川上弘美のレビュー一覧

  • 水声

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    ネタバレ

    両親(兄妹、でも肉体関係なし)のもとに生まれた近親相姦姉弟(肉体関係あり)の生まれてから約50年間の話。戦後から昭和の終わり、バブル崩壊、松本サリン、阪神淡路大震災など当時の大きなニュースが挟まれるのが特徴的。登場人物が皆どこか不思議だけれど、純文学。
    やはり文章が美しい。

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    2020年08月12日
  • 夜の公園

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    こういう乾いた恋愛ものはとても好き。語弊があるかも知れないけれど、江國香織さんの世界観とも共通するものがあるように感じた。
    川上弘美さんの小説は私の場合、はまるものと世界が独特すぎてついていけないものに分かれる。この小説は完全に前者。

    主人公は35歳のリリ。主婦で、夫の幸夫がローンで買ったマンションに暮らし、申し分ない生活をしている。だけど毎日が、なんとなく退屈だ。
    幸夫は、リリの親友の春名と恋人関係にあり、リリもまた、マンション前の公園で知り合った9歳年下の暁と恋人関係にある。
    こんなにせまい人間関係のなかで、さらにあるひとつのつながりがある。

    リリはどことなく謎めいていて、感情をあまり

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    2020年08月02日
  • パスタマシーンの幽霊(新潮文庫)

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    ずっと前、居たなそういう人、原田聖子のような理解できなかった存在の人。(ゴーヤの育て方)
    「ねえ、大学時代はさあ、会社に入って働くとか、考えてもなかったよね」「いろんな女や男やおっさんやおばさんがいるところで、自分も働いていることが、まだ信じれん」
    不特定多数の人と、誰もが良い人間関係を結ぶのは難しいと学んだ自分の「お勤め」のころを思い出した。
    輪ゴム、はよかった(全部よかったけど)。どのお話も哀愁が漂って、ふわふわしてるのにせつなくて、だけど穏やかになる。

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    2020年06月15日
  • 変愛小説集 日本作家編

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    タイトル通り変愛を集めた短編集。

    「お、おう、そんなところに」「そんなのと」「え、何この設定」とか本当にそれぞれ変な愛ばっかり笑

    吉田篤弘目当てだけど、電球交換士が出てきていたとは。

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    2020年04月16日
  • ハヅキさんのこと

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    なんでかよくわかんないけど、よく思い出す記憶ってある。なんでだろう? 「ハヅキさんのこと」をはじめとする話、ふと思い出す断片的な映像みたいだった。や〜良い。

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    2020年04月11日
  • ハヅキさんのこと

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    川上弘美さんの短編集。
    一話が本当に短い。2,3~4,5ページのものが多い。
    その短い中で、登場人物がうまく描写され、ストーリーがある。当たり前か。
    どのストーリーも、登場人物がどんな人か、こんな短いページ数でも把握できる。
    女性同士の付き合いの話が多く、共感できる。
    面白かった。

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    2020年04月01日
  • いとしい

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    ネタバレ

    川上弘美さん2冊目。
    修飾語が好き。
    「ミドリ子にとってチダさんとのセックスは、真夜中ひっそりと起きて読む哀しい小説にようなものだった。読んでひそかに涙を流すとあんまり気持ちがいいのでやめられない、やめられないことが情けなくてさみしくせつないのだけれど、やめられないことがうれしくもある。」

    「姉の吐き出していた空気がなくなり、姉の持ち物と姉自身も見えなくなってしまうと、しばらく家の中はまばらな感じになったが、やがてまばらなところは均された。知らぬ間に母と私は薄く家の中に広がり、姉の不在によってできた隙間は満たされた。」

    「疑ってるんじゃないよ ぜんぜん信じてないだけだよ」

    「誰かを好きに

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    2020年02月21日
  • 掌篇歳時記 秋冬

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    短編小説。
    中には情景がぼんやりしたまま終幕になったものもあるが、大半は程よく心地良い作品。
    日本には暦のほかにこんなにも豊かな四季の表現があると温かさも得た。

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    2020年02月09日
  • 水声

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    ママが死んでしまったのでパパが出て行った。子供の頃からいてパパと呼んでいる人は実は叔父だった。
    家族の物語。55歳になった都の思い出話。

    心にはいつも死んだママがいる。
    ママが死んでから同居をしないといって出て行ったパパがいる。弟の陵がいる。

    パパと呼んでいるが実は叔父で子供の時からママと一緒にいるのでずっとパパと呼んでいた、家族だ。
    一緒に暮らしている陵は弟で生まれた時を知っている。

    ママの心はいつも満たされていて、家族の中心だったが若いのに癌で死んでしまった。

    最後のピクニックでママがいった。
    「もうすぐあたし、死ぬのね」
    「もうそれ,飽きたから、やめて」
    「せっかくその気になって

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    2020年01月13日
  • 水声

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    テーマは、家族と愛。愛は近親相姦と世間で呼ぶ類のものかもしれないけれど、卑猥な感じではなく、読んでいると、愛の変形系の一種としてナチュラルにスムーズに受け入れられる。主人公の都の両親は、実の兄妹で、都も弟の陵に恋愛感情を持つ。都の母親「ママ」はさばさばしていて冷たいところがあるけれど、どこか人を惹きつける魅力を持った女性。世間から見れば、都の家族は歪んで、ねじれている。いとこの奈穂子はアメリカ帰りの帰国子女で、都から見ればいつも笑顔なように見えて、少しも笑っていない無表情にも見える女の子。(「奈穂子は笑っていた。あるいは、無表情でいた。」)都の育ての父親は、時計コレクターで、都の弟の部屋には掛

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    2020年01月09日
  • これでよろしくて?

