川上弘美のレビュー一覧

  • パスタマシーンの幽霊(新潮文庫)

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    まったりしてるのにどこか物悲しいところが好きだな、と思った短編集。
    いや、超短編集。

    パスタを作るおばあちゃんの幽霊が出てくる表題作もとても可愛らしくて好きだけど、私は小人のヤマグチさんが出てくるお話が好きだった。
    忘れたころにまたヤマグチさんの短編がやってくるところも何か嬉しい。そういうつくりだった。

    可愛くて笑ったり、ちょっとほろっとしたり、切なくなったり。
    そしてそこにはいつも男女がいる。様々なかたちで。

    多くは語れないけど大好きな世界観。

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    2016年05月10日
  • 東京日記 卵一個ぶんのお祝い。

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    いや面白い感性だなー。 ”作家の人”と単純に括ってはいけないんだろうなあ、とは思いつつも、何とも感情の向き方と行動と、その表現が面白い。
    勿論、作家さんでプロの文章なのだから、それだけの実力と経験に基づいた計算があるのだろうけど、面白い。
    この方が母親なのだなあと思うと、子供である人はどんな感じで親を見て、どんなふうに育つのだろう? ...などと勝手に想像してしまう(悪い意味ではないです)。
    作者の小説、別の作品を読んでみたくなりました。

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    2016年04月24日
  • ハヅキさんのこと

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    短編でありながら、行間の余白というか、語らずして語られていることが多く、空気感が伝わってくる作品ばかり。特に気に入っているのは、「琺瑯」「かすみ草」「床の間」「白熱灯」「動物園の裏で」「吸う」。すべてを語りきらない余白が、人間の世界の認識のしかたってこうだよなと、逆にリアリティをもって迫ってくる。引っかかったり、急にとんでもないところへ飛んだりする筋運びも、現実はたしかにこんな感じだと、腑に落ちる。作品の世界に浸った後で、自分自身の現実が、これまでとは違う見え方をしていることに気付いた。

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    2016年04月01日
  • 溺レる

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    川上弘美の怖さを見た。

    言葉の重ね方、
    会話の重ね方、
    酒と食事の重ね方が、
    川上弘美の魅力と思っていたのは、
    まだまだ少ない経験で得た、
    彼女のいち断面であったか。

    男と女の情念の、
    強く、淡く、もろく、
    果てしない粘りつき方が、
    とても恐ろしい。
    川上弘美が粘りつくと言うと、
    ひどく粘りついて見える。

    そこにある情念が、
    とてもとても粘っこい。
    あわあわとしているのに、
    さらさらとしているのに、
    やたらと絡みついて、怖い。

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    2016年02月29日
  • 竹取物語/伊勢物語/堤中納言物語/土左日記/更級日記

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    「こんな、おちゃらけの文学なんてあり得ない!」とも思うけど、50年後でも意味が通じる本として残せたので、これぞ文学なのかも知れない。
    全30巻の中で、この3巻だけを選んで読んでみたけど、結構当たりだったかも・・・!

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    2016年02月24日
  • ハヅキさんのこと

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    やっぱり好きです 川上弘美さんはほっこりします。

    26編もの短編集ですが どの話もすぐそばに あるような気がするはなしです

    わたしは「かすみ草」がすきです。
    何年も夫婦やってきて わかっている分かり合っているはず…でもね秘密がね あってもいいよね

    「吸う」は とっても色っぽかった

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    2016年02月23日
  • 東京日記2 ほかに踊りを知らない。

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    3年ぶりの東京日記、ほっこりしました。「卵一個ぶんのお祝い。」(。を忘れないで)もよかったけれど、電車の中で、ニタニタ、にたにた、まわりの人はさぞ気持ち悪かったことでしょう。私は影響されやすい性質なので、暫くは、川上弘美調の日記になります。東京音頭を踊ることはないですが...

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    2016年02月23日
  • 竹取物語/伊勢物語/堤中納言物語/土左日記/更級日記

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    森見登美彦訳『竹取物語』
    川上弘美訳『伊勢物語』
    中島京子訳『堤中納言物語』
    堀江敏幸訳『土左日記』
    江國香織訳『更級日記』

    こんな、宝石の詰め合わせがあって良いのか⁈
    発刊を待ちわびていたし、読むのもドキドキ。
    それぞれに訳者の持ち味があって、とにかくすごい。

    きちんと全文収録されているのも、嬉しい。

    中でも、川上弘美の『伊勢物語』は鳥肌モノ。
    歌物語の真骨頂というか、とにかく、和歌の訳し方が素敵すぎる。
    言葉の数を少なくしながらも、今の感覚を添えてくれて、色っぽいし切なくなりました。

    お気に入りは二段。


    起きもせず寝もせで夜を明かしては春のものとてながめ暮らしつ


    起きるでも

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    2016年01月24日
  • 七夜物語(下)

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    川上弘美版「はてしない物語」とでもいうべき、オーソドックスなファンタジーでした。オーソドックスではあるけれど、行間に潜む妙な艶っぽさはやっぱり川上弘美らしくて、「ファンタジー」よりも「幻想」や「異世界」という言葉の方が似つかわしいようだ。川上弘美が冒険ファンタジーを書くとこうなる、という感じだろうか。

    エンデの描く冒険者は勇ましく、勇気を求めて戦う者だった。
    対して川上弘美の描く冒険の主人公は優しくて、彼らがいちばんに求めていたのは「愛」だったのではないだろうか。これが最大の違いだろう。
    その違いがはたして時代性なのか、作者の個人的な感性なのか、何に由来するのかはわからない。
    なんにせよ、エ

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    2015年06月08日
  • 七夜物語(下)

