川上弘美のレビュー一覧
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帯より。
「季語がよびさます忘れえぬ瞬間。
散歩道にほころぶ梅を愛で、
茄子とみょうがで濁酒。
ぬくぬくと朝寝をむさぼり、
ががんぼを一人いとおしむ。
行きつけだった居酒屋から、東京の四季おりおり、
少し人見知りな 作家の日常まで。
川上弘美がもっと近くなる 俳句エッセー96篇。」
季語の学びの本ですね。でも、ただ意味の説明ではなく、俳句エッセーになっていて、面白いです。
(川上弘美さんは、随分前に読んだ「センセイの鞄」がとても好きです。その時に、しみじみとこの本好きだなぁ〜と感じました。)
こちらの「わたしの好きな季語」は、決して数は多くはありませんが、季節ごと、そして -
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18の短編集から成る本作。
どの物語もユニークで不思議で完璧。
特に良かったのは、"いいラクダを得る"。
アラビア語を履修している5人組が創設した、流行と逆のことをする逆行サークルを巡るお話。
若いラクダという意味の名前のバクル先生。ラクダのこぶという意味のバクル先生の母親のヒンド。バクル先生の双子の娘は、アラワとリム。山のヤギと白いカモシカという意味。
偶蹄目がキーになっていてなんだかおもしろい。
"スミレ"も良かった。
技術が向上し、特定の施設の中では精神年齢が見た目年齢に反映されるようになった世界。(設定にすこしナオコーラさん味がある)
実 -
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歳を重ねるといろいろなものが見えるようになって心は成長し、身体は衰えていくと思っていた時期がある。どうやらそんなものではないと今は感じている。
大きな事件があるわけではなくて、エッセイのような本。60を超えた幼馴染が近づいたり離れたりしながらコロナ禍を生きている。歳を重ねたからこそのものの捉え方は決してスマートなわけではない。でも相変わらずいろんなことを考えながら人は生きるのだなとしみじみ思う。
静かで、暖かくて、どこか切ない物語だった。
「どうしようもなく誰かと一緒にいたい、という相手を自分が求めないことがさみしいのだった。」
「他者の思考に自分がのみこまれてゆく心地よさと抵抗感と恐ろ -
Posted by ブクログ
試験前で読書を控えていた先月、ちまちま家にある"センセイの鞄"を読み、川上弘美欲が高まってしまった。
21の短編から成るこちらの作品は、どれも川上さん節が強く、みょうちくりんで魅力的な小説ばかりで心が満たされた…!
このくらいなら書けそうだと思わせてくる。だけど、絶対に書けないユニークな表現や世界観たち。高等テクや…!
お気に入りは"誕生日の夜"。
いつも通りナナの部屋で、のぞみとナナにお祝いされる誕生日。にぎやかな誕生日にするため、知り合いや、知りあいの知りあいもどんどん招待した結果、昌子たちや、のぞみの恋人の国枝くんとその友達、見知らぬおばあさ