川上弘美のレビュー一覧

  • 東京日記5 赤いゾンビ、青いゾンビ。

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    東京日記もこれで5冊目。今回もたくさん笑わせてもらいました。
    川上弘美さんは相変わらず武蔵野地区に住んでいらっしゃって、ご近所なので親近感わくこの東京日記シリーズが大好きです。
    今回特に笑ったのは、
    沼の生きもの――おそらく井之頭公園の池のことを指してるのかしら。緑色の沼代表、泥沼代表、底なし沼代表、沼以下代表などなど笑
    近所のカップル――え、ほんと? とつっこみたくなる話笑。毎週乗る同じバスに奇抜な男女がいていつのまにかカップルになっていて破局した感を川上さんが見てるというなんともシュールな日記
    カメムシの人生――また夢を見る。消える魔球を、次々に打たなければならない。もし打ちそこねたら、カ

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    2017年06月08日
  • 晴れたり曇ったり

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    とても柔らかくてしみじみとしたエッセイ。言葉が水のように染み込んできます。ゆるゆると日々を過ごしてらっしゃるようで、でもそんな中で、離婚されたり、悪性の腫瘍が見つかって手術されたりしていたことを知り驚きました。死を、身近に感じます。生きていく中でスランプに陥っても、この川上弘美さんのエッセイを読んでしんと沈んでやり過ごそうと思います。読めて良かったです。

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    2017年04月30日
  • 竹取物語/伊勢物語/堤中納言物語/土左日記/更級日記

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    竹取物語(森見登美彦)
    伊勢物語(川上弘美)
    堤中納言物語(中島京子)
    土左日記(堀江敏幸)
    更級日記(江國香織)
    月報:小川洋子・津島祐子

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    2017年04月05日
  • 溺レる

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    表題の話より、冒頭の「さやさや」が好き。
    互いに人間的に好意を抱いている男女が、酔ったまま終電もなくタクシーも走っていない田舎の道を歩く夜。
    美味しいお酒を気持ちよく飲んでいるような、心地いいふわふわした意識のなかで読めた。

    川上さんが描く男性はどうしてこうも魅力的に見えるのでしょう。
    現実世界にいたら確実に好きになってしまうようなおとこのひとばかりです。

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    2017年04月01日
  • 七夜物語(上)

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    わくわくするファンタジーながら、大人の心に触れ始めたこどもの心をしっかりととらえています。小学生の頃の気持ちを思い出すような作品です。

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    2017年01月09日
  • 竹取物語/伊勢物語/堤中納言物語/土左日記/更級日記

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    好きな作家さん目白押しで、これは読むしかないなと。

    伊勢物語おもしれえええってなっている。
    川上弘美の作品かと思うくらいどんぴしゃの訳にうっとり。余韻。
    竹取物語はポエム調の和歌がたまらん。これも森見作品かのよう。すばらしいテンポ感。
    堤中納言物語はおもわずニヤリ。
    土左日記は前段と括弧書きの注釈に痺れるし、更級日記は瑞々しくて女の日記感がさすが江國。

    この全集、ほんとぴったりな人に訳を頼みますよね。さいこう。

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    2017年01月04日
  • 竹取物語/伊勢物語/堤中納言物語/土左日記/更級日記

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    自分がいかに古典にいい加減に接してきたかを思い知らされることになった。
    かぐや姫の話は誤解が多かった。もっとも、絵本の印象が強くて、かなり違訳を信じていたのかもしれないけれど、それも原典をきちんと読んでいない証拠。
    伊勢物語では、こんな太古から微妙な男女の機微があったのだと感銘を受けた。

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    2016年12月14日
  • ハヅキさんのこと

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    過去に関わりを持ったひとたちへの想い。
    満たされているようないないような。居心地が良いような悪いような。
    妙に曖昧な感じがいいです。

    ささやかな掌小説の中に、いろんな思いがぎゅぎゅっと詰まっていて、温かさが溢れてきます。

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    2016年10月23日
  • センセイの鞄

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    よかったあ。月子さんとセンセイの関係が少しづつ近づいていくのが、まどろっこしいんですが。年齢を重ねた男女が、躊躇しながらも自分の気持ちに正直になっていく姿が、いいですねえ。

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    2016年10月14日
  • 古道具 中野商店(新潮文庫)

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    時間が止まっているようで、一瞬のみずみずしさに溢れた美しい物語。みずみずしさは魔法で、思い出せばいつでもその瞬間に戻ることができる青春だ。ヒトミちゃんに似てる友だちに、この本をプレゼントしたい。

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    2016年09月03日
  • 古道具 中野商店(新潮文庫)

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    川上さんの中でもいちばんすき。
    ヒラヒラしていて古道具やさんの立ち位置として正しいしゆるやかでたのしい。

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    2016年06月25日
  • パスタマシーンの幽霊(新潮文庫)

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    まったりしてるのにどこか物悲しいところが好きだな、と思った短編集。
    いや、超短編集。

