【感想・ネタバレ】古道具 中野商店(新潮文庫)のレビュー

あらすじ

東京近郊の小さな古道具屋でアルバイトをする「わたし」。ダメ男感漂う店主・中野さん。きりっと女っぷりのいい姉マサヨさん。わたしと恋仲であるようなないような、むっつり屋のタケオ。どこかあやしい常連たち……。不器用でスケール小さく、けれど懐の深い人々と、なつかしくもチープな品々。中野商店を舞台に繰り広げられるなんともじれったい恋と世代をこえた友情を描く傑作長編。

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人間描写が面白くてどんどん読み進めていけた。自分も中野商店で働けたら面白いのになと思わずにはいられなかった。

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2019年03月01日

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ずっと、同じでなんていられないんだなぁ。
どんなに居心地がよくても、同じところに同じようにはいられない。
悲しいなぁ。寂しい。
そしてまた、昔みたいに、って思っても、それはたぶんできないことなんだ。

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2017年12月07日

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時間が止まっているようで、一瞬のみずみずしさに溢れた美しい物語。みずみずしさは魔法で、思い出せばいつでもその瞬間に戻ることができる青春だ。ヒトミちゃんに似てる友だちに、この本をプレゼントしたい。

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2016年09月03日

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川上さんの中でもいちばんすき。
ヒラヒラしていて古道具やさんの立ち位置として正しいしゆるやかでたのしい。

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2016年06月25日

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【2022年63冊目】
「センセイの鞄」を読んだときにも「あぁ、この作家さん好きだなぁ」と思ったのですが、本作を読んでより理由がわかりました。

登場人物の感情、間合いを含むテンポ、空気感、性格…その表現がとても豊かで、ずっと主人公を中心に繰り広げられているかつ章ごとに副題は変わるのに飽きさせることがない。

私と彼の関係性の変化
中野さんと彼女の関係性の変化
マサヨさんと彼の関係性の変化

物語の中で全部少しずつ変わっていく関係性

とても心地よく読めました。

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2022年10月31日

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雑多なものが所狭しと詰め込まれた空間って、
無条件にときめいてしまうたちなので、
古道具屋という舞台設定にまず惹かれた。

だからさあ、が口癖の適当店主中野さん、
中野さんのお姉さんで芸術家のマサヨさん、
少々ぼんやりしたアルバイトの男の子タケオ、
中野さんの愛人?らしき“銀行”ことサキ子さん、

古道具屋関係の人達は
ちょっと浮世離れしているというか、
変わっている。
変わっている、というのが第一印象だ。

でも、物語を読み進めると、
彼らの人間くささを知ることになる。
このリアリティと非現実感のバランスが絶妙だ。

ヒトミとタケオのじれったい恋愛に、
もしくはマサヨさんの大人の恋愛観に、
はたまた中野さん(中年オヤジ)の愛嬌に、
あるいはサキ子さんの心の変化に、
きっと誰もがどこかで自分の経験を重ね合わせて、
はっとすることがあるんじゃないだろうか。

誰もが強さと弱さを持っていて、
意思や感情を持っていて、
生きている一人の人間という感じがして
すごくよかった。

主人公であるヒトミの人間らしい感情は、
主人公であるが故に1番見えづらいんだけど、
ラストの“悲しかったよ”で全部もっていかれた。

主人公に自分を投影しながら
読むケースがあると思うけど、
ヒトミがひとりの独立した人間だって、
このシーンで強く感じた。

川上弘美さんの作品は『某』とか『神様』とかを
読んだことがあって、
ちょっとファンタジックな世界観の中で、
だからこそより克明に現実が見えてくる、
みたいな印象だったので、
それと比べると
舞台設定に現実感が強いなと思ったけど、
SFもファンタジーもなしに
この作風は成立するんですね。

『某』が好きだからこそ敬遠してしまっていた
『センセイの鞄』も読んでみようと思った。

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2022年09月19日

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再読。川上弘美さんの文章が好き。自分と全く違うタイプの登場人物たちの中に自分と同じ部分を感じた瞬間の棘が刺さる感覚がよい。

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2021年02月14日

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学生の頃読んでとても好きになった一冊。
久しぶりに読んで、こんなに恋愛してる話だったかとびっくりした。
あの頃は大人の世界を楽しんでいたけれど今は別のことを思う。
大人だって子どもみたいなちゃんとしてないところを抱えて生きているのだ。
可愛い大人たちが集う中野商店。
改めて好きになった。

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2020年10月19日

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初読みの作家さん。最初は、日常の出来事をつらつら書いてるだけ⁇と思った。昔は苦手だったなぁと。誰も殺されないし謎もないし探偵もいない。でも最近は歳のせいかf^_^;意外とこういうのも好きになってきた。特に言い回しがステキだなと。水をはきだすホースのようにしゅるしゅると話をする、とか、そういう言い回し。人物描写もなんか独特。中野さんという店主やその姉、中野さんの愛人、中でもタケオは良かった。喧嘩して怒ったタケオが空メールを送った意味はなんだったのか。あっけない最後も含みがあって良いかなー☆推し本です☆

