川上弘美のレビュー一覧

  • 恋ははかない、あるいは、プールの底のステーキ

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    静かで、どことなく淋しい日常。
    毎日って、人生ってこんな風にいびつで茫漠としていていいんじゃないかと思った。

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    2025年02月17日
  • 某

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    ネタバレ

    淡々とぼんやり「自分がわからない」まま進んでいくけれど、「わたしは私を選ぶ」となる終盤からは文章もしっかりしてきて…なんだか凄いものを読んだ、という気持ちです。
    人間に似ているけれど人間ではない生命体「某」、何者にもなれるし成長する事もないから死ぬこともない。誕生なのか発生なのかもわからない(みのり以外)。変化する前とした後では、前の時を覚えていたり薄っすらとだったり。分離することはある…?つかめるようでつかめない。。
    とりあえずあわあわと生きていきながら経験を積み重ねていきつつ、片山冬樹のときの決断が、主人公にとっての始まりと終わりだったんだろうな。

    自分とは?
    愛とは? 
    成長しながら生

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    2025年02月16日
  • 蛇を踏む

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    きっかけは、小川洋子先生の“とにかく散歩いたしましょう”エッセイか、心と響き合う読書案内、どちらかで紹介されてて選ぶことに。

    蛇を踏んでしまってから蛇に気がついた。
    蛇は柔らかく、踏んでも踏んでもきりがない感じだった。

    表現力に驚かれたようで、私も読みたい!となった。
    2025年、巳年ということもあり〜
    115回芥川賞受賞作品と知って尻込みしつつも読み始め、かなり独特な世界観だった。
    これは神話?寓話?終始不思議な世界
    やわらかくフワフワした文体の感覚、触感が、ふと日本昔話のような感覚だなぁ〜と感じたら、浸れて不思議に心地よくなりました。

    この文庫には、『蛇を踏む』『惜夜記』『消える」の

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    2025年02月07日
  • 某

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    安楽死が選べるようになると、人は最初は安楽死を選ぶが、そのうち少なくなること。いつでも死ねるなら今ではなくてもいいということ。
    死を得られないと分かると、死を求めるようになること。
    死を得られるものになったことを、かすかな喜びとともに受け入れること。

    よるべのない人物と文章、物語がとても川上弘美らしかった。人物は情報を吸収して形を成してゆくので、最初にあらわれたときはAIのように受動的であることも川上弘美の作品らしくて愛おしくなった。

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    2025年02月03日
  • 竹取物語/伊勢物語/堤中納言物語/土左日記/更級日記

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    「小さな表現の差にこそ大きなぶれがあることを身をもって学んだ。」
    堀江敏幸さんのこの文が表現の芯を食っていて好きだ。

    『堤中納言物語』の「虫めづる姫君」の続きが無いことが本当に悔しい。
    平安時代でルッキズムに苦言を呈してるこの短編が1番好きだったからこそ、悔しい。

    『竹取物語』は1番読みやすかったから、お勧めです。

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    2025年01月29日
  • 七夜物語(中)

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    徐々に不穏になってる、和製ファンタジーなんか読みたいなぁって気軽に読み始めたけどとても面白い、引き続き下巻を読む

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    2025年01月24日
  • 某

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    前半は川上弘美版「ソフィーの世界」とでも言いたくなるような哲学入門風内容で、ぐいぐい惹きこまれた。後半はもっと広義の意味での「存在」が問題提議され‥‥結局、寝不足から逃れられなくなった。

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    2025年01月19日
  • ぼくの死体をよろしくたのむ(新潮文庫)

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    ネタバレ

    寂しくてあたたかい不思議な短編集だった。
    誰を好きになってもいいし、歳の離れた友人がいてもいいし、自分の気持ちを大事にしていいんだよと気付かされるような、自由な感覚を取り戻させてくれる作品が多かった。
    特に印象に残ったのは6作品。二百十日、ルル秋桜、ぼくの死体をよろしくたのむ、土曜日には映画を見に、スミレ、廊下。どれも劇的な展開や強い感情や、そういった派手なものは書かれていないのだけれど、悲しくて優しくて胸がざわざわして惹きつけられる。
    作者の書く、ミステリアスで余裕のある魅力的な女性が大好き。

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    2025年01月15日
  • 恋ははかない、あるいは、プールの底のステーキ

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    とくに文章がうまいと感じることもなく、とくに話に落ちがあるわけでもない。しかし、短いエピソードの連続のなかで、それらがある種の達観に到達した大人同士の現実的な関係を感じさせる。登場人物の数がどんどん増えてそれらが本筋に有機的に絡んでいるのかさえよくわからなくなる。その果てに、恋愛小説、つまりはっきりと小説化された恋愛ではまったくなく、しかし、99%の水と1%恋愛とで構成されたような、始まりも終わりもないような恋愛を描いていく。これは恋愛小説批判としての実存的恋愛論なのだろうか。

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    2025年01月07日
  • ざらざら(新潮文庫)

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    特に感動的な話だったり強く心に残る話という訳ではないのに確かに心が救われる。
    どこかの誰かのささやかな日常のたったの一部分、たったの数ページでこんなにも豊かな気持ちになれるなんて読む前の私は思いもしない。

