川上弘美のレビュー一覧

  • 伊勢物語

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    ネタバレ

    漫画「応天の門」にどハマりし、宝塚歌劇団「応天の門」「花の業平」も観に行ったのを期にちゃんと原典読もうと思いました。
    ちょうど、川上弘美さんの現代訳出てることだし!と。積んでしまってましたが。。。

    古文の授業で、六段「芥川」とかはやってたのですがまとめてしっかり読むのは初めてです。
    面白かったです。たしかに、和歌以外の地の文?は状況描写のみ。
    川上さんのすらりとした訳も良いなぁと思います。

    愛だの恋だのいってる歌ばかりかと思いきや、紀有常との友情の歌もよかったです。
    そんな中にあるからなのか、百一段の和歌にしびれました。こんなギリギリな和歌で描く話あったのか。
    誰でも彼でもすんなり顔を見ら

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    2025年11月03日
  • どこから行っても遠い町(新潮文庫)

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    好きだなー
    小説を書く予定はないけど、もし小説家になるとしたらこんな小説が書きたいと思う。
    不倫が多すぎる気はするが。

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    2025年10月26日
  • 東京日記7 館内すべてお雛さま。

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    日常の中の不思議。
    コロナ禍でも、やっぱり不思議な日常が続いていく。
    それが、安心と嬉しいと楽しいを連れてくる。

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    2025年10月24日
  • 大きな鳥にさらわれないよう

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    自分の中で、その本に対する感想がまとまらない時は、気持ちが自分の中でまとまるまで、その本のレビューや解説を見ないことにしている。
    この本も、読んでいる間中ずっとふわふわした非日常感を感じたり、常識の通じない異国に来てしまったような心許なさを感じたりした。
    でもそれが嫌な気持ちではない、というのが不思議なところ。
    短編の語り手たちの多くが身の回りの世界をよく理解できてない感覚と、読み手である自分が、この物語をうまく掴めていない感覚がすごくリンクする。
    二回読み返した、お気に入りの本になりそう。

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    2025年10月16日
  • 東京日記 6 さよなら、ながいくん。

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    くすりと笑えて、ほんわかする、川上弘美の日常。
    めぐりめぐって、私もいつかながいくんに会えるかもしれないし。
    そのうち私も、冷蔵庫と会話を交わすようになるかもしれないし。
    日常の中の、気に留めないほど小さな日常の話。

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    2025年10月16日
  • わたしの好きな季語

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    俳句における季語。
    多分、本当は季語だけではないのだろうけれど、言葉ひとつに込められた多くの情景が、あんなに短い俳句という形式を成立させている。
    その情景は、厳密に言えば、一人一人違うものだろう。
    でも、重なる部分もあって。
    自分にとっては当たり前すぎて語られなかった情景が、それぞれの言葉の中にはあるはずだ。
    それをよくよく吟味して、俳句は作られる。
    ああ、俳句って面白いな、と思った。
    そしてここには、それぞれの季語に対する、川上弘美の情景が語られている。

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    2025年10月16日
  • おめでとう(新潮文庫)

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    カワカミ的登場人物がたくさん登場して、カワカミ的言葉でカワカミ的表現がされていて、あ〜〜川上弘美好きだ〜という気持ちになった。
    この短編集を読んで、川上弘美の描く女同士の距離感とか関係性がすごく好きかもしれないと気づいた。『ざらざら』に収録されている「桃サンド」とか、たまらなく好きだったかも。本作収録の「いまだ覚めず」は女同士の関係が不思議な世界観の中に描かれていて、「こういうのだよ、こういうの…!」と電車のなかでにやにやしながら読んだ。この話の世界は色褪せていて、懐かしい感じがして、でもすこし怖くて、ほんとうに好きだ。表題作「おめでとう」は、純粋に語られる愛とさみしさに不覚にも涙が誘われてし

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    2025年10月08日
  • 大きな鳥にさらわれないよう

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    やわらかな言葉で終わりゆく世界が静かに描かれおり、気づいたらこの不穏で、不思議な、滅びゆく世界に深く没入している自分に気づき....うっかり数日で読破。

    読みながら国立科学博物館の展示の一つである宇宙や地球や人のなりたち・進化をアニメーションで映した「地球史ナビゲーター」の映像がリンクし頭の中をくるくる駆け巡る。
    あの暗い部屋でゆるやかに繰り返される宇宙と世界と人の物語をぐるぐる・ぼんやり観た時の感覚とこの本の読後感が非常に似ていた。

    私たちはなに?
    私たちはどこからどこへ?
    愛とは?
    人とは?

