川上弘美のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
捉えどころが分からない世界観なのですが、読んでて自分でどう解釈するのか、考えさせられた作品でした。著者のあとがきに描いてあった「うそばなし」。自分の書く小説のことひそかにそう呼んでいることも少しユニークで、とても、著者の
明るさが伝わってきました。「蛇を踏む」は、主人公が公園で蛇を踏んでしまい、家に謎の女が現れてしまい、その謎の女は、主人公の死んだ母だとう言うのだが、主人公の母は生きている。
蛇が化けて現れてしまったのか、そう考えるなか
二人の奇妙な生活が始まった。
芥川賞を受賞した著者の代表作です。
どこか民俗文学を思わせる、不思議なお話がとても、心地よかったです。 -
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名前が付けられたり付けられなかったりするような不思議な人間ではない生物の生き様やその生物と人間との関わりを描いた幻想譚の短編集。
始めはそれぞれの話に出てくる怪異が何かのメタファーなのではないかと思って一つ一つ考えて読んでいた。けれど、「荒神」まで読んだところで、そこまで深く考えずに不思議な世界の雰囲気を楽しむものであることに気付き、それ以降はその世界にどっぷり浸かることだけを考えて読んだ。この考えは意見が分かれると思うが、それが幻想小説のいいところだと思う。
個人的には「狐塚」と「鼹鼠」が好きだった。「狐塚」は狐のような高齢の男性と主人公の年の離れた恋の話で、その男性だけでなく人間もま -
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帯は、
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あなたなら、
この旅に誰と出かけますかーー?
豪華寝台列車「ななつ星」をテーマに
7人の人気作家が紡ぐ「旅と人生」
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小説5編と随想2編が収められています。
表紙の暗闇のなかの流れ星と、
車窓から漏れる灯りが素敵で。
以前、文学YouTuberの寝台列車のなかでひたすら読書する動画を見たことがありますが、列車とか旅は非日常感があってドキドキワクワクしますね。
列車をテーマにしても、オーソドックス(私の中では熟年夫婦やカップル)な物語だけでなく、友情や幽霊が出たり、感染症の流行で乗 -
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Posted by ブクログ
『これでよろしくて?同好会』に元彼の土井母から勧誘された菜月。小さな洋食屋である新川亭での会合には土井母の他に妹尾香子、立木雛子、八戸みずほ、そして勧誘された菜月が毎回色々な議題についてガールズトークを繰り広げている。
年齢もバラバラな彼女たちの話はとっても面白くて隣の席で盗み聞きしたいくらい。
たまたま私も今日ランチの席で定年退職した夫に困り果ててる友人の話を聞いてきたばかり。7人でのランチだったけど旦那さんのタイプもそれぞれ。ホント他愛のない話から重い話までガールズトークは延々と…。川上さん良くわかってらっしゃる。女性にはこういう場は必要なんですよね。
ナイス
★29
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Posted by ブクログ
パラレルワールドに存在する、留津とルツ。同じ日に同じ親から生まれたのに、歩む人生は全くちがう。さらに、分岐点で異なる道を進んだたくさんのるつ、琉都、瑠通、流津、る津…。選んだ道によってたくさんの『るつ』がいて、それぞれの人生を歩んでいる。
こんなふうに、自分の人生も選択肢ごとに見れたら、楽しいかもなぁって思ったり。
でも、結局のところ、分岐点がいっぱいあったとしても、選べる道は一本しかなく、選ばなかった道を選んだらどうなるかなんか、わからない。
いったい、どの『るつ』が一番幸せだったのかって考えると、どの『るつ』もある程度幸せである程度不幸せ。ベストな選択肢なんてものはなくて、どの人生もベター -