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    今まさに読みたかったような本だった。
    するする1日で読めた。
    みんなそれぞれ意見はあるけど、これでよろしくて?同好会、みんななんか良い。暖かい。
    そして光は私的には理想の旦那さんだなぁ。でもどの夫婦にも家族にも人間関係にも中に入らなきゃ分からないモヤモヤや悩みはあるよね。
    終盤、「今」を生きることに意義を見出す主人公、とてもステキな締めだしほっこりスッキリ、とても良い本だった。
    また旅先とかで読みたいな。

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    2019年12月10日
  • 掌篇歳時記 秋冬

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    12名の著名な作家の短編が72候の解説と一緒に読める、ある意味で贅沢な本だ.重松清の鷹乃学習(たかすなわちがくしゅうす)は父親としての最後の旅行で息子の翔太を見つめる親心がうまく描写されている.筒井康隆の蒙霧升降(ふかききりまとう)は戦後の風物詩を散りばめた彼独特の文章でしっかり意見を述べているのが良い.堀江敏幸の熊蟄穴(くまあなにこもる)は菱山の取材活動のなかで村の古老たちとの奇妙な会話が面白かった.

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    2019年12月08日
  • 掌篇歳時記 秋冬

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    物語ではなく、読書そのものと、日本の繊細な四季の移ろいを味わう一冊。初めて読む作家さんもいて楽しかった。

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    2019年12月05日
  • いとしい

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    読み終わってからこんなにもタイトルがしっくりくる本は初めて。一人ひとりに相手への愛おしい気持ちがあって、それは偶然生まれたものであったり、または歪みからかもしれない。本物どころか、愛とも呼べないものかもしれない。しかし気持ち自体はどうしようもなく確実にそこにいて、ふとした時に少し姿をあらわすことで自分にも相手にも影響を及ぼす。王道な、合理的な、理性的な、普通な、永続的な、愛なんてないのだろう。

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    2019年10月28日
  • これでよろしくて?

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    川上弘美作品は「センセイの鞄」や「どこから行っても遠い町」など読んできたけれど、一番テンポ良く読めた。まさに、ガールズトークを聞いているような。

    夫と義母と自分で帰省した時のお風呂問題などなど、とりあげられるテーマがおもしろい。 
    そして新川亭で皆が注文するオムライスやビーフカツ、ポークソテーもおいしそう。

    人と人との難儀な関係性については納得。
    ちょっとした言動を気にしてしまったり、あれこれ憶測したり。夫婦間でもそうだし、会社の人間関係でも。
    そして自分の悩みを人に聞いてもらいたい時、いざ言葉にしようとすると大したことではなく思えたり、言葉にすればするほど本当に悩んでいることから遠ざかっ

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    2019年10月21日
  • 森へ行きましょう

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    パラレルワールド小説。
    生きる道を選択しているようで、流されているようで。
    いろんな人生が用意されているようでいて、実はどれもあんまり変わらないのかなとも思った。
    それでも、家族を理解したいと努力したり、自分を見つめ直したりしながら、それぞれ真剣に生きている。

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    2019年09月23日
  • 古道具 中野商店(新潮文庫)

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    初読みの作家さん。最初は、日常の出来事をつらつら書いてるだけ⁇と思った。昔は苦手だったなぁと。誰も殺されないし謎もないし探偵もいない。でも最近は歳のせいかf^_^;意外とこういうのも好きになってきた。特に言い回しがステキだなと。水をはきだすホースのようにしゅるしゅると話をする、とか、そういう言い回し。人物描写もなんか独特。中野さんという店主やその姉、中野さんの愛人、中でもタケオは良かった。喧嘩して怒ったタケオが空メールを送った意味はなんだったのか。あっけない最後も含みがあって良いかなー☆推し本です☆

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    2019年08月31日
  • 変愛小説集 日本作家編

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    「恋愛」ではなく「変愛」…変わった形の愛が描かれたアンソロジーです。
    面白かったです。
    ディストピア文学が大好きなので、「形見」が好きでした。工場で作られる動物由来の子ども、も気になりますが、主人公の子どもがもう50人くらいいるのも気になりました。色々と考えてしまいます。
    「藁の夫」「逆毛のトメ」「クエルボ」も良かったです。藁の夫を燃やす妄想をしたり。クエルボはラストは本当に名の通りにカラスになったのだろうか。。
    多和田葉子、村田沙耶香、吉田篤弘は再読でしたがやっぱり良いです。
    岸本佐知子さんのセンス好きです。単行本から、木下古栗さんの作品だけ再録されなかったようですが。
    表紙の感じに既視感が

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    2019年08月30日
  • 古道具 中野商店(新潮文庫)

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    中野商店の人たちが、あたたかく、個性あふれる人ばかり。
    ふつうの企業に勤める人間模様とは少し違う、
    縛り合わない関係、楽で居心地のいい関係を見ているようで、ほっこりする気持ちになった。

    うまく生きることができないというタケオの成長が、自分と重なった。
    うまく生きるってなんだろう、と思うけれど。
    不器用で、素直で、自分に正直なタケオがとてもいいキャラクターだった。

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    2019年08月30日
  • ハヅキさんのこと

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    解説にあった、
    「一気に読むより、一ページずつ、一本ずつじっくりゆっくり読むにふさわしい本だと思う。」

    川上弘美さんの作品はどれもそう。この作品も、一つ一つ大切に読んだ。

    日常のなんでもなさを切り取ったお話が好き。
    でも「疑惑」が実は一番面白かったかな。

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    2019年08月21日