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    六つ目の夜と七つ目の、夜の世界を見て聞いて過ごした二人の七夜が終わる。忘れてしまっても記憶の底には刻まれた七夜をぼんやりと思い出すこともある気がする。私にも忘れてしまった七夜があるかもしれない。 「みんな違ってみんないい」という金子みすゝ゛さんの詩を思い出しました。

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    2015年05月18日
  • 七夜物語(中)

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    仄田君とさよちゃん、それぞれ一人だけで過ごした夜の世界。それぞれの自力での対処が魅せてくれる。共に取り組んだ五つめの夜は考えさせられる。この世は、人の心は白と黒にきっぱりと色分け出来るものでは無いのだと。

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    2015年05月16日
  • 椰子・椰子(新潮文庫)

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    奇妙な夢と現を行き来するような川上弘美ワールドと山口マオのイラストの織りなす不思議で飄々とした世界。
    言葉の世界にとぷんと潜り込んで遊んでいるような不可思議さとなんともいえないおかしみが溢れた世界がとても楽しいです。
    どことなくエロティックなところも素敵。
    なんともいえず面白おかしく心地よい、ふっと気持ちを持っていかれる世界が詰まった一冊でした。

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    2015年04月26日
  • 神様 2011

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    2014年の締め括りに改めて読む。
    かの震災から早3年、喉元過ぎれば熱さ忘れると言うがだがそれは被災地復興の労働力を奪うことも知らずにオリンピックだなんだと浮かれている部外者に限ったことであり原発事故が起こった福島の人たちにとっては未だ烈火の塊が喉に詰まったままなのである。
    20世紀の終わりにのほほんと現れてわたしとピクニックをしお土産に干物を残し抱擁をして去って行ったくまが何故また21世紀に現れなければならなかったか?
    目先の利益だけを追い求めるご都合主義の政治家や経済人など放っておいて先ずは私たち一人ひとりがこの国の未来を考えなければならないんじゃないか。
    そんなことも怠り次にまたくまが現

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    2014年12月30日
  • 東京日記 卵一個ぶんのお祝い。

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    川上弘美のエッセイは夢と現を行ったり来たりして、たゆたうような空気感が面白かったりします。この作品でも「五分の四くらいは、ほんとうです」とあるように日常を描きつつ、なんとなくどことなく違った空気が流れます。
    引っ越し先の家が決まってお祝いに、納豆に生卵を一個割入れてみたり。打ち合わせに行けば、待ち合わせの店が見付からなかったり。突然「あら、よくってよ」という言葉を使ってみたくなったり。サイン会の礼儀について考えてみたり。猿について友達から注意を受けたり。川上さんの日常はたのしいです。

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    2014年12月30日
  • 東京日記 卵一個ぶんのお祝い。

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    心が縒れてしまったときに読む。
    傷ついたという程でもなく、疲れたということばでは追いつかないとき。

    慰めもせず、笑い飛ばしもせず、滔々と流れる日々に、寄り添われもせず、元気付けられもせず、ただ読む。

    それが、とても気持ちいいので、ときどきわざと心を縒れさせることも、ある。

    (このシリーズ、出ると小躍りします。)

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    2014年12月30日
  • 東京日記4 不良になりました。

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    川上ワールド全開!!!
    日常のエッセイなのに、いつもの短編集を読んでるような感覚。
    日頃からあのような感覚で周りを見れたら、おもしろいだろうなと思いました。

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    2014年12月01日
  • ゆっくりさよならをとなえる(新潮文庫)

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    絶妙なひらがな遣い。あたたかい諦め感というか,赦され感というか…タイトルがエッセイ全体の雰囲気にぴったり合っていました。

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    2021年03月06日
  • 光ってみえるもの、あれは

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    心の隙間にするりと忍び込んで来て、決して泣かせる場面でも泣ける場面でもない箇所で涙腺が刺激されてしまいました。何故だろう。
    「ふつう」を自認する江戸翠16歳の夏。少し変わった母親と祖母との三人暮らし。遺伝子上の父親はたまにふらりと家にやって来る。小学生の頃からの友人は何故か急に思い立って女装するし、恋人は何故か急に冷却期間をおいてみようと言い出す。ふつうなんだけど、ふつうでない。のらりくらりとしているようで、何もかも受け止めて考えている。自由でありながら不自由。そんな青春の日々。
    各章ごとに詩の一節が挿入されるのも面白いです。詩の持つ凝縮性と開放性が作品世界に合うのでしょうかね。

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    2014年11月05日
  • いとしい

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    一瞬気持ちが落ち着いたので、日曜の夜、眠る前に少しだけ読もうと開いたら、朝の6時までノンストップで読み切ってしまった。それくらい文章が好きで面白かったです。

    ユリエとマリエという姉妹の愛の物語なのですが、幼い頃、姉妹で昼寝して長い髪がからみつく…という冒頭が朝吹真理子さんの『きことわ』と同じだったから驚いた。まあ、ある表現と言えばある表現かも。長い髪が絡み付くメタファーは中世ヨーロッパからありますし。(最近自分自身の仕事でのパクリ問題で病んでいるので、似ている表現に気が飛びがち。)

    というのは置いといて、姉妹が幼い頃から空想話を楽しんでいるのですが、その様子や物語が楽しいのです。
    で、その

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    2014年10月28日
  • 東京日記4 不良になりました。

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    現実と空想の入り混じる東京日記シリーズ、第四弾。

    いつになく期待を裏切らない。
    淡々とした文の中にどこか可笑しみがあって、読んでいるとついニンマリしてしまう。

    外国のホテルでの、セシリアとの手紙やチップのやり取りが微笑ましくて好き。ぱんつネタで落とすあたり、さすが川上さん。

    イグアナのアイドリングちゃんのその後も気になるところ。

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    2014年09月23日