川上弘美のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
ネタバレ漫画「応天の門」にどハマりし、宝塚歌劇団「応天の門」「花の業平」も観に行ったのを期にちゃんと原典読もうと思いました。
ちょうど、川上弘美さんの現代訳出てることだし!と。積んでしまってましたが。。。
古文の授業で、六段「芥川」とかはやってたのですがまとめてしっかり読むのは初めてです。
面白かったです。たしかに、和歌以外の地の文?は状況描写のみ。
川上さんのすらりとした訳も良いなぁと思います。
愛だの恋だのいってる歌ばかりかと思いきや、紀有常との友情の歌もよかったです。
そんな中にあるからなのか、百一段の和歌にしびれました。こんなギリギリな和歌で描く話あったのか。
誰でも彼でもすんなり顔を見ら -
Posted by ブクログ
カワカミ的登場人物がたくさん登場して、カワカミ的言葉でカワカミ的表現がされていて、あ〜〜川上弘美好きだ〜という気持ちになった。
この短編集を読んで、川上弘美の描く女同士の距離感とか関係性がすごく好きかもしれないと気づいた。『ざらざら』に収録されている「桃サンド」とか、たまらなく好きだったかも。本作収録の「いまだ覚めず」は女同士の関係が不思議な世界観の中に描かれていて、「こういうのだよ、こういうの…!」と電車のなかでにやにやしながら読んだ。この話の世界は色褪せていて、懐かしい感じがして、でもすこし怖くて、ほんとうに好きだ。表題作「おめでとう」は、純粋に語られる愛とさみしさに不覚にも涙が誘われてし -
Posted by ブクログ
やわらかな言葉で終わりゆく世界が静かに描かれおり、気づいたらこの不穏で、不思議な、滅びゆく世界に深く没入している自分に気づき....うっかり数日で読破。
読みながら国立科学博物館の展示の一つである宇宙や地球や人のなりたち・進化をアニメーションで映した「地球史ナビゲーター」の映像がリンクし頭の中をくるくる駆け巡る。
あの暗い部屋でゆるやかに繰り返される宇宙と世界と人の物語をぐるぐる・ぼんやり観た時の感覚とこの本の読後感が非常に似ていた。
私たちはなに?
私たちはどこからどこへ?
愛とは?
人とは?
そんな答えのない問いを繰り返しながら我々は結局、愛して憎んで闘ってを輪廻の如く繰り返し続け今 -
Posted by ブクログ
5人の小説家の短編と、2人のクリエイティブディレクターのアンソロジー
テーマは九州の特別列車「ななつ星」に乗り込む乗客の物語だ
列車はたくさんの人を一度に運ぶけど、乗客の一人一人はそれぞれ特別な想いを持って列車に乗り込む
5人の作家さんが寄せたとても短い物語には人生という長い長い想いが乗っていることに気が付く
恩田陸さんの「お姉さん」が仕組んだ、複雑で切ない物語も時間の長さと、生きようとする想いの深さが音楽に乗ってやってくる
個人的には小山薫堂氏の言葉が圧巻だった
人から人へ繋ぐ想いが言葉となって、香り高く温かみを持って伝わってくる
「共感」という到達点はその気持ちを理解しようとする意識の -
Posted by ブクログ
日常にそっと紛れ込んだ異類と人間の日々を描く連作短編集。表題作「神様」はくまに誘われて散歩に行くという牧歌的や語り口ながら、人間よりも人間らしいくまの振る舞いで、端的に人と熊の差異を浮かび上がらせているのが非常に上手い。それでいながら近所への挨拶をかかさない昔気質な部分であったり、のんびりしていながらも理知的な言葉回しが面白く、それだけでくまがとても愛おしく思えてくる。切り口は完全にファンタジーであるのだが、何の理屈も理由もなく、喋るくまというファンタジーを受け入れるか否かが、そのまま排外主義への問いかけへと繋がっているのが素晴らしい。
熊を見る主人公以外の「まなざし」はやはり異物に対する視 -
-
Posted by ブクログ
絶滅寸前になった人類が母の監視の元、いくつかの共同体に分かれて過ごす日々を切り取った終末SFの連作短編集。冒頭から語り口調が素晴らしく、その文体だけで斜陽となって滅びに向かう人類の愚かさへの絶望と絶え間ない悠久の孤独を感じてしまう。
一つ一つの短編はどれも緩い繋がりとなっており、世界観を共有しながらも読み味が少しずつ違うのが面白い。特に目立った事件や大きな出来事が起きるというわけではないのだが、その背景に挟まる断片的な情報の不穏さが素晴らしく、設定面は若干フワフワした部分がありながらも、クローンや人工知能といった設定は惜しみなく使っており、そこから察するディストピアな世界観がたまらなく美しい -
Posted by ブクログ
センセイとツキコのほっこり歳の差恋愛物語り。
センセイ70歳くらい、ツキコさん37歳。
恋愛小説でした。
2001年6月初版。
川上弘美40ちょい頃の作品。
行きつけの居酒屋で良く合うようになった2人。
奥手な2人のたわいも無いエピソードがポツポツと語られていく。
特に事件もない。
ほんと、ポツポツと。
ツキコの変化、センセイの変化。
少しずつ、進んだり、引いたり…
なかなか進まない感じ…
恋愛小説です。
終わり方も、さり気なく、寂しくもあり、スンと、ホロリと…
何もないようで
なにか、ステキなお話でした。
調べてみると、どうやら
37回谷崎潤一郎賞受賞作。
ベストセラーにもなってい -
Posted by ブクログ
人類は急激に減りつつあった。そして地球上の誰も人類の衰退を止める術を持っていない… 現存の人間ではもうだめだと考えた人間が 人間を進化させ違う人類をつくりだす計画をたてた。
今 私たちがいるこの世界は『運命』という章で〝わたし〟が語っているどのフェーズにあるのだろうかと考えた。
もう既に私の体内に何かが常駐しているのだろうか…
もう人類が地球生態系の最上位者ではなくなるのも時間の問題なんだろうか…
この先人類はどれだけ同じ事を繰り返していくのだろうか…
読み始めてからしばらくして 始めの『形見』だけ毛色が違うなぁと思ったが その理由は最後まで読んでからわかる。 解説にもあっ -
Posted by ブクログ
「滅びゆく世界を慈しみ深く描いた未来の神話」と文庫の帯にはあって、いい得て妙だと思いました。
語り手を変えながら物語が続くのですが、私は途中、このディストピア物語が一体どこまで続くのか、不安になりました。それでも巧みな書きぶりで、どんどん読み進むことができ、最後2つの物語で、全体の枠組みを開示してくれます。
とはいえ、明るいものではありません。「あなたたち、いつかこの世界にいたあなたたち人間よ。どうかあなたたちが、みずからを救うことができますように。」このレマの祈りは、この小説を読む私たちに向けられたものでしょう。
そしてそれでも今の人類は滅んでいく。「エリのつくった町のことを、レマはま