川上弘美のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
最初の1行が秀逸だと思ってる。
本の表紙を見て本を手に取るのと一緒で、最初の1行を読んだだけで、心がときめいてしまう作家さんだ。
「鍵」
うしろ姿に胸がときめいたのは、生まれてはじめてのことだった。
「大聖堂」
リンゴン、リンゴン、と聞こえるのは、二号室の人の目覚ましの音だ
「ずっと雨が降っていたような気がしたけれど」
とろりとした繊細なブラウスだった。
「二人でお茶を」
今日のあたくしの服、ちょっと痛い、って言われたの。それってどういう意味?
「銀座午後2時 歌舞伎町あたり」
どうして私は今、こんなところにいるんだろう
「なくしたものは」
起きたらすぐおまじないを唱える
「儀式」
私の一日 -
Posted by ブクログ
寝る前から読み始め、次の日のお昼頃には読み終えた。
真鶴、まなづる。
良い響き。
神奈川県に真鶴半島という場所がある事をGoogleに教えてもらった。
文章から真鶴の海の香りを感じ、瀬戸内海の海の香りも感じた。二つの海の香りは全く違く感じた。
ついてくるもの、とは何だったんだろう。
この物語からたくさん、"距離感"というものを感じた。
京と娘の百、礼、青茲。
皆、距離を感じた。
京と礼の、近づきたいのに近づかせてくれない押し問答は読んでて途中とても辛くなってしまった。
主人公京と1番距離が最終的に近かったのは多分、ついてくるもの、だっただろう。
友達、になったんだと思う。 -
Posted by ブクログ
私はお能を嗜んでいるので、お能の曲の出典として伊勢物語には馴染んでいる。
あとがきに訳者の川上さんも書いているけれど、ひとつひとつの話はごく短く、けれど和歌によってお話の世界が広くなる。和歌には世界観を二重、三重にする仕掛けがある。
さらにそこから能の作者は想像を膨らませてたくさんの曲を作ってきた。物語そのまま取り入れているときもあるし、背景に手を加えてよりドラマチックにしているものもある。短いお話だけに、よりインスピレーションを刺激されたんだろうな。
たくさんある伊勢物語の翻訳本のなかでも、小説家ならではの和歌の翻訳が、とても効いている本だと思った。 -
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Posted by ブクログ
ネタバレ漫画「応天の門」にどハマりし、宝塚歌劇団「応天の門」「花の業平」も観に行ったのを期にちゃんと原典読もうと思いました。
ちょうど、川上弘美さんの現代訳出てることだし!と。積んでしまってましたが。。。
古文の授業で、六段「芥川」とかはやってたのですがまとめてしっかり読むのは初めてです。
面白かったです。たしかに、和歌以外の地の文?は状況描写のみ。
川上さんのすらりとした訳も良いなぁと思います。
愛だの恋だのいってる歌ばかりかと思いきや、紀有常との友情の歌もよかったです。
そんな中にあるからなのか、百一段の和歌にしびれました。こんなギリギリな和歌で描く話あったのか。
誰でも彼でもすんなり顔を見ら -
Posted by ブクログ
カワカミ的登場人物がたくさん登場して、カワカミ的言葉でカワカミ的表現がされていて、あ〜〜川上弘美好きだ〜という気持ちになった。
この短編集を読んで、川上弘美の描く女同士の距離感とか関係性がすごく好きかもしれないと気づいた。『ざらざら』に収録されている「桃サンド」とか、たまらなく好きだったかも。本作収録の「いまだ覚めず」は女同士の関係が不思議な世界観の中に描かれていて、「こういうのだよ、こういうの…!」と電車のなかでにやにやしながら読んだ。この話の世界は色褪せていて、懐かしい感じがして、でもすこし怖くて、ほんとうに好きだ。表題作「おめでとう」は、純粋に語られる愛とさみしさに不覚にも涙が誘われてし -
Posted by ブクログ
やわらかな言葉で終わりゆく世界が静かに描かれおり、気づいたらこの不穏で、不思議な、滅びゆく世界に深く没入している自分に気づき....うっかり数日で読破。
読みながら国立科学博物館の展示の一つである宇宙や地球や人のなりたち・進化をアニメーションで映した「地球史ナビゲーター」の映像がリンクし頭の中をくるくる駆け巡る。
あの暗い部屋でゆるやかに繰り返される宇宙と世界と人の物語をぐるぐる・ぼんやり観た時の感覚とこの本の読後感が非常に似ていた。
私たちはなに?
私たちはどこからどこへ?
愛とは?
人とは?
そんな答えのない問いを繰り返しながら我々は結局、愛して憎んで闘ってを輪廻の如く繰り返し続け今 -
Posted by ブクログ
5人の小説家の短編と、2人のクリエイティブディレクターのアンソロジー
テーマは九州の特別列車「ななつ星」に乗り込む乗客の物語だ
列車はたくさんの人を一度に運ぶけど、乗客の一人一人はそれぞれ特別な想いを持って列車に乗り込む
5人の作家さんが寄せたとても短い物語には人生という長い長い想いが乗っていることに気が付く
恩田陸さんの「お姉さん」が仕組んだ、複雑で切ない物語も時間の長さと、生きようとする想いの深さが音楽に乗ってやってくる
個人的には小山薫堂氏の言葉が圧巻だった
人から人へ繋ぐ想いが言葉となって、香り高く温かみを持って伝わってくる
「共感」という到達点はその気持ちを理解しようとする意識の