川上弘美のレビュー一覧
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三作の短編。
「蛇を踏んでしまった。」
「最近よく消える。」
「夜が少しばかり食い込んでいるのだった。」
冒頭から『⁉️』と鷲掴みにされる。
そして淡々と不可思議なことを語られ、粛々と物語が進んでいく。
ファンタジーというには謎展開すぎて、お伽話のような感覚。
話の中に教示や諫言を見つけられなかったが、著者の独特の物語は想像の斜め上どころではなく、四方八方どこに連れて行かれるかわからない楽しみを得ることができた。
物語を読むというより、摩訶不思議な世界をただ浸る体験ができた。
物語を読むというよりも、摩訶不思議な世界を楽しむという感じ。 -
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松任谷由実の曲を元にしたトリビュート小説集
著名な作家さん達による、別角度からの切り口で綴られる物語
歌詞をそのまま物語にしたものではない
むしろ設定のリンクはそんなにないかも
タイトルにインスパイアされた短編という表現の方が近い
収録は6編
あの日にかえりたい/小池真理子
DESTINY/桐野夏生
夕涼み/江國香織
青春のリグレット/綿矢りさ
冬の終り/柚木麻子
春よ、来い/川上弘美
解説:酒井順子
・あの日にかえりたい/小池真理子
いまも私の心は学生時代を過ごしたあの場所にいる
昭和の学生運動が盛んな頃の大学生
男を巡る友人とのちょっとした行き違い
大学生の頃に戻りたい -
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裏表紙を見ると『よるべない恋の十二景』らしく、それらに、たよりとするところが無いのかどうか、私には分からないが、川上さんの数々のこと細かい描写に、胸を突かれるような愛おしさが湧いてくる事は確かである。
それは、最初の「いまだ覚めず」だけでも枚挙に暇がなく、タマヨさんが、十二年前の写真を捨てずに取ってある事や(しかも、壁一面に貼ってある中のどこにあるか、瞬時に分かった)、「仕事ばっかりしてる」「わたしも」の『わたしも』や、『あなたと手つなぐの、すきだった』や、「なにしてあそぶ」と、少しお化粧をして少しよそいきになったりと、言葉だけだと何ということも無いように思われるが、物語に於ける、これらの言 -
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ネタバレユーミンの曲を女性作家さん達がトリビュートし
創作された物語の短編集。
小池真理子「あの日にかえりたい」
まだ共同玄関や共同トイレが一般的だったころに
学生時代を過ごした主人公の郷愁の物語
既に老年に入った主人公が人生を振り返るような
切ない物語。短編の中に人生の流れがつまっていて
さすが小池真理子さんだなと思った。
桐野夏生「DESTINY」
村上春樹が愛読書の争いごとを好まない青年の物語
変わらぬルーティーンの中ではっと目についた
女学生に少し惑わされてしまうけれど、また
普段の日常に戻っていく。何も劇的なことは
ないのだけれどシニカルでとても良かった。
村上春樹とか山田風太郎とか主人公 -
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あなたは、短編が好きですか?それとも、長編が好きですか?
小説にはさまざまなジャンルがあります。恋愛もの、青春もの、そして学園もの。横文字でいけば、ミステリー、ファンタジー、そしてホラー。さらには、京都が舞台、お仕事小説、そしてタイムトラベル…切り分け方次第で一つの作品であってもさまざまな分類の仕方ができると思います。例えば京都が舞台と言っても、青春ものに振った瀧羽麻子さん「左京区七夕通東入ル」、恋愛&SFに振った七月隆文さん「ぼくは明日、昨日のきみとデートする」では、読み味が全く異なりますし、それぞれに好き嫌いも出てくると思います。内容の分類だけで好みの作品を見つけるのもなかなか難 -
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あなたにとって、思い入れのある場所はどこでしょうか?
世界には数多の観光地があります。例え仕事をやめて一生そんな観光地巡りをしたとしてもその全てに行き尽くすことなどできません。もちろん、観光地といっても幅があります。例えば、それを世界遺産だけと限れば行き尽くすこともできるかもしれません。しかし、それでは単に巡ること自体が意味となってしまいます。もちろん、それも考え方ではありますが、せっかく訪れるのであれば、自身が行ってみたいと感じる場所に行きたいものです。
そう、私たちはそれぞれに嗜好が異なり、世界各地のどの場所に心囚われるかは当然に異なります。”リピーター”という言葉がある通り、新しい場 -