    そんな答えのない問いを繰り返しながら我々は結局、愛して憎んで闘ってを輪廻の如く繰り返し続け今

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    2025年10月06日
  • 大きな鳥にさらわれないよう

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    最初は世界観に慣れず「??」と
    なりながら読み進めていたが
    徐々に見えてくる世界観や
    短編集?と思ってたら絶妙にリンクしてるお話で
    どんどん引き込まれていきました。

    一文ずつ短く淡々と描かれているのが
    滅びゆく世界観を表してるようで
    どこか怖さがありつつ、優しい温かさも感じた。

    人類滅亡の話なのに
    読み終わったあと、
    これは希望のお話なのだと感じた。
    叶わないと諦めてもなおも希望を抱き
    小さな祈りを捧げる、そんなお話。

    祈りは人が生きている限り続くんですね。

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    2025年10月03日
  • Seven Stories 星が流れた夜の車窓から

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    5人の小説家の短編と、2人のクリエイティブディレクターのアンソロジー
    テーマは九州の特別列車「ななつ星」に乗り込む乗客の物語だ
    列車はたくさんの人を一度に運ぶけど、乗客の一人一人はそれぞれ特別な想いを持って列車に乗り込む

    5人の作家さんが寄せたとても短い物語には人生という長い長い想いが乗っていることに気が付く
    恩田陸さんの「お姉さん」が仕組んだ、複雑で切ない物語も時間の長さと、生きようとする想いの深さが音楽に乗ってやってくる

    個人的には小山薫堂氏の言葉が圧巻だった
    人から人へ繋ぐ想いが言葉となって、香り高く温かみを持って伝わってくる
    「共感」という到達点はその気持ちを理解しようとする意識の

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    2025年09月30日
  • 大きな鳥にさらわれないよう

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    大きな「鳥」にさらわれないよう、「」この中に、なんでもいい他の言葉をいれてみたら…。
    「さらわれないように。」と何度も言われるほどに、人間は弱く儚い生き物で、心とは何かにさらわれることのように思える。さらっていくものは何か…。

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    2025年09月27日
  • 東京日記4 不良になりました。

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    約10年ほど前に出版された本でした。身近な出来事の瞬間を、要領を得た短い言葉で綴られていて、その光景が頭の中で広がりました。

    加齢臭と古本の匂いは、同じ成分であると聞いてびっくりする。の一文にびっくりしました。

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    2025年09月26日
  • 恋ははかない、あるいは、プールの底のステーキ

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    心地よくて自分の色々なこれからの未来みたいなもの、過去の色々な思いを重ねながら読んでいた。
    きっと、こういうものなんだろうな、そういうふうに年を重ねて行きたいな。と。

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    2025年09月22日
  • 蛇を踏む

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    20年ほど前に読んでおり、内容を忘れてしまったので再読。何とも不思議な話が3篇収められている。

    川上弘美の作品はよく分からない。何が起こったのか、どんな結末になるのか、何が伝えたいのか…。その分からなさに面白さがある。細かな意図や意味をわかろうとしなくて良いのだ。現実と夢の世界の境界がどろりと溶けて混ざり合う。わかるようで分からない。ただ淡々と話は進んでいくのだ。

