川上弘美のレビュー一覧
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雑多なものが所狭しと詰め込まれた空間って、
無条件にときめいてしまうたちなので、
古道具屋という舞台設定にまず惹かれた。
だからさあ、が口癖の適当店主中野さん、
中野さんのお姉さんで芸術家のマサヨさん、
少々ぼんやりしたアルバイトの男の子タケオ、
中野さんの愛人?らしき“銀行”ことサキ子さん、
古道具屋関係の人達は
ちょっと浮世離れしているというか、
変わっている。
変わっている、というのが第一印象だ。
でも、物語を読み進めると、
彼らの人間くささを知ることになる。
このリアリティと非現実感のバランスが絶妙だ。
ヒトミとタケオのじれったい恋愛に、
もしくはマサヨさんの大人の恋愛観に、
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ネタバレ読む前の印象は、もっと怖くて仄暗いお話なのかな~‥と思いましたが、そんな事はなくてちょっぴり不思議なお話でした。
一見、突拍子もない摩訶不思議な話しに思えるけど、この物語を前世の記憶を少しだけ持っている人達の話と置き換えて読んでみると、非常にしっくりくる‥
何度も何度も変化(輪廻転生)を繰り返しながら
生とは?死とは?
問いかけながら
変わっていく事、変わらない事。
色んな人格になり、色んな人生を経験する事で、自身も知らない間に少しずつ成長していく‥
「愛するって何?」
「相手の為に生きたいって思える事だよ」
死を恐れなかったひかりが、愛する事を知って変化する事を恐れた事も、変化 -
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去年、世田谷文学館の谷口ジロー展で、谷口さんがこの作品を書いていることを知ったが、販売コーナーには無かった。結果、谷口ジローコレクションの配本を待つことになった。
川上弘美さんの原作を読んだのは、いつだったか。帯に川上さんの一文「こういう話だったんだ!描いていただいて、ほんとうに知ったような心地です。」がある。
本当にそう言う感じ。老境のセンセイと月子さんが淡々と吞んでいる漫画。偶にキノコ狩りやお花見があるけれど。
急いで読んじゃいけないんだよと心に言い聞かせながら、頁をめくる。
気がつくと、月子さんの気持ちにセンセイが占めているのが何とも言えず、沁みるなあ。
この後は、8月配本の続巻を待つば -
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「蛇を踏む」「消える」「惜夜記」の三作品。
どれも非常に独特な作品でした。
どのように読むのがいいのかしばらく分からないままだったのですが、「あ、これ変な時間に寝た時に見る夢みたいだな」と思ってからはその感覚にスイッチすることで、なんとなくこの世界に溶け込めたような気がしました。
不気味さも奇妙さもありながらどこかしら生命の神秘的な面も感じられて、無秩序のようでいてどこか傾倒していってしまいそうな世界観。
作者の方は相当不思議な方なのかなと思っていたら、あとがきでは平易な言葉で「うそばなし」のことを書いてあり拍子抜けしてしまいました。
どこまでも掴みどころない作品でした。
しばらく心にモヤ -
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休日のちょっとした遠出の電車と喫茶店とで読みきった。
川上さんの文章、気持ちがすかすかして好き。別れる話がなんとなく多い気がしてつっかかったけれど、別れなかったとしても別れたとしても、川上さんの描く人たちはみんな清々してて好き。あと、ちょっと不思議でほんわかしてて、切ないのに、傷を知らないふりして、涼しい顔するのも好き。川上弘美の読後感が好きなのかもしれない。
少し不憫なこととか、ありえないことが起きても、まあしょうがないよねって受け止める。恋をしてじたばたして、恋にならなくてざわざわしても、そのあとはさっぱりしてる。どの短編のみんなもきっと、この先をずーっと進んでいけばどこかでハッピー -
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ネタバレ12編のアンソロジー。
どの作品も変愛の名に相応しかった。この一冊に密度濃く詰め込まれたそれぞれの変愛。愛と一口に言っても当たり前ながら1つも同じものはない。
その中でも特に好みだった2つについて書きたい。
『藁の夫』
2人の間に嫌な空気が流れる、その始まりはいつも些細なことなのだと思い出させる自然な流れだった。あんなに幸福そうだったのに、藁に火をつけることを想像させる経緯、鮮やかな紅葉にその火を連想させるところがたまらなく良かった。
『逆毛のトメ』
シニカルでリズムのいい言葉選びが癖になる。小説ってこんなに自由でいいんだと解放して楽しませてくれた。躊躇なく脳天にぶっ刺す様が爽快だし、愚か -
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ニシノユキヒコが主人公(?)ながら、ニシノユキヒコの心情は一切記されておらず、ニシノと交流したさまざまな女性たちの視点で、ニシノが語られます。
1番最後に配された「水銀体温計」で、ニシノの少し屈折した女性への態度の背景が明かされ、その一つ前の章「ぶどう」で、唐突に訪れた彼の冒険の終わりが綴られます。姉への気持ちを明確にするのが怖かった、ということなのでしょうか?ただ、思えば、1番最初の「パフェー」で成仏しきれず他の女の元へ行くあたり、もうその浮ついた性分はもう自制の効く類のものではなく、生まれついた性質なのでしょうか。
ニシノと女の儚い関係の中の穏やかな熱情に、なんだかやつされるような想いがし -
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幸せなのにさみしい。
主人公の多くの「私」には名前が出てこない。それがよけいに自分に語られ、問いかけられているようだった。
心のままの感情を持ってしまうことへの辛さ、心細さとか、人との絡まる感情は、どうにも消化できない。
多くは「ままならぬ関係」だったりするが、それでもふふっと笑えたり、不確かなものだって存在するんだと、人の心の儚さが、ずしっと刺さった。
無機質でお人形さんみたいに感じる登場人物…そういう、ゆめうつつのところが、それはそれで好きなんだと思う。笹蒲鉾を持ってタマヨさんに会いに行った「私」は、私でもあった。空想の中で会いたい人に会いに行く、つい移入してしまう。
「夜の子供」「冷た