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2019年08月31日

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中野商店の人たちが、あたたかく、個性あふれる人ばかり。
ふつうの企業に勤める人間模様とは少し違う、
縛り合わない関係、楽で居心地のいい関係を見ているようで、ほっこりする気持ちになった。

うまく生きることができないというタケオの成長が、自分と重なった。
うまく生きるってなんだろう、と思うけれど。
器用で、素直で、自分に正直なタケオがとてもいいキャラクターだった。

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2019年08月30日

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んー、この訥々とした語り口、ふっつりと切れるような内田百?にも通ずる終わり方、とても好き。人物もみんな活き活きと描かれていて魅力的。

…なんだけど最終話がどうしても違和感なんだよなあ。うーん、惜しいったらありゃしない。ま、好きずきだけどね。

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2018年10月15日

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面白かったです。中野商店の人々が醸し出す空気が好きでした。
シビアな人間関係も、ゆるゆると描かれるので、ぼんやりと読んでしまいます。
何が起こるわけでもないですが退屈ではなく、ずっと浸っていたい世界です。
生きるってめんどくさい。でも、こんな世界もあると思えば素敵です。
ヒトミさん、好きだなぁ。タケオも、中野さんも憎めない。
解散しても、成長してまた会える結末が素敵でした。

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2018年02月17日

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これはなかなか良かったなー。人物がみんな愛すべき人たちだったのが良かった。主人公と男の子のあたりは歯がゆかったけど、店主と愛人のあたりはなんかおかしみがあって、そこになんか人生のおもしろさが垣間見えた気がした。ラストも好き。

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2017年08月09日

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たまに読みたくなる川上弘美。これは他の本より分かりやすくて、身近な世界のようで、よい。とはいえ、不思議な人はたくさん出てくるけど、不思議な人って見方をすれば私の周りだって不思議な人ばかりかも。ヒトミさんのたんたんとした感じ、よい。ラストもとてもよい!

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2017年02月19日

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あまり感情の起伏のない主人公だなぁと思いながら淡々と読んでいたので、ラストの「悲しかったよ」でびっくりしてもらい泣きしそうになった
ヒトミちゃん、悲しかったの?!分かりにくいよ!!っていう。
この人の小説の、そういうところがわりと好き。自分の感情なんてそんなに出すつもりはないし他人に分かってもらおうとも思いません、でも間違いなくそこにあるしだからほんのたまに、自分ではどうしようもなく漏れでてしまうことがあるんです、という孤高なところ。

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2016年12月02日

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お仕事小説であり、恋愛小説であり、人間ドラマでもある。面白いバランスの作品だった。

主人公は、中野商店という古道具屋でアルバイトをしているヒトミ。経営者の中野さんはけっこう適当で、仕事中たびたび出かけて行っては、不倫相手のサキ子と会っている。
ヒトミは同僚アルバイトのタケオと、付き合っているのかいないのか、微妙な関係が続いている。
中野さんの姉であるマサヨさんは芸術家で、中野商店の面々と程よい距離感で絡んでいる。
そして月日が過ぎ…というお話。

雰囲気は緩いのだけど、実はものすごく深い。
人と人の関係(とくに恋愛)のままならなさ。若いからこそお互い意地を張ってすれ違って、そこから数年過ぎた頃、大人になって素直さを手に入れたらすんなり進んでしまうちょっとあっけない感じ。
でもやっぱり、大人になっても別のままならなさがあったりして。
3組のカップルが出てくるのだけど、みんなそれぞれに小さな苦しみがある。

著者の川上弘美さんの弟さんが実際古物商をされているらしく、古道具屋の仕事の内容や競りの様子なども描かれていて興味深かった。
住み分けじゃないけれど、この店はどの分野に強い、とか同業者でもお互い何となく線引きしている感じが面白い。

日常の些細な痛みをあぶり出すのがやっぱり巧いなぁ、と思った。生きていればそういうことの積み重ね。
ドラマチックなことなんて、そうそう起きるわけじゃないものね。

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2016年08月09日

Posted by ブクログ

アンティークでも骨董でもなくどこかテキトーな古道具を扱う中野商店。
そこに集まるのは人たちもダメっぽかったり、不器用だったり、
大人になりきれない人たちばかり。
中野商店に漂うゆるい空気は
そんな一癖も二癖もあるモノや人をすっぽり包み込みこんでくれます。
ちょっと寂しく切ないけれど
「ちゃんとしてなくていい」というある種の居心地よさに
どっぷり浸れる一冊です。

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2015年12月04日

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古道具屋さんという、外から見るとわかるようなわからないようなあいまいで不思議な空間。
死傷事件、別れ話、怨念の丼に、淫靡な会話等々出てきても、愛憎ドロドロ方向には向かわない。それどころか肩の力の抜けた空気がポワンと回っているよう。
散らばったちょっとしたおかしみもまた楽し。

