川上弘美のレビュー一覧

  • 七夜物語(中)

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    仄田君とさよちゃん、それぞれ一人だけで過ごした夜の世界。それぞれの自力での対処が魅せてくれる。共に取り組んだ五つめの夜は考えさせられる。この世は、人の心は白と黒にきっぱりと色分け出来るものでは無いのだと。

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    2015年05月16日
  • 椰子・椰子(新潮文庫)

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    奇妙な夢と現を行き来するような川上弘美ワールドと山口マオのイラストの織りなす不思議で飄々とした世界。
    言葉の世界にとぷんと潜り込んで遊んでいるような不可思議さとなんともいえないおかしみが溢れた世界がとても楽しいです。
    どことなくエロティックなところも素敵。
    なんともいえず面白おかしく心地よい、ふっと気持ちを持っていかれる世界が詰まった一冊でした。

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    2015年04月26日
  • 神様 2011

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    2014年の締め括りに改めて読む。
    かの震災から早3年、喉元過ぎれば熱さ忘れると言うがだがそれは被災地復興の労働力を奪うことも知らずにオリンピックだなんだと浮かれている部外者に限ったことであり原発事故が起こった福島の人たちにとっては未だ烈火の塊が喉に詰まったままなのである。
    20世紀の終わりにのほほんと現れてわたしとピクニックをしお土産に干物を残し抱擁をして去って行ったくまが何故また21世紀に現れなければならなかったか?
    目先の利益だけを追い求めるご都合主義の政治家や経済人など放っておいて先ずは私たち一人ひとりがこの国の未来を考えなければならないんじゃないか。
    そんなことも怠り次にまたくまが現

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    2014年12月30日
  • 東京日記 卵一個ぶんのお祝い。

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    川上弘美のエッセイは夢と現を行ったり来たりして、たゆたうような空気感が面白かったりします。この作品でも「五分の四くらいは、ほんとうです」とあるように日常を描きつつ、なんとなくどことなく違った空気が流れます。
    引っ越し先の家が決まってお祝いに、納豆に生卵を一個割入れてみたり。打ち合わせに行けば、待ち合わせの店が見付からなかったり。突然「あら、よくってよ」という言葉を使ってみたくなったり。サイン会の礼儀について考えてみたり。猿について友達から注意を受けたり。川上さんの日常はたのしいです。

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    2014年12月30日
  • 東京日記 卵一個ぶんのお祝い。

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    心が縒れてしまったときに読む。
    傷ついたという程でもなく、疲れたということばでは追いつかないとき。

    慰めもせず、笑い飛ばしもせず、滔々と流れる日々に、寄り添われもせず、元気付けられもせず、ただ読む。

    それが、とても気持ちいいので、ときどきわざと心を縒れさせることも、ある。

    (このシリーズ、出ると小躍りします。)

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    2014年12月30日
  • 東京日記4 不良になりました。

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    川上ワールド全開!!!
    日常のエッセイなのに、いつもの短編集を読んでるような感覚。
    日頃からあのような感覚で周りを見れたら、おもしろいだろうなと思いました。

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    2014年12月01日
  • ゆっくりさよならをとなえる(新潮文庫)

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    絶妙なひらがな遣い。あたたかい諦め感というか,赦され感というか…タイトルがエッセイ全体の雰囲気にぴったり合っていました。

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    2021年03月06日
  • 光ってみえるもの、あれは

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    心の隙間にするりと忍び込んで来て、決して泣かせる場面でも泣ける場面でもない箇所で涙腺が刺激されてしまいました。何故だろう。
    「ふつう」を自認する江戸翠16歳の夏。少し変わった母親と祖母との三人暮らし。遺伝子上の父親はたまにふらりと家にやって来る。小学生の頃からの友人は何故か急に思い立って女装するし、恋人は何故か急に冷却期間をおいてみようと言い出す。ふつうなんだけど、ふつうでない。のらりくらりとしているようで、何もかも受け止めて考えている。自由でありながら不自由。そんな青春の日々。
    各章ごとに詩の一節が挿入されるのも面白いです。詩の持つ凝縮性と開放性が作品世界に合うのでしょうかね。

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    2014年11月05日
  • いとしい

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    一瞬気持ちが落ち着いたので、日曜の夜、眠る前に少しだけ読もうと開いたら、朝の6時までノンストップで読み切ってしまった。それくらい文章が好きで面白かったです。

    ユリエとマリエという姉妹の愛の物語なのですが、幼い頃、姉妹で昼寝して長い髪がからみつく…という冒頭が朝吹真理子さんの『きことわ』と同じだったから驚いた。まあ、ある表現と言えばある表現かも。長い髪が絡み付くメタファーは中世ヨーロッパからありますし。(最近自分自身の仕事でのパクリ問題で病んでいるので、似ている表現に気が飛びがち。)

    というのは置いといて、姉妹が幼い頃から空想話を楽しんでいるのですが、その様子や物語が楽しいのです。
    で、その

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    2014年10月28日
  • 東京日記4 不良になりました。

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    現実と空想の入り混じる東京日記シリーズ、第四弾。