    パスタを作るおばあちゃんの幽霊が出てくる表題作もとても可愛らしくて好きだけど、私は小人のヤマグチさんが出てくるお話が好きだった。
    忘れたころにまたヤマグチさんの短編がやってくるところも何か嬉しい。そういうつくりだった。

    可愛くて笑ったり、ちょっとほろっとしたり、切なくなったり。
    そしてそこにはいつも男女がいる。様々なかたちで。

    多くは語れないけど大好きな世界観。

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    2016年05月10日
  • 東京日記 卵一個ぶんのお祝い。

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    いや面白い感性だなー。 ”作家の人”と単純に括ってはいけないんだろうなあ、とは思いつつも、何とも感情の向き方と行動と、その表現が面白い。
    勿論、作家さんでプロの文章なのだから、それだけの実力と経験に基づいた計算があるのだろうけど、面白い。
    この方が母親なのだなあと思うと、子供である人はどんな感じで親を見て、どんなふうに育つのだろう? ...などと勝手に想像してしまう(悪い意味ではないです)。
    作者の小説、別の作品を読んでみたくなりました。

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    2016年04月24日
  • ハヅキさんのこと

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    短編でありながら、行間の余白というか、語らずして語られていることが多く、空気感が伝わってくる作品ばかり。特に気に入っているのは、「琺瑯」「かすみ草」「床の間」「白熱灯」「動物園の裏で」「吸う」。すべてを語りきらない余白が、人間の世界の認識のしかたってこうだよなと、逆にリアリティをもって迫ってくる。引っかかったり、急にとんでもないところへ飛んだりする筋運びも、現実はたしかにこんな感じだと、腑に落ちる。作品の世界に浸った後で、自分自身の現実が、これまでとは違う見え方をしていることに気付いた。

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    2016年04月01日
  • 溺レる

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    川上弘美の怖さを見た。

    言葉の重ね方、
    会話の重ね方、
    酒と食事の重ね方が、
    川上弘美の魅力と思っていたのは、
    まだまだ少ない経験で得た、
    彼女のいち断面であったか。

    男と女の情念の、
    強く、淡く、もろく、
    果てしない粘りつき方が、
    とても恐ろしい。
    川上弘美が粘りつくと言うと、
    ひどく粘りついて見える。

    そこにある情念が、
    とてもとても粘っこい。
    あわあわとしているのに、
    さらさらとしているのに、
    やたらと絡みついて、怖い。

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    2016年02月29日
  • 竹取物語/伊勢物語/堤中納言物語/土左日記/更級日記

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    「こんな、おちゃらけの文学なんてあり得ない!」とも思うけど、50年後でも意味が通じる本として残せたので、これぞ文学なのかも知れない。
    全30巻の中で、この3巻だけを選んで読んでみたけど、結構当たりだったかも・・・!

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    2016年02月24日
  • ハヅキさんのこと

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    やっぱり好きです 川上弘美さんはほっこりします。

    26編もの短編集ですが どの話もすぐそばに あるような気がするはなしです

    わたしは「かすみ草」がすきです。
    何年も夫婦やってきて わかっている分かり合っているはず…でもね秘密がね あってもいいよね

    「吸う」は とっても色っぽかった

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    2016年02月23日
  • 東京日記2 ほかに踊りを知らない。

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    3年ぶりの東京日記、ほっこりしました。「卵一個ぶんのお祝い。」(。を忘れないで)もよかったけれど、電車の中で、ニタニタ、にたにた、まわりの人はさぞ気持ち悪かったことでしょう。私は影響されやすい性質なので、暫くは、川上弘美調の日記になります。東京音頭を踊ることはないですが...

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    2016年02月23日
  • 七夜物語(下)

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    川上弘美版「はてしない物語」とでもいうべき、オーソドックスなファンタジーでした。オーソドックスではあるけれど、行間に潜む妙な艶っぽさはやっぱり川上弘美らしくて、「ファンタジー」よりも「幻想」や「異世界」という言葉の方が似つかわしいようだ。川上弘美が冒険ファンタジーを書くとこうなる、という感じだろうか。

    エンデの描く冒険者は勇ましく、勇気を求めて戦う者だった。
    対して川上弘美の描く冒険の主人公は優しくて、彼らがいちばんに求めていたのは「愛」だったのではないだろうか。これが最大の違いだろう。
    その違いがはたして時代性なのか、作者の個人的な感性なのか、何に由来するのかはわからない。
    なんにせよ、エ

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    2015年06月08日
  • 七夜物語(下)

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    六つ目の夜と七つ目の、夜の世界を見て聞いて過ごした二人の七夜が終わる。忘れてしまっても記憶の底には刻まれた七夜をぼんやりと思い出すこともある気がする。私にも忘れてしまった七夜があるかもしれない。 「みんな違ってみんないい」という金子みすゝ゛さんの詩を思い出しました。

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    2015年05月18日