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    2025年01月04日
  • 三度目の恋

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    第一章前半の現代の話はいわゆるありきたりの恋愛話であり、読み始めた当初は、なんと盲目的な恋だろうと思いましたが、なるほどそれはプロローグのようなもので、梨子が高丘さんと再会してからの話こそ、この小説の真骨頂でしょう。なにより、『伊勢物語』をモチーフにした作品ですから、はたして梨子が在原業平とどのような関係を結びつくのかを知りたいです。

    案外、梨子は直接的に業平と関わっているわけではありません。多くの場合、彼女はあくまでも他人として彼を観察したり、時に姫様のために憤慨したりしたに過ぎません(終盤のあるシーンを除いては)。

    でも、面白いことに、その観察の視線は、『伊勢物語』を読んでいる読者の視

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    2024年12月29日
  • 恋ははかない、あるいは、プールの底のステーキ

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    近すぎず離れすぎずの付き合いが出来る友人、知人がいるっていいな。数十年ぶりでも、共通項があれば会っていなかった時間も埋められるのかもしれない。

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    2024年12月29日
  • ニシノユキヒコの恋と冒険

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    とても面白かった。
    私も来世は西野くんみたいに色んな人と関係を持ちたい。
    そしてすてられたりして寂しそうに笑ってみたいなと思った。

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    2024年12月28日
  • 三度目の恋

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    ネタバレ

    とにかく女性を惹きつける天然プレイボーイ、年上の男性との恋、美味しそうな食べ物などこれまでの川上作品にも見られた要素が詰まった作品でしたが、現代編、江戸時代編、平安時代編とそれぞれ独立した3つの小説になりそうな物語を一つの作品として紡ぎあげていて、とても良かったです。

    現代パートの恋模様にちょっと引いて読んでいたのですが、過去パートでもっと本能に忠実な野生的な恋愛観が語られることで、現代パートの物語に説得力を持たせてくるところが面白かったです。

    平安時代編は光る君へを見た後だったので自分のなかで理解の解像度が高くなっていて、より面白く感じられたように思います。

    川上さん、結構年齢の離れた

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    2024年12月27日
  • これでよろしくて?

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    私も、これでよろしくて?の皆さんに混ざりたい!
    身近にこんな会があればすぐにでも入会したいのに。
    どこかにないのでしょうか。

    普段見て見ぬふりをしている、他愛無いけどモヤっとする出来事を、曖昧で微妙なシーンを軽やかかつコミカルに表現されています。
    読後は心がすっと軽くなる作品。

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    2024年12月26日
  • ぼくの死体をよろしくたのむ(新潮文庫)

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    短編集。何話かダンベルおじさん(ブルーシートおじさんでもいいけどなんだか長いしイメージ違う)で繋がりを感じてうれしかった。
    人の心の奥深い部分に触れてるみたいな感覚だった。

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    2024年12月24日
  • 猫を拾いに(新潮文庫)

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    初読み作家さん。
    短編集。不思議なお話が多かったけど、置いてけぼりにされる事もなく、年末の忙殺を癒してくれる作品でした。特にクリスマスコンサートが好きでした。

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    2024年12月22日
  • 危機の時代に読み解く『風の谷のナウシカ』

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    序章
    鈴木敏夫 スタジオジプリプロデューサー
     鈴木敏夫は「風の谷のナウシカ」の制作背景やそのテーマについて語っている。彼は、作品が発表された当時の社会的・環境的状況がどのように影響を与えたのかを考察し、ナウシカというキャラクターが持つ強い意志や優しさが、現代においても重要なメッセージを持っていることを強調している。
     風の谷のナウシカの題材は『新諸国物語』(NHK ドラマ1952年)。

     ナウシカが旅をして、見聞きしたものによって、読者が世界の秘密を知っていく。宮崎駿は「勧善懲悪」が好きで、それが「自然を守る人がいいひとで、自然を破壊するのは悪人」と言う物語にした。
     赤坂憲雄の『ナウシカ

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    2024年12月22日
  • Yuming Tribute Stories(新潮文庫)

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    ネタバレ

    松任谷由実デビュー50周年記念オリジナル小集。全作書き下ろし。ユーミンの名曲タイトルから6人の女性作家が新たに奏でる小説のハーモニー。令和4年7月1日発行。

    小池真理子 「あの日にかえりたい」(1975年)
    桐野夏生 「DESTINY」(1979年)
    江國香織 「夕涼み」(1982年)
    綿矢りさ 「青春のリグレット」(1985年)
    柚木麻子 「冬の終り」(1992年)
    川上弘美 「春よ、来い」(1994年)

    ユーミン世代ではないので、リアルに記憶にあるのは「春よ、来い」くらい。といっても、歌詞なんて気にしてなかった年頃だったので、いまいちよく分かっていない。本当は、曲を聞いて、歌詞を読んで

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    2024年12月11日
  • Seven Stories 星が流れた夜の車窓から

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    こういうタイプの本は、ほぼ読んだ事がなかったのですが、列車の旅を題材にしていたのが、気になり手にとりました
    ななつ星に乗った気分で、それぞれの旅を経験させてもらいました

    お値段もそこそこで、この先乗れることもないであろう列車ですが、様々な主人公を体験でき、切ない気持ちになりました

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    2024年12月03日