なんというか、みんなかわいい人たちだなぁ。
つっかえながらも、それぞれ自分らしく歩いてゆく。
数年後彼らがどうなっているのか、ちょっとのぞいてみたい気がした。

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2020年05月23日

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中野さんが経営する、中野商店が物語の舞台。

別れた恋人からもらった陶器を預かったり、
松田聖子の等身大POPを買い取ったり、
日常レベルの事件が、なんだか身近というか親近感もてました。

小道具屋としての事件のほかにも、
中野商店に関わる人たちの色恋沙汰もあります。
といっても、淡々としていてそのあたりも好みでした。

面倒なこともきっとあるんだろうけど、
職場の人とのこういう近い距離感も
あったかくていいなーと思いました。

短編集だったので、ちょっとずつ読みました。

ヒトミちゃんとタケオの成長も嬉しかったです。

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2017年09月05日

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系列で言えば「センセイと鞄」。川上さん得意のウソばなしではない現実的な物語です。
現実的では有るけれど、どこかフワフワして、そのあたりは川上さんらしい。「センセイと鞄」もそんな雰囲気でした。
ただね、もっとフワフワしても良いのじゃないかと。表面はフワフワなのだけど、少し中を探ると硬いコアがありそう。川上さんにはもっともっと捉えどころの無い話を書いて欲しいなぁと思ってしまうのです。そんな我儘な不満を持ちながら読んでました。でも最終章が気持ちよかったので、マルにしておきます。

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2016年08月07日

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ゆるゆるとした中野商店の日常って感じなのだけど、少しずつ恋と事件とあって、最後は切なくて胸がきゅーっとなっちゃった。
特に主人公ののらりくらりしてそうで生きるの下手そうな感じ、すごい分かるわ〜

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2025年12月08日

Posted by ブクログ

センセイの鞄が好きだったので、タイトルに惹かれて川上弘美の恋愛作品を初めて読んだ。
やはり文体が生真面目で柔らかくしとやかな感じで読んでいて気持ちよかった。
絶妙に時系列が前後する表現やカギ括弧を使わない会話の流れがスパイスになっていて良い。
主人公が女性なので、女性の方が共感しやすい物語だと思った。こうなっちゃう時あるよね、、と自分事のように思えるシーンがいくつもあって、女性の心の内を実によく表しているなと思った。
川上弘美の他の作品ももっと読んでみたい。

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2025年07月26日

Posted by ブクログ

中野商店って名前がステキだし、古道具屋の雰囲気もいい。
ただ仕事の関係の人と、やれセックスがどうとか裸がどうとか、普通話しませんよね。不必要にでてくるエロというか性の話にどうしても違和感を感じてしまいました。

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2024年06月11日

Posted by ブクログ

3.2
何か大きな出来事がある訳でもなく中野商店を中心にした淡々とした日々なのに、スルスル読める。
やっぱり1番はタケオとヒトミの今後が気になるところ。

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2024年06月03日

Posted by ブクログ

最後の主人公たちの変化が唐突な感じがして、おいてけぼりな感じがあった。
淡々とした日常とちょっとのトラブル、ちょっとの変化を重ねていった先を
もっと見たかった。

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2024年01月16日

Posted by ブクログ

著者の作品はそんなに好きではないんだけど、この本は好き。
古道具というキッチュさがいいのかな。
全体的にぼやーっとしてる感じも、また良し。

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2019年08月12日

Posted by ブクログ

いつもの日常に潜む、ちょっとした不思議な時間。
こんなバイトがあったらとても面白いんだろうな〜。

バイトを経験したところで、それが確実に未来に生きてくるということ保証はない。
でも、どこかで何かが繋がるときもある。
こういう現実味のある文章を読んで、やっぱりときめいてしまう。

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2018年11月09日

Posted by ブクログ

中野商店で働く人や、関係する人との人間模様を描いた話。曖昧な恋愛関係とか。
こういうのは説教臭い恋愛観を話す人物が出てきて辟易することが多いが、この話はそういうこともなく、ぼんやりものを思うように読める。この感じが心地いい。

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2017年07月27日

Posted by ブクログ

川上弘美の作品にしては、登場人物もどこか優しい感じです。どちらかというと、吉本ばななの登場人物のような含みのあるタケオやヒトミと、美しいサキ子さんが特徴的。とてもマイルドで、わりと幸せな最後でした。名前を呼ぶだけで揺さぶられるところや、なにより途中の転機みたいなところがいくつかあるんだけれど、うまく踏み込めない若さみたいなところがとっても好き。

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2017年02月11日

Posted by ブクログ

大きく感情が揺さぶられるような話ではない。かといって滔々と読めるような話でもない。なんだこれは?と不思議な感覚を持って読み切った。 他の作品と違ってズバッと君たちは恋仲!君たちの関係はお終い!ではなく着かず離れずで微妙な距離感の仲がだらだらと続いていくのがリアリティーあるなと思った。

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2017年01月30日

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