    いつになく期待を裏切らない。
    淡々とした文の中にどこか可笑しみがあって、読んでいるとついニンマリしてしまう。

    外国のホテルでの、セシリアとの手紙やチップのやり取りが微笑ましくて好き。ぱんつネタで落とすあたり、さすが川上さん。

    イグアナのアイドリングちゃんのその後も気になるところ。

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    2014年09月23日
  • ゆっくりさよならをとなえる(新潮文庫)

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    この人の感性はとてもしっくりくるので、作品はどれも気持ちよく読める。川上さんの世界では、どんなにぱぁっと晴れた日の風景にも冷たい冬の日の景色にも、薄紙がかかっている。表題のエッセイは、詩のようななんだか泣けてしまう文章だ。私にとっては、宝物を集めた小箱みたいな作品。
    「しょうがパン」にはうんうん、とうなずきながら読んだ。私もそうだった!と思い出しながら。今よりずっと、外国の生活なんて遠くにあって、ただただ想像して憧れるだけの日々だった。

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    2014年09月19日
  • パスタマシーンの幽霊(新潮文庫)

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    裏表紙に「恋をしたとき、女の準備は千差万別。」「女たちが足をとられた恋の深みの居心地を描く22の情景。」と書いてあるけれど、これは恋の本なんだろうか?



    恋愛の話もある、あるというか読み終わったらほとんどそうだった気もした、前の「ざらざら」から続いているアン子の恋の話もあるし、表題の「パスタマシーンの幽霊」だってそれは恋人の部屋で見つけたパスタマシーンに問い詰めた所から話は始まるし、他にもいっぱい恋も出て来るんだけれど



    最初の一編が「海石」と書いて「いくり」と読む圧倒的でどこか神話的な話から始まるのもあって、まるで色々な立場、年齢、環境にいる様々な女たちをどこかから見ている神様か

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    2014年08月06日
  • 東京日記4 不良になりました。

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    川上さんは、いい!素晴らしく、変な人であるwww
    本人曰く「ヘンなのは、私じゃなくてまわりの人たち!みんなが、ヘンなの!私じゃないっっ!!」ということではあるがw

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    2014年07月24日
  • ゆっくりさよならをとなえる(新潮文庫)

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    弘美さんから見る日常はどうしてこんなに美しいのだろう。と、うっとりしてしまいます。
    物をとても丁寧に、とても優しく扱うからその物一つ一つに沢山の愛情が注がれ、その愛おしさが自然に読み手にまで伝わってきますね。
    触れることができるなら柔らかく、温かい。そんな弘美さんの美しい日常をほんの少しでも覗くこができて、幸せでした。

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    2014年06月09日
  • 椰子・椰子(新潮文庫)

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    友人にすすめられて読んだ一冊。

    不思議でヘンテコな世界。
    この世界観、たまらないです。
    気になってどんどん読んじゃいました。

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    2014年05月27日
  • 夜の公園

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    いとけない人、という表現がでてくる。知らないことば。ぐぐってみたら、汚れをしらない、あどけなさ、幼いはただ、歳が少ないに対して、純真さを持っている場合につかいますってでてきた。知らない言葉がまだまだあるものだ。いとけない

    とても好きな小説だった。みんながぐるぐるしてて、どうしていいかわからなくなってて、なのに冷静で。きっと現実ってこんなかんじ。いま、信じられないほど大好きな人との関係だっていつかは冷めてしまうかもしれない。とすると、やっぱり結婚てなんなんだろう。人は一人ひとり自由なのに、縛るなんて無意味すぎる。こどものためなのかな?うーん

    白骨温泉で読む

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    2014年05月09日
  • ゆっくりさよならをとなえる(新潮文庫)

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    毎年、年末になると棚から引っ張り出してくる。ぱらぱらめくって、適当に読む。最後の表題作だけは、それこそゆっくり噛み締めながら読む。一年を振り返るのに、これ以上のものはない。

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    2014年03月22日
  • 東京日記4 不良になりました。

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    ネタバレ

    大好きなシリーズ。
    ひょうひょうとした語り口で、ちょっと変な視点での日常を短いセンテンスで書いている。
    布団の上で日向ぼっこしているどこぞのイグアナに恋をしたり、失恋したり、また再開したり、やっとパソコンに買い替えたはいいけれど、ソリティアに延々とはまったり、と時々吹き出しそうになりながら読み進むと、忘れられない『あの日』がやってくる。
    この作品のスタンスは崩れず、淡々ひょうひょうと日常は続く。
    けれど、ここかしこに作者の気持ちはちりばめられている。
    願わくば、作者が一日でも早くソリティアができることを。

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    2014年03月08日
  • 東京日記2 ほかに踊りを知らない。

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    面白かった。声を出して笑った。著者の変な人感が伝わって来て妙な親しみを感じるところが良い。また、自分の可笑しさ加減を客観的に見つめて、切なくなったり、あたたかくなったりといった著者の心模様がうかがえるところもまた良い。いい人だと思うなぁ~♪川上弘美さん♥

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    2014年02月20日
  • 椰子・椰子(新潮文庫)

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    楽しげではっちゃけた感じ。川上弘美さんには、こんなニコニコ微笑んで読み進められる作品を書いてもらいたい。

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    2014年02月15日