    そんな川上ワールドに身を任せて浸ってみて欲しい。

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    2025年09月13日
  • 神様

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    日常にそっと紛れ込んだ異類と人間の日々を描く連作短編集。表題作「神様」はくまに誘われて散歩に行くという牧歌的や語り口ながら、人間よりも人間らしいくまの振る舞いで、端的に人と熊の差異を浮かび上がらせているのが非常に上手い。それでいながら近所への挨拶をかかさない昔気質な部分であったり、のんびりしていながらも理知的な言葉回しが面白く、それだけでくまがとても愛おしく思えてくる。切り口は完全にファンタジーであるのだが、何の理屈も理由もなく、喋るくまというファンタジーを受け入れるか否かが、そのまま排外主義への問いかけへと繋がっているのが素晴らしい。

    熊を見る主人公以外の「まなざし」はやはり異物に対する視

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    2025年09月12日
  • Seven Stories 星が流れた夜の車窓から

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    一度は乗ってみたい豪華列車。ますます乗ってみたくなった。
    各作家さんが描くそれぞれのドラマが、同じ列車内で繰り広げられているんだなぁと思うと、感慨深い。

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    2025年09月07日
  • 大きな鳥にさらわれないよう

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    絶滅寸前になった人類が母の監視の元、いくつかの共同体に分かれて過ごす日々を切り取った終末SFの連作短編集。冒頭から語り口調が素晴らしく、その文体だけで斜陽となって滅びに向かう人類の愚かさへの絶望と絶え間ない悠久の孤独を感じてしまう。

    一つ一つの短編はどれも緩い繋がりとなっており、世界観を共有しながらも読み味が少しずつ違うのが面白い。特に目立った事件や大きな出来事が起きるというわけではないのだが、その背景に挟まる断片的な情報の不穏さが素晴らしく、設定面は若干フワフワした部分がありながらも、クローンや人工知能といった設定は惜しみなく使っており、そこから察するディストピアな世界観がたまらなく美しい

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    2025年08月25日
  • センセイの鞄

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    センセイとツキコのほっこり歳の差恋愛物語り。
    センセイ70歳くらい、ツキコさん37歳。
    恋愛小説でした。

    2001年6月初版。
    川上弘美40ちょい頃の作品。

    行きつけの居酒屋で良く合うようになった2人。
    奥手な2人のたわいも無いエピソードがポツポツと語られていく。
    特に事件もない。
    ほんと、ポツポツと。
    ツキコの変化、センセイの変化。
    少しずつ、進んだり、引いたり…
    なかなか進まない感じ…
    恋愛小説です。

    終わり方も、さり気なく、寂しくもあり、スンと、ホロリと…

    何もないようで
    なにか、ステキなお話でした。

    調べてみると、どうやら
    37回谷崎潤一郎賞受賞作。
    ベストセラーにもなってい

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    2025年08月20日
  • 大きな鳥にさらわれないよう

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    人類は急激に減りつつあった。そして地球上の誰も人類の衰退を止める術を持っていない… 現存の人間ではもうだめだと考えた人間が 人間を進化させ違う人類をつくりだす計画をたてた。


    今 私たちがいるこの世界は『運命』という章で〝わたし〟が語っているどのフェーズにあるのだろうかと考えた。
    もう既に私の体内に何かが常駐しているのだろうか…
    もう人類が地球生態系の最上位者ではなくなるのも時間の問題なんだろうか…
    この先人類はどれだけ同じ事を繰り返していくのだろうか…


    読み始めてからしばらくして 始めの『形見』だけ毛色が違うなぁと思ったが その理由は最後まで読んでからわかる。 解説にもあっ

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    2025年08月19日
  • 大きな鳥にさらわれないよう

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    「滅びゆく世界を慈しみ深く描いた未来の神話」と文庫の帯にはあって、いい得て妙だと思いました。

    語り手を変えながら物語が続くのですが、私は途中、このディストピア物語が一体どこまで続くのか、不安になりました。それでも巧みな書きぶりで、どんどん読み進むことができ、最後2つの物語で、全体の枠組みを開示してくれます。

    とはいえ、明るいものではありません。「あなたたち、いつかこの世界にいたあなたたち人間よ。どうかあなたたちが、みずからを救うことができますように。」このレマの祈りは、この小説を読む私たちに向けられたものでしょう。

    そしてそれでも今の人類は滅んでいく。「エリのつくった町のことを、レマはま

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    2025年08月07日