私の一日 -
Posted by ブクログ
寝る前から読み始め、次の日のお昼頃には読み終えた。
真鶴、まなづる。
良い響き。
神奈川県に真鶴半島という場所がある事をGoogleに教えてもらった。
文章から真鶴の海の香りを感じ、瀬戸内海の海の香りも感じた。二つの海の香りは全く違く感じた。
ついてくるもの、とは何だったんだろう。
この物語からたくさん、"距離感"というものを感じた。
京と娘の百、礼、青茲。
皆、距離を感じた。
京と礼の、近づきたいのに近づかせてくれない押し問答は読んでて途中とても辛くなってしまった。
主人公京と1番距離が最終的に近かったのは多分、ついてくるもの、だっただろう。
友達、